「無事に初日を迎えられたのは奇跡。感謝の気持ちでいっぱいのなか演じています」
昨年12月に東京・明治座にて開幕し、現在は1月5日から13日までの大阪公演中の『両国花錦闘士』(りょうごくおしゃれりきし)。その公演の大千穐楽の地となる福岡・博多座での初日が、いよいよ1月17日に迫ってきた!東京公演の真っ只中だった12月某日、主演に抜擢された昇龍(しょうりゅう)役の原 嘉孝(ジャニーズJr.)が、忙しい合間をぬって休演日にも関わらず福岡を訪れ取材会を開き、本作への思いを語ってくれた。
本作は、ビックコミック スピリッツ(小学館)の連載時から話題を呼び、相撲漫画の先駆けとなった話題作で、待ちに待った舞台化である。本作に登場するのは、タイトルの通り美しくおしゃれなイケメン力士たち。歌やダンス、笑いを絡めた今までにない相撲エンターテインメントに仕上がっている。
コロナの感染拡大などで開幕自体が危ぶまれる時もあったが、12月には東京での初日を迎えられた本公演。主役への抜擢に座長という重責を背負うことになった原ではあったが…
「無事に初日を迎えられたのは奇跡だと思っていますし、公演が出来ていることは何よりも多くの方への感謝の気持ちでいっぱいです。今は、実際の照明を浴び、土俵の上で芝居をすればするほど、所作ひとつにしても“原嘉孝”がやっているのではなく、“昇龍”という人物が自分と一体化しているなって実感出来ているので、気持ちよく演じさせて頂いています。役に関しては男らしさの部分にこだわって表現しています。目つきや姿勢、振り向き方でも性格って表れると思うので、動きひとつにもこだわっていますね」
短い期間で座長として対応できるのは、劇団☆新感線をはじめあらゆる舞台経験の積み重ねが活かされているのだろう。しかし、プレッシャーはなかったのかも気になるところだ。
「自分が昇龍を演じることになるなんて、プレッシャーも感じました。座長としてこのカンパニーに何が出来るか分からないし、とにかく役と向き合うことしか出来ませんが、僕が主役を担うことで公演が成立するのであればやるしかない!やらせていただきます!と、プロデューサーさんにハッキリとお伝えしたら、『それでいい』と言ってくださったので、引き受けさせていただきました。役が変わって再構築したけど、稽古に1ヶ月ありましたし、皆さんに支えられていたので、大変さは感じなかったです。一人で作るものではないし、100人以上のスタッフ・キャストで作り上げるエンターテインメントだと思うので、変に気負わず皆を信じてやり抜きたいと思っています」
と、なんとも頼もしい答えが返って来た。そして、その稽古場では新しい発見もあったようで
「当初は昇龍のお兄さん役を僕が演じる予定でしたが、その役を木村了くんが演じることになりました。その二人で会話をするという場面の稽古をやった時、木村くんの芝居のアプローチの仕方が自分とはまったく違っていて、こんな演じ方もあるのか!と勉強になったんです」
と、その場面が彼には一番印象に残る場面になったという。
多くの重責を背負いながらも芝居と真摯に向き合う原の姿は、すでに立派な座長としての役割を果たしているように感じるが、やはりアイドルとしての側面は隠しきれないようで、新しく撮り直しとなったポスター撮影に話題がおよぶと、
「あの撮影は、早朝6時の六本木マハラジャでやりましたが、そんな早朝からとびきりの笑顔で撮れるのは、僕くらいしかいないと思います(笑)。全国に貼り出されるので、少しでもいい筋肉の状態で撮りたくて、少し早く現場に入ってパンプアップしたんです」
と裏話を聞かせてくれた。そして、最終公演地となる福岡の印象を尋ねると、ユーモアを交えつつ
「福岡はやはり食のイメージが強いですね。美味しいものをいただきたいところですが、僕の演じる昇龍はソップ型(痩せて筋肉質)の力士で、筋肉を見せたくてトレーニングも重ねてきていますから、好き勝手には食べれないのは残念ですが、さっぱりしたものをいただきたいですね。それと、福岡はべっぴんさんが多いとよく言われますので、そんなお客さんたちに筋肉を見て頂いてキャーキャー言われたいですね(笑)。とにかく、コロナ感染などで大変な時期ではありますが、感染症対策も万全で臨みますので、何も考えずに楽しんで観て帰っていただきたいです」と語った。
博多座での公演まであとわずか。短期間でかなりの成長を遂げているであろう原の姿をぜひ生で目に焼き付けていただきたい。チケットは好評発売中。詳細は下記公演概要欄よりご確認ください。
撮影:大工昭
文:ローチケ演劇部(シ)
【こぼれ話】
共演者の話題になった際、おかみ役の紺野美沙子の印象を語ってくれた原。「紺野さんはすごくピュアでチャーミングな方なんですが、(取材当時の)昨日の公演の時に楽屋に怖い顔をして入ってこられたんですが、『ジャニーズの人が来る時は言ってよ!』て言われました(笑)。同じ事務所の中山優馬やSnow Manの目黒蓮なんかも観に来てくれていたようで、そんなチャーミングな一面も紺野さんはお持ちなんです(笑)」