本作は、韓国ドラマ「愛の不時着」をはじめ世界的大ヒット作を続々と生み出す、韓国・大手制作会社スタジオドラゴンが企画・制作し、韓国の総合芸術賞”百想芸術大賞”に5部門ノミネートされ、演出賞を受賞した、ドラマ「悪の花」(脚本:ユ・ジョンヒ/2020年放送)を原作とした世界初の舞台化作品。
18年前の殺人事件を背負い、嘘の人生を生きる男。その真実を追う、刑事の妻。そして、自らの人生〈戸籍〉を失った男。悪の中で咲いた愛は、救いか、それとも罪か。濃密な心理戦、切ない愛の物語、そして五感を震わせる生演奏の鼓動。世界を震撼させた傑作サスペンスが、演劇界を牽引する才能たちと融合し、いよいよ世界初の舞台化を果たします。
今回は主人公ト・ヒョンスを演じる五関晃一とペク・ヒソン役を演じる和田優希、イム・ホジュン役を演じる久保廉によるスペシャルインタビューをお届け。出演が決まった時の気持ちや、作品の印象、公演への意気込みを語っていただきました。
――世界的大ヒットの韓国ドラマ『悪の花』、世界初の舞台化に出演が決まった時の気持ちは?
五関 最初に作品資料をいただいたのですが、あらすじだけでも十分に引き込まれました。金属工芸作家として活躍し、美しい妻もいるペク・ヒソン。だが彼の本当の名前はト・ヒョンスで、18年前のある殺人事件を背負い、身分を偽って生きてきた男だった。つまり僕は今回、舞台上で二重に役を演じることになるんです。この複雑な設定にとても興味を持ちました。決して容易な役ではありませんが、だからこそ挑んでみたい。そう思わせてくれる作品でした。
――原作であるドラマはご存知でしたか?
五関 オファーをいただいて初めて知ったのですが、2020年の放送以来、今もなお人気の高い作品だと伺いました。その作品を世界で初めて舞台化し、その主演を自分に任せていただいたというプレッシャーは少なからず感じています。ですが、(脚本・演出の)鈴木勝秀さんのもと、僕たちのカンパニーで新しい『悪の花』をお見せするというマインドで挑戦するつもりです。
――身分を取られた男、ペク・ヒソンを演じる和田さんは?
和田 まずは作品のあらすじから目を通させてもらったのですが、短くまとめられた中に結構とんでもない展開が書いてあり、「これがよく聞く韓国ドラマというものか!」と感心しました。じつは今まで韓国ドラマには触れる機会がなかったんです。なのでペク・ヒソンを演じるための準備ができればと早速原作ドラマを拝見したのですが、全話完走したことによって「こんな複雑な役を自分にできるのか!?」と、プレッシャーを感じています(笑)。これは準備して挑む役じゃない。唯一できることがあるとすれば、徹底的に和田優希の色を消すことだ。そう思いました。
五関 和田はドラマ全話見終えたんだ。さっき久保は「和田くんはドラマ絶対見てないっす」って言ってたよ。
久保 見てましたね! 意外です。
和田 なんでだよっ(笑)。そういう久保は見たの?
久保 見ている最中です!
五関 僕はこれから見るか、あえて見ないでやるか…というところですね。
久保 五関くんにも見てほしいけど、あえての役作りかもしれない…!僕はもともと韓国ドラマが大好きで、『悪の花』を生み出したスタジオドラゴンさん制作の『愛の不時着』にハマって以来、いろいろな作品を見ています。なので韓国ドラマ原作の舞台に出演できると聞いて、とても嬉しかったです!サスペンスものはあまり見てこなかったので、そこだけ心配だったのですが、僕の演じるイム・ホジュンは元気な若手刑事ということで安心しました(笑)。重たい題材なので、自分が登場することで観客の皆さんにホッとしてもらえるような空気を出したいです。
――台本を読んだ印象は?
五関 あらすじの続きが気になっていたこともあり、まずは演じることを忘れて小説のように読み進めたのですが、急展開していくストーリーにどんどん引き込まれました。登場人物たちが複雑に絡み合っているんですよ。なるほど、そういうことか、と最後まで気持ちが途切れることなく読み終えることができました。観にきてくださった方々に、僕が作品に引きこまれた感覚をそのまま味わってもらえたらいいですね。
久保 僕も「この先どうなるの!?」っていう感じでページを捲る手が止まらなかったです。あと、僕は五関くんとは逆で自分のセリフを探しながら読んでいったので、イム・ホジュンの名前が出てくるたびにテンション上がってました(笑)。
五関 その気持ちも、わかるよ。
和田 僕は台本をざっと読んで、ドラマを見て、また台本に戻ったんですけど、ぐちゃぐちゃに絡まっている紐の塊を少しずつ解いていくような感覚になれました。あと、これはいつもやっていることなのですが、台本を読んで受けた自分の役に対する印象をスマホに打ち込んでいきました。
五関 へ~、ちゃんと役作りしてるんだね。
久保 和田くんカッコいい! って初めて思いました。
和田 初めてかよっ(笑)。感覚的にひらめいた言葉をつらつらメモしていくだけなんですけど、一番最初に書いた言葉が「低反発ベッド」でした。
久保 なにそれ!
和田 押されたら押された分だけ変形するけれど、時間が経ったら元の形に戻ろうとする。つまり周りの影響を受けまくってはいるけれど、芯は持っている青年なんだという印象を受けました。
――五関さんは和田さんが演じるペク・ヒソンの名を借りて生きていくわけですが、今のお話を聞いて、どう思われましたか?
五関 睡眠を大事にしている子なんだなと思いました。
久保 「低反発ベッド」の話ですか!(笑)
和田 ワハハ!
五関 ト・ヒョンスは18年もの間、ペク・ヒソンと偽って生きてきた。あらすじを読んだ段階では、その理由は自分本位な悪意から生まれたものではないかと予想していたんです。それが台本を読んで本当の理由を知った今なら、和田の言った「低反発ベッド」の意味も、なんとなくわかります。
――あらすじから受けた印象と、最後まで読み切った印象がガラっと変わったというわけですね。
五関 変わりましたね。過去の殺人事件の真相に迫っていくハードなサスペンスでありながら、究極のラブストーリーでもあるんです。愛を知ったことで彼の計画に綻びが出る。同時に、人として成長もしていく。ここがただのサスペンスではないところで。さらに妻の職業が事件を追う刑事だという設定も、物語をさらに面白くしています。僕も稽古を通して、妻であるチャ・ジウォンを演じる海乃美月さんを始め、魅力的な共演者の皆さんからたくさん影響を受けて、受けた分だけ形を変えて、例えるなら「低反発ベッド」のように演じていければ。
久保 五関くん!それ、和田くんの言ってたやつです!
和田 いや、もしかしたら、すでに五関くんの中にペク・ヒソンが入ってるのかもしれない…!?

――これまで鈴木さんとお仕事をされたことがあるのは和田さんだけですね。
和田 2022年の初主演舞台で、スズカツ(鈴木)さんには大変お世話になりました。
五関 それにしては、再会した時にすごく緊張してたよね?さっき僕がスズカツさんとお話していたんですよ。A.B.C-Zは僕以外、みんなお世話になっていたのでメンバーの話をしたり、和田と久保の話にもなって。そしたらスズカツさんから「俺は稽古場では絶対に怒らない。そんな俺が唯一怒ったのが和田だ」と聞いたところに、和田がとんでもない低姿勢で現れたもんだから、思わず笑っちゃいました(笑)。
久保 怒らない人に、なんで怒られたんですか?
和田 スズカツさん、芝居の上手い下手では本当に怒らないです。おそらく当時の僕から前向きな姿勢が見られなかったんだと思います。でも、最終的にはめちゃくちゃ褒めてもらえたんです!スズカツさんのおかげで舞台もお芝居も大好きになれました。大恩人です。
五関 そうそう、それも聞いたよ。今回の役を任されたことで、今は絶大な信頼を受けているってことがわかる。これでまた今回の稽古場で怒られたら、それはそれで面白いけど(笑)。
和田 そうならないためにも、成長したところを見せられるよう、全力で頑張っていきます!
久保 僕もさっきスズカツさんにご挨拶させていただいたら、「自由に演じていいよ」って言ってもらえたので、原作を守りながらも自由に自分を出していきたいと思います。
五関 僕もスズカツさんの演出に身を委ねます。
――最後に公演への意気込みを!
久保 久保廉として独り立ちして、初めて出演する舞台になります。原作がある舞台も初めてだし、五関くんと和田くんとガッツリ組ませていただくのも初めて。初めて尽くしの作品になりますが、自分にできることをひとつでも多く見つけながら、複雑な物語を支えられるようなお芝居を目指します。
和田 偉大な先輩である五関くん、後輩の久保廉、素晴らしいキャストの皆さんに、ひとりの演者として張り合えるように全力で頑張っていきたいと思います。応援よろしくお願いします。
五関 非常に複雑な人間関係と過去を背負ったストーリーですが、絡み合った糸が解けた時の気持ちよさや、心が温かくなるシーンもあって、見終えた時の満足感は必ずお約束します。スズカツさんが原作ドラマの脚本家ユ・ジョンヒさんと相談しながら書き足した舞台のオリジナルシーンもあるそうなので、原作ファンの方にも新たに楽しんでいただけると思います。ぜひ劇場に遊びに来てください。
スタイリスト:ゴウダアツコ
ヘアメイク:中原雅子(My Miracle)
撮影:川面健吾
テキスト:瀬尾水穂
