新国立劇場『キネマの天地』小川絵梨子、井上ひさし作品初演出!井上流推理喜劇で極上の笑いを。

2021.04.16

日本で親しまれ続けてきた名作をお届けするシリーズ「人を思うちから」第三弾は、映画人を描いた傑作喜劇『キネマの天地』が上演される。
この作品は映画『キネマの天地』(1986年公開、監督山田洋次、井上ひさしも作者の一人として参加)の続編として、井上ひさし自身の書き下ろし・演出で同年、日生劇場にて初演された。映画出演のために集められた四人の女優達が巻き込まれる、殺人事件をめぐる井上流推理喜劇。どこまでが真実でどこからが虚構なのか…。笑いをあちこちに散りばめながら、人間を魅了してやまない「舞台」の世界を描きます。7名の実力派俳優たちによる演劇賛歌の物語。小川絵梨子が井上ひさし作品に初めて挑む。

 

あらすじ

昭和10年、築地東京劇場。
舞台上で準備をしている松竹キネマ蒲田撮影所の助監督・島田健二郎(章平)の前に、娘役で人気沸騰の準幹部女優・田中小春(趣里)、続いてヴァンプ役で人気の幹部女優・滝沢菊江(鈴木 杏)、お母さん物で有名な大幹部待遇の徳川駒子(那須佐代子)、最後に大幹部女優のトップスター立花かず子(高橋惠子)が登場する。いずれも蒲田撮影所所属の、日本映画界を代表する大スター。
超大作の松竹蒲田特作豪華版・喜劇映画『諏訪峠』の打合せに呼ばれてきた四人は、自らを誇示し、鞘当てし合いながら、上演中に突然死した女優の松井チエ子のことを思い出す。そこへ、松井の夫でもある映画監督小倉虎吉郎(千葉哲也)が、『諏訪峠』の代わりに、松井の一周忌記念興行として『豚草物語』の再演を持ち出した。松井殺しの犯人探しが目的の監督は、万年下積み役者の尾上竹之助(佐藤 誓)を刑事役として雇い、稽古中の四人を見張らせる。

果たして、この4人の中に犯人はいるのか……。

 

演出 小川絵梨子からのメッセージ

『キネマの天地』は、私がどうしてもやりたかった作品の一つです。はるか昔になりますが、私が中学生の頃、演劇部で上演しました。部内のオーディションで、小春の役を貰って本当に嬉しかったことを覚えています。
あれから30年近くがたち、演出家という立場で、大好きな作品を大好きな俳優の方々とご一緒できる幸せを噛み締めています。この作品を、このキャストの皆さんとご一緒できることが楽しみでなりません。
「演劇、ありがとう」と、演劇への感謝を込めて、作品作りに向かいたいと思います。