“今月の”優先順位高めです【2025年12月号】

2025.12.01

早いもので12月。「今年はあれがよかったな~」なんて振り返りをする時期でもありますね。とはいえまだ1ヶ月あります。今年最後1ヶ月。観劇納めの参考も兼ねて、今月の「優先順位高めです」です。

少し早いですが、本年も「優先順位高めです」ご愛顧ありがとうございました。
2026年もどうぞよろしくお願いいたします。

俳優・佐久間麻由の優先順位高め!

12月ですと。信じ難いです。引き続きただただ目の前のことに向き合っているうちに、一年の終わりを迎えてしまいそうです。朝晩は本当に寒いですね。銭湯とか温泉とかお家の湯船に浸かりつつ、どうかご自愛くださいませ。では、12月の私的優先順位高めです、です。よろしければぁ。

劇団かもめんたる『奇跡かな』
カエルのお話なのでしょうか…。あらすじに綴られたカエルたちからは、ただただ〝おもしろそう〟が漂っていて、この〝おもしろそう〟は間違いないと確信しましたので、見逃すまいと思っております。劇団かもめんたる、初の本多劇場!本多劇場を埋め尽くす、う大ワールド、大変に楽しみです!

テアトロコント vol.76
テアトロコントに、お久しぶりのテニスコートがお出になる!春とヒコーキ、破壊ありがとう、ベルナルド、フランスピアノもお出になります。楽しみすぎます!

劇団普通『季節』
世田谷パブリックシアター フィーチャード・シアターに選ばれた本作。初のシアタートラムにて、石黒さんの1年半振りの新作長編!出演者には野間口徹さんのお名前が。石黒さんの紡ぐ世界に野間口さん。これは、堪らないです!劇団普通ファンの方はもちろん、まだご覧になったことない方、時が満ちたのではないでしょうか。

パルコ・プロデュース2025『シャイニングな女たち』
あらすじを読んで、「うわぁ、面白そう」と大きな期待がため息と共に放出しました。公演HPにて、ぜひあらすじをご覧ください。チケット取れますように…。

そして、恐れ入ります。私が出演中であります、贅沢貧乏『わかろうとはおもっているけど』も優先順位高めでございます。
11月に東京公演を終え、12月6日(土)・7日(日)に久留米公演、12月13日(土)・14日(日)に札幌公演があります。時代を超えて国境を超えて、たくさんの方に観ていただきたい作品です。贅沢貧乏の超マスターピースをお見逃しなく。

また、12月29日(月)には、浅草九劇にてザ・クズレルズ『浅草で崩れる』もあります。年の瀬にゆるりと楽しくスローモーションパフォーマンスします。ワハハと笑いに来てください。

12月分でした。2025年も拙い文章にお付き合いいただきありがとうございました。
今年も演劇がすきでした。来年もまた。良いお年を…!ひのえうま!

佐久間麻由
俳優・企画プロデュース。劇団「スリーピルバーグス」所属。企画ソロユニット「爍綽と」主宰。
出演作品:
贅沢貧乏『わかろうとはおもっているけど』[久留米]12月6日(土)~12月7日(日)@久留米シティプラザ、[札幌]12月13日(土)~12月14日(日)@クリエイティブスタジオ
ザ・クズレルズ『浅草で崩れる』12月29日(月)@浅草九劇
X(旧:Twitter):@mamamayuuuu
Instagram:@mayusakuma221
公式サイト:https://www.lespros.co.jp/artists/mayu-sakuma/

脚本家/演出家・海路の優先順位高め!

海路です。みろって読みます。

今現在絶賛稽古中なのですが、今回の座組、なんと全員年下という初めての経験をしておりまして、自分が徐々に年老いていくのを感じてます。
てなてなことで、12月の優先順位高めな作品はこちら!!

マームとジプシー『Curtain Call』
今年の5月に新宿で初演され、今回国内外の舞台関係者が横浜に一同に交うYPAM(ワイパム)2025にて、早くも再演される本作。初演をみているのですが、これは、全ての演劇人にみて欲しい。さらに言えば、全ての働く人達にみて欲しい。とある演目が開演されるまでの「演劇」のバックヤードを描いたお話で、ひとの営みが瞬間最大風速で美しく輝きだして、気づいた時には終演を迎えてる。そんな感覚にさせてくれる、演劇でした。きっと観たその日のバックヤードに、想いを馳せたくなる!マームをまだ観たことのない人にもオススメの作品なので、是非この機会にご観劇下さい!

劇団鹿殺し Shoulderpads 凱旋公演+abnormals 3作同時上演
今年の夏、エディンバラ・フェスティバルへ自力で持ち込み、全ステージ完売に加え、最大手新聞The Scotsmanの4つ星など多くのレビューや表彰、受賞をされた劇団鹿殺しの伝統演目「銀河鉄道の夜」を、日英そして新作として3パターンで上演する本作。今年の夏にSNSを眺めていると、エディンバラの地でキワキワの姿で路上パフォーマンスをしている集団の映像が流れてきて、何だこれはと思っていたら、とんでもない快挙を成し遂げていたことを後から知りました。言語や文化の境を飛び越え、駅前劇場に戻ってくる本作、絶対に見逃せない!

アミューズ短編公演『のこりもの』
こちらわたくし、海路が作・演出を務める、新作短編公演です。本作、「中止になった公演のバラシの日の主宰」を描いた話で、この5~6年を少し振り返りながら作ってます。きっと誰かが描こうとしなければ、知られることもない物語だと思うので、観ていただけたらとても嬉しいです。キャストも全員25歳以下、というこれまたフレッシュな顔ぶれです。普段劇団公演では、奇妙な世界のお話をやっていますが、そうではなく、リアルな今のお話になってます。表参道にあるギャラリーで上演予定なので、是非!!

その他にも、ももちの世界 #11『わたしは太陽』など、注目公演目白押しです!

海路
脚本家。演出家。監督。
劇団papercraft主宰。アミューズ所属。『檸檬』にて第29回劇作家協会新人戯曲賞を受賞。
1999年7月20日生まれ。
X(旧:Twitter):@nonde_miro

俳優・尾倉ケントの優先順位高め!

どーも!尾倉ケントです。
2025年もあとわずか。
「あっという間に年末ですね~」なんて会話、数え切れないほど毎年してますが、
その“当たり前の会話”を変わらず交わし続けられることに、最近はしみじみ幸せを感じます。
今年の元旦は「初日の出を見よう!」と息子たちと約束したのですが、全く起きてこず・・・
結局ひとり初日の出でした。来年こそは、親子で拝みたいものですね!

DINO-A-LIVE「恐竜大夜行2025」@東京国立博物館 中庭
本物と見紛う恐竜たちが、夜の東京国立博物館の中庭を闊歩するディノアライブの野外公演。
実物大のリアル恐竜達が次々と登場するパレードは、子どもはもちろん大人も釘付け間違いなし!特にステゴサウルスがフンをするシーンは必見です。
ステージという目線でも、あの恐竜達を顕在させている操演者の技術とテクノロジーは本当にすごい。唯一無二だと思います!

ゆうめい10周年全国ツアー公演「養生」@KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ 他
読売演劇大賞優秀演出家賞受賞作の全国ツアー公演。初演を見逃してしまったので見たいです!労働と生活と芸術を描く作品とのことで、俳優にとっても大変切実なモチーフですね。
ゆうめいの作品は個人的な体験とフィクションとの行き来するところが秀逸なのでどうなるか楽しみです!

日韓国交正常化60周年記念公演「焼肉ドラゴン 凱旋公演」@新国立劇場 中劇場 他
観たいと思っていたのに見逃してしまうこと、よくありますよね。
そんなときにありがたいリターン公演。東京で幕を開け、地方公演を経てまた東京に戻ってくるスタイル、最近増えてきましたがもっと浸透してほしい!
焼肉ドラゴンも前回見逃してしまったので、凱旋してくるこのタイミングでぜひ観たい作品です。
高度経済成長期、在日コリアン一家が営む焼肉店「焼肉ドラゴン」に集う人々の物語。年末にエネルギッシュな作品を観て締めくくりたい気分です!

お城EXPO 2025@パシフィコ横浜ノース
先月に続き演劇ではないのですが、お城EXPOは全国のお城が一堂に集まる展示会。
パシフィコ横浜の会場に各地のお城や戦国関連の企業ブースがずらりと並び、メインステージでは全国各地の武将隊やゆるキャラのショーが繰り広げられます。
武将隊といっても、地元の子どもたちによる忍者隊から、2.5次元舞台ばりの本格派まで幅広く、それぞれの「輝き」があって毎年楽しみにしています。
中でも全国の武将隊の先駆けである名古屋おもてなし武将隊のステージは別格。
見せ方・衣装・立ち姿、すべてが美しい。年に一度、名古屋で行われる舞台公演もいつか必ず行きたい!

今年もたくさん劇場に足を運びました。来年も良い出会いがありますように。
みなさまも、良いお年を!!

尾倉ケント
俳優。小松台東、ポツドール、ブス会*、大河ドラマ「光る君へ」、CMいろいろなど。
★次回出演
ホエイ 新作「メヤグダ」
 2026年2月19日(木)~2月25日(水) @シアター風姿花伝
「劇場留学~『モモ』と音楽の旅~」
 2026年3月27日(金)〜3月29日(日)@小田原三の丸ホール 小ホール
X(旧:Twitter):@0gura_kento

俳優・田代明の優先順位高め!

さぁ!残すところ今年もあと1ヶ月!
どうも、田代明です。
今年を締めくくるのに最高の作品たちをご紹介!

パルコ・プロデュース『シャイニングな女たち』
【物語】
金田海(吉高由里子)は、社会人として働く傍ら、他人の告別式に紛れ込み、ビュッフェを食べて帰るという行為を繰り返していた。
…いや、あらすじから既に面白そうすぎませんか…!?
今作は、現代社会の生きづらさと「主観の不確かさ」を描く、蓬莱竜太さんの最新作です。社会的テーマを軸に、ユーモアが散りばめられた作品を多く世に送り出している蓬莱竜太さん。吉高さん演じる海を軸として、今の現代を生きづらく感じている女性達の群像劇は、令和を生きる大人達にグッと刺さる作品になっているはず。

舞台『キャッシュ・オン・デリバリー』
ついに!ついに今月開幕だ!!!
King Gnuのボーカル井口理さんが、メジャーデビュー後初の舞台&初主演を果たす今作。井口さんは学生時代に、今回の演出家小貫流星さんと共に同じ作品を小劇場で上演なさっていたのですが、私、それ、観に行ってまして…!先輩方の、あの小さな劇場での舞台が、10年越しにこんな形でまた上演されるなんて…とてもかっこよくて憧れます!
物語は、勤め先でクビになったことを妻に打ち明けられずにいる主人公エリック・スワン(井口 理)のついた嘘が、勘違いの応酬で大混乱を引き起こす物語。エリックのバディのような立場として出てくるノーマン役には矢本悠馬さんなど、豪華なキャストが揃い踏み。
この冬、大爆笑で2025年を締めくくってみるのはいかがでしょうか。

ゆうめい『養生』
第32回読売演劇大賞 優秀演出家賞受賞作『養生』。ゆうめいさんは、2021年に『姿』を観た際、その独特の生々しさとユーモアセンスに心から惹かれた事が記憶に新しいです。
『養生』は劇団結成10周年を飾る全国ツアー上演。物語は、原体験とフィクションが入り混じる劇団の代表作です。【美大生の橋本は、夜勤バイトで出会った。正社員のことをネタに「卒業したら絶対ああならない」と陰で笑い合う。数年後、二人はその夜勤の正社員になっていた。夕方から明け方の夜勤劇】
公式HPに載っている池田亮さんの”ごあいさつ”もぜひ読んでみてください。私はなんだか泣きそうな気持ちになりました。

今年も一年、本当にありがとうございました!
私自身、仕事でもプライベートの観劇でも、舞台にまみれた日々を送った2025年でした。
残りの日々も思い残すことのないように!
寒さに負けず、12月を全力で過ごして、素敵な新年をお迎えしましょう~!

田代明
俳優・歌手
北海道札幌市出身。東京藝術大学声楽科卒業。
★次回出演
3月~4月 ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』(東宝)シアタークリエ他
X(旧:Twitter):@akkarindays
公式Instagram:@akkarindays

脚本家/演出家・萩田頌豊与の優先順位高め!

ローソンチケット演劇部が12月のおすすめをさせて頂きます。
さあ!今年も残り数ヶ月!みなさん最高の12月を過ごしてください!以下おすすめ!

劇団かもめんたる『奇跡かな』
本多劇場2度目のお帰りなさい公演。
う大さんは物語の登場人物を「体重が乗っている人たち」と表現した上で、だからこそ足を刈りやすいと言っていた。良いなあその表現。パクろと思いました。
劇団かもめんたるは、足の刈り方が本当に上手くて、爽快です。おすすめです。是非に。

ヤバイ芝居Presents『都市雄POP』
演劇お祭りです。脚本にべろべろガンキュウ女の小山くん演出に北条風知(ヨゴト)野口萌花(21世紀のキリン)新井プリュレ(劇団トマソン)ヤバイ芝居&おりおん。(劇団ドラハ)さんの4組です。
年末に良き演劇フェス。アフタートークは穂波(排気口)と僕(東京にこにこちゃん)で登壇させて頂きます。

人間横丁『ムダパラダイス』
フライヤー可愛すぎますね。これ動画だと紅多さんのカカシが回っていて。やば可愛いです。見て。動いてるフライヤーと、ムダパラダイスを。人間横丁愛しすぎます。次の日同じ場所でGAGさんの企画です。2daysだと思ってください。

GAG企画室『×演縁人』
ワワフラミンゴさん、桃尻犬さん、東京にこにこちゃん×GAGさんです。
僕は福井さん班で書かせて頂きます。楽しみです。こちらが今年最後の東京にこにこちゃんです。
全力!

猿博打presents優しい劇団の大恋愛volume賽『レイトキャロル』
今年の大終盤に猿博打を優しい劇団の尾崎(優人)*くん脚本で大締めくくり!ありがとう!
(*尾崎優人の「崎」の字は、タツサキが正式表記)

以上!2025年の演劇もありがとう!全ての人の心に届きましたか?本当に素晴らしい1年でした!
せーの!お笑い最高!
2026年もお笑い界を宜しくお願いいたします!
やー!

萩田頌豊与
脚本家。演出家。
日本で最もチケットの取れる劇団『東京にこにこちゃん』主宰。
1991年1月4日生まれ。
身長193cm
体重110kg
X(旧:Twitter):@CollinesBar
公式HP:東京にこにこちゃん 公式サイト

脚本家/演出家/俳優・滑川喬樹の優先順位高め!

11月は勢いある若い劇団に刺激をもらったり羨ましく遠くから眺めたりしました。2025年も終わりですね。1年間お疲れ様でした。年末の優先順位高めです。

ワワフラミンゴ『とっちらかってるね』
穏やかに見えて一番パンクスな精神を持ってるのでは疑っています。我が道をマイペースにゆくワワフラミンゴ。とっちらかってるね。どれくらいとっちらかってるのでしょうか。気になりますね。とっちらかり具合を観にいきましょう。

劇団普通『季節』
小さな物語を精密にすごい解像度で描く劇団普通がシアタートラムで観られます。会話一つ一つのリアリティーや役者さんの一挙手一投足に目が離せません。アフタートークのゲストもずいぶん豪華です。おすすめです。

ザジ・ズー『ザジ・ズー現代贋作劇場』
まだ拝見したことないのですが気になっている団体。複数の劇作家・演出家・俳優がお互いの演劇観を交感し創作する集団とHPにありますが、こういう個々人がフラットに繋がってみんなで創作する団体っていいなあ、健全だなあと思ったりします。HP見ただけでよく存じ上げないのですが。団体名もタイトルの響きも素敵です。

猿博打presents優しい劇団の大恋愛『レイト・キャロル』
猿博打と優しい劇団のコラボレーションが観られます。12月30日(火)の1日のみの公演でもうすでにソールドアウトとの情報が舞い込んできましたが追加販売があるかもしれないのでチェックし続けましょう。きっと面白い科学反応を見せてくれるのではと期待しています。

すごい生命力 vol.安藤『すごいシーズン』
俳優三人が集まって生まれたユニット「すごい生命力」。俳優が作演出家を「選び」招いて公演しています。俳優が選ぶ側に立つってとっても素敵な活動ですよね。僕も1回目に声をかけてもらって嬉しかったしこういう活動がもっと増えたらいいのになと思います。今回は猿博打の村上弦さんと劇団スポーツの田島実紘さんが作演出を担当。ウキウキする並びですね。チラシが可愛いです。

テアトロコントvol.76
テニスコートや破壊ありがとう、KOC決勝で活躍したベルナルドなど豪華な出演陣。テニスコートのコントは最近なかなか見れないので貴重な公演かもしれません。年末のひと笑いにいかがでしょうか。渋谷のユーロライブです。

人間横丁第2回単独ライブ「ムダパラダイス」
ロロの「まれな人」ですっかり心掴まれました。二人のキャラクターは出てくるだけで笑みが溢れるほど可愛く面白い。声がまたいいですね。東京にこにこちゃんでもその俳優としての魅力は十分に発揮されてました。単独公演では何が見れるのか大変楽しみ。こちらも場所はユーロライブ。お笑い芸人のユーロライブ使用率高い。

他にも、読売演劇大賞優秀演出家賞受賞作のゆうめい『養生』GAG企画室『×演縁人』も優先順位高めです。是非ご参考にしてみてください。

滑川喬樹
脚本家・演出家・役者。
エトエ主宰。
X(旧:Twitter):@nametakaki
エトエ公式HP:https://etoe.amebaownd.com/

ライター・河野桃子の優先順位高め!

待ち望んでいました。前回公演が終わった瞬間から次の公演が楽しみでした。
演出家・稲葉賀恵さんと、翻訳家の一川華さんによる、海外戯曲を新翻訳で上演するポウジュ、今回は日本初上演となる『Downstate』
作者のブルース・ノリスはトニー賞やピューリッツァー賞などの受賞歴を持ち、オーディションで決まった出演者も豪華。行ける人はぜひ全員行ってほしいくらい楽しみです。
ネットを開けば国籍や人種やルーツについての様々な暴言が目に付くようになってしまった昨今。けれども「不安」というのは、なんだかわからないから膨らむもので……怖がれば怖がるほど現実は遠ざかっていく。不安なとき、自分はまわりのことが見えているのでしょうか。
『わたしの隣人』。現実と舞台が地続きであるような、けれども演劇でこそ描ける未来を、趣向の作品からは感じます。日本人の生活から、日本人を考える、「日本人」をテーマにした作品。1関連企画のリーディングも面白そう。

ほか、俳優たちから立ち上げる、やしゃご実験室。チケット代1,000円や音響・照明無しなど企画の鋭さに関連して、主宰の伊藤毅さんのnoteは演劇について様々な問題提起を鋭く投げかけられていてものすごくおすすめ。

ももちの世界『わたしは太陽』は、人魚と温暖化!?ピンク地底人3号さんは今年、初小説「カンザキさん」が第47回野間文芸新人賞の候補作に選出されたことも注目。

読売演劇大賞 優秀演出家賞を受賞した、ゆうめい『養生』も、全国ツアーを経て年末まで上演しており、見逃している方はぜひ。

YPAM・横浜国際舞台芸術ミーティングからは、公式プログラムより「アン・ウンミ・カンパニー『北朝鮮ダンス』」、日本統治時代の台湾における砂糖産業から台湾・日本の関係や近代化を眼差す『浪のしたにも都のさぶらふぞ』。フリンジより、知的障害のある“あしプロメッセンジャー”が非言語エチュードから関係性をつくり、映像空間で即興演劇を繰り広げる観客参加型演劇『VISION~未来から届いた手紙~ / TO KNOW~あなたが何かを知るために~』、が気になるところ。

河野桃子
ライター。翻訳戯曲と小劇場を中心に、ミュージカルやコンテンポラリーダンスなど「舞台」と名がつくものはなんでも観に行きます!
X(旧:Twitter):@momo_com

ライター・吉永美和子の優先順位高め!

11月半ば当たりから京都まで芝居を観に行く時は「紅葉目当てのオーバーツーリズムの動線からいかに外れて目的地に行けるかチャレンジ」を強いられる吉永です。通常ここでの紹介は3本程度に押さえているのですが、12月に関しては「ダメだどれも捨てきれねえ」という公演が固まってるので、いつもよりさらに倍!の6本紹介させていただきます。

◎12月3(水)・12月4日(木) コトリ会議 きいの会『桃と夜の車』@伊丹アイホール
先日過去作品の短編集をやったばかりのコトリ会議ですが、今回は劇団内で別ユニットを組んで、主宰の山本正典の趣味や体験を今一度見つめ直した作品を、稽古の延長のような雰囲気で上演するそうです。なんとも実験的だなあと思いきや、なんと観劇無料・カンパ箱すら置かないそう。コトリ会議観たことない人、来年3月に閉館するアイホールにうかがう機会を探っていた人、今でしょ!

◎12月5日(金)~12月7日(日) 餓鬼の断食『DOGHOUSE』@ロームシアター京都 ノースホール
「関西で今一番観ておいた方がいい若手は?」と聞かれたら、最近は真っ先にこの劇団を上げています。ネット上の会話をそのまんま脚本にしたような、ハイテンポかつリズミカルな会話の中に、若者ならではの焦燥感とか短絡さとか開き直りであるとかが、ズドンと伝わってくるのです。願わくば私が20代のうちに会いたかったので、特に今20代の人ぜひ観てください。今回は「救い」がテーマとのことです。

◎12月13日(土)・12月14日(日) 舞台『1995117546』@兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
あの30年前の阪神・淡路大震災では、当然関西在住の演劇人たちもいろいろ被害に遭ったのですが、その中でも(私が知る限り)断トツハードだったのが、一時生き埋めになったというウォーリー木下さん。彼のオリジナル作品で「日常のすぐ隣にある死」がよく描かれるのは、その影響が大きいと思われます。その体験を、震災30年を機に舞台化。とはいえどこかホワッとした非現実的な空気と、未来の希望をまとった舞台になるのではと予想しています。

◎12月18日(木)~12月21日(日) ヨーロッパ企画『インターネ島エクスプローラー』
@京都府立文化芸術会館
いろいろな冒険家が、未だにこの地上に残っていた未開の島を探検するという新作コメディ。大型バイクの背後の映像を横スクロールするだけで疾走感を、超高層ビルの階数表示を変えるだけで上下の移動を表現するなど、割と人を食ったアイディアで「ワンシチュエーション」と「時空間の移行」を両立させてきたヨーロッパ企画なので、今回もきっと何かやらかします。ヨロ企には珍しい若手イケメンのゲスト・金子大地さんとのケミストリーも注目。

◎12月25日(木)~12月28日(日) 壱劇屋 イマーシブシアター『KING OF 高槻城』@高槻城公園芸術文化劇場 南館全館
観客と俳優が一緒になって場所移動しながら、一体となって物語の世界を作っていく「イマーシブシアター」を得意とする壱劇屋。昨年、大阪府高槻市の公立劇場の地下エリアを使った芝居が高評価され、今回はなんと地上の大劇場エリアが全開放されました。しかも「高槻城が復活したため、関西2府4県が戦国時代さながらに覇権を争う」という、バカバカしくも高槻の地理をよく把握した設定となってます。座って観るのも、ウロウロ歩くのもよしなので、自分のスタイルで楽しんじゃいましょう。

◎12月28日(日)・12月29日(月) 『ア・ラ・カルト公認レストラン 僕のフレンチ』@近鉄アート館
ある程度観劇歴の長い関西人であれば、遊◎機械/全自動シアターの番外公演として毎年12月末に開催された『ア・ラ・カルト』を、その年の観劇納めにしていたという人も多いでしょう。あるフレンチレストランで、様々な人が様々なドラマを展開し、その合間にはジャズの生演奏が繰り広げられるという多幸感あふれるショーでした。しばらく中断していた時期を経て、こうして再び観られるとは嬉しいもの。今回もまた、観劇納めに参りたいものです。

吉永美和子
フリーランスのライター&編集者。関西の情報誌「SAVVY」や「Meets Regional」などで演劇の連載を持つ一方、映画やグルメや旅行などノンジャンルで活動中。
X(旧:Twitter):@Yoshine_A
note:yoshine_a

批評家・山崎健太の優先順位高め!

2025年ラストの12月も引き続きクソな世の中への抵抗とよりよい世界への希望をかたちにするアーティストたちを優先順位高めに。

まずは国内外から多様な舞台芸術が集まるYPAMフリンジの作品からリコメンド。
かもめマシーン『南京プロジェクトvol.6(仮)』は「南京大虐殺をめぐるわたしたちの話し方」を問うパフォーマンス。政治的スタンスに関わらず、むしろ様々な立場の人が上演に立ち会うことが大きな意味を持つ作品になるのではないでしょうか。

敷地理『水を泳ぐ蝶』は能「井筒」の一部を官能小説として書き換えることを出発点に、一対一で踊る官能的なラップ・ダンスとして再構成したもの……と言われてもどんなものになるのか全く予想がつきませんが、水面に映る自らの姿に恋人の面影を見るという物語からすると自身の欲望と向き合うような時間になる予感。

周東彦*/狠劇場の『霧を抜けた先に』『霧中─イン・ザ・ミスト』は、なんとゲイサウナを題材にしたXR/VR作品。欲望渦巻く空間を自ら歩き回る体験は思いがけず複雑な感情を喚起します。なかなか日本では観る機会のないタイプの作品なのでこの機会に是非。
(*周東彦の「彦」の字は、旧字体が正式表記)

鳥公園『泳ぐ彼女は果てを見ている(リーディング公演)』は鳥公園の西尾佳織が長年取り組んできた「からゆきさん」についてのリサーチから立ち上げられた作品。「日本のおじさんは、敗戦後も現在に至るまでずっと透明なままに見える。その内側に何があるのか?(何か、あるのか?)」という問いはもちろん現在にも向けられています。

オノマリコ/趣向『わたしの隣人』は台湾にルーツを持つオノマの「隣人」としての「日本人」を考える作品。食べ物(料理)、サウンド、空間など多様な要素が持ち込まれるようで普段は考えることのない様々な視点から「日本人」を考える時間になりそう。

まさに現状の世界への抵抗として作品を発表し続ける果てとチークの新作『だくだくと、』は魔女裁判を題材とするアーサー・ミラー『るつぼ』をベースにした現代劇。ここではカンパニーからのメッセージを引用します。「私達は常に誰かの対岸にいて、燃え盛る炎に薪を投げ入れ、知らん顔をしています。だからもし眼前で誰かが焼かれていて、その火を簡単には消せないなら、せめて私達も川を渡り、共に火炙りになるべきだと、そう思ってしまうのでした」。

フェラルフェラス『C/響計画:私の心はどこですか』は台湾とドイツのアーティストによる観客参加型の音楽パフォーマンス。「痛みやミソジニーの経験」からの癒しの手段として歌を用いてともにセーフスペースを紡ぎ出すような時間になるようです。

『Which Witch』『MAMA』の2作品を連続上演するgirlsは平田オリザが学長を務める芸術文化観光専門職大学の1期生による、女性のメタモルフォーゼを主題とする演劇シリーズ。一方は能、一方はピクニック(!?)の形式を採用した作品とのことで、テーマはもちろんその描き方にも注目です。

YPAMフリンジ以外ではトーキョーアーツアンドスペースOPEN SITE10 公募プログラム【dot部門】として展示/上演される小林勇輝『詠春拳プロジェクト』に注目。女性の護身術から発展したと言われブルース・リーにも影響を与えた中国南部の武術「詠春拳」。今回のプロジェクトでは、これまでもスポーツを題材にジェンダー規範を問い直してきた小林が詠春拳の思想を再解釈し、展示とパフォーマンスとして展開します。上演に加えてワークショップもあり。

一年の締めくくりは恒例の劇団フライングステージgaku-GAY-kaiで。今年の演目はNTLive版のクィアで多幸感あふれる演出も話題になった『真面目が肝心』。同じ演目のクィアな演出を2バージョン見られる機会はそうそうあるものでもないので楽しみです。
来年はよい年よりよい世界になりますよう!

山崎健太*
批評家・ドラマトゥルク。演出家・俳優の橋本清とともにy/nとして舞台作品も発表しています。
X(旧:Twitter):@yamakenta
(*山崎健太の「崎」の字は、タツサキが正式表記)

ライター・中川實穗の優先順位高め!

福岡から中川實穗です、こんにちは。12月ってどういうこと?って感じですね。

今月は福岡市で「キビるフェス2026」が始まります。12月12日(金)から2026年1月25日(日)まで、福岡市内の音楽・演劇練習場を会場にして、つくり手や観客、舞台芸術に関わるすべての人へ向けて開催するお祭りです。今回は、「MICHInoX」(仙台)、「バストリオ」(東京)、「合同会社Level19」(東京)、「0の地点」(福岡)、「Mr.daydreamer」(福岡)、福岡が拠点のダンサー達が主体のフェスティバル「福岡ダンスエクスチェンジ」という6つのプログラムが参加します。超カラフル。全部違う。
チケットはどれもローチケさんで扱われているのですが、おトクすぎて紹介したいのが「共通チケット」。6作品すべて見られて13,000円ですよ。しかも「福岡ダンスエクスチェンジ」は全プログラム観られます。これだけカラーの違う作品が揃っているので、全部観るとかなり楽しいと思います。忙しくて全プログラムを観るのは難しいかなという方は「キビる割」もあるんですよ。2団体以上の上演プログラムを観劇で割引。お財布にやさしすぎてびっくりです。
そしてこのフェスの素晴らしいのは、「キビるカフェ」という、観劇後にお茶を飲みながら来場者同士で感想をシェアできるイベントがあるということ。SNSで感想をシェアするのもいいけど、直接話してシェアするのも楽しいですよね。友達もできるかも。日時は公式サイトで発表されているので、それに合わせて観劇の予定を組むのもオススメです。

福岡市の規模感ならではのイベントだと思うので、県外の方もぜひ遊びに来てほしい~。たのしいと思う!

中川實穗
ライター。日本の戯曲が多めですが、ジャンル問わずに観ます!
X(旧:Twitter):@miho_sgt

ライター・岩村美佳の優先順位高め!

いよいよ師走です、、、!!!もう今年が終わってしまうのかと、ちょっと信じられないようなスピード感の2025年でした。

今年最後に楽しみにしているのは、ミュージカル『十二国記』です。
恥ずかしながら原作未読ですが、舞台を観てから読む選択をしました。宝塚退団後初のミュージカル出演となる柚香光さんが東宝ミュージカル初主演。主人公である、我々が住む世界の陽子と、異世界に連れ去られた後の陽子という1人の女子高生・中嶋陽子を2人の女優が演じるという表現から、きっとミュージカルだからこその答えが観られるのだろうと期待しています。宝塚では、『はいからさんが通る』『花より男子』『ポーの一族』と、原作から抜け出したような役を立ち上げてきた柚香さんが、原作ものを演じると聞けば期待しかないですね。

そして、『スリー・キングダムス Three Kingdoms』。イギリス演劇界の奇才サイモン・スティーヴンス作で現代社会の闇を深く抉る衝撃作と、ハードな作品のようですが、上村聡史さん演出で、伊礼彼方さん、音月桂さん、夏子さんらの舞台と聞けば、駆けつけたくなっています。

今年8月に宝塚を退団後、ついに世に放たれた礼真琴さんのファーストコンサート『flare』、大晦日に開催される、次世代を担う若きミュージカルスターたちの祭典『カウントダウンミュージカルコンサート2025-2026』も楽しみ。今年は劇場で年越しします!

岩村美佳
ライター。フォトグラファー・ライター。初観劇は小学生の時に観た宝塚。ミュージカルを中心に色々と観劇しています。配信観劇も存分に楽しめるようになりました。超絶猫好き。
X(旧:Twitter):@nyanyaseri

ライター・井ノ口裕子の優先順位高め!

2025年も残すところ1か月となりました。
なんとなく気分が華やぐ12月は、華やかな舞台が観たくなりますよね。

ミュージカル『ダディ・ロング・レッグス』
『足ながおじさん』を原作とした、クリスマスシーズンにぴったりなハートフルなミュージカルです。知的で紳士だけど一風変わった若き慈善家・ジャーヴィスと、孤児でありながら溌溂として聡明な娘ジル―シャの恋物語。ジャーヴィス役は2012年の初演から演じている井上芳雄さん、ジル―シャ役は坂本真綾さんと上白石萌音さんのWキャスト。キャスト二人だけの感動の舞台は満足度保証付きです!

ミュージカル『サムシング・ロッテン』
コメディの名手、福田雄一氏演出のブロードウェイミュージカルの再演です。シェイクスピア作品をはじめとするミュージカルや演劇の名作を大胆にパロディにしながらも、演劇愛にあふれたハッピーになれる作品。ルネサンス時代のイギリスを舞台に、中川晃教さん演じる主人公の売れない劇作家や、加藤和樹さん演じるスーパースター劇作家シェイクスピアがとんでもなくて、笑いまくれること間違い無いです!

パルコ・プロデュース 2025『シャイニングな女たち』
人気劇作家・演出家の蓬莱竜太氏と吉高由里子さん初タッグの注目作です。蓬莱氏が最新作で描くのは、現代と過去を行き来しながら描かれる女性たちの物語を軸に、人間関係のもつれやSNS時代に生きる現代人の姿を浮き彫りにする女性たちの群像劇。久々の舞台で吉高さんがどんな姿を見せてくれるのか楽しみです。

今月のおススメ2.5次元作品も華やかなこの2本です。

ミュージカル『刀剣乱舞』~静かなる夜半の寝ざめ~
今年10周年を迎えた「刀ミュ」の最新作。今作では、にっかり青江、五月雨江、山姥切国広、へし切長谷部、山姥切長義、後家兼光、刀剣男士6振りが、南北朝の世――足利尊氏とその弟・足利直義が対立した『観応の擾乱』の真っ只中へ出陣します。12月31日(水)には、「刀ミュ」初のカウントダウン公演「江 おん すていじ かうんとだうんぱーてぃー」も開催。2026年を刀剣男士と共に華やかに迎えたい方は是非!

ミュージカル『薄桜鬼』HAKU-MYU LIVE 4
ライブコンサート形式で行われる薄ミュライブの第4弾が3年ぶりに、東京と大阪で開催されます。毎回涙無しには見られない本公演とは違い、新選組の面々と鬼たちが歌って踊るお祭りのようなステージは、観客も一緒に盛り上がれるのが魅力です。

井ノ口裕子
エンタメ系雑誌の編集者を経て、フリーライター&編集者に。観劇の入口は中学生のときの宝塚で、以来、観劇は一番の趣味。小劇場からグランドミュージカルまで、ジャンルは問わず面白そうと思ったら何でも観ます。

ローチケ演劇部_白の優先順位高め!

12月です。早いですね。今年最後の「優先順位高めです」です。

まずは、ザジ・ズー『ザジ・ズー現代贋作劇場』
よく聞くんですよ「ザジ・ズー面白いよ」って。でも観たことがないんです。先日インタビューにも同席させてもらったのですが、考え方がものすごくしっかりしてて、その考え方もとても面白いなと期待感が爆上がりなんです。どんなものを観せてくれるのか、想像が膨らむようなインタビュー、ぜひご一読してくださいね。

そしてゆうめい『養生』ですよね。10周年おめでとうございます。ゆうめいは結構観てるのに、『養生』初演は体調不良で行けなかったのです。評判がすごかったですよね。こちらも取材にお邪魔したのですが、4人のガッツリスクラムがもう取材の段階でかっちょよくて、後ろにそびえる脚立のでかさと共に、期待感も爆上がり中です。

あれ?12月結構、忙しいな。まだまだある。

ワワフラミンゴ劇と出し物の会『とっちらかってるね』も観る。ワワフラミンゴは外せないですよね。とっちらかってるワワフラワールドを楽しみたい!

ワワフラと言えば、GAG企画室『×演縁人』も必見ですよね。ワワフラ鳥山さん、東京にこにこちゃん萩田さん、桃尻犬野田さんの3人の脚本って最強すぎる!!

劇団普通『季節』も外せない。全編茨城弁で送る家族の日常。この言葉では伝わらない面白さが石黒さんの作品にはあるんです。劇団普通の用松さんと安川さんが本当にいいのでぜひ。

観劇納めは、猿博打presents優しい劇団の大恋愛volume賽『レイト・キャロル』で尾崎(優人)*さんのコトバを浴びまくれればいいなと思っています…!
(*尾崎優人の「崎」の字は、タツサキが正式表記)