現代日本を舞台に、「ペルソナ能力」(=心のなかに眠る別人格が、伝来の神や悪魔の姿となって出現した特殊能力)に目覚めた高校生たちが仲間と協力し合いながら困難に立ち向かう姿を描く、アトラスの大人気ジュブナイルRPG『ペルソナ』シリーズ。その2016年に発売された20周年作品『ペルソナ5』が待望の舞台化!
自身に課せられた“更生”のため、そして悪しき欲望から人々を救うため――“心の怪盗”となった主人公は、腐った大人たちをどのように改心させるのか!? 謎とスリルあふれるストーリーが、爽快感たっぷりのバトル・アクション、友情を育み絆を作りながら成長していく少年少女の丁寧な心理描写と共に描かれるこの『ペルソナ5』。今回発表され大反響を呼んでいる「PERSONA5 the Stage」のティーザービジュアルを含む、「主人公」のビジュアル撮影は5月下旬、都内スタジオにて行われた。
「PERSONA5 the Stage」の「主人公」を演じるのは、今最も勢いのある俳優のひとり、猪野広樹。「主人公」が通う秀尽学園の制服を身に纏った猪野が笑顔でスタジオに入ると、ヘアメイクや衣裳 スタッフらが最終調整にかかる。前髪の細かなニュアンスや制服ジャケットのスラリとしたラインを整えるその間にも、猪野は真剣な表情でキャラクター資料をチェックしていた。スタッフも膨大な設定資料や美麗イラストを丁寧に確認しながらディティールまで忠実に仕上げると、白いバックペーパーを使っての撮影からスタート。カメラの前に立つと瞬時にスイッチが入り、猪野の佇まいは一気に「主人公」そのものに変化していく。クールな中に意志の強さを感じさせる瞳の演技はもちろん、時には口角を上げ不敵に微笑むなど、「主人公」の持つさまざまな表情を特別な指示がなくとも次々と繰り出していく姿は圧巻だ。
続く眼鏡をかけての撮影では、「眼鏡を外し中でお願いします!」の声に「外し…中!?」とツッコミを入れスタジオの空気を和ませつつ、ゆっくりと外すしぐさを微妙に表情を変えながら何度も行い、シャッターチャンスを多く作る気遣いも見せる。脚の長さを褒められた際には、「長く見せているだけなんです」と少し照れつつ謙遜する一幕もあった。さらに小道具として「主人公」のもうひとつの姿・“怪盗”ジョーカーの仮面が手渡されると、すぐに頭にかかげたり胸元に持ったりとさまざまなポージングを披露。「後ろにもたれた感じで」との指示には、実際背後に壁がないため自身の体幹のみで体勢をキープし、リクエストに完璧に応えていた。
セットチェンジの間には、先ほど撮影した写真をモニターでチェックし、「主人公」のキャラクター表現をさらにブラッシュアップしていこうとする猪野。時にはスタジオに流れる『ペルソナ』シリーズのサウンドトラックに体を揺らしながら、メロディを口ずさむ楽し気な姿も見られた。 準備が整うと、アートディレクターがラフを見せつつイメージを共有。制服姿の主人公とジョーカーのシルエットが合成されると知ると、「かっこいい! オシャレ!」とハイテンションで再び撮影に入った。今度は椅子に腰掛ける「主人公」のカットということで、表情の変化付けの他にも脚の広げ方や組み方などにもこだわりさまざまなパターンを撮影。「(ラフ以上に)こちらのほうがいいですかね」と、プロデューサの想定を超えていく猪野の表現力に、スタッフのクリエイティビティもさらに刺激されていく。もちろん、今回の撮影では原作の美麗ビジュアルも多数再現。2015年開催の武道館ライブで初出しされた、ファンお馴染みのビジュアルに似せた撮影では、あの「Let us start the game」の黒いボードを手にニヤリと笑う猪野。その姿には、原作チームからも「素晴らしいです!」と感嘆の声がもれるほどだった。
この日はさらに、怪盗姿の撮影も行われた。全身黒のロングコートに赤いグローブが映えるスタイリッシュな怪盗服に着替えた猪野が現れると、スタッフから「お~っ!」と大歓声が上がる。着ているだけで少し暑いという怪盗服だったが、怪盗らしく一層アクロバティックな動きを付けた撮影が多く行われた。ナイフを持ちジャンプするポージングでは、顔の表情から腕や脚の角度、ロングコートのたなびくシルエットまで計算しながら撮影。猪野は「難しい~!」と言いながらも何度も挑戦し、OKが出たときには「うおぉ!」と気合いの一声が上がった。走りながら銃口を向けるカットでは、動きのある原作イラストの雰囲気を出すために微妙な体のラインを追求。全身鏡を置いて自身の姿をチェックしていた猪野は自らアイディアを出し、脚を置く箱を増やして体の傾斜をつけやすくすることで完璧なシルエットを再現することに成功。とはいえやはり相当厳しい姿勢に耐え抜いた猪野だが、その後も再現不可能とも思える挑戦を次々と続けていく。原作イラストを見せながら「できるだけ近づけられたら…」と相談するスタッフに「一度やってみますね」と猪野は笑顔で応える。すると一発でほぼ100%の再現を見せ、驚いたスタッフからは「完璧です!」の声が上がる。それでもさらに良いものをと何度も難しいポーズの再現にチャレンジを続ける猪野。撮影は3時間以上に及んだだろうか、それでも疲れもまったく見せない姿からは、猪野の内なる炎と果てない向上心が感じられた。最後のカットを撮り終え、OKの声を受けると思わず「よっしゃあ!」と歓喜の雄叫びを上げた猪野は、感動と感謝の拍手で見送るスタッフにも「お疲れさまです!」「完成が楽しみです」と最後まで気遣いを見せながらスタジオを後にした。