寺山修司の幻の異色作、音楽劇『不思議な国のエロス』~アリストパネス「女の平和」より~開幕

2024.02.17

撮影=友澤綾乃

寺山修司の戯曲を稲葉賀恵が演出する 音楽劇『不思議な国のエロス』~アリストパネス「女の平和」より~ が、2024年2月16日(金)、新国立劇場小劇場にて開幕しました。本公演は、寺山修司没後40周年記念認定事業です。新国立劇場小劇場の舞台を素に近いスタイルでフルに活用。シンプルな舞台装置の中、俳優と音楽と振付の力で、寺山修司の劇世界をエネルギッシュに描き出します。

『不思議な国のエロス』は、アリストパネスの喜劇『女の平和』をベースに1965年、浅利慶太の依頼で寺山修司が劇団四季に書き下ろしましたが、当時は上演されないまま終わった幻の戯曲です。

稲葉は第30回読売演劇大賞演出家部門・優秀賞を受賞した注目の若手演出家です。音楽は古川麦が30曲以上を書き下ろし、シャンソン、演歌、昭和歌謡なども加わり、多ジャンルの魅力的な楽曲が劇作品世界を彩ります。いきいきとセクシーに躍動する康本雅子の振付にもご注目ください。

出演は、戦争を止めるために集結したアテネの女たちのリーダー・ヘレネーに文学座の松岡依都美、物語の案内人・ナルシスに朝海ひかる。また、恋人と結ばれたいクローエに花瀬琴音、クローエに愛を捧げるアイアスに渡邉蒼、質問好きな少女・エコーに横溝菜帆。そのほか、原田優一が男性合唱隊長のペリクレース、内海啓貴が戦士・カミラス、まりゑがスパルタのラムピトーを演じます。さらに、文学座の高橋ひろし、北村岳子、占部房子、伊達暁、富岡晃一郎、柿丸美智恵、林光哲、伊藤壮太郎、まりゑとともに「女優倶楽部」として活動している関谷春子、万里紗、皆本麻帆といった実力と個性を兼ね揃えた多彩なメンバーが揃いました。

公演は2月25日(日)まで新国立劇場 小劇場にて上演します。

ヘレネー役の松岡依都美、ナルシス役の朝海ひかる、演出:稲葉賀恵、音楽:古川麦のコメントが到着しましたので掲載します。

 

キャストコメント

撮影=友澤綾乃

ヘレネー役/松岡依都美
こうして無事初日を迎えられた事にホッとしております。そしてご来場いただいたお客様にまずは心からの感謝をお伝えしたいです。ひたすらに走り続けてきたこの一ヶ月、本当にあっという間でしたが、チーム一丸となって一回一回を大切に千穐楽まで突き進んでまいります。どうかたくさんの人たちに届きますように。

 

撮影=友澤綾乃

ナルシス役/朝海ひかる
初日の幕が無事に降りて、ホッとしております。古代ギリシャ時代の戯曲、先人からの言霊が寺山修司さんの『言葉』で蘇りました。多くの皆様にご覧いただけたら幸いです。スタッフ出演者一同、心を込めてお届け致します。25日まで、どうぞよろしくお願い致します。

 

スタッフコメント

演出:稲葉賀恵
アリストパネスの「女の平和」をベースに寺山修司が約60年前に書いた戯曲を今、この現代にどういう風に投げかけようかと座組一同で考え、初日を迎えました。キャストの皆さんひとりひとりが、まっすぐ作品に向き合い魅力的な輝きをはなっている姿をまず観ていただきたいです。世界中で陰惨な出来事が今まさに起こっていますが、その現実を少しでも自分ごととしてとらえられるために演劇があると思っています。この舞台もその一助となれるように、千穐楽までスタッフ・キャスト一同、務めてまいります。

音楽:古川麦
今回は音楽と、舞台での演奏を担当させていただいておいります。計32曲やってないジャンルはないんじゃないかくらい本当にいろいろなジャンルの音楽を詰め込ませていただいております。音楽だけだはなく根本にはぶっとい演劇があり、そこにささやかですが色付けができたらと思っております。

 

◆あらすじ◆
戦いに明け暮れる男たちに愛想をつかしたギリシャの女たちは、敵味方の垣根を超えて立ち上がる!
アテネの武将ラケースの妻ヘレネーは、女たちを密かに集め戦争終結を要求するためセックス・ ストライキを提案します。アクロポリスに結集し一度は計画に乗る女たちでしたが、クローエは平和を願いつつもアイアスと結ばれたいという思いを抑えられません。ヘレネ―の声がけに、スパルタやアカルナイなど敵国の女たちにもアテネに結集、戦争を終わらせるためならと、帰還した男たちを巻き込みながらセックス・ストライキを始めるのですが…。

 

舞台写真

撮影=友澤綾乃

撮影=友澤綾乃

撮影=友澤綾乃

撮影=友澤綾乃

 

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