舞台『十角館の殺人』|梅津瑞樹&中屋敷法仁 インタビュー

©綾辻行人・講談社/舞台「十角館の殺人」製作委員会

傑作ミステリ小説の舞台化!
中屋敷×梅津が挑む謎

絶海の孤島で繰り広げられる連続殺人と衝撃の結末……。日本ミステリ界の巨匠・綾辻行人のデビュー作であり、“新本格ムーブメント”を巻き起こした傑作『十角館の殺人』が舞台化される。脚本・演出は、原作からオリジナルまで幅広く作品を手がける中屋敷法仁。主演は、脚本やコラムといった執筆業にも定評のある俳優・梅津瑞樹が務める。

中屋敷 ミステリが大好きでミステリ作家にもずっと憧れを持っていました。僕は読者を意識して緻密に文章を作ることがどうも苦手で、劇作家になっているのですが(笑)。綾辻先生はご自身が“ミステリオタク”であることを存分に発揮されている。作中にふんだんに入れ込みながらも、それを超えるトリックやドラマを作るのだという野心を感じて、小説を読んでいる間中ゾクゾクしていました。

梅津 僕もミステリを書きたいと思ったことは何度もあるのですが、いろいろと読んでいる分、どうしても何かの模倣になってしまって。今作について“どうすると思いますか?”ってよく聞かれるんですけど、それが思いついたら自分でやっているよっていう(笑)。この小説をどう舞台化するのか、全く想像できずにいます。

中屋敷 演劇はレイヤーを重ねられるので、舞台でしかできない情報の重なり方をしていくと思います。僕は基本的に脚本が全てだと思っているのですが、今回は演出プラン優先で進めていこうかなと。原作が面白いので書き足しや削るのではなく、この空間をお客様にどうやって見せていくのかを考えていますね。

主人公・島田 潔は事件の謎を追っていく人物だが、独特の立ち位置でもある。

中屋敷 不思議な存在ですよね。観客目線というか、司っているようでいてミスリードもするし。その上、とてもビターな謎解き。掴みどころがない役を掴まなきゃいけない梅津くんは、ストレスが溜まらないか心配です(笑)。

梅津 確かに生身の人間がその場で発する感情の発露は演劇の醍醐味ではあるものの、掴みどころのない島田は、そうした表出が極めて薄いですね。それでいてとても自由に動いていて。人に鎌をかけたりもしますが、また勝手にどこかへ行ってしまいますし。

中屋敷 探偵だったら仕事だし、警察官なら正義感でやっているから分かりやすいんだけど。島田は誰に頼まれたわけでもないから、ちょっと変態だなって思う(笑)。舞台で梅津くんの演技を見ていて、(観客に)掴ませるのが上手な方だなという印象があったのですが、島田に関しては掴ませたらいけないような気もしています。でも読者と並走していた彼の飽くなき探究心が、やがて読者を飛び越えていってしまうところが面白さだと思いますので、梅津くんにもワクワクしてもらえるように作っていけたら!

開幕は横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホールにて。中屋敷はセンターステージでのプランを構想中。

中屋敷 十角館はその閉塞感の中に、あらゆるミステリのリッチな要素を宝箱のように詰め込んでいる。それがどんどん弾けていくようなモチーフを一個作り出せたらいいなと。でも最終的には僕の細かいトリックより、俳優さんが魔法使いになれば全ては解決するんです。俳優さんたちがさらに膨らませて、原作の素敵なトリックを見せてくれると思っています!……全部ぶん投げましたね(笑)。

梅津 犯人役の俳優には、ぜひ魔法使いになってもらいましょう!こうしてお話をお聞きしても尚、謎は深まる一方です(笑)。それは皆様も同様かと思いますが、期待値もさらに膨らんでいるのではないかと思います。必ずご期待に沿えられるよう頑張ります。

インタビュー・文/片桐ユウ
Photo/篠塚ようこ
ヘアメイク/櫛引桃奈

※構成/月刊ローチケ編集部 4月15日号より転載
※写真は誌面と異なります

掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
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【プロフィール】

梅津瑞樹
■ウメツ ミズキ
代表作に舞台『刀剣乱舞』シリーズ、ミュージカル『薄桜鬼』シリーズなど。演劇ユニット「言式」の脚本・演出も手掛ける。

中屋敷法仁
■ナカヤシキ ノリヒト
劇団「柿喰う客」代表。舞台『ワールドトリガー the Stage』ほか、2.5次元舞台の演出・脚本も数多く手掛ける。