2019年に始動第一弾として、舞台「7ORDER」を成功させた7人組エンターテインメントプロジェクト、7ORDER project。第一弾のスピンオフとして、舞台第二弾「RADICAL PARTY -7ORDER-」が、メンバーのひとり森田美勇人を主演に上演される。森田自らが振付や衣装のプロデュースなどを行い、劇団鹿殺しの丸尾丸一郎と河西裕介が脚本を手掛けた本作。東京公演を目前に控えた森田に話を聞いた。
――舞台第二弾で主演すると聞いた時のお気持ちは?
最初は悩んだというか、舞台の経験が自分としてはあまりなかったので、不安な気持ちもあったんですけど、ここはチャンスだと思い引き受けました。
――今回は振付や衣装などいろいろな部分でプロデュースもしています。どのようなところをこだわりましたか?
すべてにおいて、自分の気持ち、動いた感情、伝えたいことだけを込めて作りました。僕は絵が得意なわけではないし、何が得意?って聞かれても自分でも言えないくらいなんです。でも今回のキャストのために、こういうことがしたい!と思ったことを創り上げていった感じですね。自分の気持ちが動いたことを見逃さず、すべて形にしたようなイメージです。
――プロデュース部分はどんなふうに進めていったんですか?
キャストに会う前、脚本を読んでまず、絵からはじめました。作品で感じたことを絵に落とし込んでいったんです。そのあと、ライブペインティングをする機会があって。みんなにも会って、稽古をして感じたことや、お互いのコミュニケーションで生まれたものを詰め込んでいきました。あとは、僕の自己紹介のような部分もあります。気持ちとしては、シンプルな気持ちでできたように思います。だから作り始めてからは、意外と無心でした。配置やバランスはすごく考えたりしましたが、内容的な部分はやってみたらすごくシンプルでしたね。
――制作過程は大変だった?
楽しかったですよ。自分で終わりを作るものでもないので、どこが終わりなんだろ?という気持ちはありましたが、期限があってそこまでにできることをやりました。もし期限がなかったら、いろんなところがまた気になったり浮かんだりとかして、きっと終わらないタイプなんだろうな(笑)。絵とかも、もうちょいこうしたいな、とかずっと思い続けながらやっていたんです。一度は完成!って思っても、次の日にもうちょっと…ってなって、結局ぜんぜん違う印象のものになることも結構ありました。その時々の自分の気持ちを全部、ここにおさめたイメージです。
――ストーリーについてはどのような印象ですか?
今回の役、ミュートは自分自身でもありますし、かといって自分が経験したことのない環境にいる人間。僕がそういう環境に置かれたときに、どう思うのか、どんな感情になるのか、をすごく考えました。とても難しかったですね。そういう時、自分はどうする?みたいな。自分なんだけど自分じゃない。でも、役のミュートと僕自身の美勇人の共通点は、ダンスが楽しくて、好きで、憧れていて。憧れているメンバー、ウォークライというダンスチームがあること、それは僕が思っている気持ちと一緒だと思います。そこは純粋な気持ちで作品に入っていけたところでした。そこからクライマックスに向けては、キャストで一緒にご飯に行ったり、話し合ったりして過ごす中で芽生えた感情を出せたんじゃないかと思っています。自分の好きな気持ちを自分の言葉じゃなくセリフで言うと、最初はみんな違和感があったと思うんですよ。ダンスについて説明したりするときにね。そういうときに、僕らなりに感じたことって何だろう、って話し合ったりして。お互い自分が好きなものだからこそ、セリフという形だけで吐き出したくない気持ちもあったんです。それをどうやったら伝えられるか、すごく考えて、話し合いました。
――大阪での公演を終えられてみて、どのような手ごたえがあった?
とてもエネルギッシュで楽しくて、笑ったりノッたりしているお客さんが見えるとすごくうれしい気持ちになりました。そういうエネルギーのキャッチボールが、大阪でできた実感があります。伝えたいものをお客さんが受け取ってくれた、っていう気持ちでいることができました。
――今回のキャストには、それぞれの分野で第一線の活躍をされてきた方が揃いました。どのような印象を持たれていますか
本当に、感謝しかないですね。正直、最初は怖かったんです。プロとして、ダンサーという肩書を持たれた方など、プロフェッショナルな仕事をしてきた人たちで、僕はただ好きなだけで入っていったので。みんながやりたい形や表現したいことを、僕がきちんと表現できるのか悩みました。でもいざ始まってみると、みんなの優しさや純粋な気持ちがあって、僕の気持ちも受け取ってくれて。すごく感謝しています。あたたかな現場の空気は僕が作ったのではなく、みんなが作ってくれました。そこに応えたいという気持ちですね。
――稽古の中で印象的だったことはありますか?
初めての稽古で、本読みをした後にみんなでサークルを組んで、ダンスしたんですよ。音楽流して、一人真ん中に出てって踊って、帰ってくるみたいな。プロだし、技術的な部分ももちろんあるんですけど、純粋にダンスが好きだという気持ち、稽古が楽しかったね~っていう空気を最初に作れたことが大きかったですね。日本人はなかなかそういう空気が作れない。LAやパリ、ドイツとかにもダンスで行ったりもしていたんですけど、日本ではなかなか難しいと思うんです。だから、すごくありがたかったし、みんなの共通言語はダンスだったねという感じが素敵だったし、シビレました。
――昨年7ORDER projectが始動して、今年で2年目を迎えることになりますが、今後、どのような活動をしていきたい?
僕らがつながっているものは、バンドなんですよ。それぞれの担当楽器があって、ボーカルがいて。僕らが一番、お互いに心が通っているときって、意外と話したりしているときじゃなくて、バンドしている瞬間なのかな?って感じているんですよね。お芝居やダンスっていうところも、もちろんあるんですけど、僕らの共通点はバンドなんだと思う。だからバンドでもっと楽しく、みんなで成長して目標を見つけられたら。バンド練、楽しいんですよ。みんなで一曲のことについて話し合って曲を作ったりパフォーマンスを作っていくのも好きなんですよね。ってなると、ライブなんですかね、やっぱ。7ORDERが一番イキイキしているときって、ライブだな。だから、ライブをどんどんやっていきたいです!もっともっと盛り上げていきたいですね。
――そのために、どんなことが必要だと思いますか?
え!なんだろう…、まずは会うことですかね(笑)。それぞれソロでお仕事をいただいていて、なかなかみんなで会えていないので、集まってゴハン食べたりとか、「バンド練、行こうぜ!」って僕らが始まった時の気持ちを今一度感じて、いろいろなことを吸収した自分たちで、また始めていきたいです。だから、みんなに会いたいですね。
――今回の舞台について、メンバーから何かコメントはありましたか?
今回、安井(謙太郎)と(阿部)顕嵐がゲストで出てくれたんですけど。なかなかあんまり、お互いのことについて話し合わないというか… 話すんですけど、純粋に「スゲー!」とかって言うことないんですよ。でも普通に言ってくれてたのが嬉しかったし、ウォークライのメンバーと一緒にいるところを見て「そっちの方が楽しそうだな、嫉妬するよ」って言われたことが、ちょっと嬉しかったです。冗談でもそういってもらえて、俺たちも頑張らないとヤバいな、っていう気持ちで臨んでくれたことも嬉しかったですね。
――最後に今回の舞台を通して、どのようなメッセージを受け取ってほしいですか?
作品に対する思いは…ダンスが好きな気持ち、格差がある中で自分が幸せだと思えるものを生み出していくというところがこの作品で伝えたいことだと思っているので、本当にピースフルな気持ちをお届けできたらと思います。そして、切磋琢磨して、成長して、刺激を与えあえている姿を見ていただいて、そのエネルギーを受け取ってほしいですね。セッションじゃないですけど、一体化したエネルギッシュな空間になったらいいなと思います!
取材・文/宮崎新之
撮影/中田智章