“山医者”鯛山先生と妻・テル子、そして個性豊かな村人たちが織りなす人情喜劇
11月に明治座で幕を開ける『本日も休診』は、実在した医師・見川鯛山による人気エッセイ『田舎医者』シリーズを下敷きに書き下ろす新作喜劇。昭和40年代の那須を舞台に、個性豊かな登場人物たちの交流をユーモラスに描く。人が人を癒やすこと、人がすこやかに生きることの意味を人情たっぷりに問いかける本作。公開されたビジュアルには、澄み渡る那須高原の大自然を背景に記念写真におさまる鯛山先生と村人達の姿が。どこか懐かしさを感じるような、心あたたまる作品の世界感を表現している。
舞台を彩る豪華キャスト陣!脚本・水谷龍二、演出・ラサール石井でお届けする新作舞台
診療開始はいつも午後から。「本日休診」の札を出して趣味の釣りに出かけてしまうこともたびたびという、やる気のない医師・見川鯛山。「ヤブ医者」と陰口を言われる事も多いが、本当は人間愛に溢れた優しい人物。そんな鯛山先生を演じるのはテレビや映画、舞台に幅広く活躍する柄本明。その妻・テル子役にミュージカル界のトップを走り続け、本作が明治座初出演となる花總まり。そして、村の警察官・茶畠巡査役に、シリアスからコミカルまで多彩な役柄を演じ分ける笹野高史、ホテルの主人・楠田役には、喜劇俳優として第一線で活動を続ける佐藤B作が決定。盟友ともいえる柄本、笹野、佐藤のベテラン3人が、長い年月を経て久しぶりに本作で集結する。さらに、若い巡査・柴田役はミュージカル俳優としても活躍する渡辺大輔。ダブルキャストとして香織役を務めるのは、精力的に舞台への出演を重ねる能條愛未と中島早貴。変わり者の農家・蚕吉役には、独特の存在感を放つベンガル。ベテラン看護師の宮本さん役には、名バイプレーヤーとして名高い松金よね子が出演。脚本は、舞台を中心に名作を生み出してきた水谷龍二。演出は、ストレートプレイからミュージカルまで、ジャンルをこえて多くの作品を手がけるラサール石井が挑む。
豪華キャストとスタッフにより描かれる笑いに満ちた、心あたたまる物語に期待が高まる。
STORY
時は昭和、高度経済成長期の頃。那須高原のてっぺんにある診療所には今日も「本日休診」の札が下がっている。診療所の主は見川鯛山センセイ。時々コワいがとびきり美人な年下の奥さん・テル子に支えられ、医療に身を捧げ…てはいない。釣り好きで本業なんかそっちのけ、喧嘩友達の茶畠巡査たちにはヤブ医者と馬鹿にされている。一方、診療所に集まるのはお調子者のホテルの主人・楠田や変わり者の農家・蚕吉などベテラン看護婦の宮本さんも手を焼くおかしな連中ばかり。
田植えの季節、若い柴田巡査が駐在所に赴任し、東京から来た香織も診療所の仲間に加わった。田舎の町にも新しい風が吹き、やがて夏へ、秋から冬へ。次々起こる騒動の中、センセイは那須の大自然のように人々に寄り添う…。
【原作の見川鯛山とは】
その生涯を地域医療に捧げ、地元の人々を愛し、愛された医師・作家の見川鯛山(本名・見川泰山)。1942年無医村であった那須高原で「見川医院」を開業すると、貧しい人々に心を寄せ、熱心に往診を続ける。一方で、作家・獅子文六との出会いを機に文筆業を開始し、1964年刊の『田舎医者』を皮切りに、雑誌連載をまとめた書籍を多数出版。1979年には、田舎医者シリーズを原案にした人情味あふれるテレビドラマが故・森繁久彌を主演で放映。素朴で大らかなユーモアに満ちた私小説的な短編は「医療もの」の枠を越え、今なお多くの支持を集めている。