【連載】『FUN HOME ファン・ホーム ある家族の悲喜劇』大原櫻子 インタビュー

記憶を遡り再生する家族愛の物語で魅せる渾身の演技

トニー賞主要5部門を獲得した最新ブロードウェイミュージカル『FUN HOME』が日本初上陸する。演出は緻密な舞台作りで注目の気鋭の小川絵梨子だ。アーティストとして活躍しながら舞台経験も積んできた大原櫻子の出演が決まった。

大原「実はお話をいただく前にトニー賞授賞式の中継を見て心に刻まれていました。冒頭の歌からグッと惹き込まれ、父の自殺や同性愛とテーマは濃いけど、ミュージカルらしいショー的要素も楽曲も素晴らしい。なんて魅力的な作品だろうと思っていたら出演できることになり、強いご縁を感じるんです」

 

主人公のアリソンは3つの時代を行き来する。自殺した父と同じ年になった大人と、記憶の中に蘇る大学生と小学生。大原が演じるのは、自らの同性愛をカミングアウトした大学時代。父から強く影響を受けながらも激しくぶつかり合う時期だ。

大原「一番強烈な時代を演じるんだなと思いました。セリフにも“自分が誰だかわからない”とありますが、(物語として)もっとも変化が見える時代だから、アリソンも怖いだろうけど、わたしも怖いなと思って」

 

今回の役は自身ともほぼ同世代。

大原「この年頃って、責任を持ちたいし、責任放棄してやんちゃでいたいとも思う。自分は自分なのに、すごく考え込んで戸惑うこともある。その感覚はわかります。葛藤を抱えながらもアリソンはポジティブでかわいらしいんですよ。もし身近にいたら友達になりたい。すごく好きな人です」

一つの役を3世代で演じる点については、「いろんな人の価値観や考え方を共有して一人の役作りをするのが楽しみです。特に大人のアリソンは、わたしを経て生きているわけだから、どんな大学時代だったと思います?と瀬奈じゅんさんに聞きたいです」と話す。

 

父の死を通して見つめ直す家族の愛の物語を、彼女はどう演じるのか。

大原「“父と完璧に似ている”“全然似ていない”と相反するセリフが印象的で。うちは父と仲がいいのでこの親子とは違うけど、共感しました。好きと拒否が混在しても、根底では死ぬほど愛しているんだろうと思うから、そこを大事に演じたい。小川さん演出でどれだけ濃厚になるんだろう!?子供たちにも見てもらえる夢のあるミュージカルにしたいです」

 

インタビュー・文/丸古玲子
Photo/慎芝賢

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※構成/月刊ローチケHMV編集部 12月15日号より転載

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【プロフィール】
大原櫻子
■オオハラ サクラコ ’96年、東京都出身。実力派歌手であり、映画・ドラマ・CMでも活躍する女優。舞台出演は4作目。

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