若くて踊れてイケてるフック船長!
大人も子どもも楽しめる夢と感動の物語
榊原郁恵が初代ピーターパンを演じた1981年の日本初演から35年間、主に夏に上演され、子どもだけでなく大人にも愛されてきたミュージカル「ピーターパン」。唯月ふうか演じる9代目ピーターパンの前に立ちはだかるフック船長を昨年から演じているのは、大貫勇輔。海外を含め、この役を演じた俳優のなかで最も若く、また現役ダンサーという異色のフック船長で話題を集めた。
大貫「何年か前に、『どうせ子どもミュージカルでしょ?』と思いながら観に行ったら、めちゃくちゃ感動して泣いちゃって(笑)。ダンスばっかりやってきた自分が、ミュージカルの本当の意味での良さを知って、自分もいつかこういう作品に携われるように頑張らなきゃと思いました。歌も芝居も初めてだった『キャバレー』のときもそうでしたが、ダンス以外の新しいものへの挑戦に対して、やる前から『できないんじゃないか』とは思わないんです。本当にできないことは、自分の目の前に来ないだろうと思っているし」
過去には古田新太、鶴見辰吾、石川 禅ら多彩な男優が演じている役だが、華麗なピルエットもキメる大貫フックは、もちろん歴代で最もダンサブル! イケメン度も一、二を争う。
大貫「演出の玉野(和紀)さんもダンサー出身で見せ方をよくご存じなので、ふたりで話し合いながら、新しいフック船長像を作り上げていきました。衣裳もカツラも、それに実は手のフックも重くて、それで動き回りながら、しゃべって歌わなきゃいけない。ダンスも含めて、これまででいちばんキツい舞台でした(笑)! でも僕よりもっと大変なピーターパン役のふうかさんは全然弱音もはかず、逆に励ましてくれて。僕はヒーヒー弱音をはいてましたから、ほんと尊敬してますね」
フックのキャラクターを保ちつつ、観客の大半である子どもたちに受け入れられるためには、怖さとコミカルさのバランスが大切。また、フック役とウェンディ(ピーターパンと冒険する少女)の父ダーリング氏は同じ俳優が兼任すると戯曲に書かれていることからも、単なる悪役にとどまってはいけないキャラクターだ。
大貫「子どものころ、『アンパンマン』の“バイキンマン”が、アンパンマンより好きでした。例えるなら、子どもが好きになってマネをするような悪役をイメージしていて。フック船長はカッコよくてセクシーで怖いんだけど、ちょっとおバカでかわいい部分もある。その両方を行き来できるといいなと思いながら。僕自身ちょっとマザコンの気があって(笑)、実は甘えん坊で寂しがり屋、でも人にはそういう姿を見せたくない、みたいなところがある。だから親近感があってやりやすかったですね。最近、映像の作品を経験したこともあり、芝居が面白くてしょうがないんです。自分のなかで役の作り方も変わるだろうし、去年とは違うものにしたいってすごく思っていますね」
ちなみに観客としての大貫が泣いてしまったシーンとは、瀕死の妖精ティンカーベルを助けるため、ピーターパンが客席に向かって、「妖精を信じるなら、手をたたいて!」と言う場面。
大貫「僕はまぁ、『ハイ、しますよしますよ……』という感じで(笑)。でも周りを見たら、子どもたちはみんな『死なないで!』って全力で手をたたいていたんですよ。『それ、すげぇな!』と思ったんです。純粋なものを目の当たりにした感動と、自分は汚れてしまったっていうことの両方に泣けてきて(笑)。やっぱり世の中捨てたもんじゃない、自分を見直してもっときれいに生きなきゃ、ということをすごく感じたんですよね」
客席の上を飛ぶ名物のビッグフライングと、頭上から振りまかれるキラキラした妖精の粉。子どもたちも、かつての子どもたちも、劇場を出ると前の自分とはちょっぴり変化している、魔法のミュージカルだ!
インタビュー・文/武田吏都
Photo/岡田晃奈
構成/月刊ローソンチケット編集部
【プロフィール】
大貫勇輔
■オオヌキ ユウスケ ’88年、神奈川県出身。17歳よりプロダンサーとして活躍し、’11年、ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」への出演で一躍注目される。ドラマ「セカンド・ラブ」(テレビ朝日)など映像でも活躍。
【公演情報】
ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』
■日程&会場:
2015/7/20[月・祝]~30[木]
■料金:
【東京】ドリームシート¥8,000(おとな・こども同一料金) S席こども¥5,500・おとな¥8,500・シニア¥8,000 A席¥3,500(おとな・こども同一料金)
A席ランチ付(3階)おとな¥4,400・小学生¥4,100・3歳~幼稚園¥3,800
※こども=3歳~12歳、シニア=60歳以上
【発売情報】
一般発売:[東京]発売中
※大阪公演も開催予定 2015/8/2[日] 梅田芸術劇場メインホール
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