来栖現実 役:有澤樟太郎
初日を目前に控えた今、ひと言で言うと緊張しています。二人芝居は僕にとって初めての経験で、オリジナル作品を一から作っていく大変さを痛感しました。今まで経験したことのないような追い詰められ方をしたりもしましたが(笑)、その度に山下さんのふとした優しさに救われ、高羽さんと現場のスタッフの方にも助けていただきました。山下さんと二人で高羽さんにみっちり稽古していただいたので、その成果が出ればいいなと思いますし、とにかく自信を持って二人の空間を楽しみながらお芝居できたらと思っています。
この厳しい状況の中で、ご来場くださる方の「楽しみにしています」という言葉や想いがとても励みになっていました。こうして無事に初日を迎えられることを本当にうれしく思います。“家族”や“つながり”のお話は誰しもに通じるお話だと思いますので、作品のテーマをしっかり届けられたらいいなと思っております。劇場に来るのが難しいお客様もいらっしゃると思いますが、多くの方々に是非お届けしたいテーマですので、たくさんの方にご覧いただきたいです。最後までどうぞよろしくお願い致します。
来栖小梅 役:山下容莉枝
有澤くんと同様に私も緊張しております。いっぱいいっぱいです(笑)。私の頭と体の容量を越えたお芝居ですので不安もいっぱいですが、とても良いストーリーで面白く見応えのあるお話だと思います。ご覧になるお客様にもそれをお伝えできればという想い一つで、有澤くんと手を携えて最後まで駆け抜けたいと思っております。
このお話は、一つひとつ散らばっているパズルのようなものが進むにつれて少しずつハマっていき、あるカタチを成していきます。それが成した時に「さて、私たちはどういう選択をするのか?」が一番の山場であり、見応えになると思います。皆様にも思うところのある展開だと思いますので、楽しみにご覧いただければ。何かが心の中に引っかかって、それをお持ち帰りいただけましたら、それに越したことはございません。
脚色・演出:高羽彩
私も緊張しております(笑)。このご時世の中で興行を催すことは、舞台上の我々にも、ご来場くださる皆様にも、それを行う意味などを考えざるを得ないものであるかと思います。そのような状況でも劇場でお芝居を観ることを選択してくださった方、配信でご視聴くださる方、この作品のことを少しでも気にかけてくださる方、全ての方に感謝を申し上げます。そして初日を迎えられることを有り難く、幸福なことに思います。
見どころは、役者二人の逃げ場のないお芝居。いわゆる一幕モノで転換がない舞台空間の中、二人が作り上げる空気感が何よりの御馳走になるのではないかと思います。
有澤さんは“打てば響く役者・有澤”という二つ名が稽古場で付いたくらい、ちょっとしたひと言をかけるだけで「それが欲しかった!」という台詞がポーンと出てくるようになる方。非常に瞬発力と読解力のある役者さんだと思いました。さらに素直な方なので、真っ直ぐに芝居作りに取り組んでくださった。稽古期間中にも蕾が花開くような瞬間をたくさん見せてくださったので、今まさに花開こうとしている、この瞬間にしかない有澤さんの姿も見どころになるのではないかと思います。
山下さんはとてもポジティブな空気をお持ちです。真面目な方で休憩中も台本を手放さず、私ともディスカッションの時間を度々持ったのですが、決してカリカリすることなく。「このお話とても面白いよね、良くなるよね」と常に前向きな姿勢で居てくださり、山下さんの華やかなポジティブさに若輩者の私も助けていただきました。山下さんのお芝居が有澤さんをグッと引っ張ってくださった時もあって、なんと頼もしい先輩だろうかと勉強もさせていただきました。
おふたりの空気感があって、健全な創作現場で作り上げることができた作品です。