“今月の”優先順位高めです【2022年12月号】

2022.12.01

12月です。今年もあと1ヶ月。
この連載も皆様のご協力のもと、続けることができました。ありがとうございました。
皆さんにとって素敵な観劇締めができますように。それでは2022年最後の「優先順位高めです」です。
今月より、劇団papercraftの海路さん参加です。
※まだまだ公演中止などの悲しいニュースが後を絶ちません。ご来場前に公演の実施可否をご確認お願いいたします。

脚本家/演出家・ 海路の優先順位高め!

 

海路です。みろって読みます。普段は脚本書いたり、演出したりしてます。
今月から記事書かせて頂くことになりました。てなてなことで、12月の優先順位高めな作品はこちら!

東京タンバリン『絆されて』
今年の2月に予定してたものの、コロナで中止を余儀なくされていた公演で、もう観れないかな、と思っていた中での上演決定。
東京タンバリンさんは、一昨年東京国立博物館で上演された『さとうは甘い』で初めて観劇して、それ以来ファンさせて頂いておりまして。
毎度毎度淡々と、一捻りあるキャラクターを魅せてくる森さんに注目だ!です!

パルコ・プロデュース2022『幽霊はここにいる』
行きたかった!!チケットが取れなかった……。
買おうと思ってみたら、既に完売という。ジャニーズWESTの神山智洋さん主演で、安部公房作の作品。
キャストに八嶋智人さん、福本伸一さんなどなどベテランな方から、勝手に以前から注目させて頂いてる秋田汐梨さんもご出演されていて……くそぉ!!観たかったお涙。

それと、12月21日から東京おかっぱちゃんハウスにて、自分が主宰兼作・演出を担当してます、劇団papercraft古民家公演『模範飛行』の上演を予定してます!
実際の古民家を貸しきった5人芝居となっておりますので、是非観にいらして下さい!

 
 

海路
脚本家。演出家。劇団papercraft主宰。
最近は映像監督もしてたりします。
今年の12月に古民家で、来年1月に浅草九劇で新作公演を予定してます。
Twitter:@nonde_miro

 

俳優・ 東野良平の優先順位高め!

 

コンプソンズ#10『われらの狂気を生き延びる道を教えてください』にご来場頂いた皆様ありがとうございました!お陰様で無事終演しました。
配信はなんと12/31まで!年の瀬にゆったりご鑑賞いかがでしょうか?
忙しい師走でも観たい演劇はやってくる!これ観て年越そう!

ナカゴー『ていで(再演)』
5月の『いわば堀船/紙風船文様』二作の同時再演が最高だったので、『ていで』まで再演してくれるなんて嬉しい!今年はナカゴーと再び出会う年。
濃くて強いナカゴーの俳優陣が一堂に会する本作。磐石のオリジナルキャストに加えて、ロロの森本華さんが出演。内容も改編版とのことで期待が膨らみます。
初演の記憶は笑いすぎて全く残ってません。今回も何一つ覚えられないでしょう。
得体の知れない小劇場という界隈への第一歩として激しくオススメする劇団です!決して他所では観れない演劇がここにある!
既に開幕しており(12/1〜4)たった4ステしかないので、ご予約はお早めに!

東京にこにこちゃん『ゲラゲラのゲラによろしく』
萩田頌豊与と出会って6年。相変わらず背が高くて・胡散臭くて・妙に人懐こい主宰は、とにかくキャスティングが上手い。
コンプソンズで唯一無二の存在感を示したてっぺい右利き君、ほりぶんでの「うるしに御用心」の歌声がいまだに響いている木乃江祐希さん、小劇場随一のパワーを誇る髙畑遊さん…駅前劇場進出となる本作で遺憾なく魅力を発揮することだろう。
そして、物議を醸すタイトルセンス。情報解禁時タイトル『ゲラゲラのゲラ』には、そのあまりの衝撃にコンプソンズの稽古が一旦中断を余儀なくされたくらいである。

劇団「地蔵中毒」『つちふまず返却観音2022〜テトラポッドの着払い〜』
こちらただ今稽古の真っ最中!2022年の芝居納めは3度目のスズナリで。
地蔵中毒初の再演と銘打ったものの、今のところ完全新作です。そして、最近物語を書くことを志向し始め「今回笑いは抑えていく」と宣言したはずの主宰・大谷皿屋敷がぼそりと「ギャグ我慢できない…」と呟いたところです。ギャグばっかり増えてお話が一向に進みません。ギャグテセウスの船と化した本作の航海をぜひ見届けてください。
必ず「無駄な時間」=「あまりに馬鹿馬鹿しくて無駄すぎる時間だったけど、いい歳してあんな演劇作ることに2、3ヶ月費やしてるあの人たちは大丈夫なのかな。まあ、別にいっか。お腹減ったなあ。」を堪能できますので!

 
 

東野良平
俳優。劇団「地蔵中毒」所属。次回出演→劇団「地蔵中毒」無教訓意味なし演劇vol.16『つちふまず返却観音2022〜テトラポッドの着払い〜』12/14(水)〜18(日)@ザ・スズナリ/舞台『キングダム』2023年2/5(日)〜27(月)@帝国劇場
Twitter:@lycoris1210

 

俳優・田代明の優先順位高め!

 

早いものでもう2022が終わろうとしております…!
今年の締めくくりにこんな舞台はいかがでしょうか!

パルコ・プロデュース2022『幽霊はここにいる』私、去年の12月もパルコ劇場で「海王星」を観ていました。12月はパルコに行きたくなるのかしら。『シュールでナンセンスだけどどこか夢夢しい!!』という謳い文句に惹かれこちらの作品を調べてた所、なんと書かれたのは60年以上も前とのこと。ですが、演出の稲葉賀恵さん曰く、奇想天外なコーラスや、ユーモア溢れた言葉たちの数々は全く色褪せずに私たちの心を揺すぶります、との事。死者と生者が織りなす不思議な物語、どんな雰囲気の作品なんだろう…楽しみです。

柿食う客「禁猟区」柿さんはいつもキャストさんのビジュアル解禁をワクワクしながら待つのですが、今回もかっちょいいビジュアルが出揃っております。あと、キャラの名前、オヤジギャグのような名前から、ストーリーにどう関連づいていくのか気になる名前まで様々。また、柿さんといえば全役をシャッフルして行う乱痴気公演も名物の1つ。今回も、柿食う客の皆さんの圧倒的パワーを本多劇場で浴びに行きたいと思います。

ミュージカル『スクルージ~クリスマス・キャロル~』市村正親さんがご自身でも”ライフワーク”、そしてタイトルロールのスクルージを”ハマり役”とおっしゃっているこの作品。チャールズディケンズの「クリスマスキャロル」を原作として世界中で愛されている今作。12月に観るのにこれほどまでにピッタリな作品は無いのではないでしょうか。大人から子供まで楽しめる今作、是非とも幅広い世代の方々に観てもらいたい作品です。

私事ですが、なんと前途したこちらと同じ原作・タイトルのミュージカル「クリスマスキャロル2022」という舞台に12/7(水)〜12/13(火)まで出演します!もしよければチェックしてみて下さいませ!

 
 

田代明
女優・歌手
北海道札幌市出身。東京藝術大学声楽科卒業。演劇、ミュージカル等、舞台を中心に幅広く活動中。
Twitter:@akkarindays

 

ライター・中川實穗の優先順位高め!

 

12月。一年の終わりになにを観たいかなと考える季節ですね。

いま楽しみに待っているのは芸劇dance 踊り部 田中泯「外は、良寛。」。田中泯さんが、松岡正剛氏による『外は、良寛。』に触発され生まれた作品だそうです。生の舞台にしかないなにかに触れることは約束されている作品だと思います。観に行くと思うだけで胸がドキドキします。

シアタークリエ『4000マイルズ~旅立ちの時~』も楽しみです。岡本圭人さん演じる心に傷を負った青年が、高畑淳子さん演じる祖母のもとを訪ね、少しの間一緒に暮らすその時間を描く作品です。生きてきた時代が違うふたりのやりとりや変化はきっと、わたしのこれからの人生にも影響を与えそうな気がしています。

ラッパ屋 第47回公演『君に贈るゲーム』も12月に観たい作品。鈴木聡さん書き下ろしの新作で、物語の説明を一部抜粋すると、「人生のややこしさと喜びをゲームにしてほしい。幼き孫に贈る私の遺言として」ということが書かれていてワクワクッとします。2チーム制なところが迷いますね。両方ですかね。

そして、ちびまる子ちゃん THE STAGE 『はいすくーるでいず』も。「ちびまる子ちゃん」の男子だけが登場する作品ですが、どうなるん?ってところも含め興味津々です。佐奈宏紀さんの花輪くんめっっっちゃ観たい……。

さてさて2022年も毎月ありがとうございました。みなさまの2023年が楽しい年になりますように。よいお年を!

 
 

中川實穗
ライター。日本の戯曲が多めですが、ジャンル問わずに観ます!
Twitter:@miho_sgt

 

 

ライター・古内かほの優先順位高め!

 

「家庭と演劇の両立を目指す」をテーマに、2017年に結成した町田マリーさんと中込佐知子さんの演劇ユニット・パショナリーアパショナーリアの新作がたのしみです。結成5周年記念公演ということで、iakuの横山拓也さんの戯曲『人の気も知らないで』と、町田マリーさん作『かぞくららばい』の二本立てで上演、演出は荒井遼さん。多彩なゲスト俳優陣も魅力的です。今回も高校生以下はチケット代金が無料、赤ちゃんから入場可能と、親子観劇にもってこいの公演。パショパショの試み自体が素晴らしい!と感銘を受けて、結成時に取材させていただいたのがわたしのライター活動の一歩目だったこともあり、5周年をお祝いする気持ちも込めて観に行きたいと思っています。

年末は舞台に纏わる魅力的なライブやコンサート公演も盛りだくさんですね。

日本版『スリル・ミー』のピアニスト、落合崇史さんと朴勝哲さんのピアノユニット・underscoreの連弾ライブはぜひ一度体験してみてほしいです。オリジナル楽曲をはじめ、ポップスやクラシック曲のたのしいアレンジ、お二人の遊び心に溢れた連弾は一度観たら&聴いたらクセになるはず!今回の『underscore LIVENostalgic Xmas』は、クリスマス気分も存分に味わえる予感。

日生劇場ゆかりのミュージカル楽曲を中心に構成された、Thanks Musical Concert『A Gift For You』は、曲目やキャストも含めて、ミュージカル好きには見過ごせない公演。作品を観たときの思いや、再演への期待が湧きあがる時間を過ごせそうです。

今年デビュー10周年を迎える木村達成さんの『木村達成 10周年コンサート –Alphabet Knee Attack-』も年末のたのしみの一つ。出演したミュージカル楽曲はもちろん、木村さんご自身が選曲したカバー曲や、ゲストの加藤和樹さん、柿澤勇人さんと披露されるデュエットも気になります!

突然の公演中止など、まだまだ厳しい状況も続いていますが、舞台を愛する皆さまにとって良き観劇納めとなりますように。そして来年も、素敵な作品との出会いを心からたのしみにしています!

 
 

古内かほ
ライター。観劇の入り口は小劇場から。近年はミュージカルと宝塚歌劇団を中心に観劇しています。今年はミュージカルのZINEを制作してみたいと思っています。
Twitter:@kahonfuu

 

批評家・山﨑健太の優先順位高め!

 

観たい公演が多過ぎて走るどころか分身したい師走です。

「ストレートプレイ枠」は文学座『文、分、異聞』。三島由紀夫の新作戯曲の上演をめぐって文学座が分裂した『喜びの琴』事件。その舞台となった文学座アトリエで事件をもとにした異聞=フィクションを上演するとなれば見ないわけにはいかない。日本初の女性劇作家・長谷川時雨を描いた『渡りきらぬ橋』が素晴らしかった原田ゆう(温泉ドラゴン)の戯曲に注目したい。演出は所奏。

「自由枠」は小田尚稔の演劇『よく生きろ!』。2020年にこまばアゴラ劇場で上演した『罪と愛』で岸田國士戯曲賞の最終候補となった小田が再び同劇場に登場する。作品ごとに哲学者の著作や文学作品をモチーフとして、現在を生きる等身大の人々の姿を描いてきた小田が今回の作品を通して考えるのは「よく生きる」こと。近作で見せた私小説ならぬ私演劇的な展開がどうなるのかも気になるところ。

「実験的作品枠」は「急な坂ショーケース Vol.3」。新田佑梨×関田育子、緒方壮哉、エリア51、ルサンチカといずれもU 30のアーティスト4組による原作ありの一人芝居ショーケース(1ドリンク付)。原作ありの一人芝居という条件は会場である急な坂スタジオ側から「オリジナルの新作を作り続けるだけでない」「レパートリー作品への足がかりとなる」創作の枠組みとして指定したものらしい。多くのアーティストを育ててきたクリエイションの場所らしい取り組みだ。タイプの異なる若手注目株が一気に4組見られるのもうれしい。ショーケースはYPAMフリンジ参加公演。YPAMには他にも面白そうなプログラムが多数。

 
 

山﨑健太
批評家・ドラマトゥルク。演出家・俳優の橋本清とともにy/nとして舞台作品も発表しています。
Twitter: @yamakenta

 

ライター・河野桃子の優先順位高め!

 

毎年年末の楽しみがこれ。こまばアゴラ劇場で上演される高校演劇サミット2022。高校演劇から選りすぐりの3作品を上演。自分が演劇部だった頃からいくつも高校演劇は観ていますが、いつも知らなかった人達や表現に出会わせてくれ、「高校演劇ってこんなに多彩なんだ!自由なんだ!」と毎年目を見張ります。3作それぞれ見ごたえがあり、満足感の高い年末を過ごせています。できればぜひ1作以上ご覧ください。1作品60分につき1500円です。

2022年は沖縄復帰50年。この数字的な節目に、さまざまな視点で沖縄を見つめる機会がありました。ご紹介する『カタブイ、1972』の作・演出の内藤裕子さんは、丁寧で取材対象によりそった戯曲と、いくつもの世代からのシビアかつ熱のある視線を客観的に表現されるので、この題材を取り上げることにとても信頼ができます。人がいて、物語があって、そこに息づいている。演劇には他者を知り、新しい目線を発見できる可能性がある。それを実感できるのでは、と期待します。

同じく今年、どうしても目を反らせない世界的な出来事であるウクライナ侵攻。ウクライナの戯曲に触れる機会が、紛争地域から生まれた演劇シリーズ14『Bad Roads』です。すでに完売していますが、アーカイブ配信あり。

最後に、客席に座っているだけでなくて全身で体感したい!伊藤キム&GERO 身体展示プロジェクト『誰もいない部屋』では、会場に大きな白い布が敷き詰められ、その下にパフォーマーが配置されています。「靴を脱いで布に上がってご鑑賞ください。歩き回る、立ち止まる、座り込む、寝転がる、どんな方法でご覧いただいても構いません」とのこと。パフォーマーはときどき動きます。通常の舞台芸術は、客席とステージが第四の壁として隔てられていることが多いですが、さて、布一枚が間にあることで、自分のなかに何が生まれるのか。ちなみにYPAM(横浜国際舞台芸術ミーティング)のフリンジ参加作品です。

 
 

河野桃子
ライター。翻訳戯曲と小劇場を中心に、ミュージカルやコンテンポラリーダンスなど「舞台」と名がつくものはなんでも観に行きます!
Twitter:@momo_com

 

ローチケ演劇部_白の優先順位高め!

 

12月ですね。変わらず笑いを欲しております。

まずは、劇団「地蔵中毒」第16回公演 無教訓意味なし演劇vol.16『つちふまず返却観音2022~テトラポッドの着払い~』。先日ひょんなことから大谷皿屋敷さんとお話する機会がありまして。ここでは書けないような話もいっぱいしたんですけど、やはり地蔵中毒を率いる方でして、本当に無教訓な時間で最高に楽しかったんです。てなわけで外せないです。

次に、東京にこにこちゃん『ゲラゲラのゲラによろしく』。前回公演『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・バルコニー!!』が初見だったんですが、これがまた私の好みでして。「なんかオススメの劇団ありますか?」なんて聞かれたときは、最近は「東京にこにこちゃん!」って答えることが多いんです。ただまだ1作品しか見ていないので、今回で自信を確信に変えたいと思います。ちなみに今年の観劇締めはこれ。

あとは、劇団アンパサンド『されど止まらず』。こちらも前回初見でしたが、なかなか面白かったので今回も観たい。そして、ナカゴー『ていで』もやっぱり外せないですね。

最後に、訳あって観られないのが確定しているのですが、ぜひとも勧めておきたい2作品。
明日のアー 悪役研究発表公演『本当にあったひどい話 創作集』(※本日12/1情報解禁!)と今月より「優先順位高めです」に参加してくれてます、海路さんの劇団papercraft古民家公演『模範飛行』。いやー観られないのが本当に残念でならない。私の代わりにみなさんぜひ。