写真前列左から)天華えま、音波みのり、七海ひろき、高橋駿一、里中将道
写真後列左から)桜庭大翔、酒井敏也、川原一馬、Toyotaka
©石森プロ ©舞台「サイボーグ009」製作委員会
石ノ森章太郎によって描かれたSF漫画作品『サイボーグ009』の初の舞台化が、2024年5月18日(土)に開幕した。
演出・植木豪、脚本・亀田真二郎がタッグを組み、主演の009/島村ジョーを七海ひろきが演じる。さらに、俳優・ダンサーなど、さまざまな分野で活躍するキャストが集結。
囲み取材には、七海ひろき、天華えま、高橋駿一、音波みのり、里中将道、桜庭大翔、酒井敏也、川原一馬、Toyotakaが登壇した。
初日に向けた意気込みを聞かれ、七海は「不朽の名作の初の舞台化。活気あふれる稽古場でした。初日から千穐楽まで舞台で存分に皆さんに見てほしいと思います。全員がかっこいい舞台です。できるだけ速く、マッハ5で頑張りたいです!」と意気込む。
続いて見どころや注目ポイントを聞かれると、Toyotakaが「サイボーグ戦士たちの能力の見せ方、舞台ならではのシーンが詰まっています。僕たちも場当たりの時に客席で見ながらおお!と叫んじゃうくらい迫力満点。楽しみにしてください」、川原が「Toyotakaくんも仰っていましたが、それぞれの特殊能力の表現が本当に面白いのでぜひチェックしてほしいです。音楽の音圧やライブ感を、観劇というより体感してもらえる。作品自体も疾走感があるので、全部含めて体感していただけたらと思います」とアピール。
酒井は「上演時間のどこを切り取ってもかっこいい作品になっています」と話し、桜庭が「最新テクノロジーをふんだんに使っています。その中で、体一つで奏でるBG SOLDIERSのパフォーマンスをぜひ楽しんでほしいです」、里中が「アクションとダンス、照明、いろいろなものが組み合わさって一瞬で過ぎさる世界感になっています」と見どころを語る。
音波は「今日から始まるお客様との融合をすごく楽しみにしています。前のめりになるような気持ちで見ていただけたら」と呼びかけ、高橋は「キャストが適材適所だと改めて思いました。また、作品の中で様々な人種が集まっている理由も考えさせられました。ストーリー性もしっかり楽しんでいただけたら嬉しいです」と物語についても言及した。
声の出演として参加する天華は「人ってこんなに動けるんだ、飛べるんだというワクワクが詰まっていますし、今の時代だからできることも盛りだくさん。さらに音楽の幅広さもあります。あと、早めにお席に座っていただくと脳に話しかけることがあるかもしれません」と客観的に見た感想を述べ、七海は「博士役の大鷹さんが締めるところをギュッと締めてくれるし、0010がかっこいい。勝てないんじゃないかと思う瞬間もあるくらいです。今回は配信もあるので、そちらも楽しんでいただけたらと思っています」と語る。
演じる役の好きな部分、共感できる点を聞かれ、Toyotakaは「性格が中立的というか、みんなの気持ちがわかるキャラクター。僕も同じ気持ちになることが多くて、演じる時もわかるなあと思いながら稽古をしました」と話し、川原は「作中でキャラクター自体の設定などが変わっていますが、統一されているのは人間味があるところ。シーンごとに揺れているところに共感できるし、いいなと思います」と魅力を挙げる。
酒井は「張々湖は料理人。僕のチャーハンすごく美味しいんですよ。そこに共感できます」、桜庭は「改造された後も体が大きいんですが、改造される前も大きいんですよ。あれだけの身体を手に入れる過程を考えるとすごく尊敬します。彼を目指してまだまだ頑張っていきたいです。衣装さんに怒られない限り」とお茶目に話し、里中は「ハインリヒは色々苦しい時代を乗り越え、俯瞰して見ているけど熱いところがある。僕自身も熱い人間なので、そこを出していけたらと思っています」、音波も「フランソワーズも古い人間。私も古風なところがあるのでそこは共感。平和の祈りをずっと続けているところにも共感しています」と作品の中の重いテーマについて話す。
高橋は「僕自身も実は空を飛ぶことができるんです」と笑わせ、「僕自身、空中を舞う表現を得意としているので、そこは共通点だと思っています。性格的には、ジェットは好戦的で気が短いけど仲間思い。そこは近いのかなと思っています」と語った。天華は「今日はお揃いのおしゃぶりをつけてきました。イワンみたいに愛されるキャラクターになれるように頑張ります」と意味込み、七海は「今は違うんですが、結構一人で頑張るぞ!というところがあった。ジョーもわりと一人で突っ走っちゃうので、そこは似ているのかなと。作中でみんなに出会ったことで、より大きな力を出すことができると考える部分は今の自分にしっくりくるセリフです」と締め括った。
ゲネプロレポート
本作は、島村ジョーが改造され、同じくサイボーグにされた仲間たちと共に戦いに身を投じていくストーリー。七海は突然改造されてしまったジョーの戸惑い、人間らしい思いやりや優しさを魅力的に表現し、共感できる主人公を描き出した。
仲間のサイボーグ戦士を演じるキャスト陣も、個性あふれるキャラクターを際立たせている。水中での戦いを得意とする008/ピュンマは滑らかなダンスによって水の中を表現し、全身が武器の004/ハインリヒは映像や照明を組み合わせて攻撃を見せるなど、特殊能力の表現の多彩さも楽しい。
ブラックゴーストの幹部・スカール(中塚皓平)と0010の2人も、キレのあるダンスとアクションで強敵らしい貫禄を醸し出している。さらに、プリンシパルキャストのパフォーマンスをBG SOLDIERSが抜群のチームワークで支え、迫力あるアクションシーンや緊迫感のあるシーンを作っていた。
また、原作をベースに、0010/プラス(滝澤諒)・0010/マイナス(相澤莉多)に関するオリジナルストーリーが追加されており、サイボーグ戦士の悲哀や相手を思いやる気持ちといった人間ドラマも描かれている。ギルモア博士(大高洋夫)がジョーたちを見守るあたたかい視線、戦いが嫌いな003/フランソワーズの思い、好戦的な002/ジェットとジョーの衝突、無口だが仲間への思いが感じ取れる005/ジェロニモの佇まいなど、グッとくるシーンが満載だ。006/張々湖と007/グレート・ブリテンはコミカルなやり取りで和ませ、ストーリーに緩急をつけてくれている。
1時間30分ほどの公演だが、ワクワクする演出と質の高いパフォーマンス、ノリのいいポップなナンバーからしっとり聞かせるものまで幅広い楽曲、ジョーを中心とした熱いストーリー……と見どころ満載。濃密で満足感のある仕上がりとなっている。
さらに、開演前のアナウンスを001/イワンが担当しているほか、公演終了後は回替わりで様々なカーテンコールやアフタートークショーなどを実施。ゲネプロではキャスト全員によるスペシャルカーテンコールが行われ、本編で披露されるものとはまた違うパフォーマンスで大きな盛り上がりを見せていた。
本作は5月26日(日)まで、東京・日本青年館ホールで上演。5月18日(土)と5月25日(土)の公演はRakuten TVで独占ライブ配信および見逃し配信も行われる。
※石ノ森章太郎の「ノ」の字は、約60%縮小が正式表記
取材・文・撮影/吉田沙奈
©石森プロ ©舞台「サイボーグ009」製作委員会