×純文学少女歌劇団 File No.0001 『マエストロには背を向けよ』高橋みのり、畑 美紗起、大森莉緒インタビュー

元ラストアイドルのメンバー7名が参加する「×純文学少女歌劇団(ふじゅんぶんがくしょうじょかげきだん)」。その第二弾となる公演File No.0001『マエストロには背を向けよ』が5月3日より上演される。ある女学園から少女が1人失踪、ほどなくして図書室から文学以外の図書が消え、少女たちはそれぞれ疑心暗鬼を抱きながらもこのミステリーに臨んでいく――。独特のダークな世界観で描かれるこの物語に、高橋みのり、畑 美紗起、大森莉緒はどのように挑むのか。話を聞いた。

 

――「×純文学少女歌劇団」は昨年9月にはじめての公演が行われました。最初に話を聞いた時はどんなお気持ちでしたか?

 

大森 ラストアイドルが活動終了してしまってから、何をしようか考えていたんです。それで、ミュージカルをやると聞いたときは、とても前向きな気持ちで楽しそう!って思いました。私は演技経験はそんなにないけど、前にやった時はすごく楽しかったですし、元ラストアイドルのメンバーもたくさんいるとのことで、すごく心強かったですね。

 

高橋 ラストアイドルが終わった後は芸能界を続けるかも迷っていました。でも、芸能界で頑張っていこうと思って、いろいろな方に相談していく中で×純文学少女歌劇団のお話を聞いて。ミュージカルやお芝居を観に行くのは大好きだったんです。映画でもインド映画とかの歌や踊りのシーンでワクワクしていました。けど、あくまで観る側であって、出る方は出来ないと思っていたんです。でも、元ラストアイドルのメンバーもいるなら頑張れるんじゃないかと思いました。

 

 私も、ラストアイドルが終了した後に、芸能活動を続けるかどうかを悩んでいました。アパレルにも興味があったので、そっちで頑張ろうかとも考えていたんです。もうアイドルはやらないと決めていたんですけど、歌って踊ることは好きでしたから、このお話をいただいて、やってみたいと思いました。お芝居は苦手意識があったけど、ひとまずはやってみよう、と。いつも仲良くしてくれるメンバーがいっぱいいるので、過ごしやすいし、頑張れるし、あの時にやってみようと思ってよかったです。

 

――ファンの方の反応や、ご自身の手ごたえはいかがでしたか?

 

大森 見た目が結構ゴシックな、ダークな感じで、カラコンもつけていたりするので、まずその見た目にファンの方はびっくりされたんじゃないかな。でも、珍しいコンセプトだからこそ、受け入れてもらえているんじゃないかと思います。元ラスアイメンバー全員が初めてのミュージカルだったので、不安もあったんですけど、私たちも楽しいと思えたので良かったですね。

 

 また歌ったり、踊ったりしているところを見られて嬉しいというお声をいただいたり、物語の内容自体が面白いので続きが気になるっていう声をもらったり、そういう嬉しい反応がいっぱいありました!今までのアイドル活動の延長線上で来てくださった方が、お話にも興味を持ってもらえたのがすごく嬉しかったです。

 

高橋 アイドルとして好きだったファンの方たちが、受け入れてくださるのかが、すごく心配だったんです。でも、思ったよりものめり込んでくださって、何回も来てくださったり、ハマってくれたのがすごくうれしかった。役が自分自身とは全然違うキャラクターで、すごく葛藤しながらだったんですけど、ファンの方も新しい一面として受け入れてくれて、×純文学少女歌劇団に参加してくれてよかったと言ってくれたのが嬉しかったですね。そして×純文学少女歌劇団をきっかけに、ラストアイドル時代を知らなかった人も来てくださったりして、広がっていくのも嬉しかったです。

 

 

――今回はどんなお話になっているんでしょうか?

 

大森 何て言ったらいいんだろう。もう、一気に進みすぎます。

 

高橋 いろんなミステリーがバンバンバーンって、爆弾が打ちあがっている感じで、一気に巻き起こるんですよ。

 

 大きな問題としては、前回の図書室の本が無くなったっていうことと、1人の女の子がいなくなってしまったっていうことなんですけど、その間にいろいろなことが起こりすぎて…私たちも、えっ?そんなことあった?って、台本を見て目がまん丸になりました。

 

――稽古場の雰囲気はいかがですか?

 

高橋 みんなで一緒にがんばろうっていう感覚が強いですね。ほかの稽古場のお話を聞くと、いろいろな事務所から集まってきているのでアップとかも別々にやる、みたいなことも聞きます。でも×純文学少女歌劇団はずっとこのグループでやっていくグループだからこそ、アップとか発声もみんなでやろう!困ったことはみんなで話し合って解決しよう!っていう団結力が強いって感じます。

 

大森 そうそう、シーンごとにメンバー2人とか3人とかでの話し合いや読み合わせもよくしますね。

 

 それぞれ、何かしらの大臣になっているんですよ。

 

――大臣ですか?

 

高橋 みんなが1人1人いろいろなリーダーをやっていて、みんなで引っ張っていこうっていう感じですね。前回はリーダーの若草式ジョー/倉持聖菜がみんなをまとめてくれていたんですけど、今回はおやすみ。それで、おーりお(大森)がリーダーをやってくれてるんですど、おーりおだけに任せるのも違うから。

 

大森 みんな優しいんですよ。

 

 それで、みんな何かの大臣をやることにしたんだよね。

 

高橋 私はアップ大臣です!やっぱりアップをちゃんとやることでその日の稽古の質も違うと思うので。また、大臣とは少しずれますが、みんなが疲れ始めたときには、自分が声を出して、みんなが良い状態で稽古を迎えられるようにも意識しています。

 

 私はダンス大臣…なんですけど、なかなか本領発揮できる機会がないです…。ダンス大臣はいっぱいいるので。でも、ダンスが苦手な子とかが聞きに来てくれるのがめっちゃうれしいです!

 

高橋 すごく優しく丁寧に教えてくれるんですよ。通しでやるときも、全体を見てくれているから、やっぱりすごいなって思います。本当に、頼りにしてますよ。

 

大森 私は今回、聖菜の代わりにリーダーと、ダンス大臣なんですけど…本当に何もできていなくて。私は本当にリーダーの経験も無くて、みんなで話し合いをしたときに、みんなを引っ張っていくとかのやり方が分からないって悩みを相談したんです。そしたら、みんなが「おーりおに負担をかけすぎたね、ごめんね」って言ってくれて、それで大臣を作ってくれて。本当に救われたし、ありがとう!って思いました。そのおかげで、今は負担も感じないし、楽しくできています!

 

 よかった!でも本当に存在してくれているだけで、やっぱり稽古場の雰囲気が変わるんですよ。明るいから。

 

高橋 リーダーとして、本当にいろいろしてくれているしね。それがあって、おーりおがいるから私ももっとしっかりしよう、頑張ろう、って思える。これをしてみようとか、前向きに相談もしやすいし。

 

大森 みんながそれぞれ意見を言ってくれるから、本当に稽古場の雰囲気がすごくいいと思います。

 

高橋 前に立って1人で引っ張っていくっていうよりは、みんなで一緒に肩を組んで寄り添いながら進んでいくようなリーダーですね。

 

――脚本・演出の三浦香さんはどのような方でしょうか

 

大森 すぐに答えをくれるんじゃなくて、一度自分たちで考えさせてくれるんです。でもそれが難しくて。何度台本を読んでも読み取れないこともあるし、それぞれ秘密も持っているし、すごく悩みまくりました。

 

高橋 悩んで悩んで、三浦さんに相談したらすごくいろいろ教えてくれるし、質問をすると1を100で返してくださる感じ。やっぱり物語を書いている方なので、セリフではこう言っているけど、本当はどう考えているのかとか、深く教えてくれるんです。でも、それはヒントだけ。いろいろと聞いて「あ、こういうことなんだ」ってわかって、私が理解したことを伝えたら「よくわかったね!」って言ってくれて嬉しかったです。

 

大森 自分じゃ考えつかないようなことを教えてくださるんです。その通りにやってみたら、すごく良く見える。今話していて、改めて本当に三浦さんってすごいって思うし、三浦さんの脳みそがほしいです(笑)

 

 三浦さんは稽古中にたくさん考えや答えをくださるタイプではないと思います。質問をしに行くといろいろと教えてくださるんですね。その言葉にめっちゃ助けられて、そして優しいから、甘えてしまいます。わからないまま立ち止まっているよりも、三浦さんに聞いた方がいいな、って思えるんですよ。発想力がすごすぎて、安心もできる。なかなか褒めてはもらえなくて、ダメだしとか厳しいことも言ってもらえるんです。完璧なものはないし、自分で突き詰めていけ!って感じで、 常に考えながらやらせてもらっています。

 

高橋 ゴールがないよね。常に上を目指せっていう感じで、本当にはっきりと言ってくれる。隠したりしないので、信頼できるし、言葉が響いてくるんです。

 

 ミュージカルやお芝居の経験が私はほぼ無いに等しいので、話しやすい三浦さんのこと、好き!ってなります。

 

――三浦さんのもと、相談しながら稽古を頑張っているんですね。ちなみに、ベスは今回ソロ曲もあるそうですが、手ごたえはいかがですか。

 

 ソロ? え、なんかビックリなこと言っている!って思いました。

 

高橋 今までに見たことのない畑が見られるし、見たことのないベスが見られると思います。

 

大森 それこそ、そのシーンはめちゃくちゃ話し合ったよね。

 

畑 昨日、三浦さんが褒めてくれてうれしかったなぁ。病弱なほうのベスじゃなく、強い方のベスなので難しかったんですが、頑張ってます!

 

――お芝居パートの後には、ライブステージ『BLACK PARADE』もありますが、気持ちの面ではお芝居とライブは変わる?

 

大森 割と気持ちは変わるかも。

 

高橋 今回は初めて組別で分かれて、バトルっぽいところもあるので、組ごとの色を出して高め合えるのも今回の見どころかなって思います。

 

大森 組ごとの色は全然違う気がしますし、曲も結構違うから楽しんでいただけるはず。

 

高橋 曲中、煽りなんかもあったりするし、組ごとでいろいろ考えたり、セリフも変わったりしているので。みなさんの声出しも一部OKになっているので楽しみです!

 

 ×純文学少女歌劇団としてタイでのフェスにも出させていただいたりして、その時にファンの皆さんと一緒に盛り上がれる楽しさを覚えてしまったので、今回のライブでも盛り上がってくれるんじゃないかと期待しているんです。日々みんなが成長しているので、歌もダンスもお見せできるのが楽しみです。

 

高橋 はじめてご覧になる人も多いから、どう私たちを好きになってもらうのかを研究してたくさん話し合いました。

 

大森 本当にたくさん話したよね。そしたら、本当にみなさんの笑顔がすごくて、それでこっちも自然と笑顔になれるし、すごく幸せな時間でした。

 

ーー新曲「グレーテルパレード」も先日公開されましたが、楽曲の印象はいかがですか?

 

大森 イントロを聞いたときから、めっちゃ”っぽい”って思いました。でも、Aメロ、Bメロと進むにつれて印象がガラリと変わっていって、サビでまた変わっていくのがめちゃくちゃ面白くて。個人的にもめちゃくちゃ好きです。表情も結構違うので、この1曲ですべての表情が見られるんじゃないかって思いますね。

 

高橋 歌詞もすごく良くて、自分たちの信念や本心をぶつけるようなところもあるんです。そこはファンの皆さんにも刺さるんじゃないかな。

 

 本当にザ・ミュージカルって感じがします。すごく明るいところもあるし、ミステリアスな部分もあるし。サビはめっちゃキラキラ感があって、1曲でめちゃくちゃ楽しめるんですよ。

 

高橋 もう、早くみんなを驚かせたいです!

 

――撮影可能タイムも楽しみですね

 

高橋 やっぱりファンの方が撮影してくれて、それを私たちを広めてくださるきっかけになるので、”広まれ!”って思いながらパフォーマンスしています。見えない未来のファンに向けても伝わるように。

 

大森 その写真を見て、行きたいな、って思ってほしいよね。

 

 やっぱり、頑張って良く映ろう!って思いますね。すごいカメラを持ってきて、写真タイムのために来てくださっている方もいるので、本当にたくさん撮っていただきたいです。

 

高橋 自分でも保存したいくらいの写真もあるよね。

 

大森 ベストショットだ!って思うよね。私は、結構昔からアイドルをやっていて、ファンの方に写真を撮ってもらうことは慣れているんです。それで、昔からお世話になっている方が今でも観に来てくれていて…それが本当に嬉しいんですよ。もう十何年と応援してくださっている方がいることが、すごく心強いです。そういう方にも、こういう撮影する機会が作れていることが、嬉しいですね。

 

――稽古が大変な時期かとは思いますが、そんな中でも自分の癒しになっているものはなんでしょうか?

 

大森 私は本当に食べることが大好きで。とにかくおいしいものを食べて、それをシェアするのが好きですね。

 

 本当に、いつも「これおいしいから食べて!」って持ってきてくれるんです。

 

高橋 差し入れを頂くことがあるんですが、まだ誰々からの差し入れです、って紙が貼られていないのに「これ、誰からですか~?」って飛びついたり(笑)

 

大森 (笑)。でも一番好きなのは焼肉! メンバーと一緒に食べたこともあって、めっちゃ楽しかったです!大好きな焼肉を、大好きなメンバーと食べることができて、本当に幸せでした!

 

高橋 公演が終わったら、またみんなで食べたいね。

 

大森 行こう、行こう! 絶対に、約束ね!

 

――食べ物トークで、今日イチの笑顔をいただきました(笑)

 

大森 本当に、おいしいものが癒しなので(笑)。

 

 私も何か癒しが欲しいな、って思っているんですけど、すごくインドアなので。ご時世もあって、稽古の後にメンバー以外と会うこともほとんど無いんですよ。だから、アニメとかYouTubeを観たりすることですかね。あとは、お風呂に入浴剤を入れてゆっくり浸かったり。サウナも好きなんですけど、今はあまり行けていないので、お風呂で動画を見ながら癒されています。お誕生日に(山本)愛梨からちょっといいバスボムを貰ったんですよ。キラキラしていて4個セットなんですけど、もう2つ使っちゃったんですが、残りはここぞ!という時に使おうと思っています。

 

高橋 姪っ子ちゃんの動画ですね。”みいにゃん”って呼ばれているんですけど、昨日はビデオ通話をして「みいにゃんがんばって!」って言ってもらいました。この前は、誕生日は12月なんですけど、今言ってほしくて”ハッピーバースデーみいにゃん”の動画を撮って送ってもらいましたね。12月にも貰っていたんですけど、疲れていて元気を出したかったのでお願いしました。リクエストすると、毎回送ってくれるので、それが本当に癒しになっています。

 

大森 見せてもらったんですけど、めっちゃ可愛いんですよ!

 

 それはめっちゃ癒しになるよね。頑張れる。

 

高橋 姪っ子のパワーをものすごく借りています。稽古の水分補給の合間とかでも動画を見て頑張ってます。

 

――それぞれの方法で自分を癒しながらも、本番に向けて頑張っていただきたいと思います。公演を楽しみにしているファンの皆さんにメッセージをお願いします!

 

 前回からの続きではあるんですが、今回初めてご覧になる方も楽しめる内容になっていますので、ぜひたくさんの方にご覧いただきたいです。私から見てもメンバーがめっちゃ可愛くて、しかもすごくいい子ばかりで、お芝居もすごく素敵で、とにかくめちゃくちゃいいので、観ないと絶対に後悔すると思います。私たちもたくさん話し合って絆も深まっているので、頑張ろうという意識がより大きくなったし、力がみなぎっています! 後悔はさせませんので、ぜひご覧いただきたいです!

 

高橋 アイドルから好きになってくれた方は、きっと今でも好きでいてくださっていると思うし、楽しんでくださっていると思うんです。でも、これまでこの×純文学少女歌劇団を知らなかった人も、今作からでも本当に楽しめるし、好きになってもらえる自信があります! お話もすごく面白くて、本当にまばたきの一瞬で何かをしているメンバーもいるんですよ。退屈な時間はありません。ミステリーや考察が好きな方はドストライクでハマると思います。元アイドルのキラキラしていた女の子たちが、こういうダークな世界観でやっているのも面白いと思うし、そういうギャップも観てほしい。学生時代の部活で「いいチームは絶対に強くなれる」って言われていたんですけど、やっぱり仲が良くて結束力があるチームはどんどん上に進めると思うんですね。そういう意味で、今の×純文学少女歌劇団はすごくいい感じなので、他に負けない舞台ができると信じています。この機会を見逃さずに、ぜひ来ていただきたいです!

 

大森 待望の2回目ということで、お待たせしました!っていう感じです。1人1人に秘密があったり、それが明らかになったりと、ミステリー要素もたくさんあって、本当に見どころしかないので、どこをおすすめしていいか分からないくらいなんですよ。ミュージカルなので、歌ったり踊ったりもしますし、はじめての曲もたくさん披露します。今まで応援してくださっていたファンの方にも観ていただきたいですし、ミュージカルや舞台がお好きな方にも観に来てほしいなって思います。楽しみにしていてください!

取材・文/宮崎新之