
5月になりました。めっきり春っぽくなりましたね。新しい環境になった方も少しは慣れてきましたでしょうか。5月といえばゴールデンウィーク。お出かけするなら劇場などはいかがでしょうか。というわけで、今月の「優先順位高めです」です。よろしくどうぞ。
俳優・東野良平の優先順位高め!
新婚旅行で台湾にいきました。
魯肉飯、牛肉麺、路地でお婆さんから買った謎の餅、ぜんぶ旨かった…。
街並みも人の雰囲気も素敵で、異国を好きになるという経験を初めてしました。
5月も楽しみな演劇がたくさんあります。
●入江雅人グレート一人芝居「パンクスタイル22」
入江雅人さんによる、すべてを「己」でこなす一人芝居公演。
まず受付に入江さんがいます。舞台上にノートPCがあり、音響・照明も入江さんが(芝居をしながら)操作します。
どうやったらそんな芸当ができるのか…入江さんの芝居への情熱と愛に圧倒されます。
前回の一人芝居「帰郷」が途轍もなく素晴らしかった…故郷の夏、海岸のドライブ、80’sポップス、そして終末ゾンビモノ…卓越した芝居によって各要素がブレンドされ、辿り着いた情景に涙が溢れました。
今回の演目は「東京大パニックめがね」。東京に眼鏡は、かけさせない!と言われたら観るしかない。
会場は中野富士見町ニュー・サンナイ。ほんとココは舞台設計が素晴らしくて大好きです。
同時期・同会場で入江さんが並行して上演する、ザ・クズレルズ『GWに崩れる』 も楽しみ。
●端栞里と高熱 vol.1「アタラント号・サマーベッド・浮遊」
前回公演『wowの熱』の大反響でさらに勢いにのる若手劇団、南極(台湾にもいってた!)。
主役を務めた看板俳優・端栞里さんによる一人芝居オムニバス公演。
所属メンバー個々人の活動も注目を集めており、劇団の充実を物語っています。
今回は、端さんが「独り占め」したいほど惚れ込んだ同世代作家3人による新作書き下ろし3本立て。
フライヤーのコメントでは、作家陣からも「端栞里でおもろいの観せます!」という意気込みをビシビシ感じます。
次世代のクリエイターが勝負をかけるミニマムで熱い芝居。今後の演劇最前線を予兆させる公演になるのでは。
●劇団普通『秘密』
まるで目の前の舞台が、茨城のどこかの一軒家に繋がっているような。
まるで実在の家庭を今、覗き見ているような。静かで圧倒的な劇空間。
再演となる今回の作品ですが、3年前の初演の衝撃をありありと思い出せます。
家族という閉じられたコミュニティ。心の軋み、剥がれ落ちた言葉が、薄く薄く敷き詰められ、雁字搦めになる息苦しさ。
「老いた父、老いた母、そして私。」
多くの人が直面し逃げられぬ現実を、淡々と精緻に描き出す石黒麻衣さんの作劇。用松亮さんを筆頭とする、俳優陣の尋常ではなくリアルに徹した芝居。そして演劇がもつ、”同じ空間に自分自身がいる”ということの作用を深く感じられる、現代小劇場の真骨頂です。
東野良平
俳優。劇団「地蔵中毒」所属。
X(旧:Twitter):@lycoris1210
俳優・田代明の優先順位高め!
みなさんこんにちは、田代明です。
「ぽっかぽかな季節がやってきました」と先月書いたのですが、なんだか今年の4月は寒かったですね。
という事で、本当のぽっかぽかな季節です。足取り軽やかに劇場へGO。
舞台『Take Me Out』2025
公募でのオーディション開催のお知らせを見てから、この日を心待ちにしておりました。
2016年に日本で初演、2018年の再演を経て、再再演である2025年版はキャストを「レジェンドチーム」と「ルーキーチーム」の2チームに分けての上演。レジェンドの方には過去2公演での出演経験のあるキャストに新キャストを加えた経験豊富なメンバーが、そしてルーキーチームは330人の中からオーディションで選ばれた11人の新メンバーのみで構成されます。
ロッカールームで話される男達のカミングアウトと、それぞれの考え、生きてきた背景…2チームとも是非とも観たい作品。
パルコ・プロデュース2025『星の降る時』
キャストの江口のりこさんと三浦透子さんのお名前をみて、絶対観に行く!と決めた1作。お二人と共に三姉妹を演じられる那須凛さんも、第29回読売演劇大賞・杉村春子賞を受賞した経歴をお持ちの方。
三女の結婚式の日に久々に集まった家族と親戚達は、幸せな一日を過ごすはずが、過去の確執と向き合わなければいけない一日へと変わっていく。
2024年「ローレンス・オリヴィエ賞」BEST PLAYにノミネートされたこちらの話題作は栗山民也さんの演出により日本初上演です。
イキウメ『ずれる』
登場人物は男性5名。「5人の濃密な会話劇の中から、この世界の不気味さ、本質的な不条理がゆっくりと浮かび上がってくる。そんな舞台です。」イキウメさんの作品は、不思議な空気感のあるSFで、少しホラー味もあったりする、なんだかあの独特の空気感が癖になります。
今回の公演を最後に、定期公演という形はお休みするというイキウメ。少し寂しいですが、新たな出発のようなので、今回の作品も劇場にてしっかり見届けたいです。
何か悩んだり考え事をしている時に舞台を観に行くと、なんだかスッと視界が晴れたり、背中を押されたような気持ちになったりします。
舞台にはそんな力がある、演劇にはそんな力がある。
前が見えなくなった時には、フラッと劇場へ足を運んでみるのもいいのかもしれません。
田代明
俳優・歌手
北海道札幌市出身。東京藝術大学声楽科卒業。
X(旧:Twitter):@akkarindays
公式Instagram:@akkarindays
俳優・佐久間麻由の優先順位高め!
5月!あったかな日が増えるにつれ、活動的になる自分に動物感を感じずにはいられません。さらに動物感を強めまして、今月は嗅覚を頼りに私的優先順位高めです!をお届けさせていただきます。にゃあ!
ケムリ研究室no.4『ベイジルタウンの女神』
初演をみれずに落ち込んでた私とあなたにとって待望の再演朗報!これは是非みましょうね。もちろん初演で虜になったみなさまも。再演観れるだけでもうれしい私的たのしみはケラさん作品で観る坂東龍汰さん。わくわく。
舞台『リプリー、あいにくの宇宙ね』
ニッポン放送とヨーロッパ企画・上田誠さんによるエンタメ舞台シリーズ第5弾。素晴らしいタイトル!いい!想像が無限大に広がってゆく感じ。そして、劇団員の皆さまに加えて、伊藤万理華さん、井之脇海さん、シシド・カフカさん、野口かおるさん、男性ブランコのお2人、かもめんたるのお2人、という宇宙を感じるキャスティングで送る、SFパニックアクション音楽コメディー!?わっくわく。
端栞里と高熱『アタラント号・サマーベッド・浮遊』
端栞里さんによる、一人芝居のオムニバス公演!南極(旧:南極ゴジラ)という、強強劇団に所属する端さん、本公演、つい先日でしたよね?すごいハイペース!海外でお稽古してました?「超高密度白熱実験公演」と書いてある…。気になる!ビジュアルも素敵!たのしみ!
イキウメ『ずれる』
休止を発表して、寂しい人もたくさん居ますよね。ずっとずっとずっとすごい作品を創り続けて楽しませて続けてくだったイキウメが、休止を前に、劇団員のみで送る公演。言葉にならぬ〝想い〟を感じ、活動再会を待ち侘びずには居られない〝想い〟が湧き上がります。寂しいけど、楽しみです。
劇団普通『秘密』
3年ぶり、待望の再演です。ひとつの家族の生活の変化をきっかけに浮かび上がってくる、地方に生きる人々の埋もれそうな小さな日々を描く群像劇。NHKの深夜に、石黒さんの描く家族たちの夜の連続テレビ小説が始まったらいいのになと思う今日この頃です。
そして、私ごとですが、GWの4日、5日、6日に、所属するザ・クズレルズというスローモーションパフォーマンスグループの本公演『GWに崩れる』 に久しぶりに出演します。場所はエビカレーが美味しいニュー・サンナイ。スローモーションパフォーマンスグループ?崩れる?え?……いいんです。よく分からないままいらしてください!あと、5月30日(金)・5月31日(土)のテアトロコントに東京にこにこちゃんが出るのも楽しみです!たった2回のために、強強面白モンスターが集まってるとの噂!情報解禁いつだろう?今ごろはもうされてるかな?
5月、以上!にゃあぁ!2025年の上半期も折り返し。演劇にお笑いに音楽にダンスに映像に、皆さまにとってのお気に入りに、たくさん出逢えますように…
佐久間麻由
俳優・企画制作。劇団「スリーピルバーグス」所属。企画ソロユニット「爍綽と」主宰。次回作品:ザ・クズレルズ『GWに崩れる』 2025年5月4日(日)〜5月6日(祝・火) @ニュー・サンナイ
X(旧:Twitter):@mamamayuuuu
Instagram:@mayusakuma221
公式サイト:https://www.lespros.co.jp/artists/mayu-sakuma/
脚本家/演出家・海路の優先順位高め!
海路です。みろって読みます。
暖かくなってきましたね。寒い時期はアイスを食べたい気持ちになる日が多々あるのですが、暑い時期に鍋を食べたい気持ちになる日はあまりありません。はて。自分だけですかね。
てなてなことで、5月の優先順位高めな作品はこちら!!
◯東葛スポーツ公演『東スPO 2025』
いやー、取れました、チケット。今回も激戦でした、東葛スポーツ。2時間くらいでなくなるかなと思ってたら、50分弱で完売してて、あぶねぇあぶねぇと。本作も例外なく、内容の前情報はタイトルのみという中で、何が北千住で起きるのか、あるいは起きたのかを目撃できる喜びを噛み締めたいと思います。何か最近、東葛は壮大なドキュメンタリーな気がしてきてます。どこまでホントかは分かりませんけども。
◯イキウメ『ずれる』
先日、これまで年2回はやってきていた定例公演を不定期での上演にすることを発表したイキウメの、お休み前最後の新作公演。劇団員のみ5人の会話劇とのことで、凄く濃密な作品になりそうな予感がします。そんな会話から、この世界の不気味さ、本質的な不条理が浮かび上がってくる舞台、と書かれていて、あらすじにある「何かが私たちを見ていた」とは。それに「気づかないふり」とは。作・演出の前川さんが描く超常的、でも現代性を帯びた世界観、わくわくです!
◯パルコ・プロデュース 2025『星の降る時』
イギリスで上演され、2024年度「ローレンス・オリヴィエ賞」BEST RLAYにもノミネートされた最新戯曲を、日本版として上演する本作。知ったきっかけが、折り込み束に入っていたフライヤーだったのですが、超洒落ててなんだこれはと。それでキャストを見たら、江口のりこさん、那須凜さん、三浦透子さんのお名前が並んでいて、なんだこれはと。沢山の舞台や映画やドラマが製作されている昨今ですが、この3名が同時に顔を合わせるなんてこと、今後ないのでは、と直感的に思います。熱すぎる。三姉妹の三女の結婚式の日に、家族間の問題が浮かび上がり、そこに向き合おうとする人達とのことで、観劇楽しみです!
その他にも、歌舞伎座では八代目尾上菊五郎さん、六代目尾上菊之助さんの襲名披露『團菊祭五月大歌舞伎』など、注目公演目白押しです。是非!
海路
脚本家。演出家。監督。
劇団papercraft主宰。アミューズ所属。『檸檬』にて第29回劇作家協会新人戯曲賞を受賞。
1999年7月20日生まれ。
X(旧:Twitter):@nonde_miro
脚本家/演出家/俳優・滑川喬樹の優先順位高め!
暑かったり寒かったりでだいぶ揺さぶられた4月皆様体調いかがでしょうか。
寒暖差も落ち着いてなんともいい季節になってきました。週末はお散歩ついでに劇場に行くのがクールな過ごし方かもしれません。5月の優先順位高めです。
東葛スポーツ『東スPO 2025』
アンゴラ村長さんや他出演者陣が随分興味深いですしタイトルもいつも通り秀逸でまた大量のいかした言葉を浴びに行きたい気持ちです。役者さんのパフォーマンスにいつも魅了されているので今回もとても楽しみです。
ウンゲツィーファ『湿ったインテリア』
「動く物」も生なましい湿度をもった言葉が多いお話でした。個人的でプライベートな言葉だからこそ遠くまで届くみたいなそんな力を感じました。ウンゲツィーファと湿度ってとても深い関係なのではと思ったり思わなかったり。早稲田どらま観もとても綺麗でバリアフリーで素敵劇場ですよね。
ほろびて『ドブヘ INTO THE DITCH』
観たい観たいと思ってまだ観れてない団体さんの一つです。作・演出の細川洋平さんが「猫ニャー」出身というのも興味をそそります。ドブへ。こういう上へ登っていくイメージより下に降りていくイメージの方が親近感があって変に惹かれてしまいます。
イキウメ『ずれる』
こちらもまだ劇場では観れてない団体さんです。自分の演劇の教養のなさに反省するばかりです。安井純平さんも生で観てみたいし。間違いなく面白いと思います。
『エトエのふれあい祭りvol.4 初夏』
私ごとで恐縮ですが僕のやってるエトエのイベントがあります。MELT さん、まさゆきズさんと今回も豪華な方々にご参加いただきました。きっと面白い演目がたくさん観れると思いますので是非中野の「水性」に遊びにきてください。「水性」も開放感があって素朴で可愛くてとても素敵な会場です。
他にもダダルズ「家系図」や街裏ピンク新作漫談会「壇」などもとてもおすすめです。
初夏の新緑なんか見ながら是非是非劇場まで足を運んでみてください。
滑川喬樹
脚本家・演出家・役者。
自称武蔵野市代表コントユニット「エトエ」主宰。
X(旧:Twitter):@nametakaki
エトエ公式HP:https://etoe.amebaownd.com/
脚本家/演出家・萩田頌豊与の優先順位高め!
早いもので5月になりました。皆様、春にお別れは済ませましたか?
こんにちはローソンチケット演劇部の萩田です。
皆様におかれましては、花見とかはしたでしょうか?
我々ローソンチケット演劇部としましては、会合などはあまりやらない各々のプライベートを重視し、時には軽視してる団体ですので、お花見などはしたりはしないのですが、今年の夏は皆で海とか行けたら嬉しいです。冗談冗談。
では、以下5月のおすすめ。
ニッポン放送『リブリー、あいにくの宇宙ね』
最近、ガンダムの1を観始めてるので、宇宙ものにすごく惹かれる。宇宙の話が好きなのだと思う。壮大でいて美しくすることができるから。舞台の上は宇宙に比べたら少し小さいけど、そこにある無限の可能性は同じだと、そう思います。楽しみ。
小松台東『ソファー』
うちにもソファーがある。これよりも良いソファは無数に存在してるし、おそらく世界的に見たら下の方にランクインするこのソファを捨てられずにいる。きっと皆そういう気持ちをお持ちではないか?じゃあ見に行こう小松台東を。
キューブ『ベイジルタウンの女神』
ストーリーラインが美しい。新しく御伽話に加えたい。全幼稚園で読み聞かせても良いほどの物語だと思います。超楽しみ。
やみ・あがりシアター『あるアルル』
あるあるから物語を作っていくの凄くないですか?結果、共感性というものが如何に物語を観やすくするかを良く分かってるからこそだと思います。皆様、全共感しに行ってください。
メトロンズ『遠藤さんの叔父さんは死んだけど旅行は行きたい』
良いタイトルすぎる。これはそうでしかない。死という人間の究極が目の前で起きても、腹は減るし、悲しみがあっても旅行には行きたい。それは倫理の逸脱だと、不謹慎だと非難されても。旅行に行きたい気持ちはある。堪らないタイトル。楽しみ。
南京豆NAMENAME『僕は肉が食べたくて裸(ラ)』
兎にも角にもシアタートップスおめでとうございます。全てを出し切る南京豆渾身の一作。
是非に新宿へ。元角座です。松竹の。
ユーロライブ『テアトロコントVOL.73』
東京にこにこちゃんが出ます。
2回目なので、より一層羽ばたくために全力で、挑みます。
テアトロコントは最高。何をしようか。
以上。
5月でした。そしたら次は6月に。本当に皆様、疲弊や過労、色々あると思いますが。楽しく日々を過ごしていけることを切に願っています。
萩田頌豊与
脚本家。演出家。
日本で最もチケットの取れる劇団『東京にこにこちゃん』主宰。
1991年1月4日生まれ。
身長193cm
体重110kg
X(旧:Twitter):@CollinesBar
公式HP:東京にこにこちゃん 公式サイト
批評家・山﨑健太の優先順位高め!
この4月からまた一つ新しい仕事をはじめまして、週1回、片道2時間弱の通勤で読書が捗る日々です。
5月の優先順位高め1本目はDr.Holiday Laboratory『想像の犠牲』(山本ジャスティン伊等)。アンドレイ・タルコフスキーの映画『サクリファイス』に着想を得た「フェイク・読書会演劇」とのことで、これだけでは正直、どんな作品になるのか全く予想ができないわけですが、「戯曲とは何か。役を演じるとは何か。そして戦争を演劇として表現するとは、何を意味するのか」という問いを掲げた本作は「演劇」をとことん突き詰めることを通して現実と真っ向から対峙する作品になっているはず。
2本目は1人の俳優のための5人の演出家による上演Ⅰ『マッチョと亡霊』。タイトルの通り、俳優・桑折現が5人の演出家とともに作品を上演していくシリーズの第一弾となる今回は、演劇人コンクール2024で最優秀演出家賞・観客賞を受賞するなど目覚ましい活躍を見せる西田悠哉(劇団不労社代表、劇作家、演出家)が作・演出を担当。以降も前田耕平、倉田翠、和田ながら、あごうさとしと楽しみな作家が並ぶこのシリーズはなんと全作品が京都・松本・富山・東京の4都市を回るとのこと。5作品セット券もあるのでこのタイミングでチェックすべし。
3本目はベースメント・モリ『虚ろな桃』。前作『睡眠遊行』が第69回岸田國士戯曲賞の最終候補となった劇団の新作。私は『睡眠遊行』の上演は未見なのですが、複数の時空間が次々と展開する戯曲からは映像作品の台本のような印象を受けました。しかし舞台写真を見ると上演はいくつかの椅子とパーティションが置かれただけの「素」の空間で行なわれた様子。どうやら上演にこそその面白さが立ち上がるタイプの作品なのではないか、ということでその面白さを確認しに行きたいと思います。今作はアーシュラ・K・ル=グィンの短編小説『オメラスから歩み去る人々』に着想を得て創作されたものとのことで、どんな作品になっているのか楽しみです。
そして4本目。ドラマトゥルクとして参加しているほろびて『ドブへ』もよろしくお願いします!
山﨑健太
批評家・ドラマトゥルク。演出家・俳優の橋本清とともにy/nとして舞台作品も発表しています。
X(旧:Twitter):@yamakenta
ライター・中川實穗の優先順位高め!
福岡からこんにちは。5月ですね。今月の福岡は楽しそうなお芝居が盛りだくさんです。
まず、オープンしたばかりの福岡市民ホールの小ホールでは、福岡の劇団祭りが開催されます。5月9日(金)から1989年結成の劇団風三等星による『それだけで春だ』、5月16日(金)から1999年結成の劇団HallBrothersによる『わたし、病気なんです』、5月21日(水)から2015年旗揚げの劇団ジグザグバイトによる『キグルミオッカナイト』と、同じ劇場に一か月通えば、福岡の違う時代に結成された劇団の公演がどんどん観られるというスケジュール。めっちゃ楽しみです。
そして、“ヘドロよりもモテない男たちの物語”をオムニバスで描く舞台『こりゃもてんばい ~SWEET MEMORIES~』も楽しみ。原案・脚本はお笑いコンビ「パラシュート部隊」の斉藤優さん、総合演出は金沢知樹さん、演出は斉藤優さんとたかおぽんさんが手がけます。シリーズ第6弾となる今作は、これまでの作品の中から特にモテない男たちのお話を上演するとのことで、どんだけモテんのよって期待(笑)。
すごく楽しみなのが、The First Door プロジェクト Vol.2 『ラ・ヴィータ 〜愛と死をみつめて〜』。『ラ・ヴィータ 〜愛と死をみつめて〜』は⽩井晃さん、⾼泉淳⼦さん、吉澤耕⼀さんらによる劇団「遊機械/全⾃動シアター」(2002年解散)の作品です。企画されたのは、かつて同劇団のスタッフで、現在は福岡在住の照明技術者である井⼝紀⼦さん。「遊機械/全⾃動シアター」の作品が観られることもそうですし、チラシにはこの作品が井口さんの特に大好きな作品で、どうしても福岡のお客様に観てほしかった、10年越しの企画だ、ということが書かれていて、見逃したくないという気持ちになります。学生向けに、舞台の仕込みとバラシを体験するワークショップが開催されるというのも素敵です。
そしてそして、劇団青春座創立80周年記念 246回公演『Melancholy of The Gods~神々の憂鬱~』、最強の一芝居フェスティバル『INDEPENDENT:FUK25』も優先順位高めです!
中川實穗
ライター。日本の戯曲が多めですが、ジャンル問わずに観ます!
X(旧:Twitter):@miho_sgt
ライター・吉永美和子の優先順位高め!
大阪では万博が始まりましたが、何かの拍子でタダ券が手に入ったら、イタリア館で人類の至宝のもろもろを見たあと、イギリス館でアフタヌーンティーして帰ろうと決めている吉永です。
舞台の方も大阪限定とか大阪で初日とか、いろいろ賑やかですよ。
■大阪・関西万博開催記念『薫風歌舞伎特別公演』
毎月歌舞伎公演がある東京の歌舞伎座と違い、大阪の松竹座って意外と歌舞伎公演が少ない。しかし今年は万博絡みで、隔月ペースで歌舞伎公演が行われているのがありがたいことです。どうもこのタイトルからミャクミャク様が何か絡んでんじゃないかと予想される『脈々奇書異聞 夢窓西遊記』とか、『アラジンと魔法のランプ』を歌舞伎にした『千夜一夜譚』などの新作もあるけど、絶対見ときたいのが片岡愛之助主演の『鯉つかみ(湧昇水鯉滝)』。愛之助が11役を演じ分けたり、水をブンブン撒き散らしたり宙乗りしたりと「歌舞伎観たーーーーー!」の充実度ハンパないので、初めての歌舞伎にもオススメです。
■劇団☆新感線 いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective『紅鬼物語』
最近の新感線の舞台は東京初日のパターンが多いんですが、今回は大阪から幕開け。しかも昨年JR大阪駅隣にオープンした「SkyシアターMBS」初登場です。この劇場の座席、本当に前の人の頭がかぶらなくて観やすいし長時間座っても疲れないから、長丁場の新感線の舞台を観るには最高なんじゃないかと思ってたので、ようやく実証実験ができます(笑)。というのはさておき、宝塚では凛々しき男役だった柚香光さんが、文字通り「手弱女(たおやめ)」な鬼を演じるというのも楽しみだし、『髑髏城の七人』のマリリン・マンソンが憑依したような天魔王ぶりに震えた記憶しかない鈴木拡樹さんが、いかに柚香さんを支える好男子に変貌を遂げるかも楽しみです。
■HIBIYA ART PARK 2025 “Play”ing Catch -集まり方の練習- 維新派 上映会『透視図』・『トワイライト』
こちら東京のみ開催で、しかも正確には演劇公演ではないのですが、演劇好きにとっては大変レアな企画と思うのであえて紹介。大阪を拠点に国内外各地に巨大な野外劇場を打ち立て、不思議なリズムと振付に乗せて、その土地の記憶を呼び起こすような芝居を作り上げ、2017年に解散した「維新派」。『透視図』は大阪の都心部の川辺に多くの正方形が並んだミニマムな舞台美術を作り、『トワイライト』は奈良の山奥にあるグラウンドの地形を最大限に生かすという、対照的な2作品です。維新派作品の上映会自体は珍しくないのですが、今回は野外上映+屋台村付きと、当時の野外公演を疑似体験できる仕掛けが!上映会自体はあっという間に満席となりましたが、屋台村に行くだけでも価値はありますので、キャンセル待ちがてら貴重な場に足を運んで下さい。
吉永美和子
フリーランスのライター&編集者。関西の情報誌「SAVVY」や「Meets Regional」などで演劇の連載を持つ一方、映画やグルメや旅行などノンジャンルで活動中。
X(旧:Twitter):@Yoshine_A
note:yoshine_a
ライター・釣木文恵の優先順位高め!
優先順位高めです【5月】
4月はキャパ20〜50の、少ない人数でつくるちいさな演劇をいくつか観ました。作り手のやりたいことがダイレクトに伝わってくるこのサイズの演劇ならではのよさがあるなと思いました。この欄では私はお笑いをメインにピックアップしていますが、舞台芸術は同じジャンルでもサイズによってぜんぜん違うもののようでもあって、それもまた面白いですよね。
企画ナイト18
作家、芸人、脚本家。ふだんから面白いことを考え続けている人たちが思いついた「企画」を発表しあう「企画ナイト」。2009年にスタートしたこのイベントが今回5年ぶりに開催されます。メンバーはせきしろさん、バッファロー吾郎A先生、ヨーロッパ企画の上田誠さんと酒井善史さん。『世界!ふしぎ発見』の「ひとし君人形」がボッシュートされた先でどんな時間を過ごしているかに思いを馳せたり、数字のカードを引くだけでタイムスリップに思いを馳せたり。酒井さんが出すのはいつも、お得意のメカ系の企画。かつて「世界一遅いミニ四駆」を会場全員で固唾をのんで見守る時間は、他の何ものにも代えがたいものでした。毎回笑い続けたあと、ふと企画ナイトたち(ナイトはKnightだそうです)の発想の豊かさにおののくイベントです。
やさしいズ タイpresents「素敵十二景」
これまで、さまざまなライブを生み出してきたやさしいズのタイさん。5月6日(火・休)には人気ライブ「超超超超超超超超超超超超難問」をなんとよみうりホールで開催。これ、一言で言えば「回答者が問題を見ず、当てずっぽうでクイズ答える」だけなのですが、これがやけに盛り上がります。観客の反応を読んで少しずつ答えに近づいていくのが楽しいのです。間を置かずに「素敵十二景」では無限大ホールから名前が変わった渋谷よしもと漫才劇場、この5月いっぱいでなくなる無限大ドームⅠとドームⅡ、3会場を使い、1日で12公演をプロデュース。頭を使うもの、身体を動かすもの、さらには別会場で開催中の「超超超〜」をライブビューイングで観ながら解説していくものまで、お笑いライブの中でもネタでもトークでもない「コーナーライブ」の現在形が楽しめます。
演劇では『鴨川ホルモー、ワンスモア』に引き続きかもめんたる&男性ブランコが出演する『リプリー、あいにくの宇宙ね』、劇団員だけで上演されるイキウメ『ずれる』、地元じゃないのに茨城弁がなぜか胸に刺さる劇団普通『秘密』が楽しみです。
釣木文恵
演劇を中心にインタビュー記事などを執筆。最近はお笑い関連の仕事も増えてきました。
X(旧:Twitter):@troookie
ライター・井ノ口裕子の優先順位高め!
帝国劇場が建て替えのためにクローズして寂しいですが、
新しい劇場が増えているのは嬉しいことです。
今月も魅力的な作品が上演されますよ。
彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.2『マクベス』
吉田鋼太郎さんが芸術監督を務める【彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd】二作目は『マクベス』。マクベスを演じるのは藤原竜也さん。久しぶりに藤原さんのシェイクスピア作品を観ます。蜷川イズムを継承している吉田さんの演出でどんな藤原マクベスを見せてくれるのか期待しています。マクベス夫人役でシェイクスピア作品初挑戦の土屋太鳳さんが、どんな“悪女”を演じるのかも楽しみです。
ミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』
『エリザベート』『モーツァルト!』『マリー・アントワネット』『ベートーヴェン』を生み出したミヒャエル・クンツェが脚本と歌詞を手がけた、ウィーン発のミュージカル。今回で6度目の再演になる大人気演目です。主人公のヴァンパイア役は2006年から演じている山口祐一郎さんと、今回初の城田優さんのWキャスト。独特のコメディワールドと観客も一体となって歌い踊るフィナーレを、ぜひ体感したいと思います。
ケムリ研究室 no.4『ベイジルタウンの女神』
劇作家・演出家ケラリーノ・サンドロヴィッチ氏と女優の緒川たまきさんが、2020年に立ち上げた演劇ユニットの第四弾。2020年に上演した架空の町ベイジルタウンを舞台にしたロマンティック・コメディが再演されます。出演は緒川さんの他、古田新太さん、坂東龍太さん、藤間爽子さん、水野真紀さん、高田聖子さん、などなどワクワクする座組です。
2025年劇団☆新感線45周年興行・初夏公演 いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective『紅鬼物語』
劇団☆新感線の最新作は、古の悲恋物語が題材。鬼が棲む平安の世を舞台に、これまでにない新たないのうえ歌舞伎、新感線流のお伽噺が描かれる。主演は2024年に宝塚歌劇団を退団後、演劇としては初の舞台となる元花組トップスター柚香光さん。個人的には、『髑髏城の七人~Season月《下弦の月》』以来、7年ぶりに新感線の舞台に出演する鈴木拡樹さんが楽しみです。大阪公演からスタートして、6月24日(火)から東京公演。
そして、今月のおススメ2.5次元作品はこの2本。
『あんさんぶるスターズ!THE STAGE』-Desperate Checkmate-
男性アイドルを育成するスマートフォン向けゲームアプリ『あんさんぶるスターズ!』の舞台化作品として2016年に初演以降、アイドルたちの成長と改革を舞台ならではのリアルな演出とライブパフォーマンスで描いている。新作は優美で華麗な騎士道ユニット『Kinghts』が登場するゲーム内ストーリー「追憶*モノクロのチエックメイト」を上演。キャラクタービジュアルがもう麗しい!お芝居とライブを両方楽しめるのが「あんステ」の魅力です。
ミュージカル『憂国のモリアーティ』大英帝国の醜聞 Reprise
19世紀末、大英帝国最盛期のロンドンを舞台に、“犯罪”という手段をもって国にはびこる階級制度を覆そうと暗躍する“犯罪卿”ジェームズ・モリアーティと謎を追い求める“名探偵”ホームズの宿命の戦いを描いた漫画『憂国のモリアーティ』が原作の本格ミュージカル。ピアノとヴァイオリンの生演奏での歌唱が魅力で、毎回心を揺さぶられます。2019年の初演からW主演を務めるのは、モリアーティ役=鈴木勝吾さんとホームズ役=平野良さん。2020年に上演されたOp.2「大英帝国の醜聞」編を再構成する今作で、犯罪卿と名探偵、物語をかき乱す美貌の悪女の奇妙な三角関係がどのように描かれるのか気になります。
井ノ口裕子
エンタメ系雑誌の編集者を経て、フリーライター&編集者に。観劇の入口は中学生のときの宝塚で、それから観劇は一番の趣味。小劇場からグランドミュージカルまで、ジャンルは問わず面白そうと思ったら何でも観ます。
ライター・岩村美佳の優先順位高め!
今月はこれだけ観尽くせるのかしらと心配になるほど楽しみな作品がてんこもりです!それでは、、、
12年ぶりの再演が実現するミュージカル『二都物語』。干支が回りましたよ(泣)。普通干支が回るくらい時を重ねての再演ならば、キャストが変わることが多いと思うのですが、井上芳雄さんと浦井健治さんをはじめとする再びご出演の皆様が多数いらっしゃることも奇跡。チャールズ・ディケンズが描いた心震わすこの世界に今の私が出会ったらどんな感情が生まれるのか高まっております。
そして、ミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』は、2006年からヴァンパイア・クロロック伯爵を演じ続ける山口祐一郎さんと、新たなクロロック伯爵に城田優さんがご登場。山口さんが演じてきた数多の役のなかでも、クロロック伯爵が私は一番好きで、再びお目にかかれることが嬉しいですし、新たな伯爵が城田さんと知ったときには「そうですよね!」と膝を打ちました。新たな劇城に足を踏み入れるのが楽しみです。
そして、2025年劇団☆新感線45周年興行初夏公演いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective『紅鬼物語』は、大阪から幕開け。柚香光さんの宝塚退団後初の演劇作品へのご出演で、鬼を演じられるとのこと。新感線の新作であり、柚香さんの新たな役も楽しみです。4月に開幕した宝塚で上演中の宝塚星組公演『阿修羅城の瞳』は礼真琴さんの退団公演であり、新感線作品の初めての宝塚上演。連日で観劇するスケジュールを組んだので、観比べてみたいなと思っています。
今月はストプレも色々観劇したいものがありまして、彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.2『マクベス』、『星の降る時』、『陽気な幽霊』を楽しみにしております。どれもやはり戯曲が面白い。そして、手練れのキャストの皆様を、名演出家達がそれぞれどう料理して仕上げるのか、ワクワクします!
そして、そして、昨年10月に宝塚歌劇団を退団した、元雪組トップスター彩風咲奈さんの退団後初のコンサート『no man’s land』がいよいよ開幕! 彩風さんの第二章を祝い、堪能したいと思います!
岩村美佳
ライター。フォトグラファー・ライター。初観劇は小学生の時に観た宝塚。ミュージカルを中心に色々と観劇しています。配信観劇も存分に楽しめるようになりました。超絶猫好き。
X(旧:Twitter):@nyanyaseri
ライター・河野桃子の優先順位高め!
すでに世はGW真っ最中。例年静岡のまちなかで開催されているストリートシアターフェス「ストレンジシード静岡2025」は、段ボールで天守閣を作るなどの今年ならではの企画も実施予定。こちらは「ふじのくに⇄せかい演劇祭」あらため「SHIZUOKAせかい演劇祭2025」の関連イベント。さまざまなパフォーマーが静岡に集まる季節、賑やかになりそう!
5月はもうひとつ注目したい、いくつもの団体が集まる「せんがわ劇場演劇コンクール」。今年は5団体(よた、老若男女未来学園、7度、劇団不労社、お寿司)が各30~40分の作品を上演します。審査員には一般の公募審査員も。
劇団公演としては、しばらくの本公演お休みを発表したイキウメ最後の本公演『ずれる』。追加公演も人気です。また、いつも時事的な作品タイトルの東葛スポーツは、万博を彷彿とさせる『東スPO 2025』。こちらもチケット売り切れのため、当日券情報をチェックしてください…!
また、出産・育児にまつわる過去作がとても実感と密度の濃かったウンゲツィーファ。今回も出産についての話題となる『湿ったインテリア』が楽しみです。
ほか、劇団南極の端栞里さんに3人の作家が書き下ろす一人芝居、端栞里と高熱『アタラント号・サマーベッド・浮遊』や、戦争下で家族を奪われ続ける母とその選択を描いたカレル・チャペックの人気作『母』を出身国チェコのブルノ国立劇場の来日にも期待しています。
河野桃子
ライター。翻訳戯曲と小劇場を中心に、ミュージカルやコンテンポラリーダンスなど「舞台」と名がつくものはなんでも観に行きます!
X(旧:Twitter):@momo_com
ローチケ演劇部_白の優先順位高め!
さて。この春から少し立場が変わったのもありまして、観劇本数が減ると思っていたのですが、そこまで変わりませんでした。だって観劇が大好きですものね。
というわけで、わたしの、今月の優先順位高めな公演は。
テアトロコントVOL.73
東京にこにこちゃんが2度目のテアトロコント出演です。2月の爍綽と、も大好評でした萩田頌豊与さんですが、前回テアトロコントで上演された「クライマックス・イズ・ベリーグット」は超好みなんですよね。短い時間ながらにもしっかり笑わせてしっかり感動させる、萩田作品の良さが濃縮されている感じでした。今回もきっと濃縮にいろいろ還元してくれるはずなのでマストです。
東葛スポーツ『東スPO 2025』
毎度発売時間直前にタイマーかけてますが、今回も発売と同時に確保。今回も激戦でしたね。こんな激戦な劇団ってなかなかありませんね。すごい。アンゴラ村長が出るってのも気になりますね。ラップ&グラサンで、魂を揺さぶられたいと思います。
初演もよかったので今回も期待しかない、ケムリ研究室 no.4『ベイジルタウンの女神』。以前みた「音埜淳の凄まじくボンヤリした人生」がめちゃくちゃよかった、ほろびて『ドブヘ INTO THE DITCH』。前作「8hのメビウス」も大評判でした、ウンゲツィーファ『湿ったインテリア』なんかを観たいなって思っている5月です。※ダウ90000『ロマンス』はチケット取れませんでした…。。。