ミュージカル『AGATHA(アガサ)』 花總まり&黒羽麻璃央&渡邉蒼 インタビュー

“ミステリーの女王”アガサ・クリスティが失踪した実話をもとに、11日間の失踪の謎を追う韓国発のミュージカル『AGATHA(アガサ)』。韓国では繰り返し上演されている本作が、2026年についに日本初上陸する。

アガサ・クリスティとして日本版主演を務めるのは、花總まり。さらに、黒羽麻璃央渡邉 蒼上原理生原田優一東山光明内田未来丸山泰右保坂知寿という実力派キャスト9名が集結し、演出・上演台本・訳詞を末永陽一が手がける。

今回は主演の花總まり、アガサに深く関わるロイ役の黒羽麻璃央、レイモンド役の渡邉 蒼の3名にインタビュー。役へのアプローチや互いの印象などを聞いた。

――皆さんが演じる役についてお聞かせください。現段階で役をどう捉え、どうアプローチしようと考えていますか? まずは花總さん、実在するアガサ・クリスティを演じます。

花總:アガサ・クリスティさんの自伝もありますが、私は読まないまま作品に取り組んでいます。私より周りの方が自伝を読んでらっしゃるので、それを聞いて「ふんふん、なるほど」なんて思いながら(笑)。“ミステリーの女王”としての皆さまのイメージは壊したくはないなと思いつつ、セリフや演じ方については演出家の末永さんと相談しながら作っていこうかなと。晩年と若い頃、2つの時代を行き来する形になるので、そこを自分なりに楽しみながら、アガサ・クリスティという人物を作っていけたらいいなと思っています。

――黒羽さん演じるロイは謎の男ですね。

黒羽:謎の男なので言えることがあまりないんですが(苦笑)、本当に突然出てくる、誰もが「こいつは一体何なんだろう?」と思う存在です。物語が進むにつれて、ロイがどういう存在なのかが紐解かれていきますが、それが分かるのが割と最後の方なんですよ。

花總:かなり最後の方ですね。

黒羽:そうですね。しかも、ロイはアガサが失踪しないと本格的に動き始めない役なので、実は稽古も僕の出るシーンはまだなんですよ(苦笑)。

花總:とにかくミステリアスさが大事な役ですね。

黒羽:はい。公式サイトに書かれている通り、「ミステリアスな男」です(笑)。

――レイモンドを演じる渡邉さんは、13歳から40歳まで、幅広い年齢を演じるとのこと。

渡邉:そうですね。でも、13歳とはいえすごく賢い子で。この作品自体がミステリー小説のようなストーリーで、レイモンドはアガサ・クリスティ作品でいうエルキュール・ポアロ的な役割かなと思っています。セリフにもあるんですが、レイモンドって「賢くあるけど完璧ではない」って言われているんですよ。そこを大切に作っていけたらいいなと思っています。稽古では、13歳のレイモンドの初登場時のセリフに関して、末永さんが「お客様に何かを与えられる人であることをここで見せてほしい」とおっしゃっていたんですが、それは多分、同時にレイモンドからアガサに対しても与えていかないといけないということでもあって。もちろん、アガサからレイモンドがもらうものもいっぱいあるので、花さんとの関係性を稽古のなかで深くしていけたらいいなと思っています。

――お互いの印象について、稽古で見えてきた役と絡めてお聞かせください。花總さんから見たお二人の印象はいかがですか?

花總:麻璃央くんは結構ピッタリじゃない?

黒羽:本当ですか!? 僕って謎ですか?

花總:謎というか、二面性の部分かな。ロイもミステリアスだけど、アガサには違った一面を見せてくれるじゃない。麻璃央くんは共演した『エリザベート』でのルキーニ役のイメージが強かったけど、実際こうしてお話してみるとすごく爽やかで好青年で。

黒羽:アハハハ!

花總:いろんな顔を持っているんだなっていうところが、少しロイと重なるのかな。蒼くんは、とっても少年っぽくて、玄人揃いのキャストのなかでとても新鮮だし、この作品のなかのレイモンドだなって感じがします。二人ともとってもぴったり。

黒羽:まだ僕は本格的に稽古に参加していないんですが、現時点ですでに花總さんのアガサの説得力を感じています。ロイはアガサに密接に関わる存在なので、どうしたらこのアガサに影響を与えられるのかっていう部分が、自分の課題になっていくのかなと。先ほど、二面性があると言っていただきましたが、それは花總さんもそうだなと思っていて。アガサを演じて戻ってくると、ほわ~んとされているんですよ(笑)。それが素敵だなって思っています。

花總:ふふ(笑)。

黒羽:蒼くんは、もうぴったりですよ。本当にびっくりするくらい少年で、自然発光しているというか。

花總:ちょっとびっくりするよね、こんな少年な人って出会ったことがないかも。

黒羽:本当は何歳なんですか?

渡邉:21歳です。

黒羽:若いのは若いけど、この少年感を持ってレイモンドができるのは、舞台界でNo.1じゃないかと。40歳としての佇まいもすごく観ていて面白いし。好青年すぎて、変な大人に捕まらないでほしいなって思います(笑)。

渡邉:ありがとうございます(笑)、嬉しいです。ロイは世間からの批判とかと戦っているアガサを救い出しているというのが1幕での印象で。それは麻璃央さんそのものという感じがします。「大丈夫だよ、なにかあっても僕がいるからね」っていう包容力のある方だなと思うので、そういうところはそのまんまだなって思います。

黒羽:(笑)

渡邉:花さんは、本当にアガサ・クリスティだなって思いながら接しています。僕にとっての花さんは、凛とした一輪挿しの花のイメージで、それはアガサにも通じるなと感じていて。花さんがアガサとしていてくださるだけで、自然とレイモンドが作り上げられていく感覚があって、それを「ありがとうございます」と思っています。

――アガサの11日間の失踪という題材にちなみ、皆さんは11日間自由に過ごせる時間があったら何をしたいですか?

花總:11日間もあったら、それはもう海外逃亡でしょう(笑)! 南の島に行きたいですね。

黒羽:僕も海外旅行ですかね。スイスに行って景色を見たいです。

渡邉:僕は旅行に行くと、東京に帰ってきたときに悲しくなっちゃうので…(苦笑)。だから11日間あるなら、燻製とか何かを漬け込むとか、時間をかけた料理がしたいですね。3日で終わっちゃうかもしれないけど、家でなにかをじっくりやりたいです。

花總:え~面白い(笑)。失踪先は家なんだね。

――では最後に、主演の花總さんから公演を楽しみにしているお客様へのメッセージをお願いします。

花總:史実をもとにしながらも、まるで推理小説のような、とってもよくできた作品で、ぜひ多くの方々に観にきていただきたいです。おそらく、二度三度観ると、たしかにここでこんなことを言ってたわとか、ここを見逃していたわとか、観れば観るほどのめり込める作品だと思います。私たちも頑張りますので、ぜひ皆様観に来てください。

インタビュー・撮影:双海しお