舞台『仮面ライダー斬月』 -鎧武外伝- 萩谷慧悟 インタビュー

平成仮面ライダーシリーズ第15作『仮面ライダー鎧武/ガイム』に登場した仮面ライダー斬月(呉島貴虎)が主役となる舞台『仮面ライダー斬月』 -鎧武外伝-が間もなく開幕する。脚本・演出はTVシリーズや映画の脚本を一部手掛けた毛利亘宏(少年社中)が手掛け、オリジナルストーリーで描かれる本作。TVシリーズから引き続き久保田悠来が演じる呉島貴虎以外はすべてオリジナルキャラクターとなる。大人たちに支配された地下都市で、襲撃により記憶を失った貴虎と出会い行動を共にする青年・アイムを演じる萩谷慧悟に話を聞いた。

 

――稽古が始まっていかがですか?

萩谷「すごくいい雰囲気です。共演者の皆さんがいい方ばかりで。僕は自分から話しかけに行って『いきすぎたかな』と思うことが多々あるんですけど(笑)、皆さん受け止めてくれて。ほんとにほんとにありがとうございます!って感じです(笑)。楽しいです」

 

――アクションもダンスもあるそうですが、稽古は大変ではないですか?

萩谷「大変ではありますが、苦労というよりは楽しい気持ちが強いです。共演者の皆さんから学ぶことも多いですし、演出の毛利(亘宏)さんから言われることを考えたりして、毎日反省することがありますが、そのぶん刺激があって嬉しいです」

 

――毛利さんから特に言われるのはどんなことですか?

萩谷「役作りのことです。僕が演じるアイムという役は本質的には明るいキャラクターなのですが、血なまぐさい世界で生きていることを考えると、単純に明るいはずがないんですよね。アイムがもともと持っている素質や、生きてきた環境が彼にどんな影響を与えているかを想像して、ちょっとずついろんなアプローチをしながら探っていっている段階です」

 

――それは稽古場で探るのですか?

萩谷「稽古場です。僕は不器用なので、実際に身体を動かして気付くことが多いんですよ。あ、でも家に帰って母に読み合わせの相手をしてもらいながら、いろいろ試すこともありますけどね(笑)」

 

――お母さんに(笑)。

萩谷「同じやり取りを『違うなあ』とか言いながら何度も繰り返すので、母も『何回やるの!』って(笑)」

 

――(笑)。今の時点でアイムに萩谷さんが共感する部分はありますか?

萩谷「僕も馬鹿正直に正面からぶつかっちゃうタイプで。そのせいで誤解されることも多かったんですけど、最近“一回のみこむ”というのを覚えたので(笑)。アイムもそんな感じかなと思っています」

 

――アイムにとって貴虎はどんな存在ですか?

萩谷「アイムは大人に偏見があるのですが、貴虎は今まで見てきた大人とは違う。だから彼と出会うことで知ることがたくさんあるんだと思います」

――『平成仮面ライダー』シリーズ初の演劇作品化ということで、演劇ならではの『仮面ライダー』とはどういうところなのでしょうか。

萩谷「この作品で描かれるのは人の葛藤だったり人との繋がり。人の内面を演劇的にちゃんと表現しようとしているところなんじゃないかなって思います。演劇でしか見れない『仮面ライダー』にしようとカンパニー一同気合いが入っています」

 

――ちなみにテレビシリーズの『仮面ライダー鎧武/ガイム』を観ていなくても楽しめますか?

萩谷「楽しめます。もちろん『仮面ライダー鎧武/ガイム』を観ているほうが『ここが繋がった!』とか、深く楽しめるかもしれませんが。独特の用語も説明する人がちゃんといますし、観てない人も安心して劇場に来てほしいです」

 

――間もなく開幕ですが、萩谷さんにとって舞台に立つのは楽しいことですか?

萩谷「そりゃ楽しいです! そうじゃないとやらないです」

 

――どんなところが楽しいですか?

萩谷「“いろんな経験をすること”って誰にとっても楽しいことだと思うんですよ。旅行に行くとか、何かを作るとかもそうだし。舞台に立つこともその延長線上にあるのかなと思ったりします。だって今回僕、“変身”するんですよ!?」

 

――この作品で萩谷さんが挑戦しているのはどんなことですか?

萩谷「この作品に出ることが挑戦そのものです。歴史ある『仮面ライダー』シリーズの新たな挑戦ですから。相当のプレッシャーがありますけどね」

 

――そういうプレッシャーに燃えるタイプですか?

萩谷「はい。挑戦は好きなので。大変ですけどね。『仮面ライダー』の演劇作品化っていったいどうなるの?と思われている方はたくさんいらっしゃると思うんです。でも僕は“常識を覆す”ということが好きですし、いろんなものを『できるんだよ!』って示していきたい。この作品に関わることができたからには、舞台でも『仮面ライダー』シリーズがこれから続いていくように、全力でやっていきたいです」

 

インタビュー・文/中川實穂
撮影/篠塚 ようこ