ネプチューンの堀内健による自作自演の舞台プロジェクト“堀内夜あけの会”。共演にバラエティ番組などでも付き合いが長く、気心の知れた先輩である出川哲朗や、超個性派のコメディエンヌ・伊藤修子らを迎えた昨年の第一回公演は、チケット発売からほどなくしてソールドアウト。一体どんな舞台だったのか気になっていた人も多いのではないかと
思うが、約1年ぶりに第二回公演「オマエは渋谷の夜回りおじさんじゃない!!」が決定した。
現在はバラエティを活動の主戦場にしている堀内は、このプロジェクトを始めるまではグループとしても、いち俳優としてもやや舞台からは遠ざかっていたのだという。舞台は彼の仕事の中でどんな位置を占めているのだろうか?
堀内「感覚としては部活っぽいとこがあるかもしれない。みんなで一緒にやる稽古期間があるから、テレビの仕事とはまた気分が違うんですよね。テレビが緊張しないわけじゃないんですけど、緊張感も全然違うし。ネプチューンで定期的にライヴをやってた時代は、公演が近づくと頭の中がそのことでいっぱいになっちゃって、稽古だけで燃え尽き症候群みたいになることがあったんですよ(笑)。でもこの公演については、お笑いのステージとも向き合い方が違って、責任も感じるし、周りにあまり甘えられないというか…少なくともネプチューンのときとは全然違いますよね」
このプロジェクトでは脚本も担当。第一回公演ではイケメンの池岡亮介が度を越して変態チックな役を演じるなど、キャストの意外な顔が見られるムチャぶりも多く、さぞかし楽しんでいるのかと思いきや……。
堀内「いやあ…脚本書くのって本っ当に大変! やっぱり脚本家の方々ってすごいんだなって。去年は無理やりアイデアをひねり出すような形で、一緒に脚本を担当している村上(大樹)さんに手直ししてもらったりしたんですけど、1から10まで自分でやろうと思ったら本当に無理でしたね。村上さんの(劇団の)拙者ムニエルの公演を見せてもらったんですけど、ぶっ飛んでるのにポップなんですよね。僕のアイデアに村上さんの持ってるあのセンスを加えることで、面白いものができるんじゃないかって改めて思いました」
デビューから20年以上のキャリアを重ねた堀内にとっても、初めての経験が多かったという第一回公演。脚本を書くことの難しさ、醍醐味などさまざまな発見があったのだそう。
堀内「お笑いでも芝居でも、ちゃんとした軸になるものがないとふざけらんないなって思うんですけど、そのど真ん中の部分を考えるのがすごく大変なんですよね。例えばですけど、修学旅行って先生の目を盗んで女子の部屋に行ったりするのが楽しいわけじゃないですか(笑)。ルールがあって、そこをいかに壊していくかっていうのが楽しくて、でもそのルールを作るのがすごく難しい…」
そしてそのステージを支えるのが、2年連続で出演する出川哲朗。リアクション芸人としての顔があまりにも有名だが、もともとはウッチャンナンチャンらが所属していた劇団SHA・LA・LAの座長であり、舞台人としても長いキャリアを誇る。
堀内「第一回公演をやってみて、出川さんはもっと役者としていろんな作品に出てもいいんじゃないかって思ったんですよ。この舞台はわりとお笑いの要素が強いから出川さんがなじみすぎちゃって(笑)魅力が隠れちゃってる部分があると思うんですけど、舞台や演技についても詳しいし、演技自体も上手いし、改めてすごい人だなあと」
出川以外にはやはり連続出演になる伊藤修子のほか、元D-BOYSの中村昌也、“テニミュ”出身の安川純平らが、個性豊かなホリケンワールドにさらなる色を加えていく。
堀内「今はまだ配役をきっちり決めてないんですよ。中村くんはバラエティ番組で結構絡んだことがあって、事務所も一緒だから何度かご飯食べに行ったりもしていて。お笑いでいうところのツッコミ役がちゃんとできる人だから、彼が入ることで芝居にも説得力が出るんじゃないかと思って。安川くんはイケメンですね。去年の池岡くんには結構ムチャぶりしましたけど、今回もある、かも?(笑) 第一回公演みたいに歌ありダンスありにするかもしれないし、全編ミュージカルにしちゃうかもしれないし、逆に無音の舞台にするかもしれない。そこはまだお楽しみに…としか言えないんですけど」
今作の舞台となるのは2015年夏の渋谷。世間を震撼させるような連続強盗事件が起こるが、容疑者として挙がったのは、およそ犯罪とは縁のなさそうなあの「おじさん」。「おじさん」は自分の無実の罪を晴らすべく奔走するが、謎の人物たちがそれを阻止しようとする。謎の人物たちの正体は? そして「おじさん」がたどり着く真実とは?
堀内「最後に“なぜ連続強盗事件が起きるのか”っていうのはちゃんとわかると思います。やっぱりやるからには、お客さんに何かしらのメッセージを届けたいと思っていて。だからマジメな部分もあると思うんですけど、夏なんでお化け要素も入れたくて(笑)。季節感は結構大事にしていて、第一回は5月だったからちょっと五月病っぽいイメージを織り込んだんですよ。だから今回はヒューマンドラマチックサスペンス…そこに“ホラー”と“シティ”の要素も盛り込めたら。シティは、例えば渋谷のスクランブル交差点って、世界的に有名じゃないですか? あれを見てると、渋谷って日本が世界に誇れる街なんだなって感じるんですよ…靴下屋さんに外人がいっぱいいたりとか(笑)、そういう風景を見たときに『舞台にするなら、やっぱ渋谷だな』ってひらめいて。僕ね、東横のれん街や東急ハンズでバイトしてたこともあるんですよ。だからすごく親しみもある街で…劇場は下北ですけど(笑)」
この舞台をきっかけに「できる限り毎年舞台をやる」という目標が加わり、忙しい中でもかなりの充実感を感じていると語る“座長”堀内。
堀内「僕は普段はテレビの仕事がほとんどだから、お客さんの目の前でやる舞台って反応もダイレクトだし結構違うもんだなって思ったり、この歳にしていろいろわかったことがあって。この感覚はやり続けてないと忘れちゃいますから、大切にしたいなって。1時間半か2時間程度になると思うんですけど、その間だけはこの現実の渋谷と違うパラレルワールドにぐいぐい引き込んでいきますんで、絶対観に来てください! あとある意味、この舞台は宇宙みたいなもんですから。プラネタリウムに行くような気分で楽しんでもらえたら」
取材・文:古知屋ジュン
【プロフィール】
堀内 健
■ホリウチ ケン ’69年、神奈川県出身。’93年に名倉潤、原田泰造とネプチューンを結成。現在は『世界番付』『しゃべくり007』(日本テレビ)『ナニコレ珍百景』(テレビ朝日)、『ジョブチューン』(TBS)、『ネプリーグ』(フジテレビ)などのバラエティやトーク番組を中心に活躍。単独で出演する『IPPONグランプリ』(フジテレビ)などで見せる、型にはまらないギャグセンスには定評がある。
【公演情報】
堀内夜あけの会 オマエは渋谷の夜回りおじさんじゃない!!
日程:2015/8/21[金]~23[日]
会場:下北沢 本多劇場
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