ミュージカル『深夜食堂』筧利夫&荻田浩一 インタビュー

ミュージカルでよみがえる、心温まる深夜の人間ドラマ

 

深夜0時、ある食堂にひっそりと明かりが灯る。大人気漫画『深夜食堂』は、その店のマスターと客たちとのやり取りを描く、心温まる人間ドラマだ。何度かの映像化を経て、韓国ではなんとミュージカル化も。その舞台が日本へ上陸。演出に荻田浩一、マスター役に筧利夫を迎え上演される。

荻田「韓国で日本の漫画が取り上げられた上、ミュージカルにまでしてくれた。それがありがたくもあり、うれしい驚きでした。ミュージカル化は意外かもしれませんが、原作にはメルヘンな部分もあり、音楽に乗せた方がイメージは膨らむと韓国の方は思われたのでしょうね」

「僕もミュージカルだということにまず驚きましたが、向こうの舞台を観ると、すごくレベルが高いんです。それだけに下手な人がつくると失敗する可能性もありますが、オギー(=荻田)なら安心です!」


常に舞台に立つマスターだけに、荻田は筧にこんな期待を寄せる。

荻田「セリフこそ少ないですが、ずっと舞台上にいて、ここがマスターの店だという存在感がすごく大事になってくる役です。そこが筧さんなら、この店の空間をつくるという意味において、とても大きな助けになってくれると信じています」

「すでに映像では小林薫さんがやられていますし、入りやすい役ではあります。衣裳の力も役づくりにはとても大きいので、今日の段階でその半分くらいはイメージできたかと思います。またミュージカルとは言っても僕は歌も踊りも少ないので、役柄で勝負します(笑)」そう筧は笑うが、荻田はマスターにさらなる役割も求めている。

荻田「ベースは日本の漫画ですが、韓国のドラマツルギーも色濃く感じられ、似て非なる印象もあります。少し感情の振り幅が激し過ぎるというか。日本だと少しトゥーマッチに感じるというか。ただそれを全部直してしまうとこの作品をやる意味がなくなってしまうので、そこはマスターの匙加減にかかっている気がします」

「僕ですか!?」

荻田「ええ。少しコチュジャンの量を減らしていただいて…(笑)」

「ハハハ! すごく難しくはありますけど、うまい塩梅を探っていきたいです」

 

インタビュー・文/野上瑠美子
Photo /倉田貴志

 

※構成/月刊ローチケ編集部 9月15日号より転載
※写真は本誌とは異なります


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【プロフィール】
筧利夫
■カケイ トシオ ’85年より「劇団第三舞台」に参加。『踊る大捜査線』でのブレイク後は、映像にも進出。俳優にとどまらない活躍をみせる。

荻田浩一
■オギタ コウイチ ’97年、宝塚歌劇団『夜明けの天使たち』で演出家デビュー。’08年に退団以降もストレートプレイ・ミュージカル・ショーなど幅広く活躍中。