結成12周年を迎えた男装アイドルユニット風男塾(ふだんじゅく)初となるミュージカル公演『Believe~遙かなるプロキオン~』が、2月29日(土)から銀座 博品館劇場にて上演となる。脚本・演出には、劇団「少年社中」の主宰で、ミュージカル『薄桜鬼』やミュージカル『黒執事』のほか、「宇宙戦隊キュウレンジャー」など、特撮のシナリオも執筆する毛利亘宏が手がける。
さらに特別ゲストとして、元宝塚トップスター彩輝なおが出演に加わるなど、豪華布陣の本作。物語は風男塾の人気曲「夢幻のプロキオン」を原案にしたSFオリジナルミュージカルが展開するようだ。初舞台を前に現在の心境はどうなのだろうか。風男塾の出演メンバーである愛刃健水、紅竜真咲、草歌部宙、桜司爽太郎、香月大弥から話を聞いた。
――本企画を初めて知った時、どんな想いをもちましたか?
愛刃健水(以下、愛刃)「率直に嬉しかったですね。今までもライブでコントのようなものをしたことはあったんですけど、本格的なミュージカルは初めてで。風男塾は結成して12年経つのですが、これまでにない試みなので、今のメンバーでどれだけのものを見せられるのか楽しみですね」
紅竜真咲(以下、紅竜)「風男塾って2.5次元を体現したようなグループだと思うんです。風男塾の曲の歌詞にも、”2.5次元”という言葉が使われていたりして。舞台で2.5次元が流行っているからこそ、2.5次元を地でいくような俺たちがどんな舞台を作れるのか楽しみにしていただきたいです」
草歌部宙(以下、草歌部)「メンバーそれぞれ、歌やダンス、演技だったりと得意分野がある、個性豊かなメンバーなので、それがいっぺんに体感できるステージになるだろうなって思いました。それに、メンバーの新しい一面をお見せできるんじゃないかなって気がしています」
桜司爽太郎(以下、桜司)「風男塾でいつかお芝居をしてみたいと思っていたので、ドキドキしました。この初めての試みをファンの方にも楽しみにしていただけたら嬉しいです」
香月大弥(以下、香月)「もともと『夢幻のプロキオン』という楽曲の歌詞が好きで、この曲で舞台をやれたら楽しいだろうなってツイートをしたことがあるんです。そしたら、それが見事に実現。とても嬉しいかったですし、こんな奇跡ってあるんですね(笑)」
愛刃健水
――舞台上演は初めての試みということですが、創作を通してどんな経験ができそうですか?
愛刃「やっぱり過去に類をみない、真剣な俺たちが見られると思います。実は今日、初めての本読みだったのですが、いつもふざけてるメンバーが、ピリッとしていて、『こいつら真面目やなー』って感じて。これまでと違うプロジェクトが始まったんだなってあらためて思いました」
紅竜「たしかにみんなの緊張感が凄かった。健水くんが台詞を読み間違えたんですけど、普段ならそれに対してみんなが『フフ』とかっていう笑いが起こるのですが、今日はシーンって静まりかえっていて(笑)」
愛刃「そうそう、普通に俺がめちゃめちゃスベってるみたいになってたからね」
一同:(笑)
――稽古初日を過ごしてみて草歌部さんはどう思いましたか?
草歌部「自分が台本を読んで感じた印象と、みんなで声を出して読んだ本の印象が違ったので、驚きました。早くこの普段との違いをお客さんにお届けしたいです(笑)」
草歌部宙
――自身のキャラクターを紹介してください。
愛刃「俺が演じる役は『ラブ』という名前で、自分の気持ちが揺るがない、ひとつの心を持った人だと思います。だからこそ、物語を通じて、感情や考え方が変わっていくさまを表現したいですね。どこでラブが変化するのかっていうところを、チェックしてくださったら嬉しいです」
――自分と役で共通する部分はありますか?
愛刃「俺の役どころは自分の性格と真逆なところがあって。でも、自分と違う一面を持っているからこそ、より深く演じられるんじゃないかなって思います。あとは……、見てくださったお客さんは、俺が大阪弁じゃないというところに違和感を持つかもしれませんね(笑)」
一同:(笑)
愛刃「でも、標準語だからこそ、ミュージカルに没頭してもらえるんじゃないかな(笑)」
――なるほど。紅竜さんはどんな人物を演じるのでしょうか?
紅竜「リュウスケという人物を演じるのですが、まだどんな人なのかはっきりわかってないのが正直なところです。パッと読んだ感じは明るくて、でも空気読めないのかなって。今は、彼がどうしてそういう性格になったのか考えるのが面白いですね。ただ、おバカみたいな人物ではなくて、むしろミステリアスなものとしてお客さんの想像力を刺激できたらいいなって考えています」
紅竜真咲
草歌部「自分はアストラという役で、飄々としているけど、目の前のことを現実的に見ながら夢を追っている人物。自分とは近いものを感じますね。あとは、割と難しい言葉を言うことが多いので、噛まないようにしなくちゃなって(笑)」
――香月さん、桜司さんの役どころも教えてください。
香月「チャンドラという役なのですが、意外と自分と重なることがあって。まず分析型(笑)。それで言葉も多い。なので、説明という大切な要素を担っている気がします。ただ感情的な部分もあったりするので、この役の気持ちのモチベーションがどこにあるのかしっかり探していきたいと思います」
桜司「僕が演じる桜火は自分の国が大好きとても責任感の強い人物。そういう強い心がある人物なので、責任感を持って最後まで守り抜けるような作り込みをしたいと考えています」
香月大弥
桜司爽太郎
――一足先に台本を読ませていただいたのですが、毛利さんが書かれるシナリオらしい大スペクタクルな物語になっていると思いました。毛利さんの台本から受けた印象や、演出家としての印象を教えてください。
愛刃「毛利さんとは今日初めて挨拶させていただいたのですが、『自分たちのキャラをどんどん生かしてほしい』と言っていただいて、それでホッとした感じがしました。自分たちの個性をもっといれていいんだっていう気がして。それに毛利さんの穏やかな感じがわかったので、稽古がより楽しみになりました」
紅竜「もともと特撮が好きなんですけど、台本から、戦隊ものみたいなカラーリングある人物たちが浮かび上がっていると思いました。だからこそ、みんなで色濃く作りこんでいって、SFやファンタジー感を出していきたいですね」
――なるほど。草歌部さんもは舞台初挑戦なんですよね。
草歌部「そうです。なので、自分にとって本当に挑戦だと思っています。ミュージカルの歌ってライブの歌と違うじゃないですか。それが楽しみでもあり、怖いようでもあり。だから、果敢にチャレンジしていきたいです」
――彩輝なおさんという大先輩がいらっしゃいますから、稽古の中でいろいろ学ぶことができそうですね。
紅竜「そうなんですよ。彩輝さんは、もう本当素敵すぎて……。声がきれいで、姿勢もきれい。仕草ひとつとってもたまらないので、稽古場ではずっとチラ見して、盗んで活かしていきたいです」
香月「俺はもともと宝塚が好きで、彩輝さんが出演している作品も映像を通してなのですが見ていたので、そんな彩輝さんと共演できるなんて……。本当に嬉しいです。今日の本読みでは座っている席が隣だったんですけど、音圧がすごくて。彩輝さんの仕事を間近で見て勉強できるなんて最高の機会です」
桜司「彩輝さんから学ぶことはお芝居意外にもあって。例えばお辞儀ひとつにしてもとても洗礼されているんです。なので、舞台のことももちろんですが、舞台に出る役者としての心構えも勉強していきたいです」
特別ゲスト:彩輝なお
――本作で楽しみにしてほしいところや見どころを教えてください。
愛刃「やっぱり、俺たちの真面目なところが一番の見どころじゃないですかね(笑)。当然ですが、今回は全て真剣。その緊張感を楽しみに来てほしいですね。また、ミュージカル本編のあとにミニライブがあるので、ミュージカルの部分とミニライブの部分両方楽しんでいただけたら」
紅竜「それぞれの人物が演じるキャラクターと似ている部分もあれば、違う部分もある。なので、稽古を通して演じる人物に深い人間味をだせるようになったら、これからの活動に必ずプラスになると思うんです。想像の幅を広げ役を作り込んでいくので、お客さんもたくさん妄想する準備をしてきてください」
一同:(笑)
紅竜「なんすか!(笑)」
――草歌部さんはいかがですか?
草歌部「ファンの方の中には誰か推しメンがいると思うんですけど、今回役によって、それぞれ違った見え方がすると思うので、推しメンが変わるんじゃないかなって。なので、みなさんの推しメンがどう変わるのか楽しみです」
――役だけで考えたら草歌部さんはどの人が推しですか?
草歌部「真咲演じるリュウスケの底抜けなお人好し感が見ていて応援したくなるので……、推します!」
一同:(笑)
――愛刃さん演じるラブと紅竜さん演じるリュウスケは真逆の性格で、ライバルのような関係ですよね。
愛刃「ラブはリュウスケが羨ましいんだと思うんですよね。それはラブの背景に抱えきれないような大きなものがあるから。明るくお人好しなリュウスケに、ある種の憧れがある気がするんです」
一同「おぉ〜!」
愛刃「おぉってなんやねん!」
一同:(笑)
紅竜「そういえば、舞台の上では、健水くんにみんながタメ語なのですが、それも見どころかもしれませんね!」
愛刃「ここぞとばかりみんなぐいぐいくるかも!」
――舞台裏も見てみたいですね(笑)。香月さんはどんな見どころがあると思いますか?
香月「原作にもなっている『夢幻のプロキオン』が人気の楽曲なので、ファンの方それぞれの歌詞世界があると思うんです。なので、そういった音楽から生まれる想像が、舞台の世界と繋がったら嬉しいですね。あと、衣装には細かいこだわりが詰まっていて、人物によって細かく違うので、衣装もぜひチェックしていただければ」
桜司「俺は本編のあとにライブがあるのも楽しみなポイントなのかなって。ミュージカルやったあとにライブがあるので、役じゃないところも楽しめるのではないかと思います」
愛刃「緊張から解放されて、ニッコニコかもね!」
一同:(笑)。
――愛刃さんは風男塾が今年でラストイヤーなんですよね。さまざま気持ちがこもる作品になると思いますが、みんなを代表して最後に意気込みを教えてください。
愛刃「この物語は、仲間でありライバルである5人がひとつの目標に向かって頑張っていくお話なんですけど、風男塾も同じで、ひとつのものに向かってみんなで頑張っていこうという気持ちがある。俺は今年でラストイヤーだけど、今回の作品がこれからの風男塾につながっていくようにしたいので、舞台を通じて風男塾をもっと知っていただけたら嬉しいです。そして、この舞台を見に来てくださったみなさんにもなにか目標に向かって頑張りたくなるような気持ちを届けられたらと思っています」
一同「おぉ〜!」
愛刃「だから、おぉってなんやねん!」
インタビュー:大宮ガスト
【プロフィール】
●風男塾(ふだんじゅく)
活動理念は、「人を元気にする」。全ての歌やパフォーマンスは、その理念を果たすためのもの。日本のみならずアジアCDデビュー。10 ~ 20 代の女性を中心に、圧倒的な支持を得ている。そして2020年より新メンバーの神那 橙摩(かんな とうま)、偉舞喜 雅(いぶき みやび)を加え7人の新体制に。3月20日は新体制初となる大きなステージ中野サンプラザ公演『風男塾LIVE2020 セブンインパクト』が控えている。3月25日には風男塾24枚目のシングルとなる新曲「ミュージック」発売予定。
●愛刃健水(あいば・けんすい)
大阪府出身。一番年上という事もあり、気遣い細やかにメンバーを引っ張る存在。歌やダンスのクオリティも評価が高く、関西弁が混じるトークも人気。ライブの直前には緊張の余りしゃがみ込むのが定番スタイル。
●紅竜真咲(くりゅう・まさき)
熊本県出身。ハスキー・ヴォイスとクールな表情が魅力だが、笑顔になると一転して無邪気さ溢れるキャラクター。グループのムードメーカーで韓国への留学経験もある。楽屋では常に鏡を見ているナルシスト振りを見せている。
●草歌部 宙(くさかべ・そら)
広島県出身。ザ・アニメオタクと称されるほどのアニメ好き。他人を押しのけるより手を差し伸べたいという優しさを持ち、時に涙もろいところも見せる一方でその歌声は力強く、グループのサウンドをリードする。
●桜司爽太郎(おうじ・そうたろう)
青森県出身。故郷 弘前の桜に負けない笑顔が魅力。しっかり者に見えるが、直感的に行動するので、時におっちょこちょいな一面も。体は小さいが、ハートは強くちょっとやそっとじゃ物怖じしない行動派。
●香月大弥(かつき・だいや)
北海道出身。根っからのアニメ・ゲームオタクで、はまった事にはとことん熱中。24時間活動することも少なくないが、インドア専門。絵が得意な他に書道や料理の腕も上々。その歌声は、エナジーボイス。