アニメ放送10周年を迎える『結城友奈は勇者である』が、2024年10月に初めて舞台化されることが決定した。情報解禁を前に、結城友奈を演じる本西彩希帆と親友・東郷美森を演じる大森莉緒にインタビューを行った。
――舞台に対する意気込みを教えてください
本西 アニメ10周年ということからも、たくさんの方に愛されている作品だということがわかります。アニメの良さはそのまま引き継ぎ、舞台の良さをのせてお届けできるように頑張りたいと思いました。私たちもですが、お客様もワクワクしているはずなので、素敵な作品にしたいです。
大森 歴史ある作品が舞台化することもすごいし、素晴らしい作品に関われることが光栄です。女の子が戦う姿のかっこよさを、生身の人間でどうやって引き出すか考えてお見せできたらと思っています。
――原作アニメの感想や好きなポイントを教えてください
大森 ほのぼのした日常とシリアスの振り幅が大きくて、ギャップに心を動かされました。
本西 しんどいけど、みんながそれぞれ誰か・何かのために勇者としているのが魅力だと思います。私は犬吠埼姉妹のシーンが大好きで、9話でボロ泣きしました。舞台でどうなるかわからないけど個人的に楽しみです。OPやEDで仲間になった夏凜が加わるのも、愛を感じられて好きなシーンです。
――それぞれが演じるキャラクターの印象はいかがでしょう
本西 自分の年齢でも、急に「勇者です。戦ってください」と言われたら受け入れるのに絶対時間がかかる。でも友奈ちゃんは立ち向かう勇気と揺るがない芯の強さを持っている。みんなに頼りにされたり、誰かが落ち込んでいたら声をかけたりできる子なので尊敬するし、演じられるのが光栄です。友奈ちゃんの魅力を余すことなくお伝えできるように頑張りたいです。
大森 東郷美森ちゃんの印象は、大人しくて真面目で知的な子。私自身は真逆で、どちらかというと人を笑わせたり場を盛り上げたりするのが好きなタイプ。今まで演じたことのないキャラクターだからこそすごく楽しみです。みんなを見守って支える芯の強い女の子をどう演じるか悩みますが、美森ちゃんのかっこよさを舞台でお見せできたらと思っています。
――お二人が思う2.5次元舞台の面白さはどこにありますか?
大森 アニメや漫画のキャラクターを実際の人間が演じ、2次元では伝わりきらない細かい表現や表情を伝えられるのが魅力なのかなと思います。
本西 アニメや漫画には、細かい情報や声優さんの声などのヒントがたくさんある。もちろんそこに寄せるのも大事だけど、その上でさらに自分の持っているものを乗せられるのが楽しいと思っています。すごく嫌な役でも、中身の人の良さが出る瞬間があったり、憎み切れない部分が伝わったり。「舞台でこのキャラクターを好きになりました」と言っていただけると演じる側もすごく嬉しいです。
――2.5次元舞台に出演する上で大切にしていることはなんでしょう
本西 役作りで大切にしているのは、全てを寄せすぎないことです。「アニメではこのセリフを淡々と言っていたから自分もそうしよう」というだけだと違和感が生まれることがある。ベースが同じでも、舞台上で相手の熱をもらうことで変わってくるので、自分が役を任されているという意識を持って演じています。あとは、私もすごくアニメが好きなので、実写化や舞台をよく見るんです。そういう時にファンとしての自分がどこに注目しているかも気にしますね。今回も、ファンの方が友奈ちゃんのどういう部分を好きか考えて演じたいと思います。
大森 自分が演じるキャラクターの気持ちに寄り添うことを大事にしています。「この子は今どんな気持ちでこのセリフを言っているんだろう」とか。私もまだ舞台経験が浅いので難しいこと、わからないこともありますが、セリフのテンションやスピード感をちゃんと考えながら演じるようにしています。
――親友役ということで、本西さんから見た美森ちゃん、大森さんから見た友奈ちゃんの印象や、一緒に演じる上で楽しみなことを教えてください
大森 友奈ちゃんは明るくてみんなを引っ張っていくような存在です。美森ちゃんも友奈ちゃんを守るために戦っているので、私も明るい友奈ちゃんについて行きたいなって思っています。
本西 東郷さんは一番人間らしいなと思っています。友奈ちゃんは「今から勇者です」と言われて「成せばたいていなんとかなる!」と受け入れるけど、そんなにすぐ受け入れられるものじゃない(笑)。東郷さんが物語の軸でいてくれるから、友奈ちゃんも頑張れるんだと思います。私自身、明るいキャラクターは久しぶりなので不安もありますが、莉緒ちゃんから学びながら仲良くなりたいです。
――作品全体のテーマとして「勇者」がありますが、お二人にとって「勇者」とは?
本西 小さい頃からヒーローと聞いて浮かぶのはアンパンマンです。あんなふうに人に尽くせるのってすごいなと思います。それでいうと自分の母親もすごいと思うし、勇者ですね。
大森 言葉で言うと、失敗を恐れずにひたすら突き進むのが勇者のイメージ。普通の人は逃げてしまうようなことにも立ち向かって目標を達成していく強い人が「勇者」だと思います。
――舞台を見たことがない原作ファンの方に向けて、生の舞台の魅力を伝えるならどこでしょう
本西 アニメはお家で見ることができるコンテンツなので、舞台はハードルが高いと思います。初めての体験は怖くもあるし大変さもあると思いますが、その上で、アニメでは描かれていない部分、キャラクターの息遣いを感じられるのが舞台ですし、戦闘シーンも生身の人間ならではの熱量があります。悩んでいる方が一歩踏み出してくださったときに後悔させないように、私たちも全力で作品や役と向き合って頑張ります。
大森 初めての舞台化で私もすごく緊張していますし、原作ファンの方は「これをどうやって舞台で見せるんだろう」という心配もあると思います。でも、キャスト・スタッフのみなさんと一緒に原作ファンの方に喜んでいただけるものを作りたいですし、原作を知らない方にも『結城友奈は勇者である』の良さを知っていただきたい。舞台を見て、改めて原作にハマっていただけたら嬉しいです。
――12話をギュッとまとめて舞台化するのでカットされるシーンもあると思いますが、特に好き・舞台にあったら嬉しいシーンはどこですか?
本西 私は犬吠埼姉妹が好きすぎて。樹ちゃんがみんなの前で歌を歌えるようになったシーンも好きだし、9話で風ちゃんが暴走しちゃうところもすごく好き。友奈ちゃんとしてもやりたいし、観客としてもすごく見たいなと思います。
大森 友奈ちゃんと美森ちゃんの泣けるシーンはありそうですよね。熱いシーンだからこそ自分にできるか心配だけど、舞台でもあるなら一生懸命演じたいです。
本西 夏凜ちゃんのお誕生日パーティーとか、日常のシーンもとっても可愛いですよね。
大森 おうどん食べるシーンありますかね。アニメを見ているとおうどんが食べたくなりました(笑)。
――最後に、皆さんへのメッセージをお願いします
本西 アニメ10周年の舞台化に参加できることを嬉しく思っていますし、ずっと『結城友奈は勇者である』を支えてきた方々にもぜひ見ていただきたいとカンパニー一同思っています。私たちも頑張るので、一緒に一歩踏み出していただけたら。アニメを見ていない方も、きっと舞台をきっかけに「見たい!」と思うはず。架け橋になれたらいいなと思いながら全員で頑張りますので、お越しください。
大森 アニメ10周年の記念となる舞台に出演できると決まってすごく嬉しくて、早くみなさんにお伝えしたいと思っていました。原作ファンの方々にも喜んでいただけるように頑張りたいですし、東郷美森ちゃんと共に生きて一緒に戦いますので、見守っていただけたらと思います。
インタビュー・文・撮影/吉田 沙奈
ヘアメイク/松前詠美子