舞台「pet」-虹のある場所- 植田圭輔 インタビュー

後編は冒頭からクライマックス。“真髄”をお届けしたい


三宅乱丈の代表作ともいえるコミック『pet』が舞台化&TVアニメ化。舞台は昨年12月に上演された前編『「pet」-壊れた水槽-』に続き、後編となる『「pet」-虹のある場所-』が7月29日(月)より東京・神田明神ホールで上演される。アニメと舞台の両方で主人公・ヒロキを演じる植田圭輔は
「ヒロキは、喜怒哀楽のメーターが振り切れていて感情が忙しい役(笑)」だと話す。

植田「ヒロキは、すごく喜んでいたのに急に悲しくなったりします。演技ではその切り替えの部分で苦労しました。高い集中力がないとうまくいかなくなってしまいます。そして、その感情表現を、“自家発電”的にならないように気をつけました。相手から感情をもらったり、追い込まれていたり……その状況を受けて自分の感情を出せるように意識しました。ヒロキは天性の〝巻き込まれ型人間〟ですから(笑)」


この物語は、人の記憶を操作する能力を持つ者たちが繰り広げるサイキックヒューマンドラマ。それを当初は「難解な話」だと感じていた。

植田「原作を読んだ最初の印象は“ちょっと難解”。でも、原作を読み込んでいったり、台本を読み進めたりしていくうちに、実は単純なんだなと思うようになりました。ヒロキを演じていくなかで、彼が誰かに求める気持ちはとても単純なんだと気づいたんです。原作には、自分が誰かを求めたり、誰かが誰かを求めていたり……報われなくて、全員が一方通行な感じがすごく耽美に描かれているので、その描写は頭の中にイメージしています。そういう原作へのリスペクトの気持ちを持って、舞台に立っています」


ヒロキという役との出会いは、自分の力量を提示する場でもあったという。

植田「こんなにもいろいろな感情を爆発させてくれる役なので、役者としての力量をお見せするいい機会ととらえています。もちろん、そのぶんプレッシャーもありますけど、観ていただけたら僕自身の表現者としてのさまざまな部分が見えてくるのではないかと思います。作品がいい意味でキラキラしているものではないぶん、アニメでも舞台でも何か“真髄”のような部分をきちんとお届けできるんじゃないかな。声優として、舞台役者として、自分が選ばれた意味をきちんと提示していきたいので、そこを感じていただけたら嬉しいです」


前編の舞台では、大きな手ごたえも感じた。

植田「2.5次元と呼ばれる舞台作品がたくさんあるなかでも、より演劇的な作品だと思います。出演されている俳優陣も、本当に“役者的”な方ばかりで、濃いメンバーが揃っています。だから、お客様に話や心情を伝えるという部分ですごく手ごたえがありました。心の描写が色濃い作品なので、そこを妥協することなく、より泥臭い作品になったと思います」


後編では、これまでの謎が明かされ、冒頭から目まぐるしく展開するという。

植田「前作は、『petって何?』という、『そこで終わるんかい!』みたいなエンディングなので(笑)。そこから謎が解け、ヒロキがどういう選択をしていくのか、それぞれがどう前に進んでいくのかが、後編では怒涛のように押し寄せてくる。それはもう、冒頭からクライマックスというくらいのテンションで話が進んでいきますし、前編をご覧いただいていなくてもわかりやすく提示していきます。ぜひお越しください!」

 

インタビュー・文/宮崎新之

 

※構成/月刊ローチケ編集部 6月15日号より転載


掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布

 

【プロフィール】
植田圭輔

■ウエダ ケイスケ ’89年生まれ。舞台を中心に活動。代表作に舞台版『K』、『おそ松さんon STAGE』など。