2017年にブロードウェイで上演されたヒットミュージカルが、いよいよ日本でも上演される。主人公のアーニャを葵わかな、木下晴香のダブルキャスト、アーニャとともに旅をすることになる青年・ディミトリには海宝直人、相葉裕樹、内海啓貴のトリプルキャストで出演するほか、山本耕史、堂珍嘉邦、遠山裕介、大澄賢也、石川禅、朝海ひかる、マルシア、堀内敬子、麻美れいといった豪華な顔ぶれが揃うことになった。本国のクリエイティブスタッフで上演される日本初演の「アナスタシア」に挑む、ディミトリ役の相葉に、その心境を聞いてきた。
――ご出演が決まった時はどのようなお気持ちでしたか?
相葉「日本初演版の「アナスタシア」にディミトリ役で出演できることになって、本当に光栄に思います。オーディションの結果を待つ間に「アナスタシア」への想いがどんどん強くなっていったので、決まったとお返事をいただいたときには本当に嬉しかったです。作品を知れば知るほど、楽曲を練習すればするほど、ディミトリとして舞台に立ちたいなという気持ちでした」
――どんなところに魅力を感じられたのでしょうか
相葉「楽曲の素晴らしさももちろんですが、視覚的にも素晴らしい作品で舞台装置も豪華で衣装もきらびやか。ストーリーも暗い過去がある話なんですが、ディミトリは逆境の中で生きてきて、アーニャとの出会いで愛を知って彼自身も成長していくんです。自分がディミトリを演じたらどうなるんだろう、新しい景色が見えるんじゃないかと思いました。だからこそ、挑戦したいという気持ちが強くなったんです。自分個人としてもステップアップしたいという気持ちがあったので、この役をやり遂げたときにまた違ったところに行けるような…連れてってくれるんじゃないかというワクワクや期待がありますね」――演じられるディミトリはどんなキャラクターだととらえていますか?
相葉「孤児で恵まれた環境にはなく、詐欺師として生きていく中で殴られたり蹴られたりしながらも、それでも立ち向かって、自分の人生に抗ってきた青年です。ただただひねくれているニヒルなキャラクターというわけではなく、どこかまっすぐ芯が通っていて、どこかピュアで。アーニャに対する愛に目覚めて、この作品の中でどんどん変化して、成長していきます。いわゆる王子様キャラではないんですが、情熱的で愛嬌もあるんですよね。とても幅のあるキャラクターだと思います」
――こんなふうに演じたいというビジョンはありますか
相葉「クリエイティブスタッフの方には「裕樹にはこの役がぴったりだよ」と言っていただけているんです。オーディションでこの役を得たという自信もあります。自分の直感、感性を信じたい気持ちもありますし、自然と出てくるような表現を大切にしていきたいですね。これからさらに作品のことを勉強して、役を掘り下げていって、来年からの稽古に臨みたいと思います。自分からにじみ出てくるものを、今回はしっかり信じたいですね。そこと役をうまくリンクさせることができれば、日本版「アナスタシア」のディミトリになれるんじゃないかな」――舞台の「アナスタシア」をはじめて観たときの印象は?
相葉「アニメ版とはまた違ったストーリーになっていて、ダークな部分もしっかりと描かれています。LEDスクリーンが使われていて、見た目の派手さもありますが、楽曲の豊かさや重厚さなどナンバーごとに伝えたい情景、感情、熱がしっかりと色がビビットに分かれているような印象を受けました。とても心情に乗せやすい、感情が伝わってくるようなメロディで、ロマンティックで壮大で、聞きごたえのあるナンバーが多い印象でした」
――ディミトリ役はトリプルキャストとなっていますが、会見ではその3人での歌唱披露もありました。感想はいかがですか?
相葉「とにかく、ホッとしました。ものすごく緊張しましたし、なるべくなら歌唱披露とか無ければいいのに、って(笑)。稽古前なので、まだまだ課題が何なのかが分からないくらい、課題だらけの状態なので、これからもっと頑張っていきたいと思います。そもそも3人で歌うということが今後ないと思いますし、今回、3人で歌えたのも楽しくて心強かったです。最後のハーモニーも本番では歌うことのないフレーズですし、本当に貴重な経験になりました」――今回、何が一番の課題になりそうですか?
相葉「テクニックの部分になってしまいますが、楽曲が豊かな分、自分に務まるかな、ちゃんとできるかなという気持ちは常にあります。思うようにいかないことの方が多くて、そうなってくると最後はハートなんですよね。どれだけ想いを伝えたいか、というのが役に反映されてくると思うんですよね」
――ディミトリはかなりカッコいい役どころかと思います。カッコよく振る舞うコツはあったりしますか?
相葉「どうなんだろう(笑)。相関図でも“若くてハンサム”ですから、カッコいいんでしょうね、ディミトリって。やはり芯の通った男らしさが今回はもしかしたらポイントになってくるかもしれないです。稽古をやってみないとまだわからないですが、そういう信念を表現することがカッコよさにつながると思います。楽曲でも殴られ蹴られてもこの街が好きだ、ということが歌われていて、それをアーニャに紹介したいという想いがあるんですが、そういう揺るがない部分はカッコいいですよね。応援したくなる、この物語を観ていたくなる部分だと思います。ちゃんと伝わるように、カッコよくやりたいです」
――稽古が始まるととても忙しい日々になるかと思います。そういう中で癒しになるようなものは何ですか?
相葉「お風呂ですね。温泉や、スーパー銭湯に行ってリラックスします。熱いお湯やサウナと水風呂を往復すると、身がキュッと引き締まる感じがするんです。リセットされるんですよね。自宅ではなかなかこだわりようがないので、出来れば毎日行きたいくらい(笑)。タイミングと時間さえ合えば、すぐ行きます!」 ――最後に、作品を楽しみにしている方にメッセージをお願いします!
相葉「視覚でも聴覚でも、直感的に楽しめる作品だと思います。ダイナミックな演出で、時代背景などが分からなかったとしても、わかりやすいストーリーですし、4歳から観劇できます。個人的には、ディミトリが物語の中でどんなふうに成長をしていくのか、注目していただきたいですし、素晴らしい楽曲を存分に楽しんで頂ければと思います!」
ヘアメイク/国府田圭
スタイリスト/Die-co★
衣装協力/ARCHETIPO(アルケティポ)/NOVARESE 銀座(ノバレーゼ 銀座)03-5524-1117
インタビュー・文/宮崎新之