ここにしかない演出が人気を呼び、今回でシリーズ第四弾となるミュージカルレビュー『KAKAI歌会2019』が間もなく幕を開ける。先日、ローチケ HIBIYA TICKET BOXにて行われた握手会の前に、構成・演出を手掛ける原田優一、第一弾から出演する今井清隆、第二弾から出演する泉見洋平、初出演となる愛加あゆに、歌稽古が始まっての感想を直撃した。
今回はミュージカル曲多めで!
――歌稽古がもう始まっているそうですね。
原田「今回、全部で71曲になりまして」
今井「多いよね!」
原田「(笑)。でも上演時間は変えないつもりです。今回は王道のミュージカル曲を多く入れています」
愛加「私もミュージカルが好きで、今までにいろんな曲を聴いてきたつもりなのですが、自分が知らなかった曲との出会いもあったりして楽しいです」
――なぜ今回ミュージカル曲を多くしたのですか?
原田「『KAKAI歌会』は“大人の音楽遊び”という企画なのですが、そのうえでお客さんがどんなものに『ひゃ!』ってなるかを考えたときに、やっぱり今までのアンケートでも『ミュージカル曲が聴きたい』という声は多かったんですよ。じゃあそれを逆手に取ってみる、じゃないですけど、普段のコンサートでは聴けないような曲数をやってみたらどうだろうと思って。今回出演者も9人いますし、1曲ずつちゃんと聴かせたら1人あたりの曲数はそんなにいかない。だったら楽曲のおいしいとこ取りでたっぷり詰めてみたらどうかなっていうところが始まりです」――『KAKAI歌会』ならではですね!曲はどうやって選ぶのですか?
原田「今回の一幕はミュージカル形式なんですよ。だから最初に物語を書いて…『桃太郎』のお話なんですけど、そこに当てはまる曲をどんどん入れていきました」
――ええ!すごいですね!
原田「だからお芝居もやっていただくんですよ」
今井「そうだよ。台詞も多いんだよ~」
愛加「(笑)」
泉見「今までの『KAKAI歌会』のなかで一番大変なんじゃないですか」
今井「長台詞がけっこうある」
原田「今井さんは長台詞でしょう。僕とはシェイクスピア(『アントニーとクレオパトラ』’10年)で共演しているんですから!」
今井「そうだっけ!?」
原田「そうですよ!」
――楽しみです。
今井「私は言わずと知れた鬼の役」
原田「最初は魔女の役にしようと思ったんですけど、二幕でかなり女装していただくので」
一同「(笑)」
原田「一幕、二幕と女装させることになっちゃうので。それもご機嫌よいとは思うんですけど」
泉見「ご機嫌よい!(笑)」
今井「ばかやろう!……あ、ばかやろうとか言っちゃった」
一同「あはは!」
原田「でも鬼もちゃんとコスプレですから」
今井「“ちゃんとコスプレ”ってなんだよ(笑)」
泉見「『KAKAI歌会』って、この人絶対にこんなことしないよなってことをやらせていただけるというか、やらされるというか」
原田「(笑)」――やる側としてはどうですか?
今井「最初はファンの方の反応が気になってね。こんな格好したらファンが減っちゃうんじゃないかって考えたし。だけどね、けっこう女装ってね、癖になるんですよ」
一同「(爆笑)」
今井「知らない自分を発見できるから(笑)。俺ってつけまつ毛つけたらこんなに綺麗になるんだって」
一同「あっはっはっは!」
今井「そのうち口紅の色とかこだわりはじめてさ」
愛加「髭はそのままなんですか?」
今井「そこはそのまま(笑)」
原田「今井さん、ずっと言ってるんですよ『俺、髭が無かったらもっときれいになる』って」
今井「でも剃らないよ!」――結果的にファンは減らなかったですか?
今井「むしろ喜んでくれたと思う(笑)」
愛加「そういうことですよね!」
――歌もいつもとは違う楽曲を歌うことが多いですよね。
今井「自分がやりたかったけど現実的にできない役の曲とかが歌えるのは非常に楽しいですよ」
――例えば歌のリクエストは受けたりするのですか?
原田「はい。まず皆さんにアンケートをお渡しして、歌いたい曲とか挑戦したい曲とかを挙げてもらいます。それを音楽のYUKAさんと一緒に見て、セットリストを決めていくような流れです」
泉見「僕は3回目の出演ですけど、1度も反映されたことないです」
原田「(笑)」
泉見「毎回新たな出会いがあるのでいいんですけどね」
――今回も新たな出会いがありますか?
泉見「そうですね。ミュージカル曲は初めて歌うものばかりです。そこも楽しみにしていただければ」
――ちなみに二幕はどういうものになりますか?
原田「今回は童歌をメドレーにしているのですが、それを宝塚歌劇団風にやらせていただきます。原田薫さんだけが男役で、あとはみんな娘役(笑)」
泉見「そう、原田薫さんが出演されることに驚いた。こういうことするんだって」
原田「そうでしょう?皆さんカッコいいイメージを持たれてるじゃないですか。カリスマダンサーで。安室(奈美恵)さんと踊る、みたいな。でも『HARADA』(’17年)をふたりでやったときにすごく壊れてくださったので。これだな、と」やるともう戻れない『KAKAI歌会』の世界
――今回も笑いの色は強めですか?
原田「そうですね。それをやりたいメンバーが集まっているので」
愛加「台本を読んで、皆さんがやっているのを想像するだけで笑ってしまいます。でも絶対皆さんそれを超えてこられるんだろうなと思うので、負けないようにがんばらなきゃいけない(笑)」
――今までやったことないようなこともやられますか?
愛加「そうですね、やると思います」
泉見「やるともう戻れないですよ」
愛加「(笑)。沼に!」
泉見「気付いたら、いただく仕事のキャラが変わっていましたからね」――『KAKAI歌会』に出演したことでですか!?
泉見「はい。幅が広がったのでよかったです(笑)」
――すごい影響が。原田さんは「この人のこういうところを引き出したいな」と思って作られているのですか?
原田「いや、引き出しはしないですよ。『KAKAI歌会』は皆さんにお任せしている部分が多いので。よく言えば個性的、よく言えば癖が強い、そんなキャラクターが充実しているので(笑)」
泉見「要は変態」
一同「(笑)」
原田「だからまっすぐにやっていただいても、ひねられたものに見えるんですよ。それがおもしろい。なので僕は演出としてなにか指示を出すというよりは、皆さんから出てきたものをまとめていく作業です」
――愛加さんは初出演なので未知ですが。
原田「あゆちゃんは最初にご一緒したときから年々ね……」
愛加「(笑)。最初はキチンとしていたのに」
原田「ははは!会う度にどんどんはがれていく感じが」
愛加「でもそれは心を開いていってるからですよ!」――もっとはがしたいという感じですか。
原田「そうですね」
愛加「必死に食らいついていきます!」
――では最後に皆さんのオススメポイントを教えてください。
今井「踊ります、今回は今までになく。身体がついていくかどうか心配だけど、がんばってつくっていきたいですね」泉見「『KAKAI歌会』も今年で三度目なんですけど、お仕事という感じではなく、ほぼ“趣味”なんですね。お仕事として皆さんに見ていただいているものとは違う部分を原田さんに引き出してもらって、楽しみながらも自分の幅を広げているような感じがします。それと同時に、皆さん歌が本職の方々ですから、ショーとしてもコンサートとしても素晴らしいクオリティになっていて、毎回勉強させてもらっています。今回なにを得られるんだろうというのはすごく楽しみです」愛加「おもしろい場面もあれば、皆さんがミュージカルで培ってこられたものを発揮される楽曲もあって、私自身も『観てみたい!』って楽しみにしています。お稽古1日目で皆さんの素敵な歌声を聴いて、自分も歌っていてすごくしあわせだったので、そういうものをお客さまに届けられるように、自分もそこに加われるように、がんばりたいなと思っています」原田「『KAKAI歌会』ってコンサートでは普通ない稽古期間を取っているんですね。というのはショーとして視覚でも楽しんでいただきたいという気持ちがあるからで。やるからには、ミュージカルとは違った魅力、コンサートとは違った出し方で、『KAKAI歌会』独特のジャンルをつくることができたらいいなと思っています。ゼロからなので大変ですが、出演者の皆さんの力を借りて、これまでの公演を観た方の予想もいい意味で裏切られるような、そんなショーにしていきたい。“『KAKAI歌会』ってこうだよね”をつくらずに、どんどん模索したいなと思っています」
取材・文/中川實穗
写真/ローチケ演劇部員