【Special Interview】ディズニー音楽随一の作曲家 アラン・メンケンがソロ・コンサート開催!

『リトル・マーメイド』『美女と野獣』『アラジン』『ポカホンタス』『塔の上のラプンツェル』『ノートルダムの鐘』『ヘラクレス』などのディズニー映画の音楽を数多く手掛け、アカデミー賞8度の受賞歴を誇る作曲家のアラン・メンケン。さらにエミー賞、グラミー賞、トニー賞を獲得し、史上16人目となる“EGOT”を達成したディズニー・レジェンドが、自身のキャリアを弾き語りでひもとくソロ・コンサート「ホール・ニュー・ワールド」を来年2月・3月に開催。3年ぶりの来日となるメンケンがソロパフォーマンスを披露すること自体レアな上、大阪、愛知、東京の4公演のみでホットチケットになるのが必至の同コンサートに先駆け、ショー誕生のきっかけやハイライト、意気込みをアメリカ・ニューヨークにいる本人にたっぷり語ってもらった。

—―今回の公演について教えてください。

アラン・メンケン(以下「メンケン」)「ソロ・コンサート『ホール・ニュー・ワールド』」は、私が手がけた楽曲のハイライトを演奏しながら、作品の裏話やキャリアを通じて私が得た見識といったものも披露するソロコンサートです。ピアノを前にした私、あとは複数のスクリーンに映し出される静止画や映像だけで、アーティストとしての私の人生をユニークに振り返るものです」

—―このソロ・コンサートが実現した経緯を教えてください。

メンケン「最初にプロデュースした作品から今日に至るまで、ミュージカルや映画、ディズニーアニメーションなど、さまざまな側面を持つキャリアを1つにまとめて、私の歴史を1本の糸のようにつむいでいく時がきた、そう感じたんです。そこでマネージャーであるリチャード・クラフトと一緒に、私が世界中の方々と分かち合えるような一夜を構想しました」

—―あなたはこのコンサートの主役であるだけでなく、脚本家でもあります。ご自分の人生やキャリアについて書くのは、どのようなプロセスだったのでしょう?自分自身について書くことに難しさはありませんでしたか?また、完成までに要した時間は?

メンケン「このコンサートを構成するプロセスは、とても楽しくて満足のいくものでした。各作品の背景にある数々の思い出や教訓に満ちた瞬間を、同業者や学生、ファンといったさまざまな観客と共有できることはうれしい限りです。最大の難関だったのは、コンサートが永遠に続かないようにすること(笑)。作品があまりにも多いので、選曲がとても大変でした。最初のコンサートに向けては、作曲とリハーサルで1ヵ月ほどかかったと思います。でもコンサートの構成と内容は、私のキャリアの新しい側面に基づき、更新と修正が常に加えられています」

※写真は過去公演です

 

—―人気のナンバーがたくさん演奏されますが、観客のみなさんと共有するのが特に楽しみなナンバーは?

メンケン「最も難しい質問は、自分の作品の中で何がいちばん好きか、何がいちばん大切か問われることです。私にとってはどれもが自分の子どもたちで、優先順位をつけることなんてできません。けれども、感情豊かで説得力のあるバックストーリーをもったナンバーは、特に共有することに大きな満足感を与えてくれる気がします」

—―このショーで伝えたいメッセージやアイデアは何でしょう?

メンケン「観客のみなさんには、歌や楽譜がいかにストーリーやキャラクター、そして人生の基本的な体験と結びついているかを理解していただけたらと思っています。また、私の人生やキャリアを例にして、音楽や芸術表現がどんなふうに生まれるのかもお伝えしたいです」

—―日本で何度も公演をされていますね。日本の観客にはどのような印象をお持ちですか?また今回の日本滞在で楽しみにしていることは?

メンケン「日本の観客が大好きです。音楽という普遍的な言語に対する純粋な理解があるので、(文化的になど)いろいろな違いがあるにもかかわらず、密接なつながりを持つことができています。美しいホテル、素晴らしい旅館、そして私の最も大切な時間の1つであるアメージングな和食の数々を楽しみにしています」

※写真は過去公演です

 

—―ピアノと歌の練習は普段どのくらいされているのですか?本番が近づくと、より集中的に練習するのでしょうか?

メンケン「既存の曲を弾くにしても、新しい曲を作るにしても、ピアノに向かっているときはいつも、音楽的に自由になる喜びを感じてきました。私の指はもうずっと前に、私の心や気持ちを読み取る術を身につけています。正直なところ準備の中で最も練習が必要なのは歌うことで、声の調子を整えています」

—―演奏家としていちばん好きなことは何ですか?

メンケン「自分のキャリアにおける音楽の思い出を、観客と共有できることです。」

—― 印象的な音楽をたくさん書き続ける原動力は?

メンケン「自分の作曲がまだ誇れるレベルだと感じている限り、現役で創作を続けていきたいと思っています。私が関わった作品がリバイバルされたり、実写化などの新たな形で取り上げられる限り、それに関わっていきたいです。一緒に作品をつくってきた仲間たちの想いを後世に受け継いでいくことも、私の務めだと思っています」

—―日本のファンにメッセージをお願いします。

メンケン「きっと皆さんが想像している以上に、私にとってファンの皆さんは大切な存在です。30年以上前に私が初めて日本を訪れて以来、いつもおもてなしと温かさに感謝しています。ずっと大切に心の中にしまっています。I LOVE YOU ALL!」

取材・文:山本航

【プロフィール】
アラン・メンケン

数々の舞台音楽、映画音楽で知られる作曲家、ピアニスト。ミュージカル「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」の作詞作曲、「シスター・アクト〜天使にラブソングを〜」の作曲など、ほかにもたくさんの代表作を持つ。