“今月の”優先順位高めです【2025年10月号】

2025.10.01

10月になりました。すっかり涼しくなりましたね。芸術の秋本番ということで、今月もいろんな作品が目白押し。作品が多くなればなるほど、優先順位付けが大事ですよね。というわけで今月の「優先順位高めです」です。よろしくどうぞ。

脚本家/演出家・萩田頌豊与の優先順位高め!

少し暑さが引き、ようやく少しづつ秋が見え始め、少し目を凝らせば冬と春も見え始めてきましたね?
そうしましたら、ローチケ演劇部が10月のおすすめをさせて頂きます。

東京にこにこちゃん『ドント・ルック・バック・イン・マイ・ボイス』
永遠の声を求めたある声優の物語。
小学生時分、ドラえもんが好きでドラえもんの声は絶対に大山のぶ代だと思ってて、変わるなんて夢にも思ってなくて、慣れ親しんだ声が変わってしまうというショッキングな体験をしたのもドラえもんでした。
人の命は有限で国民的アニメキャラは無限の命を持っている。
僕はきっといまでも大山のぶ代の声を求めてしまっている。
東京にこにこちゃん10周年の節目として声の物語。いよいよ開幕。
ハッピーエンドにてお待ちしてます。ボケ全部ウケろ!

劇団アンパサンド『デンジャラス・ドア』
絶対に面白いので行ってください。
西出結さんがにこにこちゃんと連続出場です。
大変だなと思ってます。きっと安藤さんも大変だなと思ってるでしょう。
俺と安藤さんは西出を見て大変だなと思ってます。だって2劇団出るって、要するに台本を2つ覚えるってことだから、本当に大変だなと思います。1つでも大変なのに。
なので西出を2倍楽しんでください。
スズナリおめでとうございます。

ミズタニー『はじまらない、終わらない』
ミズタニーさんには、土本さんが出演してます。まず2劇団に出るって本当に大変だなと思います。おれは土本さんを見て大変だなと思ってます。
だって2劇団出演してる訳ですからね。本当に大変だなと思います。
きっと水谷さんも、土本を見て大変だなとそう思ってるでしょう。おすすめです!
以上!10月おすすめでした!
今年もいよいよ大佳境、映画で例えるならクライマックスですね!
どうか皆さん、クライマックスを満喫してください。
そしたらまた11月にお会いしましょう!本当にすいません。

萩田頌豊与
脚本家。演出家。
日本で最もチケットの取れる劇団『東京にこにこちゃん』主宰。
1991年1月4日生まれ。
身長193cm
体重110kg
X(旧:Twitter):@CollinesBar
公式HP:東京にこにこちゃん 公式サイト

俳優・尾倉ケントの優先順位高め!

どーも!尾倉ケントです。
先日、出演していたろりえの公演が無事に全公演終演しました。ありがとうございました!
コロナ以降、公演が最後まで走り切れることも当たり前じゃなくなっている中、無事に完走できたことが本当に嬉しいです。
今月は新しい舞台の顔合わせもあり、新しい出会いに胸を躍らせています。
9月は息子たちと観劇に行けなかったので(代わりに映画「ヒックとドラゴン」を観て父子のシーンに号泣しました)、10月は舞台も観に行きたいですね。

しんゆり“ファミリー”シアター「狼と狐との物語 ~『アラビアンナイト』より~」「人魚の海 ~太宰治『新釈諸国噺』より~」
@川崎市アートセンター 小劇場

文学座の五戸真理枝さんが演出する親子向け公演です。
夏休みの「ぶんがくざこどもフェスティバル」では、子供が芝居に入りやすい工夫が満載でとても良かったので、今回も期待大!
特に感動したのは、芝居の前にある工作コーナーの使い方。作ったアイテムを使ってシーンに参加できる演出が秀逸でした。
以前観た「親指姫」では、観劇前に指人形を一緒に作り、つばめに乗った親指姫が仲間を探すシーンで子供たちがその人形を振って応えるんです。
自分で作ったアイテムで物語に参加する体験は、子供にとってかけがえのない思い出になりますよね。
今回も工作コーナーがあるそうなので、どうなるか楽しみです!

Bunkamura Production 2025 DISCOVER WORLD THEATRE vol.15 NINAGAWA MEMORIAL「リア王」
@ THEATER MILANO-Za

大竹しのぶさんが男役でリア王を演じると聞いて、「どういうこと!?」と二度見しました。
勝村政信さんの道化役も、どんな風になるのかとっても楽しみ。
シェイクスピアの道化役・・・いつの日か自分も演じてみたいです!

佐々木蔵之介ひとり芝居「ヨナ-Jonah」
@東京芸術劇場 シアターウエスト

何も知らずにチラシ束を見ていて、そのビジュアルとあらすじのパワーにいきなり心を掴まれました。
旧約聖書に刻まれた、クジラに飲み込まれた「ヨナ」の逸話。それを元に誕生した、苦境を生きる人々への賛歌だそうです。
佐々木蔵之介さんの一人芝居……観たいです!!
しかもすでに東欧ツアーを日本語上演で回ってきたそう。海外では字幕上演だったはずなので、日本語でダイレクトに楽しめるって、かなり贅沢じゃないですか?

KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース『最後のドン・キホーテ THE LAST REMAKE of Don Quixote』
@KAAT神奈川芸術劇場 ホール

先月も紹介しましたが、実際に観てきまして、最高にナンセンスでシニカル、これぞKERA作品!最高でした。
10月4日(土)まで上演中なので、今月もオススメしちゃいます。
ドン・キホーテのような虚構の存在が、私たちが生きていく上で必要なんだと感じて泣きました。絶対に観たほうがいいです。
18歳以下はA席・B席がU18割引でなんと1,000円!3時間45分で1,000円って、どうかしてます。

観劇は一期一会。あなたにも良い出会いがありますように!

尾倉ケント
俳優。小松台東、ポツドール、ブス会*、大河ドラマ「光る君へ」、CMいろいろなど。 
★次回出演
ホエイ 新作「メヤグダ」
 2026年2月19日(木)~2月25日(水) @シアター風姿花伝
「劇場留学~『モモ』と音楽の旅~」
 2026年3月27日(金)〜3月29日(日)@小田原三の丸ホール 小ホール
X(旧:Twitter):@0gura_kento

脚本家/演出家・海路の優先順位高め!

海路です。みろって読みます。
先日大雨の日、傘を買ったら、買った直後に止みました。雨の日の観劇は、折り畳み傘がおすすめです。
てなてなことで、10月の優先順位高めな作品はこちら!!

ダンス作品兼演劇作品『ダンスの審査員のダンス』
東京芸術劇場を中心に今月から来月頭にかけて開催される演劇祭である「秋の隕石」と愛知県芸術劇場が共同で製作する本作。ダンスの審査会に臨むダンスの審査員たちを描く、ダンス作品兼演劇作品、ということで、面白そう。というか、尖ってる!タイトルにしてもコンセプトにしても、今までありそうでなかった気がして、気になってます。作・演出は、来年4月から野田秀樹さんに代わって、東京芸術劇場の芸術監督に就任予定の岡田利規さん。今回「秋の隕石」のアートディレクターも務められていて、演劇祭、そして本作は今後の芸劇のカラーを感じることのできる作品になっているのでは、と思っています。是非!

日韓国交正常化60周年記念公演『焼肉ドラゴン』
2008年に芸術の殿堂(ソウル・アーツ・センター)と新国立劇場のコラボレーション企画として制作された本作。作・演出の鄭義信さんの代表作として知られていて、個人的にも知ってはいたけど、まだ上演も戯曲もみれていなかった作品で、この機会に観るしかない!高度経済成長と大阪万博に沸く関西の地方都市を舞台にした作品とのことで、今の日本と重なったりも。出演者は、千葉哲也さんをはじめ村川絵梨さんなど、絶対に面白い。本作、新国から始まり、韓国、福岡、富山と回って12月にまた新国で凱旋公演を行うという、びっくりスケジュール。今月観て咀嚼して、12月また観るなんて楽しみ方もあるかも。要チェックです!

EPOCH MAN『我ら宇宙の塵』
2023年に初演されて、第31回読売演劇大賞「優秀作品賞」「優秀演出家賞」「最優秀女優賞」3部門を受賞、今年6月にはロンドン公演を実現するなど、大大大注目な本作。初演時、開幕するととんでもない演出をしてる公演がシアタートップスでやっている、という話が自分の周りで凄い聞こえてきて、その時は観に行けなかったのですが、ずっと気になってました。1体のパペットと共に歩む死をめぐる不思議な旅の物語だということで、凄く幻想的な香りがします。出演者には、初演同様池谷のぶえさんを始め、渡邊りょうさんなど、素敵な顔ぶれです。シアタートップスが一体どんな空間に色付けされていくのか、とても楽しみです!

海路
脚本家。演出家。監督。
劇団papercraft主宰。アミューズ所属。『檸檬』にて第29回劇作家協会新人戯曲賞を受賞。
1999年7月20日生まれ。
X(旧:Twitter):@nonde_miro

俳優・田代明の優先順位高め!

茹だるような暑さもやっと落ち着き、夜風が心地よい季節になって参りました。
みなさんこんにちは、田代明です。
お出かけのしやすいこの季節、私がお勧めしたい舞台はこちら。

舞台『チ。 ―地球の運動について―』
人気漫画・アニメである「チ。 ―地球の運動について―」は、15世紀のヨーロッパを舞台に、文字通り命をかけて地動説を研究する人間たちを描いています。
出演者の皆さんのお名前が並んでいるのを拝見した時、なんて面白そうで、そして身体的表現を多分に使用する舞台になりそうな面々なんだ!とワクワクしたことが記憶に新しいです。
お芝居だけでなく身体能力も高い俳優の皆様が創り上げる、新たな「チ。」。10月8日から新国立劇場にて開幕します。

「Bunkamura Production 2025 DISCOVER WORLD THEATRE vol.15『リア王』NINAGAWA MEMORIAL」
タイトルロールのリア王を演じるのは、なんと大竹しのぶさん!演出のフィリップ・ブリーンからの絶大な信頼を受け、今回男性の王・リア王を大竹さんが演じます。
子供の頃からシェイクスピアが大好きだったという大竹さん。中学の文化祭では、大竹さん主導のもと、リア王の脚本を文化祭用にアレンジしてクラスの出し物として上演したという溺愛っぷり。
そんな大竹さんのリア王を観に行くだけでもとっても価値のある演劇体験だと思うのですが、他のキャストの皆様も魅力的な方達ばかり。
ぜひ、劇場にて言葉の力、演劇の力を体感しに行かれてはいかがでしょうか。

新国立劇場オペラ『ラ・ボエーム』
プッチーニのオペラ、大好きです。ミュージカル「RENT」の元にもなった作品「ラ・ボエーム」はプッチーニの情熱的で甘美な音楽を十二分に味わえる代表作の一つ。
海外では特に、新演出や新解釈でのオペラの上演が主流となっていますが、今回のボエームは舞台も19世紀パリ、プッチーニが思い描いた世界観そのままにオーソドックスな演出でお届けされます。
Theイタリアオペラな世界観を味わえる作品かなと思いますので、あなたのファーストオペラ観劇に、是非。

そして!
田代明、10月13日(月・祝)〜10月15日(水)までREAL TRAUM THEATRE 『メリー・ウィドウ』に出演します!日本橋三越劇場!
東京藝術大学を卒業してから7年が経った今、大学の先輩後輩のボーカルグループであるREAL TRAUMの皆さんと共に、オペレッタの名作「メリー・ウィドウ」に初挑戦です。
今作は、歌詞は日本語、そして舞台は現代のフランスと、リアトラメリーウィドウ特別verとなっております。
「気軽に観に行けるクラシック」な感触もありつつ、様々な現場で活躍するキャストの本気の舞台なので、本気で日本の皆様全員にお勧めしたい舞台となっております!
三越劇場にて、お待ちしております!

田代明
俳優・歌手
北海道札幌市出身。東京藝術大学声楽科卒業。
★次回出演
REAL TRAUM THEATRE『メリー・ウィドウ』2025年10月13日(月)〜10月15日(水)@三越劇場
X(旧:Twitter):@akkarindays
公式Instagram:@akkarindays

俳優・佐久間麻由の優先順位高め!

10月!2025年の終わりも見えてきましたねぇ。少しづつ肌寒くなっちゃって、ほんのすこし人肌恋しくなっちゃったりなんかして。今年の終わりに、いい一年だったなぁと思えるようなそんな作品と出逢えますようにと引き続き願っております。それでは、10月の私的優先順位高め、Here we go!です。よろしければ。

MITAKA“Next”Selection 26th 東京にこにこちゃん『ドント・ルック・バック・イン・マイ・ボイス』
最強にこにこ常連メンバーによるにこにこちゃんの10周年公演!きっと集大成になるはずで、面白くないはずがないと、楽しみにしすぎています!早く観たいけど、見始めたら物語は終わっちゃうから、観たいけど観たくない!という矛盾。楽しみです!

TANK PLAN 舞台「死んだ山田と教室」
金子玲介さんの同名原作を、南極のこんにち博士さんが脚本を、THE ROB CARLTONの村角太洋さんが演出を務めるという本作。どんな化学反応が巻き起こるのか、とっても楽しみです!

劇団アンパサンド『デンジャラス・ドア』
爍綽とvol.1にて書き下ろしてくださった『デンジャラス・ドア』が劇団公演としてリクリエイト!初演よりもさらに面白くなるのは間違いがなく、言わずもがな楽しみです!!皆さまにおかれましても、ぜひ!

舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」『Mary Said What She Said』
いいんですか?ユペールの、イザベル・ユペールのひとり芝居が池袋で観れちゃうんですか?ありがとうございます!後ろの席の方に迷惑がかからないのであれば、終始正座して観たいものです!楽しみすぎます!
あと、、やみ・あがりシアター『白貝』と、ほろびて『光るまで』もとっても楽しみにしています!!

そして最後に、毎度私ごとで恐れ入りますが、10月16日(木)開催のゾンビフェスにザ・クズレルズとして参加します。あらゆるジャンルの強者たちがゾンビものに挑むという年に一度のフェス!街裏ぴんくさんのゾンビもの、楽しみだよー。お待ちしております!

以上、10月分でした!寒くなるはずですし、あらゆる首と呼ばれる部位とお腹を冷やさぬようご自愛くださいませ。また11月に!

佐久間麻由
俳優・企画制作。劇団「スリーピルバーグス」所属。企画ソロユニット「爍綽と」主宰。
出演作品:贅沢貧乏『わかろうとはおもっているけど』
[東京]11月7日(金)~11月16日(日)@東京芸術劇場シアターイースト
[久留米]12月6日(土)~12月7日(日)@久留米シティプラザ
[札幌]12月13日(土)~12月14日(日)@クリエイティブスタジオ
X(旧:Twitter):@mamamayuuuu
Instagram:@mayusakuma221
Lit.Link:https://lit.link/mayu221
公式サイト:https://www.lespros.co.jp/artists/mayu-sakuma/

脚本家/演出家/俳優・滑川喬樹の優先順位高め!

もう10月かと思うとえげつない速さですね。
そしていよいよ行楽シーズン、自然もいいですが観劇で人間を楽しむのも良いかと思います。
今月の優先順位はこちらです!

MITAKA “Next” Selection 東京にこにこちゃん『ドント・ルック・バック・イン・マイ・ボイス』
星のホールは好きな劇場ですし間違いない俳優さんたちの名前が並んでいてすでに楽しみです。どうしたらギャグを量産できるのか知りたいこの頃です。

ほりぶん上映会
名作は時を超えていくということを実感しにいこうかなと思います。全部みたいけど牛久沼はどうしてもみたい。

やみ・あがりシアター『白貝』
前回見た『あるアルル』が面白かったので今回も優先順位高めです。みんなに届く楽しくてロマンチックなお話が素敵でした。こちらも信頼できる役者さんばかり。

食む派『暮らしとペニス/音楽とヴァギナ』
以前から観たいと思いながら観れていなかった食む派さん。パンチあるタイトルにとても惹かれてます。1人芝居が2本という珍しい構成なのも注目です。

劇団アンパサンド『デンジャラス・ドア』
昔の作品の再演とのことですが安藤奎さんの出自を窺い知れそうで大変興味深いです。

ミズタニー『はじまらない、終わらない』
何年かぶりに戻ってきた元野鳩のミズタニー。テニスコートのお二人が出演します。かわいくてナンセンスな物語がまた観れるのが嬉しいです。

滑川喬樹
脚本家・演出家・役者。
「エトエ」主宰。
X(旧:Twitter):@nametakaki
エトエ公式HP:https://etoe.amebaownd.com/

ライター・井ノ口裕子の優先順位高め!

今月は楽しみにしていた舞台を観られるので
テンションが上がっております♪

ミュージカル『マタ・ハリ』
『ジキル&ハイド』『スカーレット・ピンパーネル』など数々の大ヒットミュージカルを手掛ける作曲家フランク・ワイルドホーンにより、2016年に生み出された韓国発ミュージカルが再々演されます。2018年の日本初演で、ヒロインのマタ・ハリを演じた柚木礼音さんの圧倒的な美しさと存在感に引き込まれました。第一次世界大戦下、エキゾチックなダンスで人々を魅了し、女スパイとして世界を翻弄した実在の舞姫の数奇な半生描いたドラマチックな名作。柚木さんはじめ、今回の座組も良いです!

M&Oplaysプロデュース『私を探さないで』
出演が勝地涼さん、河合優実さん、小泉今日子さん。作・演出が岩松了さん。それだけで観たいと思いました。結婚が決まって、報告のために郷里の町に帰省した男(勝地)が。高校の時に失踪した少女(河合)と再会することから始まる物語。深まる謎を解き明かそうとする男の辿り着く先にワクワクしています。

PARCO PRODUCE 2025 音楽劇『MONDAYS/タイムループ、まだまだ終わらない!?』
2022年に公開された映画『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかれないと終わらない』にオリジナルストーリーを加えての舞台化です。小さな広告代理店のオフィスを舞台に、社員全員が同じ一週間を繰り返していくという物語。期待を裏切らないウォーリー木下さんの演出が楽しみです。

そして、今月のおススメ2.5次元舞台はこの3作品です。

舞台『チ。-地球の運動について-』
魚豊氏原作の漫画『チ。-地球の運動についてー』がついに舞台化。地球の真理を知ることに見せられ命を懸ける人間たちを描いた衝撃作が豪華キャストで上演されます、主演の窪田正孝さんはじめ、三浦透子さん、大貫勇輔さん、吉柳咲良さん、吹越満さん、成河さん、森山未來さんなど、身体能力にも定評のある俳優たちが生み出す世界に期待が膨らみます。

舞台『忘却バッテリー』
みかわ絵子氏原作の漫画『忘却バッテリー』の初舞台化。中学野球界で最強と恐れられたバッテリー、投手の清峰葉流火と捕手の要圭。清峰は記憶喪失により野球に関する知識と興味を失った要とともに、野球無名高校に進学するが、運命のいたずらで巡り合った天才たちと、再び野球の道を歩み始める。記憶喪失という設定がユニークな高校野球ストーリーは、舞台でも感動を呼びそうです。清峰役は田中流星さん、要役は荒牧慶彦さん

『あんさんぶるスターズ!THE STAGE』-Blessing Moment-
男性アイドルの育成に特化した「私立夢ノ咲学院」で繰り広げられるアイドルたちの成長や改革を描いた、スマートフォン向けゲームアプリ『あんさんぶるスターズ!』の舞台化シリーズの新作。アイドルのライブパフォーマンスを観にきた感覚で、2.5次元初心者でも楽しめるのが「あんステ」の魅力のひとつです。

井ノ口裕子
エンタメ系雑誌の編集者を経て、フリーライター&編集者に。観劇の入口は中学生のときの宝塚で、それから観劇は一番の趣味。小劇場からグランドミュージカルまで、ジャンルは問わず面白そうと思ったら何でも観ます。

ライター・中川實穗の優先順位高め!

福岡から中川實穗です、こんにちは。
10月の福岡、盛り上がってます。公演がたくさんあります。まずは福岡に帰った日からずっと楽しみにしているものを。

入江雅人さんの『福岡のパンクスタイル6』
入江さんは福岡弁でお芝居をつくられるので、福岡で観られるのがうれしいのです。

興味津々なのが久留米シティプラザの取り組み。(久留米では)12月に上演される贅沢貧乏『わかろうとはおもっているけど』のプレレクチャーが今月開催されます。このレクチャーは全世代対象ですが、そこに組み込まれている若者向けのユースプログラム「新しい演劇鑑賞教室」では、公演鑑賞に参加者同士の対話も実施されるそう。若者うらやましい。いつもの観劇とはまた違う広がりがあってたのしそう。

飛ぶ劇場の『パケケタスがやって来る』は、“よい人生とは何なのかを問う老人たちの「自分取り戻し」冒険活劇”だそうで、初老の私はたのしみにしています。

同じ北九州芸術芸術で上演されるRe:北九州の記憶~未来へつなぐ物語『石炭の走る街』は、いつかは消え去ってしまう“個人の記憶”を後世へ継承していくことを目的に、北九州に暮らしてきた高齢者の方々のお話を元に地域の若手劇作家が物語をつくる「Re:北九州の記憶」の作品。福岡のいろんな劇団の人たちの芝居が一気に観られるのも魅力だなと思っております。

今年で建設100周年となる古代ギリシア式の野外劇場「うきは野外円形劇場」で上演される、劇団誠〈せい〉×ギリシア演劇研究会 合同企画 第3弾『メデイア』もおもしろそうでしょう?

涼しくなってきたし、ちょっとここらで福岡に遊びに来てください!

中川實穗
ライター。日本の戯曲が多めですが、ジャンル問わずに観ます!
X(旧:Twitter):@miho_sgt

ライター・河野桃子の優先順位高め!

秋と言えばこの時期は芸術祭。「東京舞台芸術祭(10月1日(水)~11月3日(月・祝))」「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭(10月4日(土)~10月26日(日))」が開催されています。サイトを眺めているだけでも怒涛のラインナップが眩しくて、選ぶのも悩ましいですが、この「どれを観ようかな時間」がわくわくします。
演目については迷う時間も楽しんでいただきたいのですが、せっかくなのでひとつ公演ではないイベントを。

10月2日(木)~10月5日(日)に有楽町の東京国際フォーラムで開催される「Performing Arts Base 2025」は、舞台芸術のさまざまなイベントが集まります。演劇・ダンス・現代サーカス・大道芸などのパフォーマンスや、舞台のおしごと体験ワークショップ(なんと大道具ワークショップ!)、過去の舞台映像アーカイブの上映、シンポジウムや就職相談まで……誰でも予約不要で入れるので、私もふらふらっと覗きに行こうかなと思っています。

公演は、2年前に初演を見逃した方はとくにおすすめ。EPOCH MAN〈エポックマン〉の「我ら宇宙の塵」が6月にロンドン公演を終え、日本4都市ツアーを開催。前回は公演期間中にどんどんと評判を伸ばし、さらには第31回読売演劇大賞「優秀作品賞」「優秀演出家賞」「最優秀女優賞」3部門を受賞しました。

注目したい企画は「ワンアクト・ミュージカル・フェスティバル」。国産ミュージカルの地平を広げるインディーズ発のミュージカル・フェスとして、1幕物の3作品が上演されます。
オノマリコさん、モスクワカヌさん、赤澤ムックさんなどしっかりしたメンバー。企画も面白いのですごく気になる。シアター風姿花伝というキャパ最大120の空間でミュージカルというのもどうなるのか面白い!
ほか、ハイドロブラスト「ケアと演技」3都市ツアー、森崎事務所M&Oplays「私を探さないで」もぜひ。

河野桃子
ライター。翻訳戯曲と小劇場を中心に、ミュージカルやコンテンポラリーダンスなど「舞台」と名がつくものはなんでも観に行きます!
X(旧:Twitter):@momo_com

ライター・吉永美和子の優先順位高め!

9月は阪神優勝にたぎり、勢い余って「豊岡演劇祭2025」から寄り道をして、広島のマツダスタジアムで消化試合を堪能(勝利!)した吉永です。10月は毎年恒例の「KYOTO EXPERIMENT2025」で観劇が最も忙しい月なので、CSを気にしつつも舞台に集中します。

10月3日(金)~10月5日(日) コトリ会議『新幹線も弾く毛布と愛おしい明け方~空からモグラの穴まで空虚』『小鳥。名前はコネリ。』『あたたたかな北上』@ウイングフィールド
大阪・心斎橋の劇場「ウイングフィールド」が、各劇団が「もう一度やりたい」と思ってる作品の再演を「どうぞどうぞ」とばかりに一気に実現させる「ウイング再演大博覧會」。2025年のトリを飾るのが、昨年度の「岸田國士戯曲賞」最終候補にも残った山本正典が主宰する「コトリ会議」です。死の匂いに満ちながらも、どこかすっとぼけたおかしなやり取り。手作り感あふれる舞台美術にほっこりとさせられながらも、避けられない別れに胸をキューッとさせられる。観劇中も観劇後も、これほど奇妙な優しい心地にとらわれ続ける舞台はなかなかございません。今回は過去の短編3作品を一挙に再演ということで、その心地よさをいろんなカタチで堪能できそう。演出は外部から、仙台の演劇ユニット「チェルノゼム」の小濱昭博を招いているので、どんな化学反応が起きるかも見どころです。

10月10日(金)~10月12日(日) 荒木優光『ノー・ボンチ(ファストリサーチスクラッピング)』@ロームシアター京都 ノースホール
毎年毎年見事に「これは演劇(ダンス)と呼んでいいものなのか?」という作品を招聘してくる、京都の舞台芸術祭「KYOTO EXPERIMENT(KEX)」。今年も散歩しながらみんなでダンスを作っていくとか、いろんな国のアーティストが一つの料理をライブで作るとか、気になる作品がそろっていますが、個人的大穴がサウンドアーティスト・荒木優光の新作。2021年のKEXで発表した『サウンドトラックフォーミッドナイト屯』は私が今まで観たKEX作品の中でも上位に入る楽しさでしたし、今年の「豊岡演劇祭2025」のニール・ラックとのコラボ作品も、自然音のポテンシャルを引き出しまくった刺激的な体験でした。今回の作品は「京都と自転車」をテーマに、京都を自転車で回って集めた音や、オリジナルの自転車型サウンドデバイスを用いたパフォーマンスを見せるとのこと。舞台も好きだけど音楽も好きって人は必見ですよ。

10月11日(土)~10月16日(木) 兵庫県立芸術文化センタープロデュース/開館20周年記念『明日を落としても』@兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール ほか
兵庫県西宮市の公立劇場「兵庫県立芸術文化センター」のプロデュース作品は、発生から30年を迎えた「阪神・淡路大震災」がテーマ。とはいえ、今回の戯曲を担当したピンク地底人3号は震災を直接的に扱うのではなく、代替がないほど大事なものを失った時に、人はそれとどのように向き合っていくか?
という、誰もがいつかは直面する問題の方にスポットを当てていくようです。佐藤隆太さんと牧島輝さんが、ボクシングを通じて不器用な友情をはぐくむという設定だけで萌えるものがありますが、多分これをドンと落として上げていくのが3号さんのやり口なんだぜ……巨匠・栗山民也さんがどんな演出を付けてくるのが楽しみで仕方ありません。佐藤さんいわく「そっと肩に手を置かれたような感覚」の物語ということで、立ち直れない辛いことがあるという人ほど観に行った方が良いかもしれません。

吉永美和子
フリーランスのライター&編集者。関西の情報誌「SAVVY」や「Meets Regional」などで演劇の連載を持つ一方、映画やグルメや旅行などノンジャンルで活動中。
X(旧:Twitter):@Yoshine_A
note:yoshine_a

批評家・山﨑健太の優先順位高め!

ようやく涼しくなってきて一息、と言いたいところですが演劇関係者としてはここから芸術の秋本番ということで怒涛の観劇ラッシュ。気合いを入れて、かつ楽しんでいきたいと思います。

私の10月の優先順位高めは岡田利規をアーティスティック・ディレクターに迎えて「爆誕」した舞台芸術際「秋の隕石」京都国際舞台芸術際 KYOTO EXPERIMENT(KEX)の全演目!と言いたいところですがそういうわけにもいかないので両芸術祭のプログラムからいくつかを紹介。

「秋の隕石」のオープニング・プログラムとして10月1日(水)に東京芸術劇場前のグローバルリングで上演されるのは『現実の別の姿/別の現実の姿』。なんと入場無料・予約不要のこちらは、岡田利規のコンセプトをもとに作家の市川沙央、小説家・Webライター・YouTuberのダ・ヴィンチ・恐山、ダンサー/振付家の手塚夏子がテキストを執筆し、そのいずれかを手渡されたパフォーマーがそれらによって「振り付けられた」パフォーマンスを上演するものとのこと。「隕石」の名前にふさわしく、未知との遭遇を予感させるプログラムに期待が高まります。今回が初来日となるフェイ・ドリスコル『Weathering』も何やらすごいという噂で気になるところです。

KEXからはまずはバック・トゥ・バック・シアター『いくつもの悪いこと』。「悪夢か予言か、ホラーコメディか? 差別と悪意が渦巻く職場へようこそ」という不穏なキャッチコピーを掲げるこの作品は「知的障害やニューロダイバーシティ(神経多様性)を自認するパフォーマーを中心とする劇団」による新作。一方、マルタ・ルイサ・エルナンデス・カデナス『私はユニコーンではない』は、作者のカデナス自身が舞台上でLGBTQの象徴/可愛いキャラクター/奇形等々複層的なイメージを持つユニコーンの姿となってパフォーマンスを繰り広げる作品。「わたしの角は奇形ではない。わたしの愛は奇形ではない。わたしの裸は奇形ではない」。どちらも日本の「多様性」をめぐる現状に何かを突きつけるような作品になっているのではないかと思います。

芸術祭以外ではSPAC(静岡舞台芸術センター)『弱法師』をチェック。アーティスティック・ディレクターに劇作家・石神夏希を迎えたSPAC秋のシーズン2025-2026の1本目として上演される石神自身の演出による作品です。残念ながら私は見逃しているのですが、2022年初演の舞台写真からしてもう面白い。ちなみ2019年に池袋の街中で「上演」された石神演出の『Oeshiki Project ツアーパフォーマンス《BEAT》』は私のオールタイムベストのうちの1本(こちらは排外主義が高まりを見せる今こそ改めて上演されるべき作品のようにも思います)。今回ようやく観られる『弱法師』にも期待大です。

山﨑健太
批評家・ドラマトゥルク。演出家・俳優の橋本清とともにy/nとして舞台作品も発表しています。
X(旧:Twitter):@yamakenta

ライター・岩村美佳の優先順位高め!

ようやく秋を感じるこの頃。今月楽しみにしているのは、3つのミュージカル『マタ・ハリ』『エリザベート』『マリー・キュリー』です。どの作品も、タイトルロールでもある、実在の女性を描いたミュージカルであることが共通点。彼女たちの生き様に触れる時間が再びやってくるのだと心踊ります。

韓国発のミュージカル『マタ・ハリ』で、マタ・ハリを演じるのは、柚希礼音さんと愛希れいかさん。柚希さんは2018年の初演から3度目、愛希さんは2021年に続いて2度目、質の違うふたりのマタ・ハリは、どちらも目が離せなくて。2021年時はマタと関わる男性たちとの組み合わせでも違う物語が見えてきたのが面白く、今回も楽しみにしています。

ウィーン発のミュージカル『エリザベート』でエリザベートを演じるのは、望海風斗さんと明日海りおさん。初のエリザベート役になりますが、宝塚時代や、その後のガラコンで、トート役などを演じてこられたおふたりが、満を持して演じられるエリザベート。トートはもちろん、フランツ、ルドルフ、ゾフィ、ルキーニとの組み合わせも楽しみです。

韓国発のミュージカル『マリー・キュリー』でマリー・キュリーを演じるのは、昆夏美さんと星風まどかさん。命の限りを尽くして研究に没頭するマリーの生き様から目が離せない作品です。こちらはチーム制とのこと、きっと全く違うバージョンが生まれるのだろうと、どちらも期待しています。

今よりも女性が自分を表現することが難しかった時代。マタ・ハリが生まれた1876年から、エリザベートが暗殺された1898年は、3人の女性が生きていた時間が重なります。年表を並べてみると興味深いことが色々と出てきます。それぞれのミュージカルにはフィクションが織り混ざって、音楽と共に、唯一無二の作品の魅力となっていますが、それぞれの女性たちに想いをはせる時間になりそうです。

岩村美佳
ライター。フォトグラファー・ライター。初観劇は小学生の時に観た宝塚。ミュージカルを中心に色々と観劇しています。配信観劇も存分に楽しめるようになりました。超絶猫好き。
X(旧:Twitter):@nyanyaseri

ローチケ演劇部_白の優先順位高め!

すっかり秋めいてきましたね。そんな10月。今月末までバタバタしていてなかなか時間が取れなさそうな、わたしの「優先順位高めです」な公演は以下です。

まずは、東京にこにこちゃん『ドント・ルック・バック・イン・マイ・ボイス』。これはもう外せません。怒涛のボケ数と純度200%のハッピーエンドをお届けする、東京にこにこちゃんの新作公演です。今作は「声」の物語。先日チラと稽古場をのぞいてきましたが、相変わらず笑いの絶えない中にも、エモい要素も多く見どころは満載。途中ゲラゲラと笑いながらも最後には涙を流している東京にこにこちゃんの真骨頂をぜひ感じて欲しいです。

そして、劇団アンパサンド『デンジャラス・ドア』も欠かせません。爍綽との第1回公演で上演された傑作がリメイクされます。初演時はデンジャラス感が徐々に増してくるドアに恐怖を覚えたものです。今回はどうなるのかしら。刮目したいと思います。そして東京にこにこちゃんから中9日で初日を迎える西出結さんにも大注目して欲しいです。(すごくないです?)

他、『ほりぶんの上映会は厳しいかしら?「牛久沼」が観たいんだけど。ばぶれるりぐる観れるかな?秋の隕石始まるな。中野坂上デーモンズとか食む派とかミズタニーも観たいよな』なんて思いながら過ごしています。わたしは観に行けないかもですが、みなさんはぜひに。