表現力が求められるトートを演じることは目標でした
ミュージカル『エリザベート』の皇太子ルドルフ役で初めて東宝ミュージカルの舞台に立ったのが7年前。以来、次々と話題のミュージカル作品に出演する古川雄大が、エリザベートと対峙するトートを演じることが決まった。
古川「トートというのは、ミュージカルをやっていくうえでここを目指して頑張ろうと密かに思っていた、最終目標のような役でした。だから、こんな早いタイミングで挑戦させていただけるとは思っていなくて。以前、演出の小池(修一郎)先生から、『君のファンは君のトートを見たいと思うよ』とおっしゃっていただいて、そのお言葉を胸に日々精進してきたのでとても嬉しいですが、未だに驚いているというのが正直なところです」
目標にしたいと思ったのは、この役を演じるにあたっては様々な力が求められると感じたからだ。
古川「トートは人間ではなく、“死”という概念。だから、演じ方がたくさんあって、これまでもいろんなトートがいらっしゃるのを見てきて、いつか絶対にやってみたいと思っていたんです。ただ、“死”を表現するというのは相当難しいことなので、ビジュアルや歌も含め、表現力がすごく必要になってきます。その意味でも、トートが表現できるような役者になりたいなと思ったんです」
では、古川のトートはどんな表現を目指すのか。
古川「具体的なことはまだわかりません。でも、死ぬ役が多いこともあって死については考える機会が多くて。ルドルフにとっては安らぎの場所や逃げ道であっただろうし、エリザベートにとっては、死をもって生きるというようなエネルギーになっているのではないかと思ったりするんです。だから、生きるエネルギーを与えられる存在でいられたらなと、今は思っています」
歌にも新たな挑戦があり、「楽曲を作ったシルヴェスター・リーヴァイさんの指導を受けて、低音を響かせることの大切さを実感しているので、歌の表現ももっと鍛えたい」と力強く語る。
古川「よくミュージカルの魅力を聞かれますが、一つだけ挙げるとすればやっぱり歌のパワーに尽きると思うんです。『エリザベート』はまさに歌の魅力にあふれた作品。その素晴らしさをちゃんと伝えられるよう、悔いの残らない時間にしたいなと思っています」
インタビュー・文/大内弓子
※構成/月刊ローチケ編集部 3月15日号より転載
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【プロフィール】
古川雄大
■フルカワ ユウタ ’87年、長野県出身。『モーツァルト!』『マリー・アントワネット』『黒執事』など数々のミュージカルに出演。公演中の『ロミオ&ジュリエット』では主演のロミオ役を務める。