ONWARD presents 新感線☆RS『メタルマクベス』Produced by TBS
製作発表レポート

2018.05.25

約1,300人の観客を乗せたまま、円盤状の観客席が360°回転するという画期的な機構を持つ劇場、IHIステージアラウンド東京。昨年3月にオープン以来、劇団☆新感線の『髑髏城の七人』を5シーズン6組に分けてさまざまなスタイルで上演してきたが、それに続く次なる演目が新感線☆RS『メタルマクベス』に決定し、それもdisc1、disc2、disc3という3組のカンパニーによる上演となる。5月10日、劇場にもほど近いチームスマイル豊洲ピットにて、橋本さとしと濱田めぐみ、尾上松也と大原櫻子、浦井健治と長澤まさみという3組のランダムスター夫妻に、脚本の宮藤官九郎、演出のいのうえひでのりも加わり、製作発表記者会見が行われた。

 

今回の会見は、3,000名以上の応募があった中から選ばれた幸運な1,000名がオーディエンスとして参加。各自それぞれにメタルテイストなファッションで来場した参加者たちが多く、『メタルマクベス』という演目、そして豪華キャスト陣への期待の高さがその様子からもひしひしと感じられる。

そんな中、司会の山本匠晃TBSアナウンサーまでがスーツ姿にも関わらず、スタッズの付いたリストバンドを装着して登場。そして、まずはいきなり、『メタルマクベス』という作品世界を最も象徴する劇中曲『きれいは汚い、ただしオレ以外』のスペシャルライブが敢行された。
オープニングMCはdisc1とdisc3の出演者でもある冠徹弥。おなじみの衣裳で派手に登場した冠は客席を煽り、アツく盛り上げていく。
そしてこの舞台の音楽担当でもある岡崎司率いるメタルマクベスバンドと、振付&ステージングを担当する川崎悦子の振付で踊るダンサーたちをバックに、黒いマントをはおったランダムスター役の橋本、松也、浦井が熱唱するとオーディエンスも一緒になってこぶしを突き上げ、激しいヘッドバンギングで応えている。曲の後半ではそこにランダムスター夫人役の濱田、大原、長澤も加わり、客席の熱気は最高潮に!
ステージに椅子が並べられ、衣裳を整えたキャストが再登場し、宮藤といのうえも加わったところで改めて記者会見がスタート。各自の主な発言は以下の通り。

 

≪いのうえひでのり≫
このIHIステージアラウンド東京で新感線の作品をというお話をいただいた時、ロングラン公演が可能なのは自分たちの数少ないレパートリーの中では『髑髏城の七人』か『メタルマクベス』しかないと元々思っていました。それで結果的に『髑髏城~』も『メタルマクベス』も、両方やることになりました。今のライブを観ていただいてわかったと思いますが、生演奏が入る音楽劇であるということ、しかも客席が回りながらそういう場面を観ていただくことになるので、そこがこれまでの『髑髏城~』との一番大きな違いでもあり、見どころでもあります。

 

≪宮藤官九郎≫
12年ぶりに『メタルマクベス』を再演すると言われた時、最初は360°回転する劇場というものがイメージできなかったのですが、実際に『髑髏城~』の“Season花”を劇場に観に行って初めて「そうか、やっている側ではなく我々が回るのか!」と実感しました。その後も回を追うごとにいのうえさんの演出がどんどん進化していたので『メタルマクベス』もどうなるのか、とても楽しみです。脚本自体は、基本的には変えません。なにしろシェイクスピア先生が400年前に書いた本ですから、たかが12年で変えないほうがいいです(笑)。でも、やはり歌詞のセンスがすごいですよね。これはシェイクスピア先生と私との合作ですから。“きれいは汚い”まではシェイクスピア先生ですけど、そこに“ただしオレ以外”をつけたところに我ながらセンスを感じます(笑)

 

≪橋本さとし≫
21年ぶりの劇団☆新感線の舞台ということになりますが、僕としてはいのうえさんのGOさえ出れば再び出ようと思い続けていたので。21年、長かったです(笑)。『直撃!ドラゴンロック~轟天』(1997年)が新感線での最後の作品だったんですが、僕の中では新感線はその時のままなので、その頃の匂いをみなさまにも感じてもらおうかなと思っています。シリーズ一発目は試練が多くありそうですが、でも大丈夫です、回りまくりますよ、僕は!!

 

≪濱田めぐみ≫
まだ実際に稽古場でやってみないとわからないことが多いのですが、でもさとしさんとは何度も共演していますし、ふだんからこんな感じでしゃべっていますので、この雰囲気に肉付けしていけばいい……のかなあ?(笑)とにかく新感線は初めてですし、こういうロックというジャンルを舞台で歌うのも含め、何から何までが初めてのことばかり。がんばりますので、よろしくお願いします、みなさん応援してください!

 

≪尾上松也≫
新感線には以前から出たかったんです。歌舞伎の先輩である(現)松本幸四郎さんを始め、友人たちも何人か既に出ていて、それを観に行くたびに自分も出たいなあと思っていましたので、ついに今回念願が叶ってうれしいです。ありがとうございます(笑)。今日、人前でシャウトできて、めちゃくちゃ(シャウトで)気持ちよかったァ~ッ!あともう2、3曲やりたかったくらいです!

 

≪大原櫻子≫
最初にお話をいただいた時にも、私がランダムスター夫人を?と驚きましたが、今でもまだ不安しかないです(笑)。新感線の舞台は何度か観させていただいていますが、『髑髏城~』の“Season花”を観た時には、どれだけ裏で走り回っているんだろう?と思いました。みなさんに助けていただきながら、がんばりたいと思います。

 

≪浦井健治≫
『メタルマクベス』は初演を観ていまして、自分も出たいと思っていたんです。だけどまさかあの時内野聖陽さんがやっていた役を自分がやれるなんてとビックリしています。今回で僕は新感線に出るのは3回目なんですが、過去2回とも同じ役をやらせていただいているんです。金髪で「アハハハッ!」って笑う王子だったんですが、3回目にして王をやらせていただけるとは。怖いです、今、心臓バクバクです(笑)

 

≪長澤まさみ≫
初演で夫人役を演じられていた松たか子さんとお話する機会があったので「実はあの役をやるんですが……」と相談したら「大丈夫!できるから!!」と言っていただいて、ちょっと勇気をもらいました。悪女の役ではありますが、きっと自分の中にもどこかに、そういう面を一応持っているんじゃないかと思っています。

 

さらにここで『きれいは汚い、ただしオレ以外』のMVを本邦初公開!シリアスな表情で登場した橋本、松也、浦井がなぜか“ラート”で360°回転しながら歌い出したりと、後半にいくにつれ予想外の映像が流れるこのMVには観客はもちろんのこと、出演していた3人も含めて登壇者たち全員が大爆笑。

 

 

また、会見終了後にはメディア向けの囲み取材も行われた。
「1曲しか歌わなかったのに燃え尽きちゃいました……(笑)。この1曲に作品の伝えたいものを凝縮させてやったのでエネルギーを使いましたね。いいバトンを渡していきたいですが、ただ渡すだけじゃなくてハードルを上げまくってからバトンを渡したいので、disc3の頃には棒高跳びくらいまで上がっているかも(笑)」(橋本)、「私は今回初参加なんですけど、もうすでに1,000分の1くらいは溶け込めたんじゃないかなと思えるくらいに盛り上がった会見でしたね。さとしさんが21年ぶりということで、そこに私も素敵な毒の花を添えられるように今からウォーミングアップしてがんばりたいです、思い切りはっちゃけてみたいなと思います」(濱田)、「みなさんが『メタルマクベス』を本当に楽しみにしてくださっている熱気が伝わってきましたね。僕らの公演はまだ少し先ですが、気合が入りました。僕は生バンドで歌わせていただく機会はそうそうないですし、ふだんやっているジャンルとはまた違った分野で、自分をさらけ出していきたい。一俳優としても、この公演が大きな糧になったらいいなと思っています」(松也)、「劇団☆新感線に参加させていただけるということが本当に夢のようで今でも信じられなくて。今日も袖で緊張していました。松たか子さん、そして濱田さん、長澤さんという、こんなに女性らしく色気のある方々ばかりの中で私は大丈夫なのかしらと思うところもありますが(笑)。だからこそ自分らしさというか、精一杯オリジナリティのあるランダムスター夫人をやれたらなと思っています」(大原)、「今こうやって並んでいるメンバーが同じ舞台には立たないということが今、すごく淋しいのですが(笑)。こうして3チームでやるということは三者三様でカラーが違って、いろいろな楽しみ方ができそうですし、それも3倍ではなくて300倍楽しんでいただけるような舞台にできたらなと思っています。大千穐楽の大晦日まで、しっかりとみんなでバトンをつないでいけたらと思います」(浦井)、「今日はとてもあたたかい歓声で迎えていただいたことがうれしくて、がんばらなくちゃなと改めて気合が入りました。まずは体力を万全にして、経験者のみなさんの意見や感想を教えてもらいながら心して舞台を踏む日を迎えたいと思います。ロック魂は持っているほうだと思うので、その部分をぜひ解放していきたいです。出せる力をすべて出し尽くしたいと思っています」(長澤)、この日のイベントの感想を語ったほか、各ランダムスターがここでもまた意気込みをシャウトするなど、最後の最後までパワフルで、派手で、そして豪華な会見となった。

『メタルマクベス』はdisc1が7/23(月)に開幕した後、disc2、そしてdisc3の大千穐楽12/31(月)まで、2018年後半をメタルのリズムと爆笑でド派手に盛り上げてくれるはずだ。ぜひとも劇場へ!

 

インタビュー・文/田中里津子
Photo/村上宗一郎