今年で見納め!『ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド2023』応援サポーター 本田望結 インタビュー

撮影/Tomoko Hidaki

2016年の日本初演から“劇場で楽しむクリスマス”として、新たな渋谷の冬の風物詩となった『ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド』。東急シアターオーブのスペシャルなクリスマスショーは今年で7年目の集大成を迎え、日本初演から続く演出バージョンでの上演は今年で見納めとなる。
初演の2016年から2019年までの4年間にわたり本公演の応援サポーターを務め、またゲストスケーターとしても出演してきた本田望結が、集大成を見届けるべく再び応援サポーターに就任。出演エピソードや公演の見どころについて語ってもらった。

――日本初演から続く演出バージョンでの上演は、今回で見納めとなりますね

初演から参加させていただいているので、この演出で観ることができなくなるのは寂しいですが、だからこそ観に行こうと思ってくださる方もいらっしゃると思いますし、毎年楽しみにされているお客さまには、ぜひ最後を見届けて存分に楽しんでいただきたいです。
海外では、クリスマスはお出かけして「クリスマスショー」を楽しむことは珍しくないそうですが、日本ではお家で過ごすイメージが強いですよね。この公演はクリスマスショーを観る文化を広める役割もあると思いますので、クリスマスの新しい過ごし方、楽しみ方をこのショーを通して知っていただけたらと思います。

――本田さんは2016年から4年間にわたって本公演の応援サポーターを務め、またゲストスケーターとしても出演されてきました。振り返って印象に残っているエピソードを教えていただけますか?

たくさんあるのですが、ダンサーやシンガーの皆さんが見せる“ギャップ”です。舞台裏とステージで受ける印象がまったく違うんです。大人しそうに見えていた方が、ステージではすごくパワフルなパフォーマンスをされていたり、やはり皆さん「演者」なのだなというのを改めて感じました。キャストの皆さんが「お客さまを楽しませる」という気持ちで一丸となって取り組んでいるからこそ成り立つ空間なのだと思いました。
また、キャストは海外の方ばかりでしたので、同じ空間にいながらも「ここって本当に渋谷だっけ?」と感じることも。そう思わせてくれるほどの世界観を感じさせてもらえるのは、お客さまのみならず、スタッフさんや私たちのことまで楽しませてくれるキャストの皆さんのお人柄や心意気のおかげでもあり、それがこのショーの素晴らしさにつながっているんだなと感じました。

――出演されていたときは、振付けやお衣装などご自身で決められていましたが、出演者としてはどのようなことを大事にして演じられていましたか?

「目立ち過ぎないように」というのはすごく意識していました。一つの物語として、オープニングからフィナーレまでどう盛り上げていくかという演出家の構想を、私が一瞬パッと現れて踊ることで壊してしまう可能性もあるので、いかにこのショーに馴染んだものを創れるか、ということを一番に考えていました。

――舞台の上で滑るのは、普段とはまた全然違う感覚だと思いますが、どういったところに難しさを感じられていましたか?

舞台では樹脂製のリンクを使用し、オイルが塗られた板の上を滑るので、フィギュアとは別の新しいスポーツをやっているような感じでした。滑っている時は、バレエを踊っているような感覚に近いのですが、フィギュアスケートに見えなくてはいけないので、そこはすごく苦戦しました。あと、樹脂の上だと転びやすいのも難しいところです。振付けは自分で担当しているので、振りを間違えても気付かれることはありませんが、転んでしまうとやはりこのショーの全体に影響が出てしまうので、「絶対に転んではいけない」という思いで練習していました。

――そのようなご苦労があったのですね。では、本田さんご自身がお好きなシーン、お客さまにお薦めしたい場面について教えてください

ポスターにもなっているサンタさんが登場するのは、ワクワクする場面ですね。もう、想像以上にサンタさんが機敏に踊るんです(笑)。私自身も最初に観た時、「サンタさんってこんなに踊れるの!?」ってびっくりしました。初めて観に来られる方には、サンタさんがどれだけ踊るのか、ぜひ注目して観ていただきたいですね。

――サンタさんといえば、今年のクリスマスプレゼントで欲しいものはありますか?

高校卒業しちゃったけど、サンタさん来てくれるかな(笑)。もしお願いできるなら、「食器」でしょうか。この春から一人暮らしを始めて、食器を集めるのがすごく好きになりました。シリーズで揃えるというよりは、和洋含めていろんなタイプのものを楽しみたいので、私が持っていなさそうなものをぜひお願いしたいです(笑)。

――本公演では名作ミュージカルのナンバーも盛り込まれています。ミュージカルをご覧になるのはお好きですか?

好きです。自分が経験したことがないからこそ、面白い世界だなと感じています。最近では、小さい頃にお仕事でご一緒させていただいていた福田雄一さん演出の『ビートルジュース』を観ました。ミュージカルは表現の幅が広くいろんなカラーの作品があるので、ジャンルに捉われない懐の深さを感じます。それこそ、今回の公演も“クリスマスショー”という新しいスタイルですので、また新たなものを作り出しているといっていいんじゃないかと思います。

――そろそろ年末の足音も聞こえてくる時期ですが、本田さんにとって、今年はどんな一年でしたか?

一人暮らしを始めたことは、とても大きな出来事でした。これまでは7人の家族と7匹の犬と暮らしていたので、寂しさもあり、半年経った今でも一人暮らしには苦戦しています(笑)。でも、一人の時間があるからこそ、改めて家族の大切さに気付かされました。家族への感謝の気持ちを教えてもらった一年だったなと思います。
また、コロナ禍の状況も少しずつよくなってきているので、失敗してもそれを生かせるくらい、「何にでもチャレンジしたい」という気持ちが再び湧いてきています。

――来年のご活躍も楽しみです。それでは最後に、お客さまへメッセージをお願いします

ぜひ、劇場で自由に楽しんで観ていただきたいです。サンタクロースの恰好をしたお子様や大人の皆さんがいてもいいですし、自分なりの楽しみ方ができる公演だと思います。お席も、サイドの通路をサンタさんが歩いて来てくれたりもするので、端の席にいても、後ろの席にいても置いてけぼりにならずに楽しませてくれます。とくに予習も必要ないですし、何の不安もなく気軽に観に来ていただけたらと思います。この演出では最後となるので、私も気合いを入れて応援サポーターを務めたいと思います!

インタビュー・文/古内かほ
撮影/Tomoko Hidaki