「東京ポッド許可局」ジャパンツアーで初の大阪公演開催! マキタスポーツ、プチ鹿島、サンキュータツオ インタビュー

TBSラジオの人気番組「東京ポッド許可局」が開催する“ジャパンツアー2019”が発表され、ファンの間で大きな話題となっている。理由は場所が“大阪”であるということ。というのも大阪で番組は放送されておらず、知名度はゼロにも等しい状況であるからだ。しかも、公演場所の松下IMPホールは800人ものキャパを誇る大会場というのもハードルが高い。いったいなぜこのタイミングで大阪公演を行うのか? レギュラー放送の収録を終えたばかりの3人に話を聞いた。


――大阪公演決定おめでとうございます! とはいえ公演をやるにはかなりの葛藤があったとか?

タツオ「大阪はやっぱり鬼門です。なにしろ地元の番組が強すぎて、〈東京ポッド許可局〉の放送がされていないんですから。だけど避けては通れない場所ではありますからね」

鹿島「どうせツアーに出るならやっぱりネットしていただいている県や、可能性がある場所へ行こうと、これまでは金沢や札幌、福岡へ行っていたんです。なので、遂にここで大阪へ行くかと」

マキタ「ネットしていないところへ行くというのは勇気がいりますよ。しかもこっちは(番組名で)〈東京〉って言っちゃってるし」

タツオ「その問題ね、それはありますよ。〈なんだ? 東京?〉ってなりますよね。だけど、大阪に住んでいる人のなかでも、なんでもかんでもオチをつける風潮が嫌だなって思っている人が少しはいると思うんですよね」

マキタ「そうそう。絶対にいるよ」

タツオ「この番組は、クラスの一割くらいいる少数派の気持ちを大事にしたいというところではじまっているので、大阪でアンテナを張っていらっしゃる人がいる可能性に賭けたい。大阪にもヤクルトファンや横浜ファンはいますからね」

鹿島「むしろそういう人たちって強いからね」

マキタ「どこでも少数派の人はいるけど、大都市はその割合が多いと思うんですよ。そこに賭けたいね」


――TBSラジオを聴いている人にとってはお馴染みの〈東京ポッド許可局〉なのですが、まったく知らない人も多いと思います。そもそもどんな集まりなんですか?

鹿島「僕らはほぼ同じ世代で、新人時代からライブ終わりにファミレスとかでよく集まってたんです」

マキタ「それが20年前くらい? ファミレスやルノアールでずっとダラダラ喋ってたんだけど、10年位前にそこで話している他愛のない会話を〈東京ポッド許可局〉としてポッドキャストにアップしはじめたんです。最初はネットだけだったのが、どんどん聴いてくれる人が増えてきて、今は民営化してTBSラジオで放送しています」

タツオ「鹿島さんはよく、僕らのことを“ネットが生んだ怪物”って言ってますけどね」

鹿島「いや~ホントね、僕ら今でこそ億ションに住んでますけど、昔は……」

マキタ「住んでないよ! 慎ましいとこに住んでるよ!」

鹿島「住んでないっすね。まあ、当時の僕らは仕事がなかったので自活するしかなかったんですよ」

タツオ「ユーチューバーみたいなものだったんじゃないですかね」


――なるほど。自分たちだけで発信していたものが、どんどん大きくなっていって、TBSラジオで番組を持つようになったというのも凄いですよね。

マキタ「当時はみんな仕事がなかったし、我々のような喋りをする場所もなければ、番組もなかったので、お金をかけずに発信できたポッドキャストは我々に向いていたんでしょう。でも、最初から喫茶店で淡々と喋っている感じのままやろうっていうノリでした」

タツオ「目先のお笑いには飛びつかないようにしようとは話してました。とにかく喋りたい話を掘り下げようということでやってましたから。でも、ポッドキャストをはじめて3年目くらいで2000人くらいを集めるイベントをやっていたので、やはりユーチューバーみたいな存在に近かったんでしょうね」


――目先のお笑いに飛びつかない感は今と変わりませんね。淡々と3人のフリートークを楽しむスタイルは昔からだったんですね。

マキタ「今のままですね。とはいえ、熱量はあったと思います。ノリは変わらないけど、熱く喋っていたとは思いますよ。ただ、この前、番組でチルアウト論(★)って話をしたんですが、濃い味付けや凝縮したお笑いを好きな人がいる一方で、薄い味を好む人も増えてるんじゃないかと。僕らも年齢を重ねることでそういう気持ちになってきていて、いつの間にか、チルアウトしている気がします」
(★)…過去の放送は、ラジオクラウドで聴取可能(要ユーザー登録)。
第310回「チルアウト論」 https://radiocloud.jp/archive/tokyopod

タツオ「情報化社会のエアポケット的なね。〈東京ポッド許可局〉って、大手チェーンのコンビニエンスストアやファミレスじゃなくて、町の蕎麦屋に近い存在なんですよね。意外とみんな蕎麦屋が好きだったっていう」

マキタ「僕らはマニアックな話をしているようですけど、案外、間口は広いんですよ。〈ふんふん〉って聞いているうちに3人の知見によってなんだか凄いところにいくっていう。まあ、フリートークだからどこに転がるかわからないまま話しているんですけど」

鹿島「どこに転がるかまったくわからないですからね。チルアウト論って何? ってところからはじまりますから。蓋をあけてみないとわからないからこっちは準備のしようがない」


――フリートークで何が起こるかわからないっていうのはドキドキしますね。

タツオ「基本、当日喋りたいことを喋るので、何も決めずに行きます。今度の大阪公演も何も用意しません。ただ、せっかくの大阪なので、お笑いの話はしたいですね。たぶん、よしもと以外の芸人さんがお笑いの話をするって場は貴重だと思いますので」

マキタ「なるべく健康体で当日を迎えようと思うくらいです。どんな話題が来てもいいように、感性をビリビリにさせておく。ドキュメンタリー性があるほうがお客さんも楽しめると思うし」

タツオ「お笑いって作り込まれたネタをおカネを払って見に行くって価値観があると思いますけど、僕らは当日までなんにもしません」

鹿島「当日の新幹線で感じたことで78%くらい占めますから」

タツオ「そうね。寿司屋に行ってお任せ握りを頼むようなものです」

鹿島「同じ公演をもう一度やれって言われても絶対にできないですからね。僕らもその1回を楽しみます」


――前回のツアーでは、“コーヒーに合う食べ物”についてお客さんも交えて盛り上がりましたが、今回もなにか盛り上がるネタが出てくるんでしょうか?

鹿島「公演が8月なので、それまでに何か出てくるんでしょうね。それが盛り上がって大阪ではそれをやろうってことになるかもしれないし。ちょっとでも気になる人は是非、遊びにきて欲しいですね」

タツオ「ライブっていうのはプレゼントであるべきだと思うんですよね。何をやるかわからないっていうドキドキも提供する。だから事前にプレゼントの中身は言わない。なにしろ当日あるものでプレゼントを作るので。まあ、そんな公演に4000円を払える人が大阪にどれだけいるのかって挑戦ですね」

鹿島「満足してもらえるという自信はありますよ」

タツオ「鹿島さんが、がんばるそうです」

鹿島「4100円分くらいは返しますよ!」

タツオ「100円しか得しなかった!」


――少しでも「東京ポッド許可局」が気になっている人は行ったほうがいいですね(笑)。

鹿島「大阪がひとつのポイントであることは間違いありません」

タツオ「すべてがかかっていますからね」

マキタ「俺たち、余裕こいているようでそうでもない。東京は盤石っていったらおかしいですけど、一定の支持者が居てくれるのはわかっていますから、地方がね……」

鹿島「小沢一郎にとっての岩手みたいなね」

マキタ「横須賀の(小泉)進次郎とかね」

タツオ「今後もいろいろなところへ行きたいんで大阪に来てください」

鹿島「大阪の人って新しいものとか変わったものに対する感度が高い人が多いと思うので、なんだこれ? 観に行ってみるかって思って貰えると嬉しいです」


――まずは8月の大阪公演ですね。今後のツアーも楽しみにしています。今日はありがとうございました!

 

インタビュー・文/高畠正人
写真/ローソンチケット