アレクシ・ケイ・キャンベル作『The Pride』ダブルキャスト上演!
2022年7月23日~7月31日、赤坂RED/THEATERで2008年にイギリスで初演されローレンス・オリヴィエ賞など数々の賞を受賞した傑作、アレクシ・ケイ・キャンベル作の『The Pride』がダブルキャストで上演される。
『The Pride』は1958年と2008年のロンドンが舞台。それぞれの時代には、ふたりのゲイの男性と、彼らに深い関わりをもつひとりの女性が登場。彼らは同じ名前を持つが、それぞれの時代でまったくの別人として描かれている。それぞれの時代や社会が作り上げた巨大な障壁を前に、彼らは自分自身を知ろうと努力し、自分に正直に生きたいと願っている。目の前にいる人と深く関わりたい、繋がりたいと望んでいる。ふたつの時代が交互に描かれることにより、それぞれの時代で彼らはどう社会と繋がっているのか──そして自分より前に生きた人々から何を受け継いでいるのか──が浮き彫りにされている。
日本では、2010年にTPT製作(日暮里d-倉庫/小川絵梨子演出)により初演。それから10年以上が経ち、時代は変化を続けている。彼らの(つまり現代に生きる我々すべての)「尊厳」を巡る闘いは現在進行形として続いている。この作品の初演はもちろん、日本における全てのアレクシ・ケイ・キャンベル作品を手掛けている翻訳家の広田敦郎氏をドラマターグとして迎え、PLAY/GROUND Creationの井上裕朗の演出の元、魅力的な8名の俳優陣とともに改めてこの作品を掘り下げることにより、現代に生きる我々自身と我々を取り巻く社会や時代を見つめる作品にしたいと考えている。
コメント
演出:井上裕朗
『The Pride』はイギリスの劇作家アレクシ・ケイ・キャンベルによって2008年に書かれた作品です。日本でもTPTの製作により2010年に上演されています。その上演準備の際、翻訳初稿を読む機会があり、僕はこの作品と出会いました。
作品の舞台はロンドン、1958年と2008年の二つの時代を行き来しながら物語が進みます。それぞれの時代には、同じ名前を持つけれども別人であり、別人ではあるけれど時代を超えて精神が共鳴し合う三人のキャラクターが登場し、物語が進むにつれ二つの時代が溶け合っていきます。『The Pride』は、この演劇的な構造を借りながら「ゲイ」というテーマをストレートに描き、人間の「尊厳」について力強く訴えかけてくる作品です。そしてとても魅力的なラブストーリーです。最初にこの戯曲を読んだときに感じた興奮をいまだにはっきりと覚えています。
今回の公演に集まってくれたメンバーたちと共にこの戯曲を深掘りし、登場人物たちの生き様に思いを馳せ、ひいては2022年に生きる我々の現在を見つめ直す作品にできればと思っています。
作品詳細
場所・時:
ロンドン 1958年/2008年
登場人物:
1958年
オリヴァー/フィリップ/シルヴィア/医者
2008年
オリヴァー/フィリップ/シルヴィア/男/ピーター
二つの時代のオリヴァー、フィリップ、シルヴィアはおなじ俳優が演じる。
一人の俳優が、医者、男、ピーターを演じる。
あらすじ
「あの夜、あなたがはじめて来たとき、何かが起きた。そうでしょう?」
1958年。シルヴィアは、仕事仲間のオリヴァーを自宅へ誘い、夫のフィリップを紹介する。
「その目は尊厳を求めてた。つまり聞いてもらうことを。声をもつ権利を。」
2008年。シルヴィアは、パートナーのフィリップにふられたオリヴァーをなぐさめ、二人をプライドパレードに誘う。
二つの異なる時代を生きる、同じ名前をもつ三人。過去は亡霊となって現在に姿を現わし、現在は未来の亡霊として過去に姿を現わす。
「変化って信じる?──だってほら。すごく愛してる。心の底から。」