ミュージカル『COLOR』稽古場シーン初公開!

左から)柚希礼音、浦井健治、小山ゆうな(演出)、成河、濱田めぐみ

草木染作家・坪倉優介さんが自身の体験を綴った手記「記憶喪失になったぼくが見た世界」(朝日文庫)をベースにミュージカル化し、9月5日に新国立劇場小劇場にて開幕する新作オリジナルミュージカル『COLOR』の稽古場シーンが公開された。

ミュージカル『COLOR』は、シンガーソングライターの植村花菜が初のミュージカル作品の楽曲を手掛け、浦井健治、成河、濱田めぐみ、柚希礼音という豪華俳優陣とクリエイター陣が集結し生み出すことでも話題の作品。
まさに、創作過程の現場で、初めて歌唱シーンが披露された。各シーンの合間では、シーンが終わるごとにさらに各シーンをブラッシュアップしていく作業が行われていた。

舞台上には、3名の俳優のみ。2組の固定チームでの上演となる。
1組は、“ぼく”=草太に浦井健治、母=葉子に柚希礼音、“大切な人たち”を成河。
もう1組は、ぼく=草太に成河、母=葉子に濱田めぐみ、大切なひとたちを浦井健治。

この日披露されたのは3シーン。

〈1シーン目〉

“ぼく”草太が、ある日交通事故で全ての記憶を失くしてしまう。

過去の経験の記憶だけでなく、食べること、眠ること、熱い、冷たいなどの記憶までも無くしてしまった。母の葉子は、草太の記憶を取り戻してあげたいと、過去の写真を見せたりしながら必死になって色々と教える毎日。

草太:成河、葉子:濱田めぐみ、大切な人たち:浦井健治
♪どうして
♪夢おいかけて

〈2シーン目〉

母・葉子は、なかなか記憶が元のようには戻らない草太を、同じような歳の子と過ごせば過去を思い出すきっかけになるのではないか、と思い、事故後3か月で、大学に復学させる。きっと何かを思い出せるのではないか、という期待を込めて。ある日、自宅に帰った草太が大学で友人ヒカルと話したことを葉子に話している。しかし、草太は過去のことを話されても、記憶の断片がたまに出てはくるが、元のようにはならない。何とか思い出そうと過去の手紙や写真などを見ながらもがき続けている。

【1チーム目】草太:浦井健治、葉子:柚希礼音、大切な人たち:成河
♪ぼくの万華鏡

【2チーム目】草太:成河、葉子:濱田めぐみ、大切な人たち:浦井健治
♪ぼくの万華鏡

〈3シーン目〉

草太は“色”というものに興味を抱き、大学の授業で出会った染色に夢中になっていく。しかし、まだ自分だけ皆と同じになれないと感じている草太。そんな草太に葉子から、言葉を投げかける。

草太:浦井健治、葉子:柚希礼音、大切な人たち:成河
♪ぼくの行き先
♪COLOR~いのちの色

コメント

ぼく/大切な人たち:浦井健治
このメンバーだからこそできる二つのチームになっていってると思います。ただ、その二つのチームどちらも同じ坪倉さんの人生を尊重しながら紡いでいき、色づいていっているという感じがします。舞台上には3人しか乗っていないけれど、プロデューサーさんや、作曲家さんや、脚本家さん、演出家さん、カンパニー全員の思いが乗っているので、みんなで作ったという空間が必ず板の上には密度として乗るという空気感がこの作品はあると思います。稽古は大変ですが、それが心地よく、「よしやるぞ」っていう気持ちがおのずと出てきます。それはきっと、今、伝えたいメッセージがこの作品にはあるからかなと思っているので、是非皆さんのタイミングで良いので、劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです。

ぼく/大切な人たち:成河
新国立劇場小劇場で開幕し、大阪・サンケイホールブリーゼ、愛知・ウインクあいちで上演いたします。
決して過剰な派手さはないんです。しかし、派手さ華やかさではなくて、言葉で伝えきれない、すごく小さなものを大切に大切にみんなで日々日々考えて作っているような気がしています。
2チーム、というか2つのバージョンですね。その言葉にできない何かを二つの方向から見てみる、という作業を本当に全員でやっています。(浦井)健ちゃんも言っているように、その密度が舞台上には絶対乗ると思います。
よく「皆で作ってます」って言うんですが、みんなで作るということは、すごく時間がかかり、全然簡単なことじゃないんです。今回のこの“みんなで作る感”がここまで極まったカンパニーというのは、本当にそうそうないと思います。多分ゲネプロあたりでもう1曲増えるんじゃないですか(笑)。それぐらいの感じで日々日々、模索し続けています。実は台本の中にもあるのですが、ゴールがないので探し続ける。その探し続ける何かっていうものをお客さんとどう共有できるのか、ということを楽しみにしてます。ぜひ劇場でお楽しみください。

母:濱田めぐみ
この作品は、常に現在進行形だな、と感じています。開幕してからもみんなの思いが繋がっていき、きっと千穐楽を迎えた後も、我々演じた者たち、スタッフさんたち、そしてご覧になった方たちも終わりじゃなくて、この作品に関わった人、観終わった人、全ての人の心の中に、ものすごく大切なものを受け取れる作品だと思うんです。それが何か、というのは、関わった人、そして観た方が各々1人1人全然違う色を持ってると思います。だから、そのご自身の色を見つけに来ていただきたいですし、見つけた色を大切に大切に育てて、あなたの育てた色を人生に入れていただきたいなと思っております。
劇場でお待ちしています。

母:柚希礼音
ミュージカル『COLOR』、間もなく開幕いたします。本当にすごい稽古場で、あと2週間で初日ですが、また昨日も、作品を良くするために曲を変えようとか、ずっと挑み続けています。本来ならば、初日に向かっていく時期で、時間がないから避けて通るところなのに、そこを最後まで粘るという、すごく良い時間を過ごしてるなと思っています。稽古場では、もう片方のチームの時に観られるので、もうそれが楽しすぎて。勉強のために観てますということではなく、観ててワクワクする。こんな稽古場ってあるんだなって思っています。カンパニー全員で作ってきたものを観ていただけるということ、そしてお客様が入ったらさらにどう変化していくか、とても楽しみです。東京公演そして、大阪、愛知にも行きますので、どうぞ皆さま観にいらしてください。

東京公演は今秋9月5日(月)~9月25日(日) 初台・新国立劇場 小劇場、大阪公演は9月28日(水)~10月2日(日) 大阪・サンケイホールブリーゼ、愛知公演は10月9日(日)~10月10日(月祝) 愛知・ウインクあいちにて上演。

撮影:田中亜紀、ピアノ演奏:木原健太郎