2021年7月20日、東京ドームで白球を追いかけていたのは、少年のような顔をした俳優たちだった。
野球をこよなく愛する俳優たちが、たった1日だけ、東京ドームで野球をする。そんな夢のような企画で、昨年、大きな話題を呼んだ『ACTORS☆LEAGUE 2021』。企画・プロデュースを務める黒羽麻璃央の小さな夢から始まった『ACTORS☆LEAGUE』は、やがてたくさんの人の心に火をつけ、みんなの大きな夢となった。
そして、夢はまだ終わらない。今年も8月22日に東京ドームで再び彼らが集結する。題して『ACTORS☆LEAGUE in Baseball 2022』。今度はどんな熱戦を見せてくれるだろうか。
夢の1日という言葉がぴったりの1日でした
――昨年の『ACTORS☆LEAGUE 2021』、観戦しましたが本当に幸せな気持ちになりました。野球少年だった黒羽さんにとっても、東京ドームでプレイできるというのは特別な感慨があったのではないでしょうか。
黒羽 本当に夢の1日という言葉がぴったりの1日でした。今になったらもっと写真を撮っておけば良かったなって思いますけど。意外とバタバタしていて、それどころではなかったです(笑)。俳優の仕事を始める前の僕の夢は、プロ野球選手になることだったので、小さい頃の夢を今こうして実現できるというのは、すごくうれしいことでもあり幸せなことでもあります。僕だけではなく、他にもプロ野球選手を目指していた人が多かったので、おのずとみんな少年のような顔になっていました。お芝居のときには見られない顔をしていました。
――俳優仲間からの反響も大きかったのではないでしょうか。
黒羽 そうですね。「来年は出たい」と言ってくれる人も多くて。スケジュールの都合で出られない方も多々いるのですが、個人的な目標としてこの『ACTORS☆LEAGUE』はこれからもずっと続けていきたいコンテンツなので、長年やっていれば、きっと今年出られなかった人も出るチャンスがあるはず。出たいと思ってらっしゃる方がいるなら、いつかみんな出てほしいなと思っています。
――エンタメって、まずつくっている人たちが楽しむことがいちばん大事なんだなって、あの日はすごく感じました。
黒羽 やっぱり面白いって思いながらやるのがいちばんなんだなと。
――試合としては、結構投手戦になった印象でした。
黒羽 練習試合とかは結構乱打戦だったんですよ。でも本番は野手陣が緊張していたので、普段打てるような球でもなかなかヒットにするのが難しかったです。でも一度やって慣れた分、去年から出ていた人たちは、きっと今年は肩の力が少し抜けて、また面白い試合展開になるんじゃないかなと予想しています。
――その中で黒羽さんはヒットを打っていました。
黒羽 ボテボテでしたけどね(笑)。
――ご自身のバッティングを振り返るといかがですか。
黒羽 もうちょっと打ちたかったですね。なので、今回はバッターに専念しようかなとも考えています(笑)。
――この1年、お仕事の合間に野球の練習をしたりもしました?
黒羽 プライベートでもやりましたし、『野球部に花束を』という高校野球の映画を撮影していて、そこでは本当に野球漬けの日々を過ごしていたので、きっと前回よりは上手くなってるだろうなと思います! 他のみんなも結構練習してる人はいるっぽいです。自主練したりとか新しい野球道具を買ったりとか、そういう話はちらほら耳にしているので。やっぱり前回から出ている人は、前回の反省も残った分、今年に懸ける想いが強いと思うんですよ。だからきっと去年よりもっと白熱した試合になるんじゃないかなと思います。
みんなから「よく頑張ったね」と言ってもらえることが、僕のMVP
――今年は、黒羽さん率いるBLACK WINGSに、丘山晴己さん、立石俊樹さん、永田聖一朗さんという新メンバーが加わります。
黒羽 晴ちゃん(丘山晴己)からは直接「僕もやりたい」と連絡をいただきました。晴ちゃんはエンターテイナー。自分の世界観がありますから、僕たちも飲まれないように頑張らないといけないなという感じです(笑)。俊樹や永田くんとはまだ野球を一緒にやっていないので未知数なところがありますけど、2人ともすごく野球が好きだと聞いているので、一緒に練習できるのが楽しみですね。オフィシャルの練習会もあるので、そこでの様子を見て、どれだけできるかをチェックさせてもらいながら、また戦略を立てていけたらなと思います。
――BLACK WINGSは、残念ながら昨年は和田琢磨さん率いるDIAMOND BEARSに敗れました。前回は終わったあとに反省会などもしたのですか?
黒羽 もちろん反省はありましたけど、でもそれ以上にみんなからたくさんありがとうと言ってもらえて、それがうれしかったです。そういう褒められ方というか、俳優仲間から感謝を言われたことってなかったので、ちょっと照れくさいですけど、めちゃめちゃうれしかったですし、『ACTORS☆LEAGUE』という企画を立ち上げてよかったなと思いました。
――今年はリベンジを懸けた一戦となります。
黒羽 エンターテイメントといえど、そこは真剣勝負。やるからには次こそは絶対に勝ちたいです!
――となると気になるのは、ライバルチームの仕上がりです。ベンチマークしているプレイヤーはいますか。
黒羽 やっぱり前回MVPの岩瀬(恒輝)さん。あとは横山(真史)さんです。お2人とも、とんでもない実力の持ち主。でも僕たちと同様、緊張はあったと思うんですよ。それが2年目ということでリラックスしてプレイしたら手がつけられない。ここは要注意ですね。ただ、2年連続MVPは取らせないので、そこは負けません(笑)。
――黒羽さんもMVPを狙いたいですか。
黒羽 狙いには行きますが、みんなから「よく頑張ったね」と言ってもらえたら僕の中でMVPです(笑)。
『ACTORS☆LEAGUE』は、僕たちにとって年に1度のご褒美
――改めてですが、野球のどこがそんなに好きなのでしょうか。
黒羽 もう本能で好きなんですよ。前世は野球ボールだったんじゃないかなと思うくらい(笑)。もう無理なんですけど、今でも夢はプロ野球選手になることなんです。野球は、それくらい自分にとって大切なもの。野球にふれているときが、最も幸せを感じる瞬間です。大好きな役者というお仕事と、昔から大好きだった野球が今こうして融合していることが不思議だし、人として最も高い幸福感を得ているなと思います。
――子どもの頃に憧れた野球選手といえば?
黒羽 たくさんいますけど、ジャイアンツならやっぱり松井(秀喜)選手。ギリギリまだ松井選手がジャイアンツにいらっしゃる頃に、ちょうど僕は野球を始めたんですよ。やっぱりカッコいいですね、55番は。
――ピッチングを真似した選手もいましたか。
黒羽 ダルビッシュ(有)選手はよく真似をしましたね。あと斉藤和巳選手も。ちなみに最近は工藤公康選手のフォームを研究していて。何かヒントをもらえるところがあるんじゃないかと思って、動画を参考にしながら自分に落とし込んでいます。
――野球のルールに詳しくないファンのみなさんに、野球観戦の魅力をお伝えするとしたら。
黒羽 あんなに小さいボールの行方を、そこにいる何万人もの人たちが息を呑んで見守っている。そのことにロマンを感じるんです。一球入魂という言葉があるくらい、誰もが一球一球に魂を込めて投げて、魂を込めて打っている。そのドラマをぜひ体感してほしいと思います。あと、『ACTORS☆LEAGUE』に関して言えば、みなさんが普段応援していらっしゃる俳優さんたちのお芝居では見られない表情を見られるところが魅力だと思います。みんな野球が大好きな人たちばかり。だから本当に楽しそうな顔をしているんですよ。あれだけ心の底から楽しんでいる顔は、他ではなかなか見られないと思います。ぜひ僕たちが心から楽しんでプレイしている姿を一緒に応援してほしいです。
――きっと有澤(樟太郎)さんたちがまたメジャーリーガーみたいな服装で東京ドームにやってくるんでしょうね。
黒羽 そうですね。今回はまた増えるんじゃないですか。僕もスーツで行こうかなと思っています(笑)。
――私も野球には詳しくないですが、すごく楽しかったです。
黒羽 そう言っていただけることが本当にありがたいです。もうとにかく楽しくて、一生やっていたいなと思いました(笑)。僕たちにとって年に1度のご褒美。今年も全力で楽しみたいです!
(インタビュー・文/横川良明)
【PROFILE】
クロバ・マリオ
’93年生まれ。第23回JUNON SUPERBOY CONTEST準グランプリ受賞。近作はミュージカル「るろうに剣心 京都編」や7月から放送の「競争の番人」(フジテレビ)などに出演。
さらに10月にはミュージカル「エリザベート」の出演も控えている。