新作ミュージカル「白爪草」│屋比久知奈&唯月ふうか インタビュー

屋比久知奈×唯月ふうかによる二人ミュージカル
唯一無二の世界観をヒグチアイの楽曲が彩る

心理劇×スリラー×音楽が融合した、新感覚の二人ミュージカル「白爪草」。世界初の全キャストVTuberで演じられた衝撃のワンシチュエーションサスペンス映画をミュージカル化し、唯一無二の密室ミュージカルを作り上げる。
この二人芝居に挑むのは屋比久知奈と唯月ふうか。ミュージカル『レ・ミゼラブル』などでも共演経験がある二人は「また一緒にできるんだという喜びが大きかった」と声をそろえる。

唯月 ミュージカル『スリル・ミー』を観て二人芝居の魅力を感じてから、いつか私も少人数のミュージカルに出演したいと思っていました。なので、こうして実現できることがすごく嬉しいです。なんといってもお相手がともちゃん(屋比久)と聞いて、嬉しさと驚きが溢れました。

屋比久 私も全く同じ気持ちです。大人数のミュージカルにはそうした作品ならではの楽しさがありますが、今回は二人だからこそ濃密で、シビアな空間で稽古ができるのではないかと思います。気心の知れたふうかが相手というのはとてもありがたいですし、この二人だからこその空気感を出せたらとワクワクしています。

今回、二人が演じるのは双子の姉妹。妹の蒼を屋比久、姉の紅を唯月が演じる。

唯月 先日、ワークショップをおこない、初めて二人でお芝居をしましたが、早くも“家族感”を感じました。私たちは似ているところが多いんですよ。なので、そうした部分も今回の役柄に投影できるのではないかと思います。

屋比久 この作品は一卵性の双子ということがキーポイント。観ている方に双子だと感じていただくのが大切なので、稽古の中でお互いの波長を合わせて芝居をしていけたらと思います。トリッキーな作品ですが、違和感なく、作品に没頭していただけるものを作り上げていきたいです。

ちなみに、二人の共通点は「優等生として生きたいと思って生きてきたこと」。

唯月 周りから『優等生だね』と言われることが多かったからこそ個性を見つけたいと二人で話したことがあります。生まれた街は正反対ですが、親の育て方や現場での居方も似ているなと共演した当時、思っていました。

屋比久 みんなと仲良くできるけれども、群れるタイプではない。自分のペースがあって、一つひとつステップを踏んでいきたいという感覚的なところも似ていると思います。

それぞれの役柄について尋ねると…。

唯月 役を掘り下げていけば、きっと人間味あふれるところも愛おしい部分も出てくると思いますが、今はまだ、紅は歪んでいて、かわいそうな人に見えます。愛を知っていればきっとこうはならなかったんだろうなと。

屋比久 蒼はいい子でいようと行動してきた子。共感しづらいキャラクターかもしれませんが、ただの歪んだ二人の話で終わりたくない。本当は普通の二人だったのに何かが掛け違ったことでこうなってしまったという説得力を出していきたいです。

シンガーソングライターのヒグチアイが手掛ける楽曲の数々も見どころのひとつ。

唯月 ヒグチアイさんのどこか寂しげで儚さがある美しい旋律が大好きです。そうした音楽の良さを壊さないように歌いたいと思っています。

屋比久 ヒグチアイさんの楽曲は悲しみや憂いの中にぼんやりとした温かい光があると感じています。これまで参加させていただいたミュージカルとはまた違う楽曲になっていますし、観ている方も飽きないメロディーだと思うので、その旋律をしっかりとお届けしたいと思います。

インタビュー・文/嶋田真己

※構成/月刊ローチケ編集部 11月15日号より転載

掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布

【プロフィール】

屋比久知奈
■ヤビク トモナ
2017年、ディズニー・アニメーション映画『モアナと伝説の海』でヒロイン・モアナ役の日本版声優と歌唱を務めてデビュー。以後、多くの舞台作品に出演。

唯月ふうか
■ユヅキ フウカ
2012年、第37回ホリプロタレントスカウトキャラバン審査員特別賞受賞。2013年にブロードウェイミュージカル『ピーター・パン』9代目ピーター・パンとして抜擢されて以来、『レ・ミゼラブル』『屋根の上のヴァイオリン弾き』などミュージカル作品に多く出演。