写真左より)田村心、梅津瑞樹、小西成弥
綾辻行人による日本ミステリ小説の金字塔『十角館の殺人』が、主演・梅津瑞樹×脚本演出・中屋敷法仁のタッグで初の舞台化。2026年5月に横浜・名古屋にて上演される。
原作の大ファンを公言する梅津が島田 潔、小西成弥がその相棒となる江南孝明を演じる。十角館を訪れるミステリ研究会のメンバーにはエラリイ役の田村 心をはじめ、皇希、益永拓弥、岡部 麟、永田紗茅、高野渉聖、砂川脩弥、十角館を設計した天才建築家・中村青司役には中村誠治郎が名を連ねた。
今回は島田を演じる梅津、江南を演じる小西、エラリイを演じる田村にインタビュー。舞台化に向けて高まる期待を賑やかに語ってもらった。

――本作への出演が決まってのお気持ちからお聞かせください。
梅津 本当に大好きな作品です。中学生の頃に原作に出会って、登場する名だたる推理小説作家さんの名前をまず調べました。そこから古典ミステリ作品に触れるようになったので、まさしくミステリへの門戸を開いてくれた作品です。その舞台化作品への出演ということで、こんなに光栄なことはない。中学時代の自分に「こんな未来が待ってるんだよ」って自慢したいぐらいですね。
小西 僕は今までミステリ作品にあまり触れてこなかったので、原作を読んで「ミステリってこんなに面白いんだ!」と。ハマるきっかけになりそうです。
田村 お話をいただいたときにキャストの顔ぶれを見て、すごくワクワクしました。ご一緒してみたかった梅津さん、よく知っている成弥さんもいて。この2人が真ん中に立つなら、自分もそこに入ってみたいと思ったので、楽しみにしていました。
――台本を拝見しましたが、あのボリュームの原作をこういう形にするのかと驚かされました。台本を読んでみていかがでしたか?
梅津 原作のどこがカットされているかわからないくらい、本当に違和感がなかったですね。
田村 たしかに。
梅津 映像化不可能といわれるなかで、ドラマ版も配信されていましたが、やっぱり映像と舞台は別物。じゃあ舞台ではどうトリックを見せていくんだろうと台本を読んだわけですが、「なるほどね」と。
田村 そう!
小西 あ〜わかります!
梅津 観てのお楽しみなんですが、こう見せるのかと(ニヤリ)。原作ファンからしてもワクワクしましたね。
小西 梅津さんがおっしゃったように、「そう表現するのか!」というポイントがたくさんあって。台本を読んで、改めて舞台化の意味があるなと感じました。僕としては、梅津さん演じる島田との二人芝居になってくるので、そこが楽しみです。
田村 僕ら島チームはプレ稽古が始まって本読みをしたんですが、やしきさん(中屋敷法仁)は多分ト書きが全部頭に入ってるんですよ。
梅津・小西 もう!?
田村 びっくりじゃない? まだ本読みなんだけど、「エラリイはこういう理由で、こういう言い方がいいと思う」と全員分スラスラ出てきて。その熱量を受け取って、僕もセリフを覚えつつ、改めて原作に立ち返る作業を始めました。
小西 待って、もうセリフ覚え始めてるの?
梅津 ……ね、僕もいまそれ思った。
田村 いや、今回まじで怖くて。セリフ飛んじゃう未来がちらついてるの(苦笑)
小西 心くんは絶対大丈夫だから(笑)! にしても、島チームの稽古の進みがはやくて今、焦ってます。
梅津 だよね(苦笑)。別作品の本番中だけど、今日帰ってから台本読もうかなと思いました。
一同 (笑)

――プレ稽古が始まってみて、島チームの雰囲気はいかがですか?
田村 まだ全員が揃ったわけではないんですが、個性豊かなメンバーが集まっていて、これから稽古が楽しくなりそうです。まあ、誰よりも、やしきさんが一番楽しそうでしたけど(笑)
梅津 僕らは2人なので、稽古場での孤独に耐えられるかどうか……。
小西 そうですね。ちょっと寂しい。稽古場の端っこから、楽しそうな島チームを眺めているかも。
田村 それ取材前にも言ってたけど、2人はメインキャストなんだから絶対稽古場の真ん中に席ありますからね!
梅津・小西 (笑)
――今回の役で挑戦したいことや、やりがいとなりそうなところはどんな部分でしょうか?
梅津 原作は「新本格」として日本ミステリ小説の分岐点ともいわれますが、それは読者に対してフェアであること、つまりちゃんと一緒に推理できるというのが前提条件としてあるのかなと。そこは舞台でもできたら楽しそうですよね。役に関しては真意のわからない役を演じるのは演じがいがありそうだなと思っています。
小西 原作での江南は熱しやすく冷めやすいとも書かれていて、だけどきっと島田と出会ったことで一連の出来事に関しては冷めることなく追っているのかな。真っ直ぐな部分がありながらも、多面的なものを持っている人物だと思ったので、稽古のなかで彼のいろんな一面を見つけて演じられたらいいなと思っています。
田村 エラリイは掴みどころがなくて、難しい役だなと。島でいろんなことが起きるなかで、一見するとずっと冷静なんです。その冷静さにも理由があって、彼は知的であることにこだわっている。冒頭のセリフにもあるんですが、「知的は遊びにゆとりを持てる態度」といった話をしているんですね。だから、ゆとりを持つことで自分を保とうとしているのではないか、あるいは、遊びにすることで現実から逃げてるのではないか。そういうのを今考えたりしているところです。エラリイの冷静さをどう表現するか、模索しています。
――島田とエラリイはどちらも探偵役です。お互いに意識する部分はありますか?
梅津 どちらも真実に迫っていくけれど、役としては島田のほうが別の場所にいる余裕があるのかな。なので、島チームのみんなをニヤニヤしながら見れたらいいなと思います。
田村 梅津さんの探偵ってイメージできるんですよ。でも、僕はそのイメージが自分に対しても全然浮かんでこなくて。島田もエラリイも探偵ですが、「どっちの探偵もよかったね」と言ってもらえるような探偵になるよう梅津さんを追いかけていきたいですね。
梅津 いやいやいや。
田村 最終的には「田村、生き生きやってるな」と思ってもらえたら勝ちかなと思います。

――では、舞台ならではという部分で本作に期待することとは?
梅津 やっぱり臨場感がもたらす生感が大事なんだろうなと。目の前で人が殺されて、誰かを疑っていくわけですから。なんだったら誰かが殺されるシーンで血糊をバーっと客席にぶちまけてもいいかもしれないですね。
小西・田村 (爆笑)
梅津 観客の皆さんにはレインコートを着てもらって。
田村 4DXだ。いいねぇ、おもしろい(笑)
小西 その方向のリアルか~(笑)
梅津 無理にこっちに寄せなくて大丈夫だからね。
小西 ふふ。
田村 でも実際、親和性はありますよね。無人島での事件を、閉鎖的な劇場で観るというのは。
小西 劇場のドアのところにチェーンを巻いて鍵かけちゃうとか。
梅津 いいね。出られない空間だ。
田村 トイレにも行けないし、遅れてきたら入れない(笑)。出られないってわかると人って出たくなるから、みんな「早く終わんないかな、出たいな」ってなるかも。
一同 アハハハハ!
――稽古に向けての楽しみな気持ちが伝わってきました。最後に、公演を楽しみにしている読者へのメッセージをお願いします。
田村 原作を読んでから観た方がいいのかという質問をいただくのですが、僕は「どっちでも楽しめるよ」と答えています。本当にいろんな人に観てほしい作品です。劇場で生の心理戦を楽しんでもらえたらと思います!
小西 舞台でしか表現できない「十角館の殺人」になっていると思います。どんな演出になるのかという部分も含めて、楽しみにしていただけたら嬉しいです。
梅津 皆さんも楽しみにしていただいていると思いますが、誰よりも僕自身がこの公演を楽しみにしています。一点だけ言うとするならば、ミステリ作家の名前をちょっと知っておくといいかもしれないですね。そこを知っていると、ニヤリとできるかもしれません。とはいえ、これだけのメンツが集まったので、手放しで楽しんでいただける作品になると思います。劇場でお待ちしています!
取材・文・撮影/双海しお
スタイリング/MASAYA(PLY)
ヘアメイク/北崎実莉(田村 心) KOMAKI(梅津瑞樹) 三輪千夏(小西成弥)
<衣装協力>
梅津瑞樹
リング(A Man/ILLNA)
その他スタイリスト私物
小西成弥
スタイリスト私物
田村 心
スタイリスト私物
