『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage《Bad Ass Temple VS 麻天狼》 廣野凌大×加藤大悟×青柳塁斗 ロングインタビュー

「『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage」シリーズの“次章”となる新作公演、『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage《Bad Ass Temple VS 麻天狼》。本作は、音楽原作キャラクターラッププロジェクト「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」にて展開されたトーナメント方式のバトル《2nd D.R.B》の時間軸での物語が描かれていく。今回、“Bad Ass Temple”より、廣野凌大、加藤大悟、青柳塁斗の3人に、家族さながらの関係性が垣間見えるインタビューで、ヒプステへの想いを語ってもらった。

──本格的な稽古はこれからだそうですが、今回はどんな作品になりそうですか?

廣野 全部が2年前よりレベルアップしますね。一人ひとりの見せ場が多い分、キャラクターが深堀りされている作品になっていると思います。

青柳 曲も含め、各々の見せ場がめちゃくちゃ増えましたね。それと、シーンによってリーダー気質が変わること。それだけ、支え合うシーンが多いってことですね。

加藤 前回以上にナゴヤ・ディビジョンの良さが出ていると思います。

──それぞれが演じる役の魅力、ナゴヤ・ディビジョンに対する想いを教えていただけますか?

廣野 僕が演じる波羅夷 空却は、強すぎるところ、達観しすぎているところ、まっすぐすぎるところ、猪突猛進なところ。これらが魅力であり、魅力じゃないところです。なぜなら、今回の作品ではこういった魅力が悪い方向に出ている部分もありますが、それを「おいおい」と突っ込んだ後で、「あっ……なるほど」と思って観ていただければいいな、と。僕は、空却のお芝居で悩むことはないです。逆に悩むと空却じゃなくなっちゃうので、まっすぐいられたらと思いながら演じてます。

廣野凌大

──それは初演の時からですか?

廣野 初演の時は、(観客の)度肝を抜いてやろうって気持ちでやってました。「こんなことできんの?」みたいな。お芝居が上手いとか、歌やラップが上手いとかじゃなくて、こんな突拍子もない行動ができるのかお前ら!?って思ってもらえるようにやってましたね。

青柳 ナゴヤ・ディビジョンの中で、天国 獄は、2人の保護者みたいなポジションになることが多いんですけど、今回はちょっと獄やらしからぬ行動をしたり、弁護士だから誠実で硬派でいなければいけないところ、嫉妬心とか、そういう感情に振り回されたりして、子どもっぽい面が出ているというか。そこでやっぱりこの2人がいて良かったな、という感じ。2人に支えてもらう、相変わらずの獄です。でも、お互いが支え合っていて、これがナゴヤ・ディビジョン、家族だなってあらためて感じましたね。獄の魅力は、優しいけど優しくない。優しくないように見えて、本当は優しいのが垣間見られるところです。

加藤 四十物 十四くんの一番の魅力は、物語の中で成長していくところですね。いろんなことを経て、空却とはまた違う、十四くんなりにいろんなことを昔経験していて、そういう過去や気持ちがあるからこそわかる気持ちもあるし。普通の人には持っていない優しさや正義感とか、十四くんにはかっこいいところがすごくあるので、そういうところをもっともっと物語の中で築いて成長していく。そういう姿がすごく僕はかっこいいなと思いますし、羨ましいですね。

──ご自身で思う今回の見どころは?

加藤 今回ほんとに、2人が大暴れするので、もう収集つかないようなことをするんですよ(笑)。自分では気づいてないけど、実は2人を支えてるのは十四だったりもするので、そういうところが今回描かれていて、観ていただいた方にすごいなと感じていただきたいですね。

──これまで出演した作品の中、稽古を通して、印象的なこと、一番に想い出すエピソードはありますか?

廣野 電話で本読みしたこと。電話しながら3人でセリフを覚えたことかな。

加藤 懐かしい!

青柳 ほんとに最初の頃だね。

──それは出会っていつ頃ですか?

廣野 1週間か2週間ぐらいかな。

青柳 たしか大悟が最初に言い出したんだよね。「舞台経験なくて不安だから教えてください」って。

加藤 あ、そうだ!

廣野 その時にLINEグループを作ったんですけど、大悟が、グループの名前を“名古屋ディビジョン”にしてて。カタカナじゃなくて、漢字で「名古屋」。

加藤 愛知県出身なので(笑)。

廣野 “名古屋ディビジョン”って、どこかの企業の名前みたいだなって。今もそのままにしてますけどね(笑)。電話の本読みは一回だけやって、あとは稽古場での読み合わせはけっこうやってましたね。

加藤 そうそう。何回も付き合ってもらいました。

──ほかの作品ではやられたことは……?

廣野&加藤&青柳 ないです!

廣野 最初で最後。それからもやってないですし、今回も別にやるつもりもないし(笑)。「やらない?」って言われても、俺ら「やらない」って言うよね(笑)。

青柳 俺でも、ちょっとやるかなと思ったんだよね今回も(笑)。

廣野 変わっちゃったんですよ、こいつ。

──変わっちゃった……の話の流れで、初演と比べて変化したこと、大きく変わったと感じたことはありますか?

廣野 僕と大悟に関しては、堂々とお芝居するようになったところじゃないですかね。舞台の居方というか。あとは逆に変わってないっすよね?

青柳 そうだね。

加藤 いい意味で変わってないですよね。

廣野 それに、久々に会った気がしないんですよ。空却として、しっかりお芝居をするヒプステの作品は2年ぶりなんですけど、最近まで一緒にやっていたような感覚がずっとしています。ブランクも全くない。逆に、演劇人としてのスキルは、2年間でもちろん成長はしていると思うので、新しい風が起こせるんじゃないかなってワクワクしています。

──加藤さんは、顔つきもすごく大人っぽくなった気がします

加藤大悟

加藤 この2年ですごく落ち着いた……と言ったら軽い言い方になってしまいますけど、いろんな舞台とか経験をさせていただいて2年も経つので、以前の自分のままじゃダメだなって。もちろん根本は全然変わらないんですけど、舞台に立つ人間として、変わっていかなきゃいけないと感じたところは変わったんじゃないかなと、成長しているんじゃないのかなと思います。

青柳 こういうところですよね、成長しているのは。

廣野 こんなこと言えなかったんで。いつも「僕は初舞台なので」って、“初舞台”を盾に頑張っていたんですけど、それがもう使えないからね。

加藤 今使えるのは、「2年前が初舞台だったので」って言葉ですね(笑)。

廣野 別の取材でも使ってました(笑)。

──先ほどの撮影の様子を観ていたら、加藤さんがおふたりの撮影を盛り上げたり、待機中に歌を歌っていたりと、和気あいあいをした雰囲気が印象的でした。前回、廣野さんに取材で出ていただいた時、3人が「普段から家族感がある」とおっしゃっていましたね

廣野 それこそ前回は大悟が子どもで、僕らお兄さんって感じだったんですけど、なんか今回、久々に会った、成長した親戚のガキみたいな。正月に1回集まるぐらいの親戚のような頻度なんで、成長した家族感はあるよね。

加藤 確かに(笑)。でも僕からしたら、やっぱりずっと2人はお兄ちゃんなので、すごく安心感があります。「戻ってこれた」っていう。3人でいると感慨深いものもありますし、嬉しいですね。

青柳 2年の間に、2人が出ている舞台を観てるんですけど、舞台で堂々としてるのはすごく感じました。ヒプステをやって、経験を積んで変わっただろうし、大悟がさっき言ってたみたいに、役者はこうやって成長していかなきゃいけないっていうのを学んだのも大きいだろうなって。だから今回の作品はすごい楽しみなんです。僕は多分一番刺激をもらえるんじゃないかな。これからみんなで切磋琢磨して、刺激を与え合って、ここからクオリティを上げていきたいですね。

──今回共演されるジンジュク・ディビジョンのみなさんの印象や楽しみにしてることはありますか?

廣野 シンジュクに、ですか?

加藤 このまま続けたら「俺らが勝ちますよ」って言い始めますよ、この人(笑)。僕は、事務所の大先輩の荒木宏文さんがいらっしゃるので、別の作品でも共演させていただいたんですけど、僕も刺激をもらえるので、すごく成長になるんじゃないかなって。また一緒にお芝居できて嬉しいですし、頑張ろうって思っています。

廣野 ジンジュク・ディビジョンのみなさんは、年齢層高めで、どちらかというと塁斗さん世代の方々なので、逆に、僕らは僕らのパワーでいけたらなとは思います。全く色が違って、ジンジュク・ディビジョンは、アダルトなディビジョンなんで。全員大人でスーツだし、医者とホストとサラリーマンっていう、ね。

青柳 こっちとは全然系統が違うもんね。まだ芝居はちゃんとしてないですけど、本読みの時点でそれをすごく感じました。

加藤 ほんとにすごく面白かったですよね。本読み1回やっただけで、「この役柄的に、このシーンのこのお芝居はこうしなきゃいけないんだな」ってこともだいぶわかりましたし、この対決で、ナゴヤ・ディビジョンの良さもすごく見せられるんじゃないかなって。

青柳 向こうとは年齢差があるから、それだけでネタになるというか、美味しいなって思う部分があるんですよね。役者さんも達者な方が多いし、個人的には、(鮎川)太陽とか荒木さんとか昔から知ってる人がいるし、ね。

廣野 まあ、負けないっす。

加藤 これです。うちのリーダー、最終的にこれなんで(笑)。

──植木豪さんの演出についてもお聞きしたいのですが、ヒプステならでは、植木さんならではの魅力はどんなところにあると感じていますか?

廣野 スタッフしっかりキャストしかり、各々が、「ヒプステってこうだよね」って固執したくないというか、多分、毎回変化したいっていうのは絶対みんな感じていると思うんです。それは豪さんも同じだと思っていて、今回も新しい試みを取り入れてくるだろうし、僕らもそれに応えなきゃなっていうのはあるので。ヒプステならでは、豪さんならでは……というより、「ヒプステってこっちにも行くんだ!?」みたいな、多様性みたいなのがあるのがヒプステの魅力なのかなって思います。いろんなラップの曲調もありますし、歌い方を変えることによってキャラクターの魅力がさらに深まるだろうし。豪さんは今回もすごい面白いことを考えているんだろうなって思うので頑張ります。

青柳 僕は豪さんとの付き合いはめちゃめちゃ長いですけど、僕らが想像している以上の演出をつけてくれますし、パフォーマンスもライブショーみたいな感じで、映像の使い方もオリジナルで作ってくれるので、やってる僕らとしてもすごく楽しいです。劇場に入って、「ああ、こうなってたんだ!」っていう発見も大きいからやりがいもある。あと、演出家なのに自分が舞台に立っていろいろ動きを見せてくれるんですよ。椅子から腰を上げて、舞台に立って自ら動いてくれる演出家の方もなかなかいないなと思います。役者との距離もめちゃくちゃ近いんですよね。

廣野 「兄貴」って感じ。すごいいい男っすよね。

加藤 モテますよね、絶対。

青柳 この前も、僕らのことを信頼してくれて、任せきるって感じで「楽しみにしてる」と言ってくれて。僕らは、豪さんの期待に応えないといけないなって。そこでちょっと身が引き締まって、「やるしかない」って感じです。

加藤 僕としては豪さんが最初であり、僕の原点であるので、おふたりが言ってたこととちょっと被っちゃうかもしれないですけど、本当にエンタメをすごく重要視しているというか……

廣野 被ってないよ(笑)。俺、そんなこと一度も言ってない(笑)。

加藤 あれ(笑)。でも、エンタメを重視していて、本当に楽しく、でも熱く、男としての魅力を引き出してくれるというか。ほんとに素敵な方で、僕自身、豪さんに助けられて、初舞台の時、千秋楽が終わった直後に豪さんから「100パーセントだったよ」と言ってもらえて、大号泣しました。もちろん自分としては、100パーセントなんて……という感じでしたけど、豪さんがいろいろ教えてくださって、そういうふうに言ってくださったことがほんとにすごく嬉しくて。ヒプステのステージでもっともっと頑張って、豪さんにいろんな引き出しを見せていかないとなって。だから今回は、この2年で成長した姿を豪さんに少しでも見せられることが、僕にとっての幸せです。

──ありがとうございます。最後に、公演に対する意気込み、メッセージをお願いします!

加藤 前作から2年間、いろんなことを経験させていただきまして、その中で、いろんなことを先輩に教えていただいて、そういったものを今回のヒプステでも出していけられたらなと思います。とにかく、今回のナゴヤはすごく熱いので、前作とはまた違った熱さや家族愛がみられる作品になっているので、ぜひ皆さんそういうところを楽しみにしていただけたらと思います。よろしくお願いいたします!

青柳 一瞬浮かんだのは、今回、十四が1人で舞台上にいるシーンがあって。ページ数で言ったらなかなか長いと思うんですよ。僕はそこにすごく期待していて、この2年間で成長してきた姿を見せられるのではないかと。プレッシャーもあるかもしれないけど、個人的にもすごく楽しみにしてます。僕は、寂雷との因縁対決が、獄としての見せ場になると思うのですが、そこはもちろん勝ち気にいこう、と。ナゴヤ・ディビジョンとしての暴れっぷりを影で支えてくれる2人もいるので、そこに任せて、ただただ本当にかっこよくやりたいですね。「ナゴヤかっこよかった」、「獄かっこよかった」、そして「やっぱりナゴヤは家族だね」って言われるくらいやりきりたいと思います。

青柳塁斗

廣野 本を読んで思ったのは、今回は前回の倍ぐらい疲れるじゃないかな、と。

青柳 曲数も多いしね。

廣野 前回も大変でしたけど、裏にいられる時間はけっこうあったんです。袖で待機できる時間もあって、そこで汗を拭いたり、メイクを直してもらったりしていたんですけど、今回そういう時間があんまりないみたいで、すぐ次のシーンの準備をして、出て、また暴れて……って。考えるとゾッとしますけど、みなさんに、「空却がすごかった」、「ナゴヤがすごかった」と言ってもらいたい。僕ら全員で頑張るんで、よろしくお願いします!

──最後に、恒例の質問として、みなさんに「ローソン」と聞いて思い出すものをうかがっているのですが、何かありますか?

加藤 からあげクン! Lチキ!

廣野 僕、ローソンでバイトしてました。その時、「からあげクン1個増量セール中です」って言ってましたね。

青柳 あれ、絶対買っちゃうんだよね。

廣野 俺、からあげクンを揚げてたからね。容器に詰め方にもコツがあって、めっちゃ上手いよ。からあげクンの容器組み立てるの、多分俺、日本で一番上手い。

──バイトはどれくらいやっていたんですか?

廣野 6ヶ月です。

加藤 じゃあダメじゃん! 絶対もっとうまい人いるよ(笑)。これより強い話ないなぁ(笑)。

青柳 僕的には、デザートが激アツですね。『もち食感ロール』知ってる? あのシリーズ好き。僕、減量期間に入ると甘い物が食べられなくなるので、減量が終わるとローソンに行って、Lチケとバンズは必ず買いますね。デザートコーナーの新商品に、“生なんちゃら”がめっちゃ増えてますけど、SNSで観ながら減量中は堪えて、それを食べるために頑張る、みたいなことが多いです。あと、糖質オフのパンとかもあって、そういう商品は減量中に使えるのでダイエットには持ってこいです! からあげクンじゃない、カップタイプの唐揚げもすごいうまいよね。

廣野 俺がよく食ってたのは、(ホットスナックの)バーベキューチキンみたいやつ。めちゃくちゃうまかった。バイトの休憩中にいつも食ってました。今は売ってないんですよね。あれは再販希望です。

加藤 すごい出てくる(笑)。廣野凌大のコメントは全部使ってください(笑)。

廣野 ローソン愛はすごくあります!

インタビュー・文/佐藤則子
撮影/篠塚ようこ

【プロフィール】

廣野凌大(ひろの りょうた)●1998年4月28日生まれ

加藤大悟(かとう だいご)●2000年9月19日生まれ

青柳塁斗(あおやぎ るいと)●1990年3月29日生まれ