舞台『7SEEDS~春の章~』│相楽伊織&西田大輔 インタビュー

田村由美の不朽の名作を初舞台化
荒廃した世界で描かれる人間ドラマ

田村由美の不朽の名作漫画「7SEEDS」が西田大輔の脚本・演出で舞台化される。

西田 もともと、僕は田村先生の作品を全て読んでいるほど先生の作品が大好きでした。この作品は、先生の先見の明を感じる、時代の流れを感じる作品です。この面白い作品をストレートにお伝えできたらと思っています。

主人公の末黒野花を演じるのは相楽伊織だ。

相楽 漫画原作の作品に出演するのは初めてですが、こうしてたくさんの方に愛されている作品で主演をできることが何よりも嬉しかったです。壮大な世界観の中、人間の感情が丁寧に描かれていて、共感できるキャラクターもいれば、モヤッとした気分になってしまうキャラクターもいる。その個性豊かなキャラクターもこの作品の魅力だと思いました。

物語の舞台は、巨大隕石が地球に衝突し、人類が滅亡した後の世界。当時の政府によって冷凍保存され、人類の未来を託された7人1組、5チームの若者たちが、苛烈な環境に晒され、仲間との別れや出会いを繰り返しながら、懸命に生きようとする姿を描く。
相楽が演じる花は、恋人の青田 嵐に再び会うことができると信じて過酷なサバイバルを乗り越えていく女性だ。

西田 極限状態の中では人間の心は簡単に折れ、生きていくことに絶望を感じる人も多い中で、花は決して諦めない。そうした強さや度胸を(相楽は)持っていると感じています。ただ同時に、誰よりも強く見える花は、誰よりも弱く、繊細でもある。そうした花の強さや弱さを表現してくれるのではないかと楽しみです。

相楽 絶対に恋人の嵐に会うんだと心に決めてやり遂げる花の強さは、演じる私を助けてくれると思います。私は、昔は弱い人間だったと思いますが、今は自分でも “強い人間”だと感じています。強さと弱さは対極にあるようで紙一重です。花を自分自身に重ねながら、強い人間だからこそ弱さもあると伝わるように演じられたらと思います。

近未来の荒廃した世界を舞台にしていることから、その世界観やそこで起こる数々の苦難をどう立体化するのかも見どころのひとつだ。

西田 びっくりするようなことを考えています。無人島や海を美術で表現するのはどうしても難しい。なので、観客の皆さんも一緒にその世界にいるような感覚になってもらうことから始める舞台だと思っています。映像に頼るわけでもなく、パペットも使わず、また違う見せ方を考えています。一方で、そこで描かれているのは日常を通しての繊細な感情。些細なことで泣けるという彼女たちの感情をしっかりと舞台でも表現したいと思っています。

アクションあり、繊細な人間ドラマありと難しい芝居が必要な舞台となるが、相楽からは「気合いが入っています」と力強い言葉も。

相楽 今回、主演という立場になりますが、皆さんと一緒に素敵なものを作り上げたいですし、皆さんの胸を借りるつもりで、最後まで突っ走っていきたいと思います。今回は初共演の方ばかりですが、子役の方もいるのでそれもすごく楽しみでドキドキしています。この作品に出会えたことに感謝しながら、お客さんが花と同じ感情になって、一緒にこの世界に入っていただけるよう、これからの稽古でより深めていけたらと思います。この物語は、様々な表現で演じることが求められている作品です。私には大きな挑戦となると思うので、共演者の皆さん、スタッフの皆さんと一緒になって、全力で頑張っていきたいと思います。

インタビュー・文/嶋田真己
Photo/中田智章
ヘアメイク/木村美和子(dot)

※構成/月刊ローチケ編集部 11月15日号より転載
※写真は誌面と異なります

掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
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【プロフィール】

相楽伊織
■サガラ イオリ
’13年、乃木坂46の2期生として加入。’18年7月に卒業し、現在はファッションモデル、女優として活躍。

西田大輔
■ニシダ ダイスケ
DisGOONie代表。近作に舞台『ヴィンランド・サガ』~海の果ての果て 篇~、舞台『ヴィンランド・サガ』~英雄復活 篇~など。