宇宙をキーワードにした2つのドラマが融合
少年社中の代表作の一つ『モマの火星探検記』に、劇団とは久々のタッグとなる矢崎広の出演が決定。劇団初期からのオリジナル作品『ハイレゾ』と、宇宙飛行士・毛利衛作の同名児童文学の世界観をミックスして生まれた同作。ファンタジックで温かみのあるこの作品について、主宰の毛利と宇宙飛行士である主人公・モマを演じる矢崎に聞いた。
毛利「元々うちで持っていた作品に、毛利衛さんの原作を合わせて作り直した2012年の内容をベースに、今回はよりキャラクターや物語をふくらませてお届けしたいと思っています。今回、東京は銀河劇場で、こんなにぴったりなハコはないだろうと思いますし、大阪公演もあるのでこどもから大人まで多くの方に少年社中を知っていただけるきっかけになるとうれしいです」
矢崎「2012年の公演は当時劇団にいらした森大さんの卒業公演を拝見して感動で大号泣したのを覚えています。他にもステキな作品は多いんですが、少年社中の持つ魅力をドン!と突きつけられたような作品が”モマ”だったんです」
人類初の火星探検に挑む宇宙飛行士・モマ、北の国でロケットを作り続ける少女・ユーリ。それぞれのドラマが、ある意外な事実をきっかけに一つの物語へと結びついていく。
毛利「毛利衛さんの原作は肌感覚で宇宙での生活を描写されていて、絶対に宇宙に行ったことがある人でないと書けないストーリー。ご本人からも直接お話をうかがったりしながら、宇宙がどういうものなのかをダイレクトに感動として伝えるというのがこの作品の使命だと考えています」
2.5次元ミュージカルの演出など多方面で活躍する毛利は「前作からの5年の演出家としての経験を、この“モマ”に全部ぶつけたい」と意気込む。対する矢崎もミュージカル『ジャージー・ボーイズ』など大作への出演で役者として経験を重ねてきた。
矢崎「僕のイメージであて書きしてくださった『贋作・好色一代男』(2014年)と違って、モマは前回の主役の森さんのイメージが個人的には強かったんです。でも毛利さんが『俺は矢崎がモマをやったらどうなるかを観たい』と言ってくださったので。僕自身も僕がモマを演じたらどうなるのか楽しみですし、今はワクワク感がすごくありますね」
【こぼれ話】
2012年のミュージカル『薄桜鬼』で出会った2人。
お互いの初対面の印象と現在の印象の違いについて聞いてみた。
毛利「最初の現場での矢崎くんは新撰組の土方歳三役で“鬼の副長”でしたから、稽古場でもリーダーシップを持ってガンガン引っ張っていくタイプでしたね」
矢崎「(笑)。当時は、自分が土方役をやるというのが個人的に大きなできごとだったので、周りの役者よりもキャリア的に先輩だったりもしたし、稽古場でも周囲にちょっと土方寄りのキャラクターで接していた部分があったんですよ」
毛利「だから最近の作品で組んでみて、やわらかいイメージに驚くことがありました。普段はほわっとした人なんだよね?」
矢崎「そうそう。作品が終わってやっと土方の亡霊が抜けて(笑)、それからも『贋作・好色一代男』だとかいろんな作品でご一緒していますね。毛利さんは役者の個性に合わせて演出を決めてくださることが多いので、僕にとってはすごくありがたくて。そういうところは最初にお会いしたときから変わらないですね」
インタビュー・文/古知屋ジュン
Photo /村上宗一郎
※構成/月刊ローチケHMV編集部 5月15日号より転載
※写真は本誌とは異なります
掲載誌面:月刊ローチケHMVは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布
【プロフィール】
毛利亘宏
■モウリ ノブヒロ ʼ75年、愛知県出身。劇団作品のほか『宇宙戦隊キュウレンジャー』のメインライターを務めるなど多方面で活躍。
矢崎広
■ヤザキ ヒロシ ʼ87年、山形県出身。ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』(ボブ・ゴーディオ役)など、多数の話題作に出演。
【公演情報】
少年社中・東映プロデュース「モマの火星探検記」
日程・会場:
8/9(水)~13(日) 東京・天王洲 銀河劇場
8/19(土)・20(日) 大阪・サンケイホールブリーゼ
原作:毛利衛「モマの火星探検記」(講談社)
脚色・演出:毛利亘宏
出演:
井俣太良 大竹えり 岩田有民 堀池直毅 加藤良子 廿浦裕介
長谷川太郎 杉山未央 山川ありそ 内山智絵 竹内尚文 川本裕之
矢崎広 / 生駒里奈(乃木坂46)
中村優一 松田岳 輝馬 相馬圭祐 五十嵐陽向
谷口賢志 鎌苅健太 鈴木勝吾
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