
10周年の節目に相応しい、覚悟と自信の一作にしたい
怒涛のボケ数とハッピーエンドな物語で注目を集める気鋭の劇団、東京にこにこちゃん。10月3日(金)より東京・三鷹市芸術文化センター 星のホールで新作『ドント・ルック・バック・イン・マイ・ボイス』が開幕する。若手劇団の登竜門MITAKA“Next”Selection 26thの選出作でもある本作の魅力について、作・演出を手がける萩田頌豊与、キャストの西出結、てっぺい右利き、加藤美佐江の4名に話を聞いた。
――東京にこにこちゃん史上最大規模の公演です。どんな作品になりそうですか?
萩田 国民的アニメの主人公の声が変わって、寂しさを感じたこと。そんな経験や声優さんの生き様を切り口に、取り残されていくものや後世に残されるものを描いた作品です。哀愁溢れる傑作になる予定です!いや、なります!
西出 声優さんの役は初めてなのでドキドキしています!
萩田 主人公を演じる西出さんは困った顔が最高なので、今回も様々な人と人との板挟みになってもらおうと思っています。
西出 挟まれ慣れないよう、新鮮に困り続けますね!
加藤 星のホールは、なんか神聖な場所ってイメージがありますよね。
てっぺい 東京にこにこちゃんが入っていいのかな…。
萩田 あははは!そこはちゃんと選出していただいているので大丈夫です!(笑)。
――ズバリ、みなさんの思う東京にこにこちゃんの現場や作品の魅力は?
てっぺい 稽古中、「このボケ、本当にウケる?」と不安になることがあるんですよ。そんな時も頌豊与さんは「絶対大丈夫」って言う。でも、最近、「本当に自信がある絶対大丈夫」と「言い聞かせているだけの絶対大丈夫」の二種類があることに気づいたんです。なので、今回はそこを見極めてボケの打率を上げます!
萩田 それって、ボケの撤退が早いだけで、打率が上がるわけじゃないよね!(笑)。
てっぺい いや、撤退が早くなることで打率が上がるんです!今回は「本当に自信のある絶対大丈夫」なボケだけで勝負しましょう!
加藤 こういう和やかな空気なので稽古もリラックスして挑めるんですよ。演劇の稽古が厳しいものだった時代から、演劇は楽しく作れるっていう時代に変わったと感じますし、毎回の稽古がとても新鮮。世代は違うけど、みんなのことをめちゃくちゃ信頼しています!
てっぺい 美佐江さんは去年も僕の誕生日に手作りのケーキを焼いてきてくれたんです。
加藤 今回も誕生日のキャストいるかな?
てっぺい 僕です…。
萩田 2年連続!
西出 私も9月です!
加藤 じゃあ2回ホールケーキを焼きましょう。フルーツ何がいいか考えておいて下さい!
てっぺい・西出 やったー!
萩田 こういう楽しい人たちと作る演劇です。「この人たちにこのセリフを言ってほしい」と、全て当て書きで書いているので面白くないはずがないです!
西出 東京にこにこちゃんの演劇は、出演している時だけじゃなく、観客として観ている時もキャラクターみんなのことが大好きになります。袖からみんなが出てきた時に「やったー!」って思います。だから、毎回すごく嬉しいし、楽しい!
萩田 東京にこにこちゃん10周年の節目でもあるので、総決算のような心強いメンバーでお届けします。頼もしさを感じると同時に、「このメンバーだからこそ失敗できない」という覚悟もあります。あと、昨年西出さんが出演したアンパサンドの作品が岸田國士戯曲賞を受賞したので、この作品で2年連続の岸田俳優にできるように頑張ります。つまり、僕はこれで岸田を取る気満々です。節目に相応しい、覚悟と自信の一作にしたいと思いますので、ぜひお見逃しなく!
インタビュー&文/丘田ミイ子
Photo/明田川志保
※構成/月刊ローチケ編集部 8月15日号より転載
※写真は誌面と異なります

掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布
【プロフィール】
加藤美佐江
■カトウ ミサエ
MCR、東京マハロ、元東京バンビなど、数多くの劇団の舞台に出演する。
てっぺい右利き
■テッペイミギキキ
定期ユニット・パ萬のメンバーとして活動。個性的な存在感を持ち、多くの舞台に出演。
西出結
■ニシデ ユイ
劇団アンパサンド、中野坂上デーモンズなど、様々な劇団の舞台に出演し高い評価を得る。
萩田頌豊与
■ハギタ ツグトヨ
脚本家。大学在学中に「東京にこにこちゃん」を旗揚げ。全作品の作・演出を手がける。