ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」~うずまきナルト物語~開幕レポート

©岸本斉史 スコット/集英社
©ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」製作委員会2021

ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」~うずまきナルト物語~が、12月4日(土)東京・日本青年館ホールにて開幕した。同タイトルの大人気漫画を原作として2015年から始まった舞台シリーズ。4年ぶりの新章は演出、歌唱、ダンス、アクション……全てがパワーアップ!さらに見応えのある作品になった。
初日公演に先駆けて行われた初日会見のコメントと公開ゲネプロの模様をお届けする。

初日会見には、うずまきナルト役・中尾暢樹、うちはサスケ役・佐藤流司、波風ミナト役・北園 涼、長門役・玉城裕規の4名が登壇した。

©岸本斉史 スコット/集英社
©ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」製作委員会2021

今作から主人公・ナルトを演じる中尾は「稽古期間の色々な想いや、たくさん支えられてきた色々な想いを今日ようやく皆さんにお見せ出来ます。僕たち“劇団NARUTO”は、『NARUTO-ナルト-』の世界観を再現して、(キャラクターたちの)息遣いや体温をリアルに感じていただけるよう必死にやってきました。楽しんでくださったら嬉しく思います」と意気込み。

初演からサスケ役を務めている佐藤は「初演から6年が経ちました。舞台というものは毎公演、前作を超えていく、再演を超えていくことが重要になるかと思いますが、今回の公演に関しては間違いなく過去最高傑作になると断言できる作品になっております。期待していただければと思います」と胸を張り、「原作の通り≪友情・努力・勝利≫という要素を大切にして作られている作品です。まだまだ大変な時期が続いておりますが、うずまきナルトの≪諦めない≫という言葉、忍道の通り、諦めずここまでやって参りました。ぜひ観ていただいて、何かを感じていただき、明日からの糧にしていただければと思います」と、メッセージを送った。

今作に登場する重要キャラクター、ミナト役の北園と長門役の玉城は、それぞれが演じる役の魅力を聞かれて「強さと優しさが魅力。子どものために里のために、忍の未来のために命を懸けられるところや、多くを語らず手を差し伸べすぎることなく、人を信じられるところがミナトの強さと優しさを表しているように思います」(北園)、「つらい経験をして痛みを知って、形は違えど平和を望んだどころがすごく魅力的ですし、とても人間的だと思います。ピュアだからこそ方法を間違えたけれど、長門にとってはそれが正義。そしてナルトに気付かされた後は、人を信じて最後に自分の意思を託せるところが魅力です」(玉城)とコメント。

会見最後は、中尾が「最高のスタッフさん、メンバーの皆さん、そして最高の演出があって、このライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」の世界を作っています。本当にたくさんの方に観てほしいです!世界中から愛されている『NARUTO-ナルト-』を僕たちが演じられるということで、少しでも皆さんの心に刺さるものだったり、明るくなるものだったり、そういうものがあったら嬉しいと思っております。よろしくお願いします!」と呼び掛けた。

今作は原作の「ペイン来襲編」「五影編」を中心としている。ナルトが師である自来也を失い、サスケが兄・イタチの真実を知って復讐に燃え上がる様から物語は始まる。己の“正義”を貫くために戦うキャラクターたちが次々と舞台に登場して、アクションとダンスを繰り出すオープニングは圧巻だ。

ナルトと“木ノ葉隠れの里”の仲間たちの活動、サスケが携わる敵集団“暁”の動向、2つの軸が交互に描かれていく。中心に立つ人物、ナルトとサスケの性格そのものが反映されるようにして、場面の雰囲気もガラリと変わる。

自来也が残した暗号の解読や仙人ならぬ仙蟇蛙のフカサクとの修業シーンなど、ナルトの場面は明るくアップテンポ。「落ちこぼれ」から始まったナルトが真っ直ぐに努力し、師の想いを汲み取り、敵にさえ真摯に向き合い里の窮地を救う。今作のナルトは眩しい程の光を放つ“王道”主人公の風格だ。中尾のナルトは力強い眼差しに説得力を携え、それでいて茶目っ気も忘れることなく成長した青年・ナルトの姿を見せた。

一方、サスケは自身が結成した“鷹”のメンバーたちやイタチが所属していた“暁”との接触はあれども、イタチを失った悲しみとその顛末で受けた衝撃によって復讐の鬼と化している。シリーズ初演からサスケを演じている佐藤自身の成長も加算され、サスケの佇まいには凄みが漂う。
サスケたちが捕縛しようとする相手・キラービー(小柳 心)とのバトルはシリーズ初のテンション。新たなカラーを持った今作で登場するキャラクターと、シリーズを重ねてきたキャラクターたちの対決シーンも見どころだ。

ナルト、サスケのふたりはもちろん、主要キャラクターを演じる面々がダンス、殺陣、アクロバットなど、見事な身体能力を披露しているところも必見。
息を呑むような対決が描かれる「ペイン来襲編」、忍ならではの術合戦が炸裂する「五影編」。ハイクオリティなプロジェクションマッピングや、生身の迫力と映像が一体となったアクション、照明と音響の効果。“ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」”ならではの様々な演出が全てのシーンを新鮮に楽しませてくれる。

視覚や感覚的に楽しめる要素も盛り沢山だが、九尾の封印が解けてしまったナルトが四代目・火影であるミナト(北園)と再会して、静かに言葉を交わす場面は染み入るようなデュエットで、長門(玉城)の過去は回想シーンと圧倒的な独白で観るものを惹き込むなど、人情あふれるドラマをしっかりと芝居の力でも伝えている。

東京公演は日本青年館ホールにて12月13日(月)まで、大阪公演はメルパルクホール大阪にて12月25日(土)~2022年1月2日(日)まで上演予定。劇場で味わっていただきたい“ライブ・スペクタクル”だが、初日公演と千秋楽公演はライブ配信も決定している。ぜひシリーズの成長を確かめて欲しい。

©岸本斉史 スコット/集英社
©ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」製作委員会2021

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©ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」製作委員会2021

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ライター:片桐ユウ