脚本家、演出家マキノノゾミによる企画Makino Playの第2弾公演「モンローによろしく」。今作は1993年にマキノ主宰の劇団M.O.P.にて上演し、同年、東筑紫学園戯曲賞を受賞した作品で初の再演となる。
主演のハリウッドスター男優キースを演じるのは時代劇から漫画原作舞台まで幅広く活躍する財木琢磨、そして女優志望の娘シェリーに今年だけでも6作品の舞台に出演している那須凜。そしてオーディションで選ばれた出演者と共に脇を固めるのは劇団M.O.P.の劇団員でもあった三上市朗。
1940~1970年代のハリウッドを舞台に現代のエンターテインメント界が抱える問題と、民主主義の危機の今を生きる我々がどこに向かうべきかを問いかける。
STORY
物語は1941年、映画の都ハリウッド。新進気鋭の映画監督ビリーとその親友でもあるスター男優のキースは、これまでの常識を打ち破る野心作の製作にあたり、相応しいヒロイン役の女優が見つからず頭を悩ませている。だがそこへ飛び込んで来た女優志望の娘シェリーの中に輝く才能を発見する二人。二人三脚の映画作りが始まるが、やがて日米開戦。終戦後のレッド・パージ(赤狩り)。
世の中がエンターテインメントに望むものも次々に変貌してゆき、映画に賭ける彼らの純粋な想いは容赦なく時代の波に呑み込まれてゆく。
『わたしの原点』
『モンローによろしく』を書いたのは28年前で、わたしの作品中でもかなり初期のものです。初めて戯曲として賞を
いただいたこともあって、個人的には格別な思い入れのある作品です。
まだまだ戯曲の書き方といったものを、無手勝流に、手探りで模索していた時期でもありました。今となっては「翻
訳劇調の台詞でハリウッドの赤狩りのことを書く」などという荒唐無稽なアイデアを、一体どこから思いついたのか
もよく覚えていません。ただ、この作品が、現在に至るわたしの戯曲スタイルの原型であり、演劇というものについ
ての、わたし自身の考え方を決定したものであったことは事実です。
かねてから、原点に戻る意味で、この作品をさらにブラシュアップしてみたい、それを新しい俳優たちと上演して、
現代の観客に再び投げかけてみたいという思いを密かに抱いておりました。
今回はその夢を実現しようと思います。
Makino Playとは
Makino Playは、脚本家・演出家のマキノノゾミによる企画公演。
2021年1月本多劇場にて「東京原子核クラブ」を上演し、今回はその第2弾となる。
マキノノゾミが他団体へ書き下ろした作品含め、過去の作品を改めて自らの手で上演していきたい、新たな俳優、スタッフとの出会いも広げていきたいという想いからスタートした。