舞台『弱虫ペダル』SPARE BIKE篇~Heroes!!~ 曽田陵介 インタビュー

©渡辺航(秋田書店)2008/ 舞台『弱虫ペダル』製作委員会

坂道を愛して、自分のすべてを坂道にして本番に臨みます!

 

舞台『弱虫ペダル』が1年ぶりに劇場へ帰ってくる。原作漫画の連載開始時に3年生だったキャラクターたちの過去のエピソードが描かれた『弱虫ペダル SPARE BIKE』を舞台化した「SPARE BIKE篇~Heroes!!~」。新シリーズ突入を機に、キャストには新しい顔ぶれが揃った。主役の小野田坂道に抜擢されたのは、20年3月に大学を卒業したばかりの俳優・曽田陵介。19年秋に放送された月9ドラマ『シャーロック』や、ABEMA「月とオオカミちゃんには騙されない」の出演などで、若い世代を中心に人気を集めている新進気鋭の23歳だ。彼は「弱虫ペダル」について登場人物全員が主人公の作品だと興奮気味に語る。

曽田「原作者の渡辺航先生が『描きながら熱くなった』とおっしゃっていたんですけど、漫画を読んでいた僕はその100倍熱くなってる自信があります(笑)。キャラクター全員が、それぞれのストーリーをしっかり持っているんです。本編で見られなかったキャラクターの過去や感情が詳細に描かれているので、作品に触れる誰もが感情移入できると思います。たとえば荒北靖友がケガで野球を諦めざるを得なくなって荒れるシーンには、僕も似た経験があって。サッカー部の1年生でレギュラーだったとき、遠征先でケガをして3ヶ月くらいサッカーを禁止されてたのに、反発して1ヶ月でギプスをはずして、お医者さんにものすごく怒られたんです。だから自転車という新しい武器を手に入れて前に進む荒北に胸を打たれました」


彼にとって初めての舞台主演。同公演はハンドルだけで自転車に乗っているシーンを再現する「パワーマイム」も見どころのひとつだ。

曽田「今年(20年)の2月に実際に舞台を観させていただいたんですけど、演者の熱量も高くて、人の心を動かす舞台だなと感じました。ハンドルだけなのに実際にロードバイクに乗っているように見えますし、臨場感がすごくて、すぐ物語の世界に入り込みました。僕のパワーマイムを、過去に真波山岳役を演じた谷水力くんに見てもらったら『まだまだ全然ダメだな』と言われて(笑)。『鏡を見て特訓しよう!』と気合いが入りました」


昨春上京し、俳優としてかなり追い風が吹いている状況の曽田だが、当人からすると大きな壁が立ちはだかっているという。

曽田「経験が増えれば増えるほど『まだまだ全然足りないな』と思うことばかりで、日々勉強です。家でドラマや映画を観ているときも、気になったところをひたすらメモをして、自分にできることはなにかと考えています。人の100倍努力する必要があるし、それも全部楽しいですね」


情熱を宿した努力家のルーキーに、ロードレースとまっすぐ向き合う小野田坂道の姿が重なる。彼が初舞台でどのような姿を見せるのか注目だ。

曽田「座長というよりは、小野田坂道という一人のキャラとして物語に溶け込みたい。チームみんなで力を合わせて、長くこの作品を愛している方々からも『これがまさに弱虫ペダルだ!』と思っていただける舞台にしたいです。初めて坂道の衣裳に袖を通したとき『坂道はどんな動きをするんだろう?』と考えて、一気に意識が変わった。高校生のときにクロスバイクに乗っていた経験を生かしてロードバイクを研究したり、近いうちに秋葉原や箱根に行って、坂道の気持ちを知ろうと思っています。些細な感情を見落としたくないし、愛される坂道を演じたい。誰よりも坂道を愛して、自分のすべてを坂道にして本番に臨みます」

 

インタビュー・文/沖さやこ

 

※構成/月刊ローチケ編集部 1月15日号より転載

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【プロフィール】
曽田陵介
■ソタ リョウスケ ’97年、島根県出身。TikTokをきっかけに芸能界デビュー。ABEMA オリジナル恋愛リアリティーショー『月とオオカミちゃんには騙されない』で人気を集める。今作が舞台初主演。