3/29(金)より明治座にて上演される『ミュージカル ふたり阿国』の製作発表が東京都内にて行われ、北翔海莉、峯岸みなみ、玉城裕規、坂元健児、コング桑田、モト冬樹、細貝圭、雅原慶、伊藤裕一、市瀬秀和、中村清治郎のキャスト陣と、演出・脚本の田尾下哲、脚本の中屋敷法仁が登壇。司会進行も出演キャストのひとりである伊藤裕一が務めた。
本作は皆川博子作「二人阿国」を原作にした新作のオリジナルミュージカルで、主演の北翔にとっては明治座初出演・初座長ミュージカルとなる。芸事においては天賦の才能をもつ踊り子・阿国(北翔海莉)と、阿国に憧れと反発の気持ちを抱きながらやがて二代目阿国を名乗ることになるお丹(峯岸みなみ)という、ふたりの女の戦いと成長を軸に、波乱の世に翻弄されながらも力強く生き抜く民衆の姿を描いていく。各人のコメントは以下の通り。
北翔海莉(阿国)
「阿国は何事に対してもブレないので、そこは憧れでもあり、今回演じることで自分自身がしっかり学べたらと思います。ただ、セリフは少ないので、ひと言ひと言に重みがあり、天からのメッセンジャーとしての責任のあるセリフが詰まっているように感じて、大変さを感じました。とにかく、セリフよりも歌が多い。立ち回りも入ってくるので、非常に楽しみ。出演者全員で次の時代に向けて、若さあふれるエネルギーを爆発させたいと思います。私たちが生き生きとエネルギッシュに舞台に立ち、それをお伝えできればと思います」峯岸みなみ(お丹)
「台本をいただいて、まず一番に大変そうだな、と思いました(笑)。いろいろあるんですが、なんと言っても“お能”に初めて挑戦するので、新しいこととの遭遇だなと思いました。私は人の顔色をうかがってしまうので、お丹は自分の気持ちに正直にまっすぐ進んでいくところは、かっこいいなと思います。人々のいいところも、悪いところも、人生を描いた作品なので、しっかり演じることができれば、たくさんの人に何か伝えることができるんじゃないかと、今から楽しみ」
玉城祐規(猪熊少将教利)
「こういったミュージカルに出演させていただくことはあまりなかったので、まだ想像ができていない。稽古を通して、どう具現化していくのか、興味があります。猪熊少将という役は、天下無双の美少年、プレイボーイと言われているので、プレッシャーはありますよね。天下無双の美少年、聞いたことないです、そんな言葉(笑)。プレイボーイという部分に関しては、キャスティングミスと思っていますが(笑)、どんな形、いろんな色の作品に仕上がるか、とても楽しみです」坂元健児(とっぱ)
「ミュージカルというと、ブロードウェイだったり、フランス革命や海外の出来事を描いた作品がすごく多いと思うんですが、これは完全に和。日本人だからこそ共有できる作品なんじゃないか。頑張りたいなと思う作品です」コング桑田(三郎左)
「お丹を見つけて、二代目阿国にしてやろうと頑張る男、ブラック企業の社長のような役どころでございます(笑)。最近、能を大成した世阿弥の本を読んだら“老後の初心忘るべからず”と書いてございまして。私も老後でございますので、初心を大事にして、この作品の中で初心を得られるであろうなと楽しみにしています」モト冬樹(笠谷犬太夫)
「お丹の父で座長の男、いろんな逆境に合いながらも、自分の意思を貫き通すという、まったく時代の流れに乗れない男をやります。それなりに頑張ろうと思っております。なんといってもこの舞台は、殺陣、歌、踊りが主役だと思いますので、アンサンブルの方も含めて、皆さん頑張ってください!」
細貝圭(二蔵)
「僕が演じる二蔵は一蔵(グァンス〈SUPERNOVA〉)と二人兄弟の役なんですが、この壮大な楽曲がそろったナンバーの中で、僕と一蔵の曲は一風変わった曲となっています。ぜひ、お楽しみにしていただければと思います」雅原慶(こふめ)
「台本を読んで、阿国に憧れるお丹の成長物語という印象を受けました。そういう視点で出雲阿国を楽しんで頂けるんじゃないかと思います。私の役はお丹のよき理解者であり、彼女の隣で支える役。が、とある事件をきっかけに、お丹の人生がガラッと変わる…そんな役どころですので、注目して観て頂ければ」市瀬秀和(京極高次)
「普段、和モノが多いので二礼二拍手一礼というのおは多いんですが、今回はキリシタン大名の役。なので、アーメンと十字を切ります。この“十字”を楽しみにしていてください」中村誠治郎(三九郎)
「台本の昔の芸事に関する部分などがすごく印象深く、感慨深いところもあったので、そこを考えながらやっていければと。北翔さん、モトさん、コングさんと絡ませていただけるので…怖いんですけど(笑)、一生懸命頑張ります」田尾下哲【演出・脚本】
「今回の演出にあたって偉大な先例、私もアシスタントをしたことがあります栗山民也さん演出し、木の実ナナさんの舞台のものがあります。ですが今回は、皆川先生の原作をお丹の成長物語としてみる中で、阿国という絶対的な存在に対して他の芸人の人たちがどうするのか、そういうところをやりたいと思っています。精一杯頑張りますので、どうぞよろしくお願いします」中屋敷法仁【脚本】
「タイトルの“ふたり”をひらがなにしたのは、人間の力強さをぜひ表現したかった。人間のしなやかさ、あでやかさ、たおやかさを、ひらがな3文字の流れるような曲線に込めました。皆川先生の原作の素晴らしいところ、そして、演劇としてお客様が観たいというところに注目して、頑張らさせていただきます」演出の田尾下氏によると、今回のミュージカルでは、殺陣、歌、舞踏などはもちろん、セットの橋が大きく割れるような大仕掛けも用意されているとのこと。また、明治座のレストランメニューやお弁当の名前も北翔が考えてつけているそうなので、ぜひこちらもチェックしてみてはいかがだろうか。
撮影・文/宮崎新之