舞台版『心霊探偵八雲 祈りの柩』ゲネプロレポート

あの感動から1年半。いよいよ開幕を迎えた舞台版『心霊探偵八雲 祈りの柩』。

開幕に先駆け、2/11(水・祝)公開ゲネプロが行われた。

舞台版『心霊探偵八雲 祈りの柩』③

 

主人公の斉藤八雲は生まれついての赤い左眼で死者の魂を見ることができる大学生。その能力と推理力で難事件を解決する八雲の活躍を描いた人気シリーズ「心霊探偵八雲」。

 

シリーズ累計400万部を突破する大人気小説の完全舞台化。
今回も、原作者の神永学が舞台のためにオリジナルストーリーを書き下ろした。

 

前作に引き続き主人公、斉藤八雲役を演じるのは、舞台以外にもドラマや映画などで幅広く活躍する久保田秀敏。

舞台版『心霊探偵八雲 祈りの柩』①

久保田が演じる八雲は、口が悪くひねくれ者。過去の経験から周囲の人間と距離をおいている。しかし、頼みごとをされると、文句を言いながらも決して断らない、そんな優しい一面も持っている。本作でも、心霊現象の相談に訪れた宇都木に対して、冷たい態度をとりながらも、放っておくことができず、協力を承諾し調査をスタートさせる。

 

ヒロインの小沢晴香役を演じたのは、美山加恋。美山演じる晴香は、本作でも、意図せず事件に巻き込まれていく…

舞台版『心霊探偵八雲 祈りの柩』②

前作では、事件に深く関わる重要な存在であった、石井雄太郎刑事。今回も引き続き石井を演じるのは、佐野大樹だ。張り詰めた展開が続く本作において、コミカルな言動で緊張をほぐす石井の存在は、非常に重要だと言える。この絶妙な緊張と緩和が、観客をより作品の世界に引き込んでいく。

 

石井の上司であり相棒でもある後藤和利刑事を演じるのは、アニメ版「心霊探偵八雲」にて後藤の吹き替えを担当した東地宏樹だ。東地が後藤を演じることが、舞台版というくくりではなく、『心霊探偵八雲』という作品の世界観を表現する上で、極めて重要な要素であるように感じる。

後藤は、適当な面が多く、発言は乱暴で人の話をあまり聞かない。後先考えずに行動してしまうタイプだ。しかし、反面、とても人間味溢れる性格で、事件や人に対して感情が入り過ぎてしまう傾向がある。性格上、八雲とは言葉でぶつかることが多い。しかし、根底では互いに信頼しあっているように思える。そして、そうした部分が垣間見えるシーンはとても微笑ましく感じた。また、本作では封印された後藤の過去が事件と大きく関わりをみせる。そして、後藤は、過去や昔の相棒と向き合う中で、これまでにないほど大きな感情の揺らぎを見せる。そんな、一見強い心を持った後藤和利という人間の脆さが表現されていることも、本作の見所であり、観客の心を引き付けるポイントになっているように思う。

舞台版『心霊探偵八雲 祈りの柩』④

 

本作は、宇都木と名乗る青年が八雲のもとを訪れることからストーリーが動き出す。宇都木の相談とは、丘の上にある泉で幽霊を目撃してから、友人の女の子が憑依され、歌を歌い続けているというものだった。

時を同じくして、後藤のもとに、昔の相棒である桐野から、殺害予告を受けているという相談が持ち込まれる。

相棒ではあったが、2人の「刑事」や「犯罪者」に対する考え方は、間逆と言って良いほどに異なっていた。2人は、互いを嫌い、8年前のある事件をきっかけにコンビは解消となった。

そんな、昔の相棒からの相談に困惑しながらも、後藤は指定された教会に向った。しかし、そこに昔の桐野の姿はなかった。人が変わったかのような桐野に驚く後藤だったが、渋々桐野の相談にのることにした。しかし、その矢先…教会で密室殺人が起こる。

 

「心霊現象」と「密室殺人」、2つの事象は徐々に繋がりを見せ始める。歌い続ける女の子のもとで八雲の赤い左眼に映った謎の女性。泉に死体が沈んでいるという謎の電話。そして、後藤と桐野のコンビが解消するきっかけとなった8年前の事件。

 

愛情や憎しみ、妬みや悲しみ。様々な感情が混在しながらストーリーは展開していく。強過ぎる感情は時として人を傷つけてしまうことも。

謎と謎、事件と事件、現在と過去、複雑に絡み合いながら真実に近づいていく。八雲の類い稀なる推理力と赤い左眼が導き出す意外な結末とは・・・

 

 

ゲネプロ終了後、八雲を演じる久保田秀敏は、

「本日初日が開けますが、全19公演、全力で突っ走っていきます。」

と意気込みを語った。

 

 

公式HPはコチラ⇒http://www.nelke.co.jp/stage/yakumo2015/