舞台『鋼の錬金術師』—闇と光の野望—|エンヴィー役:平松來馬×グラトニー役:草野大成 インタビュー

荒川弘が描くダークファンタジーコミックの金字塔『鋼の錬金術師』の舞台版第三弾、舞台『鋼の錬金術師』—闇と光の野望—が、2月7日~15日東京、2月20日~22日大阪で上演される。舞台効果と俳優の身体能力の限りを尽くした演出、原作から飛び出してきたようなリアルなキャラクタービジュアルで観客を魅了した話題作の続編に期待が高まる。主人公のエドワード・エルリック(通称エド)と弟アルフォンス(通称アル)と対峙する、ホムンクルス(賢者の石を核として生み出された人造人間)のエンヴィー役・平松來馬さん、グラトニー役・草野大成さん。2023年の第一弾、2024年の第二弾に引き続き出演するお二人が、舞台『ハガレン』への思いや役作りについて、第三弾の見どころなどを熱く語ってくれた。

――2023年の舞台『鋼の錬金術師』、2024年の第二弾舞台『鋼の錬金術師』—それぞれの戦場—。その続編、第三弾の舞台『鋼の錬金術師』—闇と光の野望—が、2月7日にいよいよ開幕します。今の心境をお聞かせいただけますか?

草野 すごく嬉しいです。第一弾のオーディションのときに、演出の石丸さち子さんから、エドとアルの旅を終わらせるためにこの舞台をやるから、最後までついて来てほしいということは言われていたので、「よし!またやるぞ!」という気持ちです。
平松 舞台でシリーズを続けるって、スタッフとキャストの思いだけではうまくいかないこともありますし、観たいと思ってもらえないと実現できないことですし、すごいことだなと思います。第三弾で旅を続けられるんだっていう、嬉しさはすごくあります。
草野 また、カンパニーのみんなに会えるっていう嬉しさもあるよね。

――久しぶりの稽古場の雰囲気はいかがですか?

草野 カンパニーのみんなは、すごく仲がいいよね。
平松 舞台『ハガレン』独特の仲の良さがあるんです。
草野 やっぱり石丸さんのもと、一丸となっているのは大きいです。すごく熱い方なので。
平松 演劇に対してすごく大きな愛があって、その周りにエネルギーがあって。その石丸さんを筆頭に集まってきたメンバーも演劇に対しての愛があるからこその結束がある。
草野 その熱さと熱さで、石丸さんと役者がぶつかることもあります。できない自分との戦いで、悔し涙を流したりね。
平松 うん。僕は第一弾のときにありました(笑)。
草野 僕は第三弾であったんですけど(笑)。本当にそこまで感情が高まるというか。
平松 いいものにしたいが故の悔しさなんですけど。そういうときに、周りのみんなが「ナイストライ!」とか声を掛け合ったり、グータッチしたり。お互いに高めあって、作品作りをいい空気でやっていきたいっていうのが、舞台『ハガレン』の絆なのかなと。
草野 そうだね。バッカニア役の吉田メタルさんと、マイルズ役の岡本悠紀さんが、今作で復活してくれて。「お帰り~!」「ただいま~」って。そういう温かさがいいなって思います。

―― お稽古での手応えは?

草野 すごく詰め込まれた内容で、第一弾、第二弾を超えたすごいものになってます。
平松 ストーリーも、第一弾はキャラクターたちが、こうしたいんだという始まりの種を撒いて、第二弾はそれがどんどん花に変わって、第三弾はいろいろなところにつるのように広がって。
草野 あの人はあそこであれをして…っていう感じで、常に同時進行している。
平松 そのエピソードが演劇としてもギュッと詰まっているので、第三弾は質の高い舞台になっています。この物語のカギとなっている「約束の日」が近づいているんだなと実感しました。
草野 僕たちが演じているホムンクルスチームが、こんなことをしていたんだっていうのも、描かれています。

――第一弾、第二弾と出演されて思われる舞台『鋼の錬金術師』の魅力とは?

草野 原作の荒川弘先生も、「この人が演じたらこうなるんだ。違う視点から気づかなかった新しいキャラクターに出会えた」とおっしゃっていましたけど。役者の人間性でキャラクターを作っているわけで。だから、キャストひとりひとりじゃないかな。
平松 うん、人の力が魅力だと思います。
草野 何回もいいますけど、石丸さち子さんがスゴイ!

――演じられている、エンヴィーとグラトニー。改めてどのようなキャラクターか教えていただけますか?

平松 エンヴィーは「嫉妬」の名をもつホムンクルスです。一言でいうと、人間への執着がものすごく強いキャラクターだなと思います。
草野 グラトニーは「暴食」の名をもつホムンクルス。能力はあらゆるものを無限に食べることで、常に腹を空かせていて「食べていい?」が口癖。ホムンクルスチームを家族のように思っていて、特にラストとエンヴィーのことを慕っています。子どものように無邪気で彼らの言うことに忠実。ただの悪者ではなくて、愛に溢れたキャラクターでもあります。

――役作りなど、演じる上で大切にされていることは?

草野 僕は來馬が演じるエンヴィーとか、ラスト(第一弾の演:沙央くらま/第二弾の演:大湖せしる)に、本当に寄りかかりましたね。大好きな家族っていう感じで、芝居中に目くばせしたり、ちょっかい出したりしてます。
平松 かわいいんです(笑)。エンヴィーは「おら、行くぞ!グラトニー」みたいなキャラなので表には出せないですが、心の中の平松來馬は「かわいいな~グラトニー」って思ってます(笑)。
草野 僕は、この「ハガレン」が初めての舞台作品なのもあって、舞台裏でも來馬のことを頼りにしていますし、助かっていますね。
平松 お互い様ですよ。エドアル目線だと僕たちは敵ですけど、僕たちには僕たちの正義がある。エンヴィーの役作りとしては、その正義を自分の芯に貫くっていうのが、一番大事にしている部分です。

――今作のお二人のシーンの注目ポイントをお聞かせください

平松 僕は、エンヴィーの巨大化です。

――原作の荒川弘先生も、エンヴィー(大)の登場シーンを楽しみにされていると、コメントされていますね

平松 プレッシャーがすごいです。エンヴィーは、外見を自在に変えることができるので、大きくなったり小さくなったりもできるんですね。僕も物理的にパワーアップして巨大化するので、それが演劇としてどう表現されるのか、楽しみにしていただきたいですね。スタッフとキャストみんなのクリエイティブなアイデアが詰まっているシーンです。
草野 そうだね。僕はずっとこれだけはやりたいと思っていたシーンが、描かれるので、そこは注目していただきたいです。グラトニーがエドたちを飲み込んでしまうんですけど、その後に、やっちゃった~みたいな感じでお腹を触っているシーンで。これが舞台でできるっていうのは嬉しいです。
平松 それは初めて知った。いいね。

――最後に、公演を楽しみにされている方へ、意気込みとメッセージをお願いいたします。

平松 舞台『鋼の錬金術師』第三弾の公演ができるのは、観たいと思ってくださるお客様がいらっしゃるおかげです。本当にありがとうございます。「ハガレン」を知らなくても、面白いと思ってもらえるものを観せようという思いがすごくあるカンパニーなので、「舞台って面白いじゃん」「演劇って面白いじゃん」と感じる、ひとつのきっかけになれば嬉しいです。それができるパワーを持っている作品だと思うので、ぜひ劇場で生で実感してほしいです。
草野 舞台ではその場の状況や登場人物がワンシーンとして全部見えるから、常に時間が流れているなかで、このときのキャラクターって、もしかしたらこういうことをエドたちの横でやっていたのかも。みたいな想像を膨らませることができる。舞台『鋼の錬金術師』は、漫画やアニメとはまた違う楽しみ方ができる作品だと思います。いろいろな角度から楽しんでいただければなと思っています。

取材・文:井ノ口裕子