少年社中・東映プロデュース 舞台『モマの火星探検記』囲み会見&ゲネプロレポート

2020.01.08

左から毛利亘宏、矢崎広、生駒里奈、毛利衛

2020年1月7日(火)東京・サンシャイン劇場にて、少年社中・東映プロデュース 舞台「モマの火星探検記」が開幕した。

宇宙飛行士の毛利衛氏が書いた児童文学「モマの火星探検記」を原作として、主人公『モマ』が火星での冒険を振り返る物語と、少年社中が過去に上演した宇宙を夢見る少女『ユーリ』が主人公の物語「ハイレゾ」をミックスした本作。
2012年に初演、2017年に再演され好評を博した作品を、2020年という東京オリンピックイヤーの年に、規模を拡大して2020年1月・2月、東京・愛知・大阪・福岡の全国4都市にて新たに上演される。原作者である毛利衛、脚色・演出の毛利亘宏(少年社中)、本作のW主演である矢崎広、生駒里奈の4名が登壇した囲み取材でのコメント、ゲネプロレポートをお届け。

 

<囲み会見コメント>

【原作者 毛利衛】

私が原作に込めた想いやメッセージが、この舞台で期待以上に伝わっていると感じました。私自身も観て感激しました。舞台にしてくれてありがとうございます! 演じてくださったおふたりも凄いなと感じました。本当に感謝です。
この作品を通じて、あらためて伝えたいメッセージとしては、地球を大切にする心でしょうか。私たち自分や家族、そして社会、大きく言うと人類は、最終的には「地球」というところでしか生きられません。「SDGs(Sustainable Development Goals:エスディージーズ)」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、これは「持続可能な社会」を目指して、それを世界レベルで実現するために国連で合意された世界共通の目標のことです。ぜひ世界を挙げてそこへ向かっていって欲しい。この作品を世界中の人に見てもらえたらいいなと感じています。【モマ役 矢崎広】

再演のお話をいただいてから、発表、稽古期間を経て、ついにこの日を迎えることができたのだなという心境です。この作品は、本当にチームでひとつになってお客様に向かっていかないと、このメッセージは届かないのではないかというくらい壮大な物語だと思っています。劇場へ来てからもまた一つ一つ作品がパワーアップしているのを実感しているので、最後までチーム全力でもがいて頑張っていきたいと思います。ここにお客様のパワーが加わる初日が楽しみでワクワクしています!
僕が演じるモマは宇宙に憧れ、火星を目指す宇宙飛行士の役です。毛利衛さんを前にして恐縮ですが、本当に計り知れない宇宙飛行士という役で、さらに演劇で宇宙を目指すということをやっている作品なのですが、ゲネプロで僕たちの宇宙がどーんと広がったという手応えがありました。僕がプロポーズに失敗するシーンは、前回の時から不安を覚えつつも、当時のゲネプロで笑いが起こったことが自信になっていました。先ほどのゲネプロでも笑い声が聞こえたので安心しています(笑)。
本当にたくさんのメッセージが詰まった作品ですので、ぜひいろんな方に見ていただきたいです。今回は4都市回るので、最後まで全力で頑張っていきたいと思います。【ユーリ役 生駒里奈】

ついに初日を迎えます。ゲネプロ中には、顔合わせの日のことや、再演ということで作品を知っているからこそ難しかった稽古を思い出しました。ただ、すごく楽しい日々でした! 前回の時はあまり色々なことを知っていなかったので、今回知った上で挑むことの難しさや、先輩方のすごさを実感しながらやってきました。……でも、ロケットを飛ばせたので! お客様にもそういったことを毎公演しっかり見せていきたいと思います。
私が演じるユーリは、秘密基地で見つけたロケットの本を見て、友達と一緒にロケット作りを始めるという、憧れに突き動かされる女の子です。前回は21歳の時に演じていて、24歳になった今とそんなに変わらないと思っていたのですが、演じていてめちゃくちゃ難しくて! 21歳の私は本当に赤ちゃんだったのだなと思いました。……今もそうかもしれないですけど(笑)。どうやって演じるのかという悩みは、やっと通ったかなーと個人的には思っています。
宇宙飛行士たちが火星に行くところだったり、子どもたちが憧れで動いているところも見ていただきたいです。夢を追いかけるのは本当に素晴らしいことなんだよ、ということを私たちを見て感じてもらえたらと思っています。【脚色・演出 毛利亘宏】

約2年半前にW主演のおふたりと、この形でやらせていただきました。2年半という月日の間に、それぞれにとっていろいろな変化がありましたので、切磋琢磨してきた仲間たちと新たに加わった仲間が集まって新しい「モマの火星探検記」を作り上げた、という自負がございます。前作をご覧になった方も全く違う印象を受けるのではないかと思いますし、自信を持ってお送りできる作品になっておりますので、ぜひともご期待ください。
宇宙を描いた作品なのですが、壮大なものを描こうとすると、どんどん小さな愛に行き着きます。「愛」というと気恥ずかしい言葉ですが、愛がいっぱい詰まった作品になっていると思います。今回の再再演では特に、家族や身近な人を大事にしたくなるようなメッセージが強く伝わるのではないかと思っています。宇宙から個人的な愛、マクロからミクロ、みたいなつながりがあるのではないかと思います。 <ゲネプロ リポート>

本作は、宇宙をめぐる2つのストーリーが交差するストーリー。

父との約束を果たすために人類初の火星探検に挑む“宇宙飛行士・モマ”。
宇宙に憧れて仲間と共に小型ロケットを作る“少女・ユーリ”。

モマは宇宙飛行士たちと火星に向かう中で、「人間はどこからきたのか、なんのために生きているのか」の答えを見つけようとする。
ユーリは試行錯誤を続けるロケット作りの最中に「幽霊」と出会い、対話を繰り返す中で帰らぬ人となった宇宙飛行士の父親に想いを馳せる。

ふたりの行動はやがて、お互いの物語へと繋がっていく……。脚色・演出の毛利亘宏が、照明効果や力強いダンス、印象的な音楽を組み合わせることによって、宇宙空間を見事ステージに描き出す。特に出演者全員でロケットを打ち上げるオープニングは必見だ。細部までこだわりを感じる衣裳や舞台装置も見どころなので注目して欲しい。悩める青年・モマを矢崎広が感情豊かに、明るさと健気さを持つユーリを生駒里奈がひたむきに演じている。火星探検に向かうモマの仲間たち、ユーリと一緒に夢中でロケットを作る子どもたちは、少年社中のメンバーと注目の俳優陣が熱演。観客をロマンあふれる宇宙へと導く。物語が交差していくワクワク感と、宇宙空間を表現する演出の美しさ、登場人物がそれぞれに抱える感情。心が揺さぶられる場面が必ず見つかるステージだ。 劇場空間が宇宙になる――――――。今作で観客はつかの間の宇宙旅行にいくことになる。

 

カメラマン:金丸 圭