入れ代わり立ち代わりボケ倒すローテーション漫才や、キャラクターの作りこまれたコントなどで人気の我が家が、2年連続となる単独ライブを開催する。最近では、バラエティの他にも、坪倉は倉持裕が作・演出を手掛けた舞台「家族の基礎~大道寺家の人々~」に出演、谷田部と杉山はNHK朝の連続テレビ小説「とと姉ちゃん」に出演と、それぞれ俳優としても活躍の場を広げつつある3人。そんな中で開催される単独ライブへの意気込みを聞いた。
――昨年に引き続いての単独ライブ開催となりますが、2年連続開催は14年目のキャリアの中でも初めてですよね。なぜ、今年もやるか!となったのでしょうか。
坪倉 去年は6年ぶりの単独ライブだったんですが、お客さんの反応がすごく良くて、関係者からも「1年とか2年に1回でやったほうがいい」と言ってくださる方もいたんです。僕らも定期的にやりたいという気持ちがあったし、ちょうど会場の赤坂レッドシアターも押さえることができたので、もうこの流れを固定してしまおうと思ったんですよ。年に1回、赤坂レッドシアターで単独ライブをやるっていうのをね。
杉山 今はネタ番組もなくなってきているので、ライブで我が家のネタを見せたいなと思うんですよね。待ってくれている人がいるので。そこで「やっぱり我が家っておもしろいんだな」って思ってもらいたいですし、2人ともやる気なので、毎年やっていきたいなと思っています。初心に戻るじゃないですけど、ネタを準備しているとトリオになった時のことを思い出したりするんですよ。そういうことをやっていったほうがいいのかなと思いますね。
谷田部 やっぱり、新ネタを作っていないとお酒ばっかり飲んじゃうんですよ。肝臓の数値も上がっちゃうので、年1回やっておかないと肝臓の病を抱えてしまうことになるので…。
坪倉 お前の体のために単独ライブやるわけじゃないからな(笑)。
――(笑)。谷田部さんがワインエキスパートの資格を取得されたとき、テイスティングの時はワインを吐き出してもいいんだけど、もったいないから飲んでしまうっておっしゃっていましたよね。今でもそうなんですか?
谷田部 飲んじゃいますね~。だから最後のほうは何を飲んでいるのか、もうわかんないです。でも単独ライブに向けて、ここ3日間はお酒を飲んでないですね。僕だけ家庭もあるので、僕の体のためにも単独ライブを続けていきたいですね(笑)。
杉山 谷田部に関しては、単独ライブをやらないと大きな声を出す場がないから、どんどん声が小さくなっていっているんですよ。
谷田部 自覚がないので一番ダメなやつですよね。去年は声が小さすぎて、作家さんに「ご飯を食べろ」とダメ出しされました。
杉山 もうそれ、お笑い1年目のダメ出しですよね。でも、単独ライブやっていれば谷田部も声が大きくなるから(笑)。
――単独ライブの開催が決まったとき、谷田部さんは攻めたネタもやっていきたいとお話しされていましたね。
谷田部 そうですね。まだ全貌は見えてないですが、今までは「我が家らしいな」と思えるようなネタをやって、それでウケれば満足していたんですけど、今回は「こんなことやっていいのかな」と思うようなことにチャレンジしたい。そういう意味では、賞レースを狙えるようなネタ作りを目指してやっていきたいですね。
坪倉 逆に、めっちゃスベるんじゃないかと思うようなこともやるつもりです。ヘタしたらめっちゃスベるようなことをやらなければ、めっちゃウケるようなこともないんじゃないかなと。三振かホームランか、みたいなネタは1~2本はほしいですね。
杉山 お客さん、引くだろうなぁ(笑)。「攻めてんな~」って思ってもらえればいいけど、「何やってんだ?」ってパターンもありますから。でも、何か新しい形ができればいいですよね。去年は6年ぶりということもあって、そういう部分は意識していなかったけど、今回は我が家っぽくないことにも挑戦していきたいです。
谷田部 1年目くらいの気持ちで尖っていきたい。俺らの世界に入ってきたのはお前らのほうだろ、くらいの気持ちで。ちょっとお客さんを置いてけぼりにするようなこともやっていきたいよね。
坪倉 最初は我が家っぽいな、と思わせておいて、だんだん脱線していって、だんだんスベっていく、みたいな(笑)。僕はスベったりするの嫌なんで、杉山さんにやってもらいますけど。
杉山 それ、おかしいだろ! 俺が単独やるごとにスベってどんどん静かになっていったらどうすんだよ。
坪倉 激ヤセする? 単独ライブダイエット企画にするか。めっちゃスベってダイエット(笑)。
谷田部 杉山が痩せちゃっても、それが新しい我が家だから…ね。
――ここ最近のお仕事では、3人がそれぞれ舞台やドラマ出演などピンでの活動も多くなっている印象です。お互いの仕事ぶりを少し客観的に見る機会も多いと思いますが、いかがですか?
杉山 坪倉は役者さんになりたいのかな?って思いますね。舞台とかドラマとか。
坪倉 求められたらなんだってやるよ、俺は。それがエンターテイナーだと思っているから。
杉山 でも、見ていてお笑い芸人の感覚を忘れちゃうんじゃないかとちょっと怖さもありますね。ボケなくていい場所じゃないですか、俳優のお仕事って。
坪倉 舞台でも笑い取ってるから! 杉山は観に来たけど寝てたんじゃないの(笑)。
谷田部 坪倉は役者だけじゃなくて、バラエティも僕以上にたくさん出ているので、何とも言えないですね(笑)。でも役者の仕事は、絶対にコントにも役に立つだろうし、もっと頑張ってほしいです。もっとヒルナンデス月曜でも頑張ってほしいです!
杉山 せっかくこうね、俺らがあえて身を引いて…(笑)。
坪倉 いや違うだろ! 俺は3人の方がやりやすかったよ、そこは。やっぱり1人で出ていると「ここで2人がいたら、こうボケれるのに」とか、考えちゃうんですよね。そういうときは2人が必要だなと思うし、3人でやれることが貴重なことに感じられますね。あと、谷田部さんのことももっとTVで見たいです(笑)。
谷田部 僕ももっと出たいです(笑)。この間、ピンでCMに出演させていただいたんですが、地上波で見たことないんですよね…。
杉山 俺たちに恥ずかしいからウソついたんじゃないかっていうね。
谷田部 いや、出てるから!
――今回のライブでは、コント、漫才に加えてピンネタも披露されるそうですね。
坪倉 去年、僕は初めてR-1グランプリに出て、途中までは良かったんですけど、3回戦でどんズべりしたので、悔しくて。何か正当なネタで勝負できないかなと思っていますね。2人のピンネタも見てみたいですし。杉山が踊りながら何かする、みたいな。踊りながらめっちゃきれいに洋服たたむみたいな。たたむの難しそうなパーカーもめっちゃきれいにたたむ(笑)。
杉山 ショップ店員とかじゃないし、できないから!
谷田部 ピンネタやったら杉山が一番面白いと思うんだけどな。何かを真剣にやるだけで面白くなるんですよ、杉山は。
坪倉 杉山さんはボケるの下手だからなぁ。ボケる前にニヤニヤしてるんだよ(笑)。…洗顔する? ひたすら5分くらい、いい音楽かけて。
杉山 で、めっちゃさっぱりして帰るだけなんでしょ? …想像してみたけど、笑いどころが全然わかんない(笑)。
――14年目に入って、結成のころからと比べれば変わったなと思うようなところはありますか?
杉山 そうだなぁ。健康を気にするようになったくらいですね。保険とかの話をしたり。そんな話しなかったもんね。谷田部は家族もできたので、そのあたりはより考えてるんですよね。
坪倉 あれ、去年は子どもいたんだっけ?
谷田部 結婚はしてたけど、子どもはまだだったね。
坪倉 じゃあ、初だ。出そうよ。
谷田部 いいよ。
――即答なんですね(笑)。
谷田部 ギャラはもらうよ。
坪倉 ギャラとかじゃねーんだよ(笑)。でも映像に出てもらうとか、何かでできるといいよね。10年後とかに「あの偉大な杉山さんに抱っこされてたんだよ」って言えるような。
杉山 「こんな人いたんだよ」になってなきゃいいけど(笑)。でも谷田部のお父さんキャラって、いまいち伝わって来てないからね。
谷田部 なんでキャラなんだよ(笑)。ちゃんとお父さんだから。っていうか、杉山は1回も子どもに会いに来てないからだろ! 坪倉は来てくれたけど。
杉山 赤ちゃんとか、怖くて抱っこできないんだよ。首が座ってないと不安で。兄貴の子供でも2歳くらいまで会ってなかったですから。なんかちょっと恥ずかしいのもありますね。
坪倉 杉山さん乳首いっぱいあるんだから、おっぱいあげればいいのに。
杉山 いや、豚じゃないんで乳首いっぱいないから! 豚だったとしてもオスだから!
――単独ライブをやるにあたって、何か大事にしている部分や注目してほしい部分はありますか?
谷田部 舞台転換のスピードは大事にしたいですね。
坪倉 なるべく暗転の時間は短くしたいんですよ。この間は幕間に映像も使わなかったので、なるべく早く着替えて、お客さんになるべくほかのことを考えさせないようにしていました。暗転の間って、なんか別のこと考えちゃうじゃないですか。そういう暇を与えないようにしたい。毎回単独ライブの時は最後に30分くらいの長いネタをやっているんですが、それは今回もやりたいですね。あとは、お客さんも参加できるようなネタも。前回は、転校生っていう設定の杉山に、お客さんを指名して勝手にあだ名つけてもらったんですよ。
杉山 それで、そこで決まったあだ名が、どこかのコントの中で「こいつ、昔はこんな風に呼ばれていたらしいですよ」みたいに出てくる。
――それはお客さん側もパーティー感があっていいですね。
杉山 僕らの側もすごくフラットな感じで出られるので、緊張感がほぐれるんですよ。すごくやりやすくなる。また観に来たいな、と思う舞台を作りたいと思っているのでぜひ家族で来ていただきたいですね。
谷田部 そうですね。「TVで観るような我が家」以外の我が家を見せられるようにするので、ぜひ足を運んでください!
坪倉 本当に、普通に来てほしいんですよ。来てくれたら後悔はさせないので。もし、つまらなかったら、このネタがこうだったので…ってプレゼンしてください。それが理に適っていたら、返金も検討しますから。
杉山 いや、できないから! 要はそれぐらいの気持ちで、ってことね。
坪倉 はい。自信をもってやるので、ぜひ来てください!
◆◇◆ 我が家とローソン ◆◇◆
我が家のみなさんに、ローソンにまつわるお話を聞いてきました!
谷田部 実は僕、ローソンでバイトしていたんですよ。なので、ローソンチケットを売っていました。父の知り合いがオーナーで、芸人は不規則だろうから夜勤とかでもいいし、うちで働かせてあげるよ、って言ってもらえて。でも、3か月くらいでクビになっちゃったんですけど(笑)。
杉山 知り合いなのに?
谷田部 決めた日にはちゃんと出勤していたんですけど、週1くらいしか出勤できなくてあまりにも仕事が覚えられなかったんですよね。でも、ローソンチケットはちゃんと販売していました!
坪倉 ローソンは事務所の近くにあるので、さっきも行ってきました。絶対からあげクンを買っちゃうんですよ。辛い、レッドのやつ。
杉山 僕はからあげクンのレギュラーが一番好きですね。あと、ローソンの「マチカフェ」は、コーヒーを作ってくれて手渡ししてくれるのでうれしいですね。
谷田部 打ち合わせやネタ合わせもほとんど事務所でやるので、ネタはほとんどローソンで買ったものを食べたり飲んだりしながら出来ているんですよ(笑)。
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インタビュー・文/宮崎新之
【公演情報】
「我が家 単独ライブ HOME PARTY 2016」
日程・会場:
2016/11/5(土)・6(日) 赤坂レッドシアター