3世代の個性的な登場人物が彩る時と記憶を巡る家族の物語『アカシアの雨が降る時』開幕!

2023.10.14

撮影:田中亜紀

2023年10月14日(土)~22日(日)に東京・新国立劇場 小劇場で上演される『アカシアの雨が降る時』が本日開幕します。東京公演後は、兵庫・石川・盛岡・久慈・愛媛・大阪と地方へ巡演します。開幕前日の10月13日(金)に初日前会見と公開ゲネプロが行われました。

物語は、桜庭香寿美(竹下景子)が倒れた所から始まる。孫の陸(鈴木福)、息子の俊也(松村武)が見守る中、目覚めた香寿美は陸を自分の夫・つまり陸の祖父の名前で呼び、自分は20歳の大学生で、陸は自分の恋人で、俊也を恋人の父親だと思いこみ挨拶した。俊也と陸は医者のアドバイスに従い香寿美の思い込みを否定しないよう、演技を続けることを決意する。こうして3人の香寿美の青春時代(70年代)を共にすごす旅が始まった―
「家族」という普遍的なテーマを軸に、若者たちの熱気が溢れていた70年代<若者たちが抗議活動に参加した「戦車闘争」や、若者のバイブルだった高野悦子著「二十歳の原点」、当時流行した歌やギャグなど>を青年と中年の世代がリアルな現代の悩みを抱えながら体験することで、徐々に変化し、違いを理解し合おうとする姿を描いた、鴻上尚史ならではのリアルとファンタジー。笑いと涙を巧みに操り、身近で普遍的な社会を炙り出す本作は、2021年の初演時も好評を博しました。一筋縄ではいかない鴻上ワールドを3人の俳優たちがどう演じ切るのか、ご期待ください!!

初日前会見のコメント及び公開ゲネプロより舞台写真が到着しましたので掲載します。

 

撮影:田中亜紀

コメント

竹下景子
この話は家族の話ですが、今生きている状況と青春時代のお話しがクロスオーバーして刺激的で魅力的な作品です。3人なので慌ただしくもありますが、やりがいのある作品です。鴻上さんご自身のエピソードも織り込まれている、家族が愛おしくなるような心に沁みる芝居ですので、皆さま楽しみにしてください。

鈴木福
僕が演じる陸の目線だったり、陸のお父さん、おばあちゃんそれぞれの視点で見ることで感じ方が違う作品だと思います。僕自身この作品に出逢えたことを嬉しく思います。今、これからどう生きていくか、悩みや不安抱えている方いらっしゃるかと思いますが、そんな皆さんに見ていただいて何か感じていただけたらと思っています。是非劇場に来ていただきたいです。

松村武
初演も出演しておりましたので、余裕を持っていましたが、台本とは違う台詞をしゃべっています(笑)。3人芝居で、出入りも忙しく台詞も多いので間違えないように頑張ります!3人芝居で3世帯の話は珍しいと思います。全国どこで上演しても心に響く作品になるかと思いますので、お待ちいただけばと思っております。

鴻上尚史(作・演出)
どのお客様にご覧いただいても、感情移入できる、笑って泣ける芝居になっていると思います。3人の大変なセリフの量と舞台上に出たり入ったりを楽しんで頂けたら嬉しいです。福さんはこの役のために生まれて初めて髪の毛を染めました!染めた割にはあんまり分からなくて…(笑)。国民の息子が大学生になり、二十歳の設定で山ほどセリフをしゃべりますので、お楽しみください!

 

◆あらすじ◆

母が倒れた。
病院に駆けつけると、母は20歳の大学生だと思い込んでいた。
そして、私の息子を、つまり、母の孫を自分の恋人だと信じて呼びかけた。
母の恋人、つまり私の父と息子は、顔がよく似ていた。
母と父は大学生の時に出会ったのだ。
医者は、母は病気であり、母の妄想を否定してはいけないと告げた。
息子は母の恋人として話し、私は恋人の父、つまりは私の祖父として振る舞った。
こんがらがった関係の中、母は大学へ戻ると言い出した。
70年代初頭、恋と革命が途方に暮れ始めるキャンパスへと。