ミュージカル『刀剣乱舞』 ~坂龍飛騰~|田村心 インタビュー

©NITRO PLUS・EXNOA LLC/ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会

あらゆる面で最強、
最高の陸奥守吉行を目指しています!

2025年元旦。ミュージカル『刀剣乱舞』(=刀ミュ)の新作公演が発表され、大きな話題となった。タイトルは「坂龍飛騰(ばんりょうひとう)」。坂本龍馬の愛刀として知られる打刀の刀剣男士・陸奥守吉行らが出陣し、龍馬をはじめとする幕末の人物たちが登場することも明らかに。2018年に上演された「結びの響、始まりの音」から陸奥守吉行を演じている田村心が、本作への意気込みを語った。

「実は『結びの響、始まりの音』大千穐楽の際、演出の茅野イサムさんに“いつかまた陸奥守吉行が出陣する時が来るだろう、成長して帰って来い”と言われていたんです。だからこそ再び出陣する日を待っていましたし、心に陸奥守吉行が在り続けた6年間でした」

ミュージカル本公演にこそ久々の出演となるが、毎年開催されている大型公演には欠かさず出演してきた田村。昨年の「祝玖寿 乱舞音曲祭」では、「ようやく陸奥守吉行の何かを掴んだような気がします」と明かす。

「陸奥守吉行を演じるようになって何年も経ちますが、まだまだ底が見えなくて。自分としてはこだわっていた部分が“もしかしたらそれほど重要ではなかったのかも”と気づいたり、大事にしたいと思うものが新たに見つかったりと演じるたびに変わるんです。でも『祝玖寿 乱舞音曲祭』のときは先輩方に“すごく良かった”と褒めてもらえたので、周りからそう見えたのなら自信を持っていいのかなと。茅野さんからも毎回オーダーをいただくのですが、『坂龍飛騰』を見据えての言葉がたくさんありましたね」

田村自身もこの新作公演に向けて、前々から準備を重ねてきた。

「稽古が始まったら勉強や体作りの時間が取れないくらい、やるべきことに忙殺されてしまうので。去年の頭からパーソナルジムに通いつつ、坂本龍馬の関連作品を読み返しています。ドラマや映像作品も含めると膨大な量になりますけど、底知れない人物でもあるからこそ世の中がイメージする“THE・龍馬”像を入れておくことが大事だと思って。ジムでは体重を十キロほど増量して、筋トレで背中や腕周りを中心に鍛えています。『結びの響、始まりの音』の衣裳合わせをしたときには、茅野さんから“筋肉なくて弱々しいなあ”って言われていたんですよ。それが『祝玖寿 乱舞音曲祭』では、先輩方に“筋肉が人を変えた!”と驚いてもらえるまでになりました(笑)。周りにはずっと“あとお前に必要なのは自信だけだよ”と言われていたので、筋トレの副産物的な感じでメンタルにも良い成果が出たのかもしれないです(笑)。今も未熟な部分や分からないことはありますが、今回の公演には後悔を残したくない。あらゆる面で最強、最高の陸奥守吉行を目指しています!」

刀ミュは今年でシリーズ十周年を迎える。2025年は大きな節目になりそうだ。そして田村にとっても役者人生の十年目。「僕の役者人生には、ずっと刀ミュがありました」と振り返る。

「刀ミュ2作目の『幕末天狼傳』には演出部のスタッフとして関わっていました。そこから本当にいろいろな経験をさせていただきましたし、たくさんの恩があるからこそ恩返ししたいという気持ちがあります。ここで学んだことを他の仕事でも活かして、他で得たことを刀ミュに帰ってきたときに還元したい。記念すべきおめでたい年を審神者の皆様、主の皆様と一緒に盛り上げていけたらと思います」

インタビュー&文/片桐ユウ

【プチ質問】Q:手土産を選ぶポイントは?
A:体力を使いますし、舞台が終わってはけていったときに廊下にエナジードリンクが差し入れであるとテンションが上がるというか、今飲まないけど一本もらっておいて冷蔵庫に入れておこうかなみたいな。自分がちょっとワクワクするところがあるので、エナジードリンクを入れておけばみんな嬉しいだろうみたいな考えで、一箱担いでいくことがあります。差し入れはセンスが出ますね。 

※構成/月刊ローチケ編集部 2月15日号より転載

掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
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【プロフィール】

田村心
■タムラ シン
ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズの陸奥守吉行役をはじめ、数多くの舞台に出演する。